核兵器禁止条約が発効して初めて開かれる歴史的な原水爆禁止2021年世界大会国際会議が2日、オンラインで始まりました。テーマは「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」。主催者声明を冨田宏治国際会議宣言起草委員長が発表し「政府に禁止条約への参加を呼びかけよう」「核兵器廃絶の合意と義務を果たすよう求める」と訴えました。
主催者あいさつした世界大会運営委員会の野口邦和共同代表は、核軍備増強は新型コロナの世界的流行には無力だと指摘。軍事費を非軍事に回し、核廃絶に向けた合意事項の実行を保有国に迫ろうと強調し、多数の国々と草の根の運動の発展を呼びかけました。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の木戸季市(すえいち)事務局長は、結成65年を迎えた日本被団協は、世界と日本の市民社会に支えられてきたと感謝し、再び核兵器を使わせない取り組みを呼びかけました。
原爆投下直後に放射性物質を含む「黒い雨」を浴びた被害者が起こした「黒い雨」訴訟で、支援する会の牧野一見共同代表が報告。本日発行された被爆者健康手帳が1万3000人ともいわれる全被害者に届くよう取り組むと語りました。
第1セッションでは、核保有国と「核の傘」にあるアメリカ、イギリス、ロシア、ベルギー、日本の平和団体が報告。「核兵器と気候変動が差し迫った脅威になっており、行動を起こすときだ」「条約を力に世論と運動を広げ、条約参加の政府をつくろう」と述べました。
第2セッションではアメリカ、日本、韓国、ベトナム、インドの平和団体が米中対立が激化するもとアジアでの核兵器廃絶について報告。「日本が条約参加すればアジアの平和と安全に貢献する」「アメリカと中国の平和を脅かす行動に反対しよう」「朝鮮半島の非核化を進め東アジア非核地帯を」と語りました。
世界大会に呼応した世界的共同行動「平和の波」の開始を宣言。長崎原爆の日の9日まで、世界100カ所以上と日本国内200カ所以上で多彩な行動が取り組まれます。
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来県者PCR検査9都府県が実施 やむを得ない場合検査要求
県境をまたいで移動する人などを対象にした新型コロナウイルスの“水際対策”を強める県が増えています。本紙の調査では2日現在、無料や低額で出発前や空港、高速道路などでPCR検査の提供や、検査費用の助成をしているのは9都府県(国事業含む)に上ることがわかりました。
首都圏などでは感染者が急増しています。全国知事会は1日、お盆など帰省も含めた夏休み期間の県境をまたぐ旅行や移動は、原則中止・延期とすることを国民に呼びかけるよう政府に提言。やむを得ない理由で往来する旅行者などの出発前のPCR検査や搭乗前モニタリング検査について、現在実施している北海道・沖縄・福岡便以外への拡大を求めています。
西日本のある県の担当者は、「本来なら、首都圏など感染拡大地域の人流抑制と無症状者の検査を拡大すべきだ」と指摘。「単県の取り組みでは限界がある」としつつ、「やむを得ず来県する場合は、ぜひ検査してほしい」と訴えています。
★政府与党の無策ぶりにあきれている国民が多いことは街の声を聴けばわかる。選挙を控える与野党の衆院議員はオリンピック(五輪)で沸く東京から離れ地元に帰ると、国民の政権への怒りと疲弊が限界に達していることがわかるはずだ。ある議員は「09年の政権交代の時の雰囲気すらある」と警戒する。あの時は麻生政権。その麻生太郎が副総理兼財務相でいまだ君臨し続けている政権だということもあながち無関係ではないだろう。前首相・安倍晋三は「悪夢のような民主党政権」を繰り返し国民に訴え人気を博してきたが「民主党政権の後の10年がもっとひどかった」が国民の実感だ。
★あれほど全国遊説を続けていた安倍も嫌疑不十分となっていた「桜を見る会」前夜祭疑惑について東京第1検察審査会が「公選法の不起訴は不当」の議決をしたことで表舞台に立ちにくくなった。五輪の開会式の欠席は「菅否定」なのかもしれないが「安倍・桜」問題は衆院選挙にも影響が出るだろう。与党政局はいわゆる安倍を軸とした3Aと首相・菅義偉の官邸周辺、幹事長・二階俊博の3つの思惑がぶつかる状況になりつつある。今後は政治的な発言が続くだろうが、与党の空気は「菅降ろし」に他ならない。
★1日、公明党代表・山口那津男は宮崎市内で講演し、ワクチン接種について「現場の実情と距離があったのでは、その志が満たされない場合がある」と政権に注文を付けているが、これも菅批判だ。気を付けなくてはならないのは国民の怒りに乗じて与党内で菅降ろしが始まるのだろうが、それは与党の権力闘争でしかない。与党の思惑と国民の実情と距離があったのでは同根といえる。それでは五輪に沸き、ワクチンの接種がはかどれば政権に人気が戻ってくるとの考えとさして変わらない。国民を軽く見てはいけない。(K)※敬称略
ワクチン一本ヤリ政権の担当大臣が白旗――。河野ワクチン担当相は7月31日夜、自身のネット番組で「デルタ株の感染拡大をワクチンだけでどうにかするというのはなかなか難しい」と言ってのけた。デルタ株(インド株)は、ワクチンを接種していても、感染が広がっている。想像以上に手ごわいウイルスだ。
■CDC「戦況が変わった」
30日の会見で菅首相は「ワクチン接種こそがまさに決め手であり、総力を挙げて接種を進めていく」と強調したばかり。河野大臣が「決め手」を否定した格好だ。
デルタ株の登場により、ワクチンの限界が浮き彫りになりつつある。米疾病対策センター(CDC)が「戦況が変わった」と警戒を強めるのが、「ブレークスルー(突破型)感染」。ワクチンを2回接種しても感染してしまうことだ。
CDCによると、7月にマサチューセッツ州で起きたクラスターの感染者469人の約74%は接種を完了していた。ウイルスを特定できた133人のうち、9割がデルタ株だった。接種完了しても、デルタ株には感染してしまうのだ。
さらに、接種者でも未接種者と同じくらい他人に感染させる可能性がある。デルタ流行前の調査では、接種後の陽性者は未接種者に比べて、ウイルスの排出量は4割少なかったが、マサチューセッツのクラスターでは、同量だった。接種者も強力なスプレッダーになり得るのだ。
ただし、ワクチン接種はデルタ株でも重症化予防の効果は大きく、CDCは接種推奨を続ける方針だ。
菅首相は相変わらずワクチンに過度の期待
デルタ株の感染力は想像以上だ。1人の感染者が平均して何人に感染させるかを示す基本再生産数について、英保健当局は5~7人と発表しているが、CDCは水疱瘡に匹敵する8~9人と指摘している。従来株の2.5人の3倍超だ。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。
「河野大臣が言う通り、ワクチンだけではデルタ株に太刀打ちできません。ところが、菅首相は相変わらず、ワクチンに過度の期待を寄せるあまり、ワクチン以外の感染対策がおろそかになっている。緊急事態宣言を拡大・延長してもインパクトのある新たな対策はありませんでした。ワクチン接種によって、重症化を防げるとしても、日本の場合、現在2回接種は約3500万人程度にとどまり、感染すれば重症化するリスクは依然高い。このままでは、感染爆発を抑えられず、ワクチン未接種者を中心に重症者が増えかねません」
「ワクチン接種だけでは難しい」と語った河野大臣が呼び掛けたのはマスク着用や手洗いなど感染対策の徹底にとどまった。アイデアが浮かばないのだろう。まさに、白旗である。デルタ株がますます大暴れすることになるのか。