パウル・クレー展― おわらないアトリエ
PAUL KLEE: Art in the Making 1883-1940
阪急河原町駅からぷらぷら歩いて京都国立近代美術館へ。
一番好きやな~って思った作品は、題名覚えてないけど「油彩転写」で描かれた物で展示されていた原画ではなく、それの別バージョンの写真だった。
「油彩転写」とは、クレーが独自に生み出した技法で、鉛筆やインクで描いた素描を、黒い油絵の具を塗った紙の上に置き、描線を針でなぞって転写した後、 水彩絵の具で着彩するという技法。
だから、全く同じ(完全コピー)って物はないけれど基本的な構成はそのままに、ラインは手描きなので微妙なズレや、空白部分もよごれが味になり、着彩を変えて別バージョンが作れるのね。
観終わって1階のミュージアムショップでは図録や関連商品が並べられていたのですが、ふと手に取った一冊の本。
クレーの天使の絵に谷川俊太郎さんが詩をつけたもののに心惹かれた。
「忘れっぽい天使」
くりかえすこと
くりかえしくりかえすこと
そこにあらわれてくるものにささえられ
きえさってゆくものにいらだって
いきてきた
わすれっぽいてんしがともだち
かれはほほえみながら うらぎり
すぐかぜにきえてしまううたで
なぐさめる
ああ そうだったのか と
すべてがふにおちて
しんでゆくことができるだろうか
さわやかなあきらめのうちに
あるはれたあさ
ありたちはきぜわしくゆききし
かなたのうみで いるかどもははねまわる
ああ そうだったのか と
すべてがふにおちて
しんでゆくことができ たらいいなぁ
今、理解出来ず思い悩んでいる事柄も全てが腑に落ちる事ができれば…
乗り越えて行けるだろう。