嬉(うれ)しさは 正午の時報 聞いてすぐ 陛下のお言葉 耳にするとき
日本武道館で全国戦没者追悼式が行われました。
テレビの画面に映ります。
「会場の皆さまご起立願います」、
「正午の時報を合図に、戦没者に黙とうをささげます」。
プッ、プッ、プ~。
正午です。
天皇皇后両陛下と会場の皆さまは、静かに黙とうをされます。
静かな時が過ぎていきます。
黙とうが終わったすぐ後に、
「天皇陛下からお言葉を賜ります」の案内です。
天皇陛下のお言葉には、
「国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられました」、
「世界の平和と、我が国の一層の発展を祈ります」と述べられました。
国民とともにありたいとされるお心と、
平和を願うお気持ちが聞くものに響きます。
69年前の正午です。
NHKの正午の時報、プッ、プッ、プ~。
「只今より重大なる放送があります。全国聴取者の皆様御起立願います」の後、
「天皇陛下におかれましては、全国民に対し、
畏くも御自ら大詔を宣らせ給う事になりました。これより謹みて玉音をお送り申します」とアナウンサーが伝えます。
そのあと、君が代が流されました。
そして、昭和天皇の詔書がレコード盤より玉音放送されたのです。
「大東亜戦争終結ニ関スル詔書」も含めて815文字からなる詔書には、終戦に至る切々たる言葉が並びます。
最後の件(くだり)です。
《忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ》
「私は今後も諸君の忠誠を信頼し、常に国民とともにあるつもりである」、
《擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ》
「これからは国をあげて、子孫を残し、日本が決して滅びないという確信を持たねばならない」、
《道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ》
「人道と正義を重んじ、強固な精神を保たねばならない。そうすれば日本の誇りを高く掲げつつ、世界の進歩について行くことができるであろう」、
《爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ》
「どうか私の願いを実現してもらいたいと思う」、
同じ正午に聞く言葉です。
聞く者は、今も69年前も等しく同じ感動を受けたでしょうね。