卒業生の I 君の店(男性物衣類)の裏隣は鞄や旅行用のキャリーケ-スなどを売っている店で、今「改装閉店バーゲンセール」をやっている。このことで I 君はもう1ヶ月近くセールをしているが、いつまでやるつもりですかねと笑って言った。バーゲンセールならせいぜい10日か長くても半月くらいだろうが事情があるのだろう。
話のついでに I 君は、以前面白いテレビを見たと言った。街で見かけた面白い看板を特集したものらしいが、その中に大阪のある靴屋の看板に「もうあきまへん。閉店します」とあったそうだ。「もうあきまへん」というのがいかにも大阪らしくて可笑しいのだが、その看板は20年も前から掲げてあって、今では2代目が後を継いでいるとのことだからなお可笑しい。20年以上も「あきまへん」の状態が続いていたのか、何とか持ち直したが看板のほうは忘れてしまったのか、意図的に残しているのか、とぼけた話で、聞いて笑ってしまった。この看板を見る人はもう慣れっこになってしまって、「あほかいな」と笑っているのかも知れない。事情を知らない人は、今が「もうあきまへん」の状態で、閉店バーゲンセールでもするのかと期待するかも知れない。そのあたりを狙った店のしたたかな計算があるのかとも勘ぐってしまう。
大阪人というものは一筋縄ではいかないしぶとさがあると聞いたことがあるし、何でも笑いのめしてしまう面もあるようだ。少々軽薄なところもあるとも言われる。この看板などはさしづめそのような大阪人の気質を表わしているのかも知れない。