ブクログより
第二次世界大戦中、ユダヤ人であるがゆえにアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所に送られた少女 ディタ・クラウス(1929年プラハ生まれ)の実話をもとに書かれた。
わずか9歳で送られたその収容所は特殊であると思われる。 教育も本も禁止されていたその場所に、青少年のリーダーによって学校のようなものが作られている。
その学校の図書館係を務めていたのがディダ。 たった8冊だけを所蔵する図書館、貸出、回収、修繕、すべてナチスに見つからないように秘密裏に最善の注意を払って、または危険を冒して行われた。
家畜小屋のようなノミやシラミが飛び交いまた伝染病が蔓延している住居、食事は水っぽいスープとひとかけらの固いパンというような劣悪な環境の中で、ディタは日々死の影におびえながらそれらの本を慈しむ。
やがて右と左に仕分けされてディタは次の収容所に送られる(送られなかった人たちはそこで終わり・・・)そこでは学校の存続もむつかしく、リーダーもいなくなり、読み進めるのもつらいようなさらなる壮絶な毎日が始まる。以前の収容所がまるで平和に感じられる。こんなことがいつまで続くの?終わりはあるの?と祈るような気持ちで読み進める・・・
まさに奇跡のような物語、作者はスペイン人、綿密な取材によって書かれている。
アウシュビッツの図書係 / アントニオ・G・イトゥルベ