感染症専門家・岩田教授をクルーズ船から追い出したのは、橋本岳・厚労副大臣だった! ずさんな体制による船内感染拡大を隠蔽
YouTubeでダイヤモンド・プリンセス号の感染症対応を告発する岩田教授
意味のない水際対策、検査・治療体制確立の大幅な遅れ、現場での混乱とパニックを誘発する方針、患者への経済支援ゼロ、自己責任押しつけなど、安倍政権の新型コロナ対応の酷さが次々に明らかになっているが、今度は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の信じられないひどい実態が明らかになった。
ダイヤモンド・プリンセス号の船内に入った神戸大学病院感染症内科の教授、岩田健太郎氏が、その衝撃的な実態とずさんな感染症対応をYouTubeに投稿した動画で告発。大きな問題になっているのだ。しかも、岩田氏によると、感染症対策の改善を提言しても、「厚労省トップ」は聞く耳を持たず、わずか1日で追い出されてしまったのだという。
そして、岩田氏のアドバイスに聞く耳を持たず、岩田氏を追い出した「厚労省トップ」というのは、なんと自民党の橋本岳・厚労副大臣だったことも判明した。
まずは改めて岩田氏の告発を紹介しよう。岩田氏自身は20年以上、感染症の臨床治療や研究に従事し、感染症関係の著作も多数ある専門家。エボラ出血熱、SARSなどのときはアフリカや中国の医療現場にも出かけ、対策に取り組んできた。しかも、今回の新型コロナでも、パニックを煽るメディア報道とは一線を画し、冷静な意見を語っている。
ところが、そんな岩田氏がダイヤモンド・プリンセスの船内を目の当たりにして語ったのは、「エボラのときのアフリカやSARSのときの中国よりひどい」「心の底から怖いと思った」という衝撃的な表現だった。
「それはもうひどいものでした。もうこの仕事20年以上やってですね、アフリカのエボラとか中国のSARSとか色んな感染症と立ち向かってきました」
「アフリカに居ても中国に居ても怖くなかったわけですが、ダイアモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。これはもうCOVID-19に感染してもしょうがないんじゃないかと本気で思いました」
「もう……これは、あの……大変なことでアフリカや中国なんかに比べても全然ひどい感染対策をしている。シエラレオネなんかのほうがよっぽどマシでした」
岩田氏がなぜ恐怖を感じたかと言うと、船内で感染症拡大の対策がまったくとられていなかったからだ。岩田氏によると、ウイルス医療の現場では、ウイルスがまったくないグリーンゾーンとウイルスがいるかもしれないレッドゾーンをきちっと分けて、レッドゾーンでは完全にPPEという防護服をつけ、グリーンゾーンでは何もしなくていいと取り決め。医療関係者やスタッフへの感染拡大を防ぐのが常識なのだという。
ところが、ダイヤモンド・プリンセスでは「グリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのかまったく区別かつかない」状態だった。岩田氏はこんな衝撃的なエピソードも明かした。
「もうどこの手すりと、どこの絨毯、どこにウイルスがいるのかさっぱりわからない状態でいろんな人がアドホックにPPEをつけたり手袋をはめたり、マスクをつけていたり、つけなかったりするわけです」
「で、クルーの方もN95(医療マスクのこと)をつけていたりつけなかったり、あるいは熱のある方が自分の部屋から出て歩いて行って医務室に行ったりするっていうのが、通常でおこなわれているということです」
「検疫所の方と一緒に歩いていて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりするわけです。『あ!いま、患者さんとすれ違っちゃう!』と、笑顔で検疫所の職員が言っているわけです。我々的には超非常識なこと平気でみなさんやってて、みんなそれについて何も思っていないと。訊いたら、そもそも常駐してるプロの感染対策の専門家が一人もいない」
「私が聞いた限りでは、DMAT(災害派遣医療チーム)の職員それから厚労省の方、検疫官の方がPCR陽性になったという話は聞いてたんですけど、それはもうむべなるかなと思いました」
「中の方に聞いたら『いやー、我々もこれ自分たちも感染するなと思ってますよ』というふうに言われてびっくりしたわけです」
岩田氏がこうした状況に危機感を抱いたのは、たんに医療チームやスタッフの身の安全を心配してのことではない。医療従事者やスタッフが感染すると、彼らが媒介になって感染拡大を誘発するからだ。
「彼ら医療従事者ですから、帰ると自分たちの病院で仕事するわけで、今度はそこからまた院内感染が広がってしまいかねない」
しかも、この船内のずさんな体制には明らかな原因があった。ダイヤモンド・プリンセスに感染症対策の専門家は常駐しておらず、何の知識もない厚労省の役人たちが統一したルールもないまま、いきあたりばったりでやっていただけだったのである。
「まさかここまでひどいとは思ってなくて、もうちょっとちゃんと専門家が入って専門家が責任を取って、リーダーシップを取って、ちゃんと感染対策についてのルールを決めて、やってるんだろうと思ったんですけど、まったくそんなことはないわけです。もうとんでもないことなわけです」
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