一回で載り切らなかった、一般質問の後半をお知らせします。
これまた長~いですが、ご容赦下さい。
「軽度発達障害への支援施策について」
軽度発達障害という名前がある訳ではないようだが、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、以上の三つは自閉症スペクトラムと呼ばれる連続性のあるとされる障害。これにLD:学習障害、ADHD:注意欠陥多動性障害、これらを総称して軽度発達障害と呼ばれている。
かいつまんで特徴を言えば、
自閉症は、社会性、コミュニケーション、想像力の三つの領域に障害が見られ、親しい人とも目を合わせられなかったり、人の物を突然とってしまったり、特定の物に異常な興味を示したりなどの行動があるとされてる。
高機能自閉症とは、自閉症のなかで知的障害を伴わないもの、アスペルガー症候群とは、自閉症と同様の障害を持ちつつも、知的障害を伴わず、言語発達の遅れもないものとされている。
ADHDは、極度に落ち着きや集中力が無く、社会生活に困難を伴うもの。
LDは、知的障害はないのに、読み書き算などの特定の分野が極端にできないという障害。
これらの発達障害の最大の特徴は、本人も周囲も障害に気づきにくく、見た目は普通の子どもと変わりないため、問題行動をわがままや、親のしつけの問題ととらえられてしまうことが多いこと、すなわち、周囲の理解が得られにくいということ。
この問題に対する関心は、近年になってようやく高まり、発達障害者支援方が05年4月から施行されました。この法律によって、発達障害の支援体制づくりがようやく始まることになった。
先んじて学校における特別支援教育が進められているが、今回はそのことにはふれない。
軽度発達障害の方の支援の上で最も重要なことの一つは、幼児期から生涯に渡る支援体制とされている。その点で最初に伺いたいのは、早期発見と早期の支援開始、すなわち就学前からの取り組みの強化。具体的に3点。
一つは、5歳児健診の実施。
厚労省は、昨年10月に「軽度発達障害児に対するきづきと支援のマニュアル」を発表し、発達障害の子どもたちにいつ頃、どのような体制の中できづいていくべきか、そのモデルとなる体制は何であるのかを示した。
それによると、「早期発見といっても早ければいいというのではなく、むしろ問題点が見えてくる時期に適正に発見するという適正発見という考え方が望ましい」として、3歳児健診以降から小学校に入学するまでの間、たとえば5歳児健診あるいは発達相談をおこなうのが良いという考えが示されている。
その考え方の元となった研究の結果では、5歳児健診によって、小中学校で把握される軽度発達障害児のほとんどを5才の段階で発見できる可能性を示唆し、また発見された児童の半数以上が3歳児健診では何の問題も指摘されなかったことも上げて、「5歳児健診が極めて有用」と述べている。
そこで、5歳児健診の有用性についての認識、本市における実施の可能性についての考えを伺う。
就学前の取り組みの二点目は、
幼稚園保育所の段階から、一人ひとりへの系統的継続的支援が開始されるようになることが望まれるが、そのための保育園・幼稚園への援助の問題。四つほど上げる、
)幼稚園保育園への研修の場の提供、
)幼稚園保育園への巡回指導
)私立の幼稚園保育園への経済的援助。
)公立保育園での療育訓練の実施と、園児受け入れ、
就学前の取り組みの三点目は、幼稚園保育園から学校への、引き継ぎ・就学前に協議の場を持つこと。
現在も2月頃に、幼稚園保育園を集めた連絡会をおこなっている学校もあるし、園を訪問している学校もある。これを全学校区毎におこなってはどうか。
軽度発達障害への支援の大きな二項目は、幼児期から生涯にわたる。一貫した支援体制の構築。その必要性を否定する人はいないと思うが、例えば、
旧朝日地区では、特別支援教育推進委員会というを設置していた。
小中学校、保育園、大学、医療、教育、福祉の専門家チームに、職業能力開発市絵アドバイザーということで、社会に出てからのことも見据えた組織、こういうものをつくっていた。今求められる最善のあり方の一つではないかと思う。
委員会の基本姿勢として、「行政の責任として、障害のある乳幼児から将来の自立・就労まで継続した一貫した手厚い支援をおこなう」と謳っている。
朝日のこの委員会は、経過があって教育委員会が事務局となっていたが、生涯に渡る問題だとするとやはり福祉部局が責任を持つべき。
教育委員会では、特別支援教育の新たな取り組みを開始している訳だが、教育委員会と健康福祉部との相談をすぐにも始めるべきと思うがいかがか。
生涯に渡る支援という点でもう一つ上げたいのは、講演会の開催や、さまざまな機会を捉えて、市民に理解を広げる取り組み。
以上、軽度発達障害児への支援強化の問題について。
健康福祉部長答弁
近年、集団生活の中で集中できない、動きが激しい、怒りのコントロールができない、といったような、いわゆる気になるお子さんというのが増えている傾向。
医学的には、自閉症、アスペルガー症候群、その他広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などに診断をされるということだが、調査によれば全体の約6%の児童に特別な配慮をようするといういうようなことが言われている。
市としては、1才半健診、3歳児健診を早期発見の重要な機会ととらえ、特に今年度から軽度発達障害の早期発見のために3歳児健診の問診項目の見直しを図り、言語能力や社会性、理解力の検査とともに、保護者からお子さんの普段のようすや、育児にあたっての困りごとが無いか、あるいは、育ちにくさが無いかというようなことについて、十分お聞きするようにしている。
健診の結果、発達上のフォローが必要なお子さんについては、保護者の意向を確かめた上で、保健師が市内の認可保育園全園に訪問して、健診場面では確認できない集団場面での行動観察をし、園との情報交換を図り、保護者の方との話し合いをおこない、必要に応じて医療機関や児童相談所、療育センターなどの専門機関を紹介してつなぐということなど関係機関との連携に努めている。
議員から紹介のあった、5歳児健診先進的な事例、これも厚生労働省の出したマニュアルには、健診に協力できる医師とか、専門知識を持った専門職の確保が必要事項だと書いているので、こういったところの課題もありますので、今後十分に研究をして参りたい。
また就学にあたっては、幼稚園、保育園、小学校の連携のために、小学校区ごとに、幼保小ブロック研修会というものが組織をされ、幼保子一貫した教育にたっての指導をおこなう観点から、新年度入学予定の年長児について、小学校の教師が園に出向き、入学前の状況を確認し、情報収集をおこない、また個別に調整が必要な場合は、教育委員会が直接園に出向いたり、保護者の意向を確認するなどの対応がなされている。
また、保育現場の担当者を支援するため、平成15年度から県教育委員会の特殊学級幼稚園保育園等指導支援事業を最大限活用して、鶴岡養護学校等で障害児教育にあたっている先生方から、夏休み期間中保育園に出向いてもらい、直接指導もいただいている。
今年度は希望のあった保育園14カ所に、鶴岡養護学校の先生方8名が、31名の児童ついて、現場で直接児童と関わり、保育担当者や保護者との話し合いをおこない、個別に支援の方向性について確認。
また、研修については、県の発達障害者支援センターなどの研修会の周知を図るとともに、市独自に保護者向けの養育口座や、保育士を対象とした実践的な研修を17年度から実施しており、保育園研修協議会と協力して学習を積み上げるなどの取り組み。
民間保育園に対する財政支援については、発達障害児を受け入れた場合、県の補助に上乗せして財政支援をおこなっている。
次に、幼児期から生涯に渡る一貫した支援体制は、平成17年4月に発達障害者支援法が施行され、国県でも発達障害への支援体制の整備がようやく動き始めた。
本市としても乳幼児期だけでなく、学童期、青年期、成人期まで通して継続的に支援していくために、健康課社会児童課、教育委員会、福祉課それぞれの役割を再検討し、今後は、障害者の就労支援についても視野に入れ、県の療育専門機関や、社会福祉法人、NPOなどとのネットワークを強めながら、支援体系を充実していきたいと考えており、今年三月に策定しました鶴岡市障害福祉計画にも、発達障害者の支援の強化を掲げて、ライフステージに応じたコーディネートの中心機関を定めまして、支援の連続性確保のため、連携会議の開催や、幼児期に診断のついた障害児の個別支援計画について関係機関が情報を共有するためのカンガルーノート、それの活用が施策の方向性とあげられている。
しかし、発達障害児について診断できる医師であるとか、具体的に指導できる専門知識を有する人材が全県的に不足をしているということもあり、支援体制は十分とは言えないことも事実。
幼児期から学童期、青年期、就労にいたるまでの継続的な支援体制のあり方が、課題となっており、お話しのあった朝日地域でおこなっている特別支援教育の体制なども参考にしながら研究をして参りたい。
いずれにしても、発達障害児支援については、社会全体の理解、協力が重要。
今後発達障害者の自立、社会参加が進むための支援体制について関係機関と十分連携・協議の上、有効な支援体制が進むように方向で考えております。
再質問
軽度発達障害への支援、研修についてはさまざまな取り組みをされていて、評価もされているということは私も承知。
それから、私立の園への援助、何人いても882000円では保育士一人雇えないということですし、それから、ご承知の通り、この障害については親御さんがなかなか認めることが難しいということもあり、その場合は補助をもらえないということですから、そのあたりのことも補助制度については認識をしてもらいたい。
3歳児健診について内容を研究して改善を進められているということ、私も承知。
関係者の方も高く評価されているということで私も認めたい。5歳児健診の有用性については否定するようなことでないということですから、専門家の確保について引き続き努力していただきたい。
次の巡回指導の問題、これは健診では障害がみつからないケースというものもたくさん発生するし、親御さんがなかなか受容することができないという場合、園の方ではなかなか十分に納得するまでお話しできない場合もあるということですから、公的に巡回してその際に回ってきた方が親御さんに助言をされるということも、非常に有効なことと思いますので、そんなことも含めて、検討していただきたい。
もう一点伺っておきたいのは、幼保小連絡協議会、ブロック協議会、これが成果をあげているということはその通り。ただ、すべての学校区でおこなわれているということではないと思いますので、これはすべての学校区でおこなうということでどうか。
健康福祉部長答弁
巡回相談は現在も保健師が各保育園全園回り、気になるお子さん、集団でいる観察というものをおこなっておりますので、そういった面でなお充実を図って参りたい。
ブロック研修会は、各小学校区毎に組織されているというふうに理解しておりましたけども、そういったブロックが無いところがあるのだとすれば、おこなってもらうように検討して参りたいと。
再質問
巡回のほうは、3歳児以降の発見の向上ということで時期も含めて、5歳児健診できない中で補完するものとしてお願いしたい。
それからブロック協議会については、園と学校の話し合いの場を就学前にすべてで持たれている訳では無いということですので、なお引き続きの検討をお願いしたい。
医療費の市独自助成について
国の医療制度改悪、県の施策の後退の中で、負担増から必要な医療を受けられない人の増加が深刻な問題となっている。
今回取り上げるのは、呼吸器疾患によって、在宅で酸素療法をおこなっている方への医療費助成制度について。
呼吸器疾患で身体障害者手帳を持っている方への医療費助成制度がありますが、東北でみると、青森・秋田・宮城・福島は3級の方まで対象、山形県は2級までにとどまっている。山形県と同じく2級までとしている岩手では、多くの市町村が3級、または4級までの制度。県独自にも65才以上の一人暮らしの高齢者には独自の制度。
2002年の老人保健法改悪によって、高齢化の医療費負担は大幅に引き上げられましたが、その結果として、経済的理由によって在宅酸素療法を断念する患者さんの増加が伝えられた。
その数は、改悪後半年の間に、東北六県の保険医協会の調べによると、282件、山形県で38件に達した。
呼吸器の専門医は、酸素をやめた人がすぐにお亡くなりになる訳ではないが、それは必ず寿命を縮める行為であり、お金の無い人が緩慢な自殺に追い込まれているということだと警鐘を鳴らしています。
そこで伺います。市には何件こういう患者さんがいるのか、市はこの事態をどう認識しているのか、経済的に困難な患者さんに、市独自に医療費軽減の制度を創設する考えはないか。
市民部長答弁
本市の在宅酸素療法を必要とする方々について、市町村別の統計データが無く、すべて把握できる状況ではありませんが、呼吸器疾患による障害の認定の方につきましては、本市においては165名ほどいらっしゃる。すべての方が酸素療法をしている方ではございませんで、そこで病院や酸素機器を提供している方々の情報では、本市では110名の方々が、酸素療法を受けている。ご高齢の方々が多い。
酸素療法は、医師の診断が必要ですが、医師の指導管理料、携帯用の酸素ボンベ、酸素濃縮装置使用料の三点セットで、保険適用になっております。
そのほかに、自己負担分につきましては、レセプトを見ますと、一律ではありませんが、自己負担が1割であるご高齢の方では、概ね月8千円前後、これに診察料が加算され、総額は約1万円ぐらいということになっております。
ただ個々の症状によりまして診察料は相違することになります。
高額医療費の制度がございますが、低所得者の方々につきましては自己負担月額8千円を限度としまして、これを超えた部分は償還払いされている。
酸素療法の場合、福祉サイドでは、障害者等日常生活用具給付の制度によりまして、酸素ボンベの運搬車の補助というものもございますが、酸素濃縮装置というものを必要とする場合、別途電気料がかかる。
酸素ボンベは常時装着する方がほとんどのようで、酸素濃縮装置の電気料はさまざまで、濃縮装置とか酸素ボンベは、新しいものであれば電気料については月2千円から3千円のものも。
県の福祉医療給付事業による助成制度の適用にあたりましては、市町村負担が2分の1ということになっておりますが、酸素療法以外の他の疾患、障害におきましても、それぞれにさまざまな需要。装備とか助成とかのご要望がある訳ですが、要望は増加する傾向。従って障害の状況や医療費負担の状況との関わり、その調整の問題がございます。
そうしたことにつきましては、一義的には国における医療費制度の枠の中で検討され、措置されるべきものと考えております。
在宅酸素療法適用患者の方々に限定した対象拡大ということでございますが、医療費給付制度の適用は、他の疾病の方、障害認定の方、こうした方々の自己負担、それから認定の関係とか調整、それから均衡の問題とかございますので、現段階ではなかなか難しいものと考えます。また、市独自助成についても同様に考えております。
再質問
最後に医療費の助成について、これは時間がありません。
さまざま、るるのべられた訳ですが、結局市としては手だてをしないということでがっかりした訳ですが、命にも関わるものでありますので、しかも金額的にはさほどのことにはなりませんので、これから検討していただきたいと思います。
そのことを要望して終わりたいと思います。