統一地方選前半戦の結果を報じる「しんぶん赤旗」10日付の最終紙面を掲載します。
- 愛知で議席空白を克服/道府県議選 大阪・吹田 議席守る/福岡、熊本など新たに空白/午前0時10分現在
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さあ後半戦 さっそく街頭へ
平和の1票 共産党に
東京・調布と杉並 小池氏呼びかけ
いよいよ統一地方選後半戦本番!―日本共産党東京都委員会は9日、16日に告示される区市議員選(23日投票)に向け、小池晃書記局長や田村智子副委員長を先頭に、都内各所で街頭演説会を行いました。東京選出の笠井亮衆院議員、宮本徹衆院議員、吉良よし子参院議員、山添拓参院議員も訴えました。
小池晃書記局長は、調布市と杉並区を訪れ、「戦争か平和か、日本の進路が問われる大事な選挙です。戦争の準備ではなく平和への1票、暮らしを守る政治への1票は、住民と力を合わせとことん頑張る共産党にお寄せください」と訴えました。
小池氏は調布駅前で、岸本なお子、坂内淳(ともに現)、田村ゆう子、藤田つとむ(ともに新)の4予定候補を応援。杉並区の荻窪駅前では、くすやま美紀、富田たく、山田耕平、酒井まさえ、野垣あきこ(以上現)、和氣みき、小池めぐみ(ともに新)の7予定補の勝利にむけマイクを握りました。
調布市で小池氏は、近隣市が値上げを見送る中、国保税の5%増に踏み切り、9割以上の小中学校校舎が築40年以上のままの一方、まだ使えるグリーンホールの建て替えに数百億円も投入しようとするなど、共産党以外の「オール与党」の冷たい市政を告発。統一協会が進める「家庭教育支援法の制定を求める意見書」を自公が市議会で可決したことも「極めて重大だ」と批判し、反社会的集団との癒着を断ち切ろうと訴えました。
さらに、調布市が圏央道トンネル陥没事故被害住民の個人情報を無断で事業者に提供していた事実を指摘。「被害住民へは情報開示に消極的なのに、やることがあべこべではないか」と厳しく批判しました。また、多摩地域の水道水から有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題に言及し、「調布市でも徹底的な実態調査、健康調査を行わせよう」と主張しました。
小池氏は、党調布市議団が住民運動と力を合わせて、18歳までの医療費の完全無料化や、高齢者への補聴器購入助成などの実績をあげてきたと紹介。4人当選で▽国保値上げ撤回▽学校給食無償化▽学校建て替え促進▽ミニバス増便―などを実現させようとよびかけました。
杉並区で小池氏は、昨年6月に、幅広い市民が力を合わせて、岸本聡子区長を誕生させ、前区長時代から共産党区議団が求めてきた「区民の提案を聞く」新しい区政が始まっていると紹介。岸本区長が就任直後に学校給食費の値下げを表明し、4月にさかのぼって値下げを実施したことや、前区長が押し進めた高齢者のふれあい施設「ゆうゆう館」や児童館の廃止計画の再検討を始めたこと、難聴高齢者への補聴器購入費助成の実施など、党区議団が求めてきた政策が次々に実現に移されていると語りました。さらに、学校給食費無償化、家賃補助制度や中小業者への光熱費支援の早期実施などの党区議予定候補の公約をあげ、「共産党の区議団を6人から7人に前進させれば、岸本区政をさらに前に進め、区民要求を実現することができる。何としても全員当選させてください」と訴えました。
岸田首相の同性婚に対する認識や首相秘書官のLGBTQへの差別発言には、自民党の「伝統的家族観」が透けて見える。先月末、「たたき台」が出された少子化対策も、政権与党の家族や女性に対する意識が変わらなければ効果が出ないだろう。そんな中、注目されているのが「自民党の女性認識 『イエ中心主義』の政治指向」という一冊。著者は、長年のテレビキャスター業の中で抱いた疑問を大学院で研究、博士論文にまとめたという。古すぎる自民党の家族観は、どこから来て、なぜ頑迷なのか。
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──LGBTQや同性婚、少子化の問題がクローズアップされ、著書が注目されています。昨夏に刊行された際、自民党から反応があったそうですね。
最初は「えっ」って。でも、意外に興味を示してもらえて。自民党の中でも早期に夫婦別姓を実現する議員連盟などから、話を聞かせてほしいというリアクションがありました。決してアゲンストな反応ではなく、そういう考え方もあるのかと捉えていただけたのは良かったです。
──著書のタイトルに「イエ中心主義」とあります。自民党の女性認識や家族観について、どんなことが分かったのでしょう?
研究の出発点は「なぜ日本はこんなに女性の国会議員が少ないのか」でした。そして、女性に注がれている「らしくあるべき」などの社会の目線がどこから来たのか、という疑問にたどり着いた。研究を進めていくと、それは、突然降って湧いたりとか、誰かが種をまいて芽を出し、ふんわりとしたところで植えつけられたものではなく、一定の意図を持って再生産されてきたということが分かった。
自民党は長らく政権与党としてこの国の政治を牽引し、同時に日本の政治文化をつくってきました。それには、役割分担論も含まれます。まず母親、良き妻として頑張れとか、子どもを産んで育てて一人前とか。そうした価値観は、自民党の経済政策として、1970年代に再評価されたものが戦略的に再生産され続けてきた、ということを本の中で解き明かしているんです。
■個の尊重が欠落した「枠の保守」
──伝統的な家族観は、そもそも経済政策だったんですか。
1970年代、女性に「家庭長」という奇妙な役割を与えて、家庭内安全保障を機能させたのです。女性が家庭長として、子どもをちゃんと育て、夫を元気で送り出し、おじいちゃんおばあちゃんの面倒をつつがなく見て、家庭の中の安全保障を担えば、ひいては国の福祉予算が減免されるという経済政策です。つまり、家庭長という形で女性に無償の労働負担を強いたわけで、女性は家庭長たる者が最も美徳とされる価値観が強調されるようになっていきました。女性は家の構成員としては認識されても、個人として認識されず、常に誰かに従属するものとされてきた。私はこれを「女性の個人としての認識の放置」と呼んでいます。
──今もその状態が続いている?
女性に対する認識は一度たりとも変更や見直しが行われていません。政治の無作為の作為です。個人を尊重しないのは人権問題であり、LGBTQや夫婦別姓の問題の根源と、ものすごくリンクする。自分の性や指向に対しての自由は、人権そのものじゃないですか。常に家を中心とした価値観みたいなものが、個の尊重を阻んでいます。今の対立の構図そのものですよね。例えば、岸田さんは同性婚について「社会が変わってしまう」とおっしゃった。
パパとママがいて、2人の子どもがいてという、今やどこに行ってしまったか分からないような、税金計算する時のモデルケースみたいな家庭の形が、社会だとおっしゃりたいのかもしれない。しかし、「形が変わってしまう」のは枠組みであって、そこで圧倒的に欠落してるのが、パパもママもひとりの人間なんだよっていう個の尊重です。LGBTQの問題も夫婦別姓の問題も、別に全員にそうしろと言っているわけじゃない。選択の自由をくださいと言っているのであって、すべて禁止でなければならないという考え方は「枠の保守」なんだと私は考えています。
低投票率が続くと、民意が反映されない悪循環に 統一地方選後半戦にどう臨むのがいい?<識者インタビュー>
統一地方選の課題について話す行政管理研究センター研究員の岡野裕元さん=東京都千代田区の中日新聞東京本社で
同性パートナーシップ制度 自治体が同性同士のカップルを、法律婚の夫婦と同じような関係の「パートナー」と公的に認め、独自の証明書を発行する制度。2015年、東京都渋谷区と世田谷区が導入し、全国に拡大した。当事者を支援する認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」と渋谷区の調査によると、今年1月10日現在、全国の255自治体が導入済みで、人口カバー率は65.2%。
統一地方選の後半戦 有権者の関心を高めるため、投票時期をまとめる統一地方選挙のうち、政令市以外の市や東京特別区、町村で行われる首長と議員の選挙。今回は4月23日投票。東京都内の首長選は18区市町村、議員選は47区市町村で実施される。この日は参院大分選挙区、衆院千葉5区、和歌山1区、山口2、4区の統一補欠選挙も行われる。
おかの・ひろもと 1989年生まれ。学習院大院政治学研究科博士後期課程修了・博士(政治学)。一般財団法人「行政管理研究センター」研究員。著書に「都道府県議会選挙の研究」(成文堂)など。千葉県出身。
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