MとAのミュージカル・ラン日記 ♪♪♪

音楽を聴きながら走る市民ランナーのブログです。ランと音楽以外のスポーツについても書きます。今は大谷翔平に夢中です!

日本サッカー、何がダメだったのか? その2

2014-07-02 | W杯ブラジル大会
代表の試合で本番はワールドカップだけ

 日本が去った後のW杯・決勝トーナメントの試合を観るにつけ思うのは、「W杯は違う」ということ。そして「予選3試合の日本のパフォーマンスでは決勝リーグに残ったどのチームより弱いのが明らか(残念だけど)」ということ。
 つまり、なるようにしてこの結果だったと納得できてしまうことだ。

 この4年間、強豪相手にアウェイでも--たとえばフランス、ベルギー、オランダ--勝利を、あるいは引き分けでもわれわれを興奮させる試合を見せてくれた。ホームではいきなりアルゼンチンを破った。
 でもそういうことはW杯で勝つこととはまったく別のことだったのだと気づいた。つまり、よくよく考えたらスポーツでは当たり前のことだが「練習と本番はまったく別物」ということ。
 ことサッカーについてだけは、われわれ日本人はなぜか「国際Aマッチもアウェイなら相手も本気だし真剣勝負なんだ」と思いこまされていたのではないか。3戦全敗だったけどコンフェデレーションカップでは「イタリアを追いこんだ」と報道されると「ここでもう一段レベルアップできればW杯もいい戦いができるかもしれない(コンフェデはW杯の前哨戦、各大陸代表が集う『本番』なんだから)」と思わされてしまった。
 でもそれは大きな間違いで、サッカーでは唯一、4年に一度しか開かれないワールドカップのみが(代表の)本番なのであった。ヨーロッパのチームにとっては欧州選手権も「本番」に近い存在感があるかもしれないが、日本にとってはアジアカップはそういうモチベーションは持ち得ない。

いつもどおりのサッカーでは勝てないのがW杯、か

 本番と練習の違い、と言ったときに2つの方向があると思う。
 1つは本番では実力以上の力が出る(ことがある。だから、すべてのコンディションをそれが出せるようにピーキングする)という上向きの方向。
 もう1つは逆で、大舞台故に緊張しすぎたり、油断したり、必要以上に相手を恐れたりして実力以下の力しか出せない(ことがある)という下向きのベクトル。
 そして、本番はいつだって目いっぱいの力を常に出し切ってやっとどうにか勝てるような戦いの連続なのだ。「W杯では弱いチ-ムなど1つもないし、楽なゲームなど一つもない」。しばしばそう語られるけれど、日本は心底そう実感して戦っていなかったように思える。
 決勝トーナメントに入って、たとえばドイツやブラジルがアルジェリアやメキシコを相手に勝つか負けるかギリギリの戦いを繰り広げ、延長まで行って--ブラジルなどはPK戦だ--ようやく勝ちをモノにする。日本人の(少なくともわたしの)感覚では、ドイツがアルジェリアにそこまで苦戦するなどという想像をあまりしない。端的に言えばアルジェリアより日本のほうが強いと舐めているのではないかと思う。
 たとえば、コスタリカ。今大会「死のグループ」で、あのオシムでさえ「唯一チャンスがない国がコスタリカだ」と語っていた。日本はまさに直前の強化試合でコスタリカとアメリカ(地理的にはアウェイに近い)で対戦し、負ける予感などみじんも感じない戦いぶりで3-1で快勝。選手は口々に「W杯で戦うチーム(コロンビア、ギリシャ、コートジヴォワール)はコスタリカより強いと思うから気を引き締めてもっとレベルアップしないといけない」と言っていた。
 コスタリカはその後半月で、本番のW杯でウルグアイ、イタリアを破り、イングランドにも引き分けられるほど急に強くなった、なんてことがあり得るだろうか? 

 ザックも選手もサポーターも、練習試合で勝っただけなのに本番でも相手は同じ力しか発揮できないし、自分たちは●●よりは強いんだから「普通にやれば」勝てるはずだと思いこんでしまったということだと思う。だから、ザックは3試合それぞれにスタメンを替えてきた。目いっぱいじゃなくて、温存とかそういうことをわずかでも考えていた気がする。
 スタメンを替えること自体が悪いわけではない。ただ、そのスタメンが今日本代表が持ってる目いっぱいの布陣じゃないと勝てないという危機感が足りなかった。一人ひとりの選手も同じじゃなかったろうか。
 相手が実力以上の力を発揮してきた時、それに対応できる準備が足りていなかった。だから自分たちのサッカーができなくなった。
 わたしも予選リーグ敗退直後は選手たち同様「いつも通りのサッカーさえできていればもう少し何とかなった」ということなんじゃないかと思っていた。
 でも今は違うと思う。いつも通りのサッカーのレベルでは「実力以上(いつも以上)の力を発揮してくるチームが多い--事実たくさんの番狂わせがあった--W杯で勝つことは相当難しい」と思うのだ。にもかかわらず、想定以上の力で向かってくる相手に対していつも通りのプレーさえするのが難しい状況になった。わずかにせよ、気持ちに油断があった。「相手はこのくらいだ」というような。

 「いつも通りのプレー」で勝てる相手は「いつも通りのプレーしかできない」練習試合なら勝てる相手にすぎない。それでは練習試合で勝てない相手に自分の力で勝つことは難しいうえに、「いつも以上のプレー」をしてきた相手に(たとえ練習試合では勝てたにせよ)も勝つことはむずかしい

日本人監督はその次か?

 いかにワールドカップだけが特別な大会=唯一の本番なのか、だからW杯で指揮を取った経験が重要だし、しかも実績があることが次の監督選びの肝であると思う。
 しかしながら、それだけが次期監督に望まれる資質ではない。
 本気で優勝を目指すなら日本人が監督を務める必要が絶対ある。これはワールドカップの過去の歴史が証明している。今大会もベスト16が出そろった。母国出身監督のチームが6、外国人監督のチームが2(コロンビア、コスタリカ)。とにかく優勝した国が外国人監督だったためしはない。ベスト4でさえヒディングが率いた日韓大会の韓国のみだ。
 2年で変わる可能性もあるだろうけど、一応4年後を見据えているわけで、ここで外国人監督を選ぶということは、次の2018ロシア大会の優勝は難しいと判断していると考えてよい
 この4年で、ザックが鍛え上げてきた日本らしさ(俊敏性、組織力)を生かした攻撃サッカーの形をさらに高め、フィジカルを鍛え、メンタルを鍛え上げるために、日本人監督では難しいプラスアルファをもたらすこと、それが新監督に期待される。
 そういう意味では今回技術委員長に37歳の若さで就任する宮本恒晴が優勝を狙う2022、2026あたりの代表監督となるのかもしれない。彼は頭もいいし、国際派だし、代表のキャプテンも務め、プレーヤーとしてもW杯出場を経験している。引退後も海外での正統なコーチ修行をしており、これ以上ない代表監督候補にはちがいない。


 まだ読んでないけれど、当然のNumber特集号。本日(7月2日)発売。さてどんなことが書いてあるのか。この表紙の写真はきついだろうなあ。

Number(ナンバー)コロンビア戦速報&ベスト16速報
文藝春秋
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日本サッカー、何がダメだったのか? その1

2014-07-02 | W杯ブラジル大会
ザッケロー二監督が離日

 内田と長谷部が見送りに駆けつけたそうで良かったと思う。すでに後任監督は(正式な発表はW杯終了後だそうだ)元メキシコ代表監督・前エスパニョール監督のメキシコ人・スペイン在住のアギーレ氏に決まったようだ。よく知らないが、ザックの年棒の2倍以上(150万ユーロ=ざっと2億5千万円前後)との報道もある。

 ザックが決まった4年前も、正直あまりよく知らなかったので、セリエAでミラン監督などを務めた人物とはいえ疑心暗鬼だった。が、ふたを開けてみれば実に立派な人物で、われわれにすばらしい4年間をプレゼントしてくれたと思う。ただし、「最後のW杯を除いて」というのが返す返すも残念だけど。

なぜアギーレ氏を選んだのか?

 代表監督の選考・交渉について、実質的に全権を握っているに近い(ように見える)原博実 日本サッカー協会専務理事兼技術委員長(強化担当)。 ザックを呼んできたのは素晴らしい仕事だったと思っているけど、今度もうまくいくかどうかはきちんと協会として見定めてほしいし、新たに技術委員長を引き継ぐ宮本にもきちんと評価してほしいと思う。

 今回人選の大きなポイントの1つは「W杯で指揮したことがある」「W杯のなんたるかを経験している」という部分にある。ザックの唯一の弱みがそこだった。クラブでは欧州の名門を率いてすばらしい成績を残してきたけれども、W杯にかかわったことが選手・指導者として1度もなかった。
 そして、結果からみれば、まさにその点がかけていたことが今回日本が予選リーグで敗退することになった唯一かつ最大の原因だと思う。

W杯経験監督である必要

 94年以来、高い関心を持ってW杯を観るのは今回で5回目になる。決勝トーナメントに進出したのは2002年と2010年。監督はトルシエと岡田さん。岡田監督は、もちろん98年フランス大会で指揮を執っているのでW杯は2度目だし、病気で倒れるまでチームを作ってきたのはオシムで、90年大会でユーゴスラビアをベスト8に導いている。トルシエはコートジボワール、ナイジェリア、ブルキナファソなどの代表監督を歴任。98年フランス大会では南アフリカ代表を率いて予選リーグを戦っている。日韓開催という地の利もあったけど、W杯経験もある監督だったのだ。
 予選敗退の98年、2006年、今回。98年は加茂周監督更迭後のサプライズでコーチから昇格した岡田監督。2006年は愛すべきジーコ。選手としてはもちろん経験があったが、監督としてW杯を戦うのは初めてだった(しかもジーコは天才型の選手、いわば長嶋タイプ。監督にはあまり向いてない気がする)。
 つまり、W杯で代表を指揮した経験の有無もまた--偶然かもしれないが--予選突破と合致している。
 
 メキシコは今回5大会連続予選突破で、アギーレ氏はそのうち2回の指揮を執っている。あえて言うと、メキシコの5大会連続決勝トーナメント進出はすばらしいけれど、それだけチャンスがありながら1度もベスト8以上に進んでいない国ということでもある。


>>>その2へ続く
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コロンビアはブラジルに勝つかもしれないな

2014-06-29 | W杯ブラジル大会
ブラジル薄氷の勝利。

 決勝トーナメント1回戦、ブラジル対チリは予想通り厳しい戦いになったようだ。「なったようだ」というのはあまりよく見ていないからだ。結果を知ってから、録画した試合を大幅に飛ばして見たので。
 ネイマールのPKが勝敗を分けた、というドラマ性以外このヒヤヒヤの見返りはあまりなさそうだ。

 コロンビアの--わけても司令塔ハメス・ロドリゲスの--各選手のスピードや切れ味の良い動きは今大会屈指だと思う(みんなそう思ってるだろうけど)。ブラジルも強いのは間違いないし、すべてのゲームがホームという強みはあるが、相当に難しい試合になるのは間違いない。
 わたしはコロンビアが勝つのではないかと思っている(そう思ってる人も多いとは思うけど)。

 どちらが勝つにせよ、次の準決勝はドイツと当たる可能性が(個人的な好みを言えばフランスが好きなんだけど)高い。事実上の決勝戦だな。

スアレスの噛みつきもまた楽しんでる人々はエライな

 噛みつかれたイタリアのキエッリーニ自身が、スアレスに対する厳罰に、むしろ擁護するようなコメントを発していて、この問題は「決してやってはいけない行為ではあるが十分すぎる罰を受けたんだし、本人も潔く処分に従って家に帰ったことだし、終わりにしよう」という感じで、多くのサッカーファンはそれもまたお祭に少なからずある馬鹿な行為で「楽しまなきゃ損損」とすっかりネタにして遊んでいる。
 帰国したスアレスも英雄のごとく迎えられたようだし、少なくともウルグアイ国民からはすでに赦されているようだ。それはきっと、今回のことではなくここまでのスアレスの国にもたらした勇気や誇り、忠誠心のなせる業なのだろう。
 ファンに手を振るスアレスの顔がまた無邪気な子供のごとく(まさしく良くも悪くも、だが)さわやかでりりしくさえある。



 わたしも実際にかまれるのはごめんだが、こういう選手が1人いると世界はより面白くなる気はする。
 実際みんな楽しんでる。
 スアレスには十分反省してもらいたいし、キエッリーニにはちゃんと謝るべきだと思うけど、子供の喧嘩みたいなもんだと思えば、サッカーという激しいプレーの応酬の中では、こんなに大袈裟にすべきことではないのかもしれない。「噛みつく」って行為がいささかセンセーショナルだっただけで。
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スアレス、あーあ。

2014-06-27 | W杯ブラジル大会
致命的な3度目

 またしてもやってしまったんだな。昨シーズンのプレミアでの「噛みつき」は知ってたけど、その前にもやっててこれで3度目とは。理解不能。言い訳のしようもない(言い訳してるようだけど)。
 きっと吸血鬼の末裔か噛みつき癖の治らない犬がご先祖だったのか。
 噛まれたほうはたまったもんではなく、9試合の代表戦出場停止はやむを得ない。

 残念だ。プレーはキレも決定力も何もかも兼ね備えたストライカーなのに。決勝Tに進出したとはいえスアレスなしのウルグアイがコロンビアに勝つのは難しい気がする。
 VTR見ると、目の前に差し出された骨付き肉にかぶりつくごとく自然に噛みついてるように見える。本能。あるいは条件反射。そこに肉があるのになぜ食わない? そんな感じ。プレー同様野生そのもの。スアレスにとってはゴールを狙うのと同じ嗅覚が働いたかに思えなくもない。

 ただ、しかし、ここは人間社会。ワールドカップもまたしかり。
 同じ失敗も2度目は許してもらえないこともないが、3度目はなかなか許してもらえないのが世の常だ。
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日本のW杯は終わってしまった。 日本対コロンビア 1-4

2014-06-25 | W杯ブラジル大会
悔しすぎる結末。ギリシャがロスタイムPKを決め、初の予選突破。

 日本もギリシャも自分たちが決勝リーグへ行くんだという思いを持って(もちろんコートジヴォワールもそうだったろう)戦った。ギリシャが勝ってくれたら日本はとにかく勝てばよかったし、日本が負けてくれればギリシャも得失点差に関係なく自分たちが決勝トーナメントに進出できる。
 結果として日本の思う壺ではなくて「ギリシャの思うつぼ」になってしまったのは悔しい。

試合の結果自体は惨敗

 今日の日本は、少なくともこれまでの2戦とは違い、コンディション的にも元気に見えたし、縦に素早く攻める意欲も見せたし、球際も激しく行っていた。距離感もぐっとよく引き締まった気がした。このペースで最後までもつか心配になった。そのくらい目いっぱいいっていたと思う。勝つしかないので、行くところまで行ってあとは3人の交代枠をうまく使う、そういうことだなと思った。

 先にPKで失点したのは痛かった。相手は8人も入れ替えてきたわけで、特に10番の若き司令塔ロドリゲスがいなかったのが戦力的にやや落ちているのは明らかで、長友が「彼には負けたくない」と言っていたフィオレンティナのクアドラードの突破以外あまり目立った印象がなかった。
 日本は前半で何としても先に得点し、さらに2点目、3点目を奪っていなくてはならなかった。前半終了間際のゴールは猛攻から一転ボールを奪った内田から縦一発で本田に繋ぎ、ピンポイントのクロスに岡崎らしい泥臭いヘッドが決まったもので、「こういうシンプルで強く正確な攻撃だよな、日本がやるべきは」と思った。いつもは喜びを爆発させる岡崎が全く笑ってなかったのが印象に残った。

 望みがつながったかに見えたが、後半ロドリゲスを含めた2人の交代で、あっという間に崩され、立て続けに失点。香川の惜しいシュートも何本かあったが、点に結びつかなかった。本来よりも幾分強引にいっていた印象で、欲しい連動、連携が足りないように見えた。

3戦を見て感じたこと。 

 まず、コンディショニングが1にも2にもよくなかったように思える。この3戦目は3試合の中では一番良かったけれど、1・2戦はまったくスピードがなく連携も悪く簡単にボールを奪われるシーンが目立った。動きにキレが感じられない選手が多かった。
 要因はいくつかあるだろう。ただ、この試合後のザックの会見でも「コロンビア戦の動きを見れば、なぜ1・2戦が動けなかったのかわからない」とも答えていて、そこの要因分析はJFAとしても大事な気がする。

 それに関連するけれど、香川、本田という攻撃の2枚看板が所属チームで不遇をかこっていたことで、W杯に向けて調子を上げられなかった--とりわけ実践部分での積み重ねができなかった--ことは大きいと思う。本田は調子は良くなかったと思うが、それでも一番動いていたし走っていた。これまで通り攻撃の起点にもなっていたしゴールもアシストも決めた。ただしスピードは(元々ないけどこれまで以上に)なかったけれど。
 香川は相手に研究されたせいなのかどうなのか、この大会で最も力を発揮できなかった。

 この試合に限って言えば、初登場にもかかわらず、青山の攻守にわたるしっかりしたプレーは光っていたと思う。こんないいんならなぜ1,2戦も使わなかったのかと思ってしまうほどだ。長谷部、内田も動きは良かった。
 個人的には遠藤が出ないまま終わったことが残念だが、なんといっても交代枠は3しかない。1枚目が1-2と勝ちこされてからの山口、2枚目が唯一得点を決めた岡崎に代えての柿谷。3枚目、1-3となって残り5分での清武は今大会出場機会のなかった若手の一人として未来へつなぐ意味が大きかったろう。

 3戦を通して、交代もふくめたザックの選手起用についてはやはり冷静な分析が必要かもしれない。もちろん、そこは監督の権限なので、そこをあーだこーだ言われては監督を務めようがない。それはわかったうえで、結果が出た以上、評価は評価できちっとしておかないと将来に生かせない。
 オシムもよく、「戦略を変えてくる相手に対して日本はフレキシブルな対応ができない」ということを日本の弱点に挙げている。その意味ではザックが言うように、タイプの異なる3チームに対してスタメンを変えて望むのは必ずしも悪いとはいえないだろう。結果が出てないので反論も難しくなってしまうが世界の戦いはそうであるかもしれない。事実、コロンビアも大幅にメンバーを替えて望んできた。
 それもこれも、やはり勝っているチームと負けているチームでは難しさが違ってくる。負けているチームは精神的にも追い詰められ悪い方へ悪い方へと回っていってしまうのはよく目にするところだ。

日本サッカーの目指すべき道

 「日本の攻撃サッカー」とは何かと考えると、コロンビア戦後大久保が話していたように、身体は小さいけど小回りが利き俊敏な動きの得意な日本人の--まるで優秀な忍者のような--特性を生かし、相対的に短い距離を保って連動するサッカーではないかと思う。
 そこをうまくやるには、どう相手を抜きシュートまで持っていくかという構想力というかビジョンがきっと重要になってくる。知性が必要だ。そうしたサッカーを体現して世界に認めさせたのは香川真司だろう。だから、日本の攻撃陣の核は香川であるべきだった。香川がどれだけ沢山点を取るか、アシストができるかにフォーカスしたチーム作りをすべきだった気はする。
 しかし、日本には本田がいて、本田の強力な個性と強靭なフィジカルは、日本のもう一つの強みである事は確かだった。香川自身もこのチームは本田が中心だと認めていたし、ザックのやり方を見ていても中心は本田だった。
 本田の凄さは認めながらも、本田自身もまず香川を生かすようなやりかたが--そしてそういう風に本田も変わってきた気もするのだが--ベストだったんじゃないかと思っている。
 今からでも遅くはない。4年後はそうあってほしいと思う。あるいは香川のような選手がもう1人2人現れて連動して攻撃できれば得点力は大幅に増す。スペインが早々に敗れたことで、パスサッカーの時代の終わりという論評も目につくが、日本とスペインでは距離感もリズムも違う。攻撃という点ではそこ以外進化しようもない。日本人が急に屈強になったり--本田のような選手があと2~3人いたらそれはそれで違うサッカーで勝ち進むことができるかもしれないが--ロッベンのようなスプリント力を身につける方向を目指すのは無理がある。

 誰もが言うように日本には日本のサッカーが必要で、他国の真似では優勝など目指しようがない。ここでも多様性こそが尊重されるべきだ。必ずいつか「その日」が訪れるはずだ。
 
 それから、今回について言えば大久保の起用方法には疑問が残った。大久保がいい選手でコンディションも調子の良さも維持していたことは間違いない。わたしも大久保が代表選ばれたときには「よしっ!」と思った。
 けれども、常時先発して使い続ける--つまり大久保頼りのような戦い方はちょっと想定外だった。大久保は役割としてはあくまで「ジョーカー」だったはずで、困った時に力を貸してくれる存在であるはずだった。主力として使うのならもっと早く代表に呼んでおくべきだったと思う。
 それもこれも、決定力のあるFWをいろいろ試した結果見つからずに大久保を選んだわけなので、つきつめると結局決定力があり、勢いがある若い攻撃選手が--たとえばコロンビアのロドリゲスのような--日本にはいなかったということに尽きるのだろう。

 いわば急きょ呼ばれたにもかかわらず大久保はよくやったと思う。コロンビア戦についても強化試合での青山-大久保のホットラインに言及するコメントは多く、事実大久保への期待はいやがうえにも高まってしまった。こういう部分がチーム全体の心理的なバランスに影響したところはありそうだ。もちろんそれは大久保が悪いわけではないし、彼の持ちこんだ闘争心にしろ、日本に足りないもので、貴重な戦力となったのは確かだ。あえて言えばうまく使えなかったのか、あるいはプラスできてなかったらもっとひどい--これ以上ひどい結果は想像できないけど--ことになっていたのかもしれない。
 サッカーにおいてもバランスが最後はとても重要だと思うが、どうすればバランスがとれるのか思い通りにチームを作り上げるというのは本当に難しいものなのだなあと思った。
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