先ごろ今年度の後期高齢者健康検査を受検したが、結果は今回も異常は認められなったので、一応一安心した。検査の中には癌に関するものが3つあり、肺癌はX線撮影、大腸癌は採便、前立腺癌は採尿で検査する。年齢だけに前立腺癌は少し気になっていた。
前立腺癌は、わが国ではもっとも罹患率の増加率が高い癌と言われている。2020年には肺癌に次いで男性の癌の2位になり、2020年の前立腺癌死亡率は2000年の2.8倍になると予想されている。
前立腺は男性のみに存在する生殖器官で、膀胱の真下にあり、尿道を取り囲み精嚢に接している。その役割はまだ解明されていない部分が多いらしいが、主な働きに前立腺液の分泌があり、精液の成分の約3割を占める。
前立腺がんによる死亡を防ぐ有効な方法はPSA(前立腺特異抗原)検診である。最近ヨーロッパではこの検査を受けた集団は受けなかった集団と比べ、前立腺癌による死亡率が半減したことが報告されているそうだ。50歳以降に発症する場合が多く、その割合は年を追うごとに増加するので、50代になれば簡単にできる検査だから、受けたほうがいい。癌の中では治癒率は比較的高い方であるとされているから、早期発見するに越したことはない。
PSA値(ng/ml)と前立腺癌の可能性との関係については次のような資料がある。
PSA値と前立腺癌の発見率(松田公志,関西医科大学泌尿器科)一部改変 |
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PSA値(ng/ml) |
前立腺癌の可能性 |
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前立腺癌の発見率 |
4.0以下 |
●可能性は低い |
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4.1~10.0 |
●灰色領域 |
4.1~10.0 |
20% |
10.1以上 |
●疑わしい |
10.0~20.0 |
30% |
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20.0以上 |
75% |
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PSA値は,40歳代では2.5ng/ml以下,70歳代では6.5ng/ml以下というように年齢で修正した値を用いるべきだという意見もあります. |
今回の検査での私の値は1.1だった。
最近米国のハーバード大学などのチームが喫煙者は非喫煙者に比べて、前立腺癌で死亡する危険性が61%高いとの研究結果を発表したという。1986~2006年に前立腺癌と診断された約5400人を追跡し、死因と喫煙との関係を分析した結果、診断時にたばこを吸っていた人は、吸ったことのない人に比べ、前立腺癌による死亡のリスクと、治療後の再発リスクが、ともに61%高かったそうだ。また、10年以上の禁煙で、危険性は非喫煙者と同程度に下がるとも言っている。
一方では同じハーバード大学の研究チームが、コーヒーを多く飲む男性は前立腺癌になる危険性が低いとの調査結果を発表している。特に悪性度の高い癌の予防効果が顕著だと言う。チームによると、登録した男性約4万8千人を20年間追跡したところ、約5千人が前立腺癌を発症した。これをコーヒー摂取量との関係で見ると、1日に6杯以上飲む人は飲まない人に比べ、前立腺癌発症の危険性が18%低く、中でも進行が早かったり転移したりする悪性度の高い前立腺癌は60%も低かったそうだ。
Hg君もHr君もヘビースモーカーの部類に入る。2人ともコーヒーは好きなようで、とくにHr君は毎日かなり飲むようだが、さて喫煙とコーヒーとのせめぎ合いはどうなるか。多分受検しているとは思うが、PSA検査は怠らないほうがいい。
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