■フルマラソンにフロックはない。
レースから1か月。今年もいびがわマラソンに参加することができました。微妙な言い方なのは
「歩かず走りぬいてゴール」がいつだって第一目標なのに今回もそれが叶わず、3度も歩いてしまったからです。走る前から覚悟はしてたのですが、その点については悔しいし、つまらないですね。ただ、
フルマラソンは特に「戦略」も重要なのでレベルに合わせた楽しみ方が可能で、名物ともいえる町ぐるみの親身な応援とともに、楽しく走らせてもらいました。
今年の自分のランについては、語るべきことはほぼ何もないです。
マラソンの楽しみ方は人によって千差万別でいいんですが、私にとってのマラソンレースの核心は「お祭り」とか「旅」とかではなくて、あくまでも練習してきた成果を確認し、自分の「今」を見つけるような作業なのです。
フルマラソンにはほぼほぼ「フロック」が入り込む余地がない。何でかといえばまず相手がいないスポーツであること。そういう意味では陸上競技はどれもそう言えるかもしれません。それから「的に当てる(ゴールに入れる)」ような競技ではないこと。サッカーやバスケや色々ありますね。ほかにも弓道とか射撃とかボーリングとかゴルフとか(私はゴルフがアスレチックな意味でのスポーツとは思っていませんが)。野球もある意味そういう要素が多いし、ラグビーのプレースキックもそう。こういう競技は「たまたま」入っちゃったとかありうるので、回数を重ねればちゃんとした練習を重ねた人にかなわないけど、1回の勝負ならジャイアントキリングもありうる。少なくともその可能性は高くなるでしょう。
話がそれましたが、だから練習しないでレースを走っても私個人としては面白みは大きく損なわれています。キチンと練習して、試行錯誤したり、あれこれ考えたりしたうえで走りたい。だから、それができなかった今回は、総じていえばあまり面白くなかった。結果にも見るべきものはすくなかった、ということになるのは必然です。
過去三か月の練習でノンストップで走った最長距離が13㎞あまり。最も長いのが8月の北海道マラソンのスタートから20㎞ほど。それなのにいきなりフルマラソン、歩かず走りとおせるはずもありません。
とはいえ、走ればそれなりに思うところや発見もあります。以下、思いつくままにメモっておこうと思います。今回も朝から雨が降り続きました。これで
4年連続雨開催。ゲストの西田ひかるさんは挨拶で「ただでも過酷ないびがわマラソン。そんな大会に参加する皆さんには雨もまた過酷さを増し望むところなのではないでしょうか(ってな趣旨だったような)」と言ってましたね。だから、もう写真も全く撮ってなくて(さすがにこんなのは初めてです)、ゴール後這う這うの体で退散しました。故に写真もなくてごめんなさい。ただ、雨の中、揖斐川沿いの紅葉は今年も美しかったですよ。どうしても、という方
いびがわマラソン公式HPでどうぞ。
□故障
10月に入ってから右足の甲と側面外側の痛みに悩まされ続け、治らないまま今回のレース。スタート前にロキソニン1錠をのんだ。レースだと大概の痛みはこれで抑えられる(もちろん限度というものがあるけど)。今回も違和感程度にとどまってくれたのだが、雨で道路の水たまりを踏んで走らねばならず、あっという間に靴の中まで水が浸透、加えて、やっぱり走りのバランスがおかしかったのだと思う、左足の小指と親指、指の付け根あたりの広範囲に比較的早い段階でまめができて、爪もどうにかなったようで終盤は足を引きずりながら走った。
レース中はあまり感じなかった右足の痛みだが、レース後(そして今も)痛みがぶり返してなかなか治らない。薬で抑えると往々にしてこうなるのかもしれない。
□30㎞まで
まあとにかく、直近ノンストップランが10㎞あまりという事実から、「歩かず完走」は至難の業となっていた。せいぜい20㎞かな、と心の中では思っていたが、ここは踏ん張って30㎞までノンストップで駆け抜けた。30㎞のスプリットは2時間57分35秒(5'55/㎞)。32㎞手前から、いつもつかまる長い2段坂があり、今の実力からしてここでいったん歩くのがベストだと少し前から考えていた。歩き始めて自分の生きの荒さにびっくりした。息を整えるのに思いのほか時間を要した。500mほど歩いて再び走り出したら脹脛をつりそうになり、本格的につらないよう用心しながら超スロージョグ。足がつらないように確認しながら坂を一歩一歩駆け上がる。坂自体は大して急というわけでもないのだ。ちゃんと余力を残しておけば克服できるとわかった。
□ハイタッチ
大会のシンボルともいえる子供たちとのハイタッチ。今年はまたさらにその長さが伸びたんじゃなかろうか。ゴールタイムへの意欲が希薄だったので、今年も積極的にハイタッチにいった。こんな雨の中、自分たちの意思とは思えないけど、子供たちなりに「せっかく来たんだし」と楽しんでるようでもあった。元気が出る。
日本の大会のあちこちで頑張ってるQちゃんとのハイタッチ。今年のQちゃんも元気だったけど、今回初めてハイタッチを一回もできなかった。というかコース上で一回もその姿を見なかったなあ。来年は、(リオオリンピックの関係で)いびがわ参加は難しい予感がすると本人がおっしゃてました。
□柿とオレンジ
エイドも充実してて、近年はスイーツエイドなる地元のお菓子も並べられていたりするけど、自分はなるべくエイドの食べ物には立ち寄らない。それでも本当に何か食べたいときには(あるいは気の迷いから)口にすることもある。これまで失敗したと思ったのは揖斐茶(熱くて飲むのが大変だった)と塩むすび(大きくて食べるのが大変だった)。私は食べ物を捨てるということができない(おばあちゃんの教え?)ので、しばらく持ってかじりながら走ったことがある。
今回は序盤でオレンジと間違えて柿を取ってしまい、しかも2個つかんだものだから困った。柿は走りながら食べるのはなかなか大変だった。なかなか呑み込めない。北海道マラソンで後半氷なしでは完走できない私だが、いびがわでは後半施設エイドでオレンジをいただくことが多い。相当元気がでる。今年もいただきました。
それから、なぜかよくわからないが、終盤はずっとのどの渇きを感じていた。給水はほぼ全部取ってたのだけれど。アミノバリューは気持ち悪くなりそうな気がしていて、水ばかり、しかもエイドごとに2つもらって、雨中なのに首なんかにも掛けていた。
□100人抜き
坂を上り切り、その後は下り、川べりに出てからは土手を走るフラットなコース。もう歩かないでいけるかな、行こう、行ってやる。そう思っていたのだが、35㎞すぎと38㎞あたりでも歩いてしまった。1度歩いてしまうと2度目は簡単だ。これはどんなことにも言える気がする。だからあきらめないことが肝心で、ゴリラ研究で有名な京大総長の山極寿一先生によれば、人間らしさとは「あきらめないこと」だそうで、この時点で人間らしさを失い、ゴリラ並みになったことを意味する。
どのレースでも、以前は、ラスト4㎞をスパートして駆け抜けるというのが自分のスタイルだった。だが、今の走力では4㎞はとても無理で、タイミングをうかがっていたのだが、ラスト3㎞、スパートといううにはいささかゆっくりではあるが、本人的には全力で走った。100人は抜いたと思う。いつもは300人くらいのイメージなのだけれど(数えたわけではない)。
□雨のレースの手袋は×
直前の練習で指先の冷たさが気になり、手袋をして走ったのだが、雨の時は意味がなかった(2014静岡マラソンの時にわかったはずなのに)。途中から水をたっぷり吸いこんだ手袋を絞ってポケットにしまって走ったが、ポケットに入れてても徐々に水をため込んでいき、絞ってはしまいを繰り返した。ポケットが重く邪魔なので、最後はショートパンツに挟んでいたのだが、どこかで片方落としてしまった。
また、スタートからゴールまでポンチョをかぶったまま走ったのもこの大会が初めて。
■感謝
とにかくリタイヤせず走れたことはよかったです。この大会の後にも世界では色んなことが--たとえば11月13日のパリの同時多発テロ--ありました。今の世界を見回すに、フルマラソンを走ることができることはそれだけで幸せなことといっていいんじゃないかと思います。しかも、こうして町ぐるみの応援ともてなしの下で楽しく走れて、最高でした。この大会でいつも気合のこもった応援をしてくれるお猿姿のしょくにんさん。今年もありがとうございました。この大会にかかわった皆さんに感謝します。ありがとうございました。
また来年も参加できますように。そろそろ晴れるといいですね。