「カラマツの下の花畑」・・・・♪

軽井沢での子供時代に作った落葉松の下の花畑ーー心は今も~!「草花」「99歳の軽井沢物語」「葛西スケッチブック」ほか。  

母からのリクエスト

2006-07-07 | 99歳Umeさんの軽井沢物語

 



昨日6日、母のいるS市の老人病院へ行きました。
部屋の中で母は気持ちよさそうにベッドで横になっていました。
今日は入浴の日で、先ほど、終わったところのようでした。
いままで、病院で、こんなに健やかな顔をした母を見たのは初めてです。
入浴は3日に一度あるそうです。これから蒸し暑くなるので、
この時間は何にもまして”至福のとき”となることでしょう。
「来てくれたの」
起き上がろうとするのを引きとめて、
しばらくは横になってもらったたままでのお話です。

病院の食事はいろいろバランスよく考えられているようですが、
味覚の衰えた母には、味は無いに等しく、
醤油や、漬物、佃煮なしには食べられないのです。
一応禁止されてはいても、ついつい所望に応じて持っていくことになります。

手紙で届いた<母からのリクエスト>
うちわ、うがい薬、
焼きそば、かき揚げ、アジフライ、
ラッキョウの瓶詰め、塩辛瓶詰め、
ポテトチップス、目刺しの焼いたもの、
(間に合うものだけでいいです。―--との、ことわり付き。)

食べ物は、ほとんどがしょっぱいものばかり。
でも、リクエストがあるのは、生命力の有る証拠。
病院では出ない、季節の果物・佐藤錦を持っていくと、
「瑞々しくておいしいねえ」
と、食べながら頬がゆるみました。
貧弱な生活の質を曝すようですが、敢えて書いておきます。

5Fの食堂へ上り、持っていった焼きそばと太巻き寿司でお昼にしました。
焼きそばは味がしっかりしているせいか、ちゃんと食べているので、
「よかったねえ。食が進んで」
と言うと、
「来てくれたから、それだけで、食べられるの」
と、一本取られました。

そして極めつけは――、せっかくだから、良くお世話になっていた姪のUさんにも、
葉書を出そうと誘うと、字に力はないものの、どうにか書き上げました。

「今日は、珍しくN子がきてくれました。~~」
――チョットオー、お母さん。”珍しく~”って、 いつも、みんな交代で来ているじゃないのよ。

でも、ごめんね。前に妹が行ったときから、忙しくて10日以上も空けてしまっている。
母には、毎日が待ちの日々であったのでしょう。それは確かに、
「珍しく」に違いなく・・・。
頭の中で、「珍しく」が、哀しい響きを立てて転がります。

 
母は、補給ができたので、
「これで当分大丈夫」
と、ニコッとしました。

  

コメント (2)
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