中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

維吾爾(ウィグル)族

2007-01-07 10:41:28 | 中国のこと
 中国本土には22の省、4直轄市(北京、上海、天津、重慶)と5自治区があり、西北端にある新疆ウィグル自治区が最大の行政区画である。

 雄鶏の形をした中国の尾に当たるところが新疆で、新疆の北の突出した所には、北部にアルタイ山脈、その南にジュンガル盆地(コルバントングト沙漠)、さらにその南には天山山脈がある。新疆の中央部から南部にかけては広大なタリム盆地(タクマラカン沙漠)が占めている。区都のウルムチは、この地図の「新疆」という文字の上の辺りにある。

 

の文字の偏の「弓」は新疆の国境線を表していて、「弓」の中の「土」は国境を守る人(「士」ならわかりやすいが)。旁の一番上の「一」はアルタイ山脈、その下の「田」はジュンガル盆地、中央の「一」は天山山脈、その下の「田」はタリム盆地、一番下の「一」は崑崙山脈を表していると、これはガイドの趙戈莉の話だが、こじつけにしてもうまくできている。

 この自治区で最も多いのがウィグル族で約48%を占めている。ウィグル族はトルコ系の民族だから中央アジア系の民族の目鼻立ちをしていて、区都のウルムチなどではイスラム教の雰囲気もあって、これでも中国なのかと思うくらいである。驚くようなエキゾチックな美女を見かけることもよくあるし、男性は髭を蓄えているのが普通だから漢族とはまったく違っている。



 ウィグル語は日常的に使われ、幼児の時には家庭ではウィグル語で話しているので、中国語(普通話)を話せるようになるのは学校に行ってからのようだ。老人達の中には中国語を話せない者もかなりいるらしい。文字はウィグル語を表音化したアラビア文字を使っていて、たとえば「新疆ウィグル自治区」はشىنجاڭ ئۇيغۇر ئاپتونوم رايونىのようになり、官公庁や企業の表示や道路標識などすべてに漢字とアラビア文字とが併記されている。

新華書店。中国各地にある。


 イスラム教を信奉しているから、豚肉は食べないで羊肉を常食する。ガイドの趙戈莉によると「豚」と言ってもいけないということだから戒律は厳しいようで、酒も飲まずタバコも吸わない。

ウルムチのバザールでの羊肉の店。


 夕方の路上でのナン売り。竈で焼いた円盤状のパンのナンを主食にする。ウルムチの空港でも売っていたので買って帰ったが、なかなか旨いものである。


 現地で買った冊子によると、ウィグル人は「客好き、礼儀正しい、目上を敬い目下を愛する、明るい」とあり、親しみやすい民族であることが分かる。ウルムチの南東120キロほどのところにあるトゥルファンで、夕食後散歩に出た時のこと、孫らしい男の子を連れた婦人が前を歩いていたが、その子どもがいかにも愛らしい様子なので追い越してから笑いかけると、その女性が何か言った。趙戈莉によると「お爺ちゃんにこんにちはと言いなさい」と言ったらしい。何でもないことなのだが、何かしらほのぼのとして気持ちにさせられたものだった。

 5世紀末から7世紀半ばにかけて存在した高昌国の廃墟である高昌故城で出会った少女達も親しみやすくて愛嬌があった。インスタントカメラで撮って渡してやると、とても喜んで「プレゼント」と言いながら石榴や葡萄、玉(ぎょく)のアクセサリーなどをくれ、そこを離れる時には車に寄ってきて「さよなら。また来てください」と言いながら手を振って見送ってくれた。どうやって覚えたのか、滑らかな日本語なので驚いたが、年少であってもウィグル人の気質がよく表れているのだろうと、この短い交流はとても印象に残った。



  玉のアクセサリーは鶏をかたどったもので、私の干支だから中国に行く時に持っていくバッグにはいつも付けて大切にしている。