<政治とカネ考・残された課題>
◆自民幹事長が10億円もばらまいた
「5000万円 茂木敏充」「5000万円 麻生太郎」
自民党本部の2022年の政治資金収支報告書には、「政策活動費」と記された支出が4ページにわたって連なる。最も多い茂木幹事長は冒頭の5000万円以外にも20回以上の支出があり、計10億円弱。全体では党幹部ら15人に計14億円超が配られたことが分かる。
そんな大金を何に使ったのか。岸田文雄首相ら党幹部は、法律上、明らかにする義務はないとして「党に代わって党勢拡大や政策立案、調査研究を行うため」としか説明しない。政策活動費が「ブラックボックス」と呼ばれるゆえんだ。
◆「政治活動の自由」を盾に廃止を拒む
不透明なカネの象徴として、今回の政治資金規正法改正でも議論の焦点となった。立憲民主党などは廃止を求めたが、自民は「政治活動の自由」を盾に温存させた。一定の改善は図られたが、十分とは言い難い。
改正法では「組織活動費」「選挙関係費」などの大まかな項目別金額と支出年月を新たに政治資金収支報告書に記載することになった。だが、具体的な使途が見えない点は相変わらずで、野党からは「大きなブラックボックスを小さなブラックボックスにするだけ」と批判が相次ぐ。
◆「10年後公開」「第三者機関」検討だけ
改正法の付則には年間上限額の設定や領収書の10年後公開、使途を監査する第三者機関の設置が盛り込まれたが、いずれも検討項目にとどまる。仮に実現しても国民の監視は10年間届かず、公開後に問題が発覚しても、規正法の公訴時効5年を過ぎているため罪に問えない。
幹部から別の国会議員や地方議員に渡った場合、最終的に何に使ったか明らかになるかは未定。領収書の一部は黒塗りになって公開されない恐れがある。
もともと政策活動費は法律上の規定がなく、明確な定義もなかった。今回の法改正を「政策活動費を合法化する改悪」と批判する声もある。(井上峻輔)
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