今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

アーモンド

2023年01月30日 | 「本」のひきだし

ブクログより


人間の頭には扁桃体という部位があり、その形が似ているところからアーモンドとも呼ばれている。その働きは主に人間の感情をつかさどる。

幼少期より他の人より扁桃体が小さく、怒りや恐怖などを感じられないユンジュ。
感情がわからない息子に母親は、「喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲」を感情ではなく頭で覚えさせようと、苦心してきた。

例えば、自分に向かってくるものは横に除けること、人と話すときは相手と同じ顔をすることなど、身の危険からの回避と対人に関して根気よく教えていた。

そんな彼の16歳の誕生日、クリスマスイブの夜、母親とおばあちゃんと3人で食事をして帰る途中、凶器を持った通り魔に襲われ、おばあちゃんは亡くなり母親は意識不明になってしまう。何の感情も持てないユンジュの目の前で。

支えを亡くしたユンジュは、途方に暮れることもなく学校と家業の古本屋を守り、淡々とした毎日を過ごす。
淡々としているのは感情を持たないユンジュだけで、その周りはめまぐるしく変化し、怒涛の渦の中に放り込まれるのだが。

そんな中で出会ったゴニという少年、ドラという少女、いくつかの出会いがあり、その出会いが最悪のものであったとしても、いつしかユンジュも気が付かないうちに、ある感情が芽生え始める。

この話は作者が出産を経験して、その時は何の感動もなかったけれど、何日かたった時、ベッドでもぞもぞ動く赤ちゃんに感動してしまって、こういう話を思いついたと、あとがきにあった。

望まれて産まれてあふれんばかりの愛を受けて育ててもらって大きくなる、そんな当たり前のことがしてもらえない子供たちもいるこの世の中、全ての子供たちが愛に包まれていたら。

久々に心にしみる1冊でした。


アーモンド / ソン・ウォンピヨン

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目当ての雪はなく穏やかな近江 湖の辺の道

2023年01月25日 | 「山」のひきだし
久しぶりに本当に久しぶりに山の会に参加してきました。
かれこれ一年ぶりくらい? 行先はこの時期雪山を期待して、滋賀の湖北、山本山です。
賤ケ岳から続ている稜線上にあります。
まず木之本町の赤尾地区に置車をして、湖北町の朝日地区から歩きます。
朝日小学校裏、朝日神社の横の階段から登ります。

朝から天気は良くて、冬の湖北地方とは思えない気温です。
冬というより、春山みたい、休憩の衣服調整で半袖になる人もいて・・・雪どころではないです。


山本山頂上。山本山城跡。


城跡らしくひらけています。




三角点。


竹生島が見える

ここからはずっと左に見え隠れする琵琶湖を見ながら、歩きやすい登山道。トンネルの上を過ぎると古墳の看板が出てきます。
古保利古墳群と言って、私たちは古墳の上を歩いているのかな?
その途中に「西野水道」という遺跡の上も通ります。
度々の川の反乱に耐えかねて、江戸時代手掘りで掘られた放水路です。ようするに山の岩を掘って、山の向こう側の琵琶湖に水を逃がすための用水路で、現在も歩いて通れるようになっていて、心霊スポットとしてもちょっと有名なところです。

そこも過ぎ徐々に標高を下げ、琵琶湖を向いて歩いていきます。


するとこんなところに神社! 有漏(うろ)神社です。
謂れは知りません。こんなところまでお世話する人がいるのか、お正月飾りがしてありました。


階段を降り鳥居の向こうは


琵琶湖です。対岸には白い山も見えますが何とも穏やかです。


琵琶湖を眺めながらランチ。

帰りはまた登り返して、P360手前を右折、道なき道を歩き赤尾地区に降りました。


全行程雪のゆの字もありませんでしたが、病み上がりの私には良かったかと思います。
季節外れの汗かき山歩きでした。


2023年1月12日(木)晴れ

朝日地区~山本山~有漏神社~赤尾地区




早くから脅すかのような大寒波の予報通り、今朝は大雪でした。20㎝くらい積雪。
水道の凍結なども注意、なんて外の水道の話、と思っていたらまさか、台所の水道が出ない・・・こんなことはじめてです。
電車は軒並み運休で、小学校も休み。大人は部屋で籠っているけれど、子供は歓声を上げて雪遊び。
雪は嫌いではないけれど・・・


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流人道中記 上・下

2023年01月22日 | 「本」のひきだし

ブクログより

久々の浅田次郎さんです。
まずはあらすじから、
時は万延元年(1860年)、姦通の罪により切腹を言い渡された旗本・青山玄蕃、駄々をこねて突っぱねた結果、青山家の所領召し上げ、お家取りつぶしを言い渡され、本人は蝦夷松前藩への流罪判決が下った。
押送人に選ばれたのは、おとなしくしていたらもうすぐ円満退職ができようという最古参の同心、弥五と19歳の見習い与力・石川乙次郎の二人。が弥五が途中で、一抜けたとばかりにずらかってしまい、結局 乙次郎とふたりの道行きとなってしまった。
堂々としていて男っぷりが良くて、どこのお殿様かと見まごうばかりの玄蕃と、なめられてはならぬと、いきり立つ乙次郎だが、だれがどう見ても主人と家来、
小競り合いをしながら進む道中で、懸賞金付きの泥棒や、7年も親の仇を探している侍などいろんな人物が絡んできて、その都度玄蕃が、うまく取なしたり解決したり、
おぬし何者? ただものではなかろう。と思わざるを得ない。
それに引き換え、乙次郎よ、僕? 拙者とか言わないの。
余計軽く見られようぞ。
※ 少し調べましたら幕末に、自分をへりくだった表現としてはやったとあります。
  まあいいか、下巻が楽しみ。



同じく


流人・青山玄蕃と押送人・石川乙次郎は流刑地、奥州街道の終点三厩(みんまや)へと旅を続ける。
ただいまは、仙台の陸奥守様の招きに預かり、登城、接待を受けようかというところ。またしても玄蕃おぬし何者?
その間乙次郎は、城下を案内してもらうことになり、牢屋を見学に行く。
そこで亀吉という丁稚に出会う。
亀吉は、たまたま出会った(向こうにしてみたら計画的)旅の商人に騙され、図らずも盗人の手引きをしたかどで、磔さらしの刑が確定していた。
亀吉にしてみたら、何が何やら訳がわからず、申し開きもなにも、あれよあれよという間にこういうことになり、乙二郎にまで哀れに命乞いをする。
ここで出てくるからには、何とか助けられるのだろうと希望を持っていたが、
叶わず、処刑は執行されてしまった。しかしそのおかげで、父の仇を探し今まさに行われようとしていた仇討ちを思いとどまらせ、一人の命を救った。
亀吉よ、これで浄土に行けよと。これも玄蕃の思惑だった。
次に行き会うのは、伊勢参りをした帰り、病を得て行き倒れになった女、何とか故郷の水を飲みたいと、その時分そう願うと何としてもそのものを故郷まで連れ帰らねばならない、という法があったそうな。
いわくありげな女との道行、その合間に語られる玄蕃の罪状の本当の経緯、はぁそんなことであったとは、「武士が命を懸くるは、戦場ばかりぞ」という信念で、女房子供、家来を路頭に迷わせ、流刑を選ぶとは。それも冤罪で。
武士とはなんとも厄介なものでござるな。
すべてを知った乙次郎、江戸へ取って返し、再審議と思ったが、己の力のなさ、その後の騒動、お家取りつぶしになるやも知れず等々、思い切りはつかず、三厩に着いてしまった。帰りの道中まで心配されて、最後まで堂々としている玄蕃にありったけの敬意を表して別れた乙次郎である。
ひと月足らずの玄蕃との道行、なんとも意味深い濃密な日々であったろう。
江戸に帰ったなら、一回りも二回りも成長した乙次郎になっていることだろう。



流人道中記 上・下 / 浅田次郎

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村上T

2023年01月13日 | 「本」のひきだし

ブクログより

雑誌ポパイに連載されていたものをまとめられたものです。
なるほど村上さんというとTシャツが思い浮かびます。
Tシャツをこよなく愛されている様子が全体から伝わってきます。
コレクション?の中から選りすぐりのそれらを眺めているだけでも楽しい。
ビール、ウイスキーなどのお酒系、熊やトカゲなどの動物系、そして見つけたら買わずにいられないとおっしゃる、レコード音楽系、
そして私が欲しい!と思ったのは、村上さんにまつわる物、主に外国で出版記念だったり、公演記念でいろんなノベルティが作られて、それらが送られてくるらしいのですが、勿論本人は恥ずかしくて着られないというので全部しまってあるのだそうです。
そんなに熱烈なファンでもないけど、そんなTシャツ欲しいわ。

かといってもTシャツって、若者の着るものというイメージで、私自身ある年齢からは着なくなりました。
体形が変わって、特に首から肩に掛けての肉の付き具合が若いころと変わって、なんだかかっこよくないな、と思うからです。(私自身のことです)
それに襟付きのシャツのほうが何かと無難ですし。
でも村上さんは今でもTシャツを愛しておられるのです。
あるエッセーで読みましたが、旅行に行くとき着ていったTシャツは捨ててくる、とおっしゃっていました。
帰りの荷物が減るしとかなんとか。
村上さんの事ですから、捨ててもいいようなよれよれのシャツではないでしょうに、潔いですね。


村上T / 村上春樹






冬の八幡掘り

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初歩き、またも雪野山

2023年01月08日 | 「山」のひきだし
新年あけましておめでとうございます。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

さてさて、年が明けてしまうと急にだらだらモードになったり、お正月ぐらいなどと自分を甘やかしたり・・・ないですか?
これはあかん! 家にいたらだめになる、自分を取り戻そう、ということで出かける先はやっぱり山です。

今日は、蒲生野トレイルの起点となる、横山自然公園(わかる人にしかわからない超マイナーな地点)から歩くことにしました。


登山口とか一切標識はありませんが、公園入口を入っていきます。


ここは知る人ぞ知るボルダリングのメッカです。どこをどう取り付くのか想像もできませんが、大きい岩がたくさんあります。


唯一公園らしい遊具。


入山します。


展望台


左から右のなだらかな尾根?山中を歩いてきました。
ここまでは名神高速道路のすぐ横を歩いていたので、会話ができないくらい車の音が大きかったです。



ふ~ん、こんなところに城跡。ここらは未踏です。



ここからは歩いています。


出発時間が遅かったので、それほど歩いた感はありませんが、ちょうど東屋があったので、お昼にしました。
予報通り、降ってきた雨もやり過ごそう。


ここから主尾根に出て、ずっと登り。


湖東方面


湖南方面、ぽこんと三上山が見えます。


雪野山頂上。ご飯の後の苦しい登りでした。


頂上に設置された真新しいベンチ。ここから向こう側が主に蒲生野トレイル。整備の仕方が歴然です。




大きな分岐。右に行けばきれいに整備された下山道。
さて、seikitiさんはどうするかな。と私は様子を見ていました。
だって、ここまでにあった分岐でも、帰ろうかななんて言っていましたから。(私は聞かないふり)
しばらくすると、真っすぐ登山道を行くではありませんか。ニヤニヤしながらついて行く。








ずっと降りていきます。
きれいに整備された段々が辛い。


峠です。雪野山トンネルの上?ここからまたしばらく登りますが、今日は向こうに移動手段を置いていないので、歩いて戻らなくてはいけません。ここで下山することに。





多聞院というお寺に降りてきました。
ここも雪野山の立派な登山口になっていて、トイレもありました。
ここから下道を歩いて車に戻りました。

誰にも会わない静かな山。お正月だということを忘れるくらいの静かな静かなひと時でした。


2023年1月2日(月)曇/小雨
雪野山  横山自然公園~多門院

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