1つはピッチを上げること。つまり、足の回転を速くする。身体が小さくて足が短い日本人向き。いわゆるピッチ走法。Qちゃんのピッチは1分間に200を越えていた。自分がどのくらいか計ってみるとわかるけど、200というのは「目にも止まらないくらいの速さ」と表現したいくらいのもんである(実際にはもちろん見えるけど)
2つ目は、ストライドを伸ばすことだ。同じヒピッチなら歩幅が広い方が、先にゴールに到達できるのは誰にだってわかる。
ピッチというのは、これまたやってみればわかるけど、鍛えて上げるというのはかなり難しい。といっても、レースなどでスピードが上がると、自然にストライドもピッチも上がるので、単純な話、スピード練習をするとか、実際スピードがつけばピッチはいくらかは上がるのだとは思う。
だから、手早くスピードを上げるコツは「ストライド」のほうにあると思う。根拠もある。エリートスピードランナーと市民ランナーの大きな違いはストライドだからだ。ピッチはトップランナーに近づけることができるが(あるいは大した差がない)、ストライドはとてつもなく差があって、それはまさに身体全体の筋力がないと(柔軟性も少しは必要かもしれないが走ることについてだけ言えば、そのメカニズムから言ってかならずしも重要かどうか難しいところはあるかもしれない。故障しないためには柔軟性は重要だけど)伸ばせないからでもある。
筋力とともにフォームが重要だとは気づいていた。いくつか重要なポイントがあると思ってるけど、その1つが地面を蹴った後の踵の引き上げだった。「Born to Run」の中にもこの点についての記述がある。「走るのはすっくりでもいいけど、踵をしっかり上げること」とても大事なポイントである。これも、エリートランナーを見ればすぐわかる。自分の影を見て走ることがたまにあるけど、全然上がっていない。
ただ、意識はするんだけど、踵の引き上げをするのは実際には簡単ではない。自分でちゃんとできてるかわかりにくいのだ。
今回、いつものようにトイレでパラパラと本を読んでいた。金さんのランニング本。何度も読んでるはずなのに、ある一節を呼んで、ハッとひらめいた。目からうろことはこのことだ。
ストライドを伸ばすのは簡単で、強く踏み込むことを意識すればいいんです(だいたいそんな意味)。
早速実践してみたんだけど、ストライドが伸びたかどうかは、今使ってるガーミンでは計れないので定かではないが、スピードが上がったということは証明できた。坂道を登るときの極意として、同じように「強く踏み込む」ことが有効とされている。水平ではなく幾分垂直方向への推進力を地面からの反発によって得るためだけれど、水平方向への推進力も原理的には同じなのは理の当然で、何でそんなことに気づかなかったのか、わかってみれば不思議なくらいだ。
ただし、これを繰り返すには、やっぱり脚力を筆頭にインナーマッスルなど全身の筋力アップが必要なはずで、一長一短ではその走りを維持できないに違いない。でも、「強く踏み込む」というのは分かりやすいから、フォーム改善に取り組みやすいのは確かだと思う。
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