西安の旅行社に勤める李真にチャットしたら、先日手配したツアーの客のクレームの対応をしていた。このツアーは西安を観光してから北京に向かったが、料理がまずかったというクレームだそうだ。西安では徳発長という餃子の老舗、北京では北京ダックで有名な、これも老舗の全聚徳、どちらにもまずかったとクレームが出たそうだ。
私もかつて徳発長にも全聚徳にも行ったことがあるが、まずいなどとは思わなかった。徳発長の餃子はさまざまな形のものが出される餃子宴が有名だが、クレームをつけた者は日本で普通の焼き餃子と比較したのか。中国には焼き餃子はほとんどなく、茹で餃子か蒸し餃子が普通だ。全聚徳の北京ダックはさすがと思わせる旨いものだったが、クレームをつけた者は鳥嫌いだったのか、あれがまずいとはどうも分からない。期待したほどには美味しいとは思わなかったということか。
人によって食べ物の好き嫌いはあるし、料理には口に合うものも合わないものもある。私は好き嫌いがないから何でも食べる方だが、それでも特に旨いとは思えないものもある。私の周辺にもいたが、口に合わないと「まずい」と言うのだが、それを聞くと嫌な感じがする。グルメでもあるまいし、口に合わなかったら黙っていればいいのに、それをクレームにするというのはどうかと思う。ある知人は、店で食べたうどんの汁が不味いと従業員にクレームをつけたらしいが、私にはインスタントうどんのほうが美味しいと言ったから、これは味が分からないということだろう。
このツアー団体は、謝俊麗が西安でガイドしたようだが、聞いてみると15人の団体で、その内11人が女性で、俊麗に言わせると威張っているのが多かったようだ。料理以外でも、トイレにはウオッシュレットがないのはどうしてか、日本には全部付いていると言ったようだ。知ったかぶりのいい加減なことを言うものだ。日本でも全部がウオッシュレットとなっているわけではない。現に私が住む市の公共施設にでもウオッシュレット式になっているのは多くない。まして日本全体では普及していないほうが多いだろう。この団体は近畿地方のある県の小都市から来たようだが、多分中国人の謝俊麗に「やっぱり中国は遅れている」、「日本は進んでいるのだよ」と言いたかったのだろうが、何か「井の中の蛙」という感じもする。俊麗はあまり良い印象を持たなかったようだ。
李真はクレームに対して返金することになるだろう、利益はあまりないと言った。私はそんなことは必要ないだろうと言ったが、旅行社は弱い立場なのだそうだ。こういうクレームがあると、ツアーを募集した日本の旅行社は嵩にかかったように対処することを要求してくることが多いようだ。どうせ格安のツアーで、それでなくても現地の旅行社は受け容れに四苦八苦するのに、わがままとも思えるクレームに対処しなければならないとは気の毒に思う。返金などしたら中国ではクレームを付けたらいいという、悪い思い込みをする者が出てくるのではないか。