中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

報復

2008-11-14 11:20:10 | 身辺雑記
 「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」という政府の有識者会議があるようだが、この会の座長のトヨタ自動車の奥田碩相談役が、会議の最後に年金問題などでの厚労省への批判報道についてメディアを批判したそうだ。

 「特にテレビがですね。朝から晩まで、名前を言うとまずいから言わないけれど、2、3人のやつが出てきて、年金の話とか厚労省に関する問題についてわんわんやっている」と言い、「あれだけ厚労省がたたかれるのはちょっと異常。何か報復でもしてやろうか。例えばスポンサーにならないとかね」と発言したという。

 この発言に対して委員の一人から「マスコミは批判するために存在している。スポンサーを降りるというのは言い過ぎだ」という発言があったが、「(マスコミの)編集権に経営者は介入できないといわれるが、本当はやり方がある」と収まらなかったようだ。

 厚労省についてはずさんな年金処理などで批判は強く、メディアで多くの報道がされたのは事実だ。奥田氏が取り上げたのは、その場で「正直言ってああいう番組のテレビに出さないですよ。特に大企業は。ああいう番組に出てくるスポンサーは大きな会社じゃない。いわゆる地方の小中」と言っているから、おそらくワイドショウの類だろうが、私はほとんど見たことはないから、朝から晩までわんわんやっていたかどうは知らない。この人は朝から晩までよく見ているようで、大企業の相談役ともなるとよほど暇なのだろうか。年金問題は国民にとっては切実で大きな問題だ。メディアが大きく取り上げて報道し、意見を述べるのは当然のことだ。それに対してまた批判意見を持つのも自由だろう。

 しかし、テレビの番組の内容が気に食わないからと言って「報復」にスポンサーを降りるなどと言うのは思い上がった暴言だと思う。確かに民放テレビはスポンサーがなくては成り立たない。それを逆手にとって脅しとも取れるような言い方をするのは大企業の横暴ではないか。「ああいう番組」が気に食わないようだが、それのスポンサーは「いわゆる地方の小中」と言うのも大企業の思い上がりだ。そのような番組に報復してスポンサーを降りると言うことは、その地方の小中企業に圧力をかけて降りさせることなのか。それともそのような番組を出しているテレビ会社の番組から、トヨタなどの大企業はスポンサーを降りると言うことか。それが「マスコミの編集権に介入するやり方」と言うことか。

 「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」は年金記録や薬害肝炎などの不祥事を受けて福田政権の時に官邸に設置されたものだそうだ。その役割はもちろん厚労省のあり方について客観的に検討して首相に報告することで、いたずらに厚労省の肩を持つことではあるまい。それが座長の立場にある者がこのような発言をするのは呆れる。時折見られることだが、どうも財界の大物とされる者の中には、自分が権力者になったかのような錯覚に陥っているのではないかと思うような発言や振る舞いがあるのは不愉快である。