今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

北壁の死闘

2022年11月27日 | 「本」のひきだし

ブクログより




またまた年代物の作品です。
1987年初版となっています。北壁に惹かれ読んでみました。

地元山岳ガイドが、アイガー北壁を登攀中、小さなテラスに座ったままの氷漬けの死体を発見します。
詳しく調べてみると、ドイツ軍山岳歩兵師団のものと分かる。
そして首元には、錆びた金属製のロケットと騎士十字章の勲章がかけられていた。
これらに興味を抱いたBBC局員が、当時の重大な事実を探り出すことで物語が成り立っていく。

原子爆弾の開発をめぐって、ナチス・ドイツ軍とアメリカ軍がアイガー北壁で繰り広げる、手に汗握る死闘。
彼らは先鋭クライマーだとはいえ、すべて軍の命令によって、この死の壁に挑んでいるというのが普通の山岳とは違うところ。
仲間がいても、心が通じ合った信頼できるものばかりではないし、ましてや任務を背負っている。
彼らの心境はいかばかりか・・・

最後に生き残った人たちを訪ね歩いて、残らずなぞ解きをしてくれて、ほっと肩の荷が下りた気がします。




北壁の死闘 / ボブ・ラングレー

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ちょこっとビワイチ

2022年11月23日 | 自転車のひきだし
しまなみ海道に気をよくしまして、琵琶湖の周りを少し走ってきました。
彦根港を出発して、長浜の黒壁スクエアあたりをぶらついて帰ろうという行程です。


お天気はいいのですが、少し風がきついです。湖岸沿いはまともに風を受け辛いです。


長浜に着いて豊公園(ほうこうえん)で休憩。
豊公園とは、秀吉の居城であった長浜城跡にある総合公園です。季節ごとのお花見ができたり、テニスコートなどもあり、広大な敷地です。右手に見えるのは、天守閣を模した長浜城歴史博物館です。


琵琶湖側、お天気の良い日なら琵琶湖を眺めながらお弁当を広げてもよさそうです。




黒壁スクエア、北国街道沿いの一角にあります。
ガラス細工の工房などが有名で、カフェや雑貨店、土産物店などが軒を並べます。


ここでお昼を済ませ、帰ることにします。


ヨットハーバー、長浜。


彦根に戻り、彦根城まで足を延ばしました。
桜が咲いていました。


謂れが書いてあります。
水戸市から寄贈されたものだそうです。なんと水戸市とは友好都市であると・・・日本人の良さを感じます。

彦根港から豊公園を経て黒壁スクエアの往復、約30㎞は、しまなみ海道のクールダウンには最適なサイクリングでした。
寒くなる前にもう少しサイクリングを楽しみたいものです。


2022年10月30日(日)晴れ
彦根港~豊公園~黒壁スクエア~彦根城  約30㎞ 

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猫を棄てる

2022年11月20日 | 「本」のひきだし

ブクログより



村上春樹さんがお父様について語った本として話題になりました。

お父様について少し、京都のお寺の6人兄弟の次男として生まれ、お坊さんの学校を出た後京都帝国大学の文学部で学ばれ、俳句同好会で句を詠んだり、もちろん勉学にもいそしまれ、とにかくまじめなで優秀な方だったらしいです。
その間に徴兵されて(対中戦争)中国戦線に送り込まれる。

実は村上さんが長らくお父様について触れられなかったのは、この戦争体験が大いに関係していたのでした。
村上さんはある疑惑を持っていて、その事実を知ることを避けてこられたのです。
しかしお父様がお亡くなりになりはっきりさせたくて、関係者の方々の話や、残された手記などから、お父様はその事件に関わっていなかったという確信をされ、肩の荷を下ろされたということですね?

そしてやっとお父様ときちんと向き合って、冷静に過去を振り返ることができたということですね?
20年以上疎遠で亡くなられる少し前に再開し、和解のようなことをしたとあります。

お父様にはお父様の思い、村上さんには村上さんの思い、お互いわかっていても譲れないものがあるし、親子なので頑なな性格も似ているだろうし、そういうことですよね?村上さん?

ということで、たぶんに私の私見が入った感想になりましたが、村上春樹さんがプライベートな部分を書かれた作品として、非常に珍しく貴重な一冊であると思います。


猫を棄てる / 村上春樹

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ひたすら面白い小説が読みたくて

2022年11月12日 | 「本」のひきだし

ブクログより

児玉清さんは芸能界きっての読書家と知られています。
そんな児玉さんがかつて文庫本の解説をされていたようです。
いろいろなジャンルの本の解説を一冊にまとめたものです。
日々、何か面白い本はないかなぁと、嗅ぎまわっているものにとっては読まない手はありません。
解説したその作品は多岐にわたっていますが、時代小説が多いようです。
時代小説が好きな私は興味津々!

あさのあつこ、宇江佐真理、北原亞以子、佐伯泰英・・・
まだ読んだことのない作家のオンパレード。

「あなたはきっときっと深く深くそして熱く心をゆすられるに違いない・・・」
「・・・あまりの面白さに舌なめずりする思いで宙に向かってヤッホーと叫んだくらいだ」
はたまた「びっくりした。こういう本をとても読みたかったからだ。面白くて楽しくて、好奇心を掻き立てられる上に・・・」
と最初からこんな具合に解説が始まるのです。
こんな風に書かれたら、読まずにおられましょうか。

私は今まで、児玉さんが解説を書かれた本を手に取ったことはないのですが、こんな解説を読んだら即、お買い上げです。
私は結構お尻の解説を先読むタイプですので。
あ~、当分読む本に悩むことはないです。
この本に載っている小説を片っ端から読むことにします。楽しみです。
児玉さん、ありがとう。


ひたすら面白い小説が読みたくて / 児玉清

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結ばれたロープ

2022年11月10日 | 「本」のひきだし

ブクログより


訳者のあとがきによると、この本は1941年に発表されている、著者はパリで生まれるが、シャモニーに魅せられ移住して山々を歩くうち、有名なガイドに見込まれ自らも高山ガイドとなった。

第二次世界大戦ではナチスにつかまるも脱獄して、探検家として各地を旅する。
同時にフランス山岳ガイド組合の会長も務めた、とあります。

「結ばれたロープは」休戦協定でアルジェリア通信の記者をしていたころ、新聞に連載されたものをまとめたもので、雪と氷の物語は、海と砂漠のアルジェで執筆された、と。

若いころに親しんだ山々がどんな時代でも著者の心のよりどころであったということなのでしょう。
その頃の、ガイド仲間との山行での出来事、ガイドとしての仕事中のエピソード、悲惨な山での事故、そういったエピソードの数々が物語の中に織り込まれ、実在する人たちも名前を変え登場して、そうして生まれたのがこの話です。
書かれてずいぶんの年月が経っていますが、古いということは全く感じられません。

山はもちろん昔から変わりませんし、目の前の山に登りたい、という人々の熱望もいつの時代でも同じだからでしょう。
時折当時の写真が参考に掲載されているのを見て、その服装などで、あぁこの時代の話だったんだな、と再認識するくらい違和感はないです。

元ガイドをしていた著者ですから、その臨場感や細やかな描写は、素晴らしいものです。
雷がだんだん自分たちのほうに近づいてくる気配を感じながら、この岩壁から、一刻も早く少しでも下に降りようとする(こんな時でもお客を優先で)焦る気持ち、自分もその場にいるようで、手に汗握ります。
遭難により生まれたトラウマはやはり山でしか克服できないと、若いガイドが立ち直り、またガイドの登録をするというところで話は結ばれます。
この小説がまた新たに今年刊行された意味が分かる気がします。


結ばれたロープ / ロジェ・フリゾン=ロッシュ




干し柿日和

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