中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

孤食

2008-11-03 09:32:57 | 身辺雑記
 独り住まいだから、食事も当然独りでする。これは侘しいものだ。家でする場合には大して味わうこともなく、そそくさと済ませてしまう。晩酌でもしたら少しはゆっくりするのだろうが、あいにくアルコールには弱いから、その習慣もない。

 夕食を外でとることは、卒業生や知人と一緒でもない限りめったにしない。たいていは昼食だが、外で食べる場合には家でするよりも比較的ゆっくりする。そんな時には前の席に妻がいたらと思うことがよくある。妻とはそれほど一緒に外食をしたことはないが、それでもいろいろ話をしながら食べるのは楽しかった。外食でなくても家で夕食をとる時などは、遅く帰って一人で食べる場合でも、妻はいつもそばに座って、あれこれ話し相手になってくれた。妻はおっとりとした性格で声も低かったから、何かしら心が休まった。

 外の店で食べると概して人の出入りが多くて落ち着かないこともあるが、最近ちょっと気に入った店を見つけた。喫茶も食事もできる店で近所にあるのだが、これまではあまり入ったことはなく、食事をしたことはなかった。初めて定食を注文したが味もよく、小鉢など細かいところまで気配りがあって好ましい。女性が1人でやっているから注文して出されるまでに少し時間がかかるが、店の中は静かで落ち着いた雰囲気なので、ゆっくりした気分で待つことができる。スローフードなのだが、気分がゆったりしてなかなか良いものだと思った。これに比べると時々入るファーストフードの店は鶏小屋のような喧騒の中で餌を食べているようなもので、情緒も何もあったものではない。

 食事の後でコーヒーを注文すると、豆を挽きサイフォンで淹れるから、これも少し時間がかかる。コーヒーは他の店よりもやや高いが味は良い。飲み終わっても、あれこれ考え事をしながらしばらくはゆっくりする。やはり妻が前にいればと考えもしたが、落ち着いた時間の中にいると、侘しさを感じることもない。ここには時々来ようかなと考えた。