★立憲民主党の代表選挙は、代わり映えしない顔ぶれで「党の人材難」という課題から脱皮できない、つまらないものと言えるが、争点は“野党共闘の形”ということになりそうだ。同党の小沢一郎が「政権を取るにはまず、野党協力態勢をつくっていかなきゃならない。泉君は(代表を務めた)3年間、野党との協力態勢がうまくいってない」と言うように、立憲だけでは政権奪取はできず、他党との協力態勢が重要。だがこの間、国民民主党、日本維新の会との共闘や選挙協力を仕掛けたものの芳しい結果は出ていない。それどころか決裂した場面も国民に露呈させてきた。
★小沢から言わせれば、09年の民主党政権樹立の背景には、裏で共産党との選挙協力を「上手に」取りつけたという過去があり、選挙区ごとの調整はそれぞれの現場でうまくできた。それ以降、つまり選挙調整に小沢が関与しなくなってからは「共産党が前に出すぎる」(連合会長・芳野友子)など、共闘態勢が確立できず、トラブルが多発している。ポイントは連合の共産嫌い。「維新とは付き合ってもいいが共産はだめ」と連合から言われ「維新は労組を否定している」と言っても「それでも維新なら許容できる」と言われれば、もう好き嫌いだけの世界。参院はともかくも衆院立憲の議員の中には選挙区事情から、連合票より共産票が効果的と考える議員もいる。腹の中では連合に対して「札(票)も出さないのにエラそうだ」と思っている議員も多い。つまり、小沢の方が無能な現立憲執行部よりずっとまとめられるということだろう。
★来夏に迫る衆院選を前に連合が急に立憲と国民民主党との共闘に力を入れたり、各党との選挙協力に柔軟姿勢を示しているのには来夏の選挙態勢がおぼつかない、自民党にすり寄りすぎたなど、いくつかの理由がある。だが結局、この代表選の最大の争点は「野党選挙戦略のあり方」。野党共闘というが、実際には「共産党とどう付き合うか、どんな選挙協力にするか」だ。連合が党を指導する形が変わるかのせめぎあいでもある。(K)※敬称略