2009年は、昨年末に「派遣切り」「期間工切り」で仕事を追われた労働者が街に溢れ出すとともに、日本中の中小商工業者が深刻な金融・経済危機でやっとの思いで年を越す、或いは年を越せず行き詰まる、そういう中で迎えた、大変な年明けとなりました。
首相が言っている「百年に一度の危機」という表現がどの程度の考察に基づくものかはわかりませんが、「カジノ資本主義」などと呼ばれるにまで至った資本主義の世界的な行き詰まりの表れとして、一過性ではない構造的なものであり、小手先の対応で乗り切れるようなものでは無いと思われます。
同時に、特に日本に於いては、極端なアメリカ追随と大企業本位の経済によって、経済構造も外需依存の脆弱なものになっているとともに、困難な中で労働者・国民を支える社会保障もまた「先進国」のレベルからかけ離れているという状況が、「危機」を非常に深刻なものにしています。
昨年の活動の中でも、生活の困難に苦しむ多くの市民の方と出会ってきました。
長年勤めた会社の倒産でローンが払えなくなり、家を手放す人
生活保護を受けていたが、奥さんの施設入所で「保護打ち切り」をほのめかされて困っていた老夫婦
国保料が払えないために短期保険証を渡され、3ヶ月おきの更新時の「納付催促」に頭を抱える人
サラ金からの過大な返済に一年中追われて、まともな思考すらできなくなっている人
離婚した相手方から不当な借金返済を迫られている母子家庭の母親
生活能力が無いのに頼る人も無く、サラ金に食い物にされ、周囲からも厄介者扱いされる知的障がい者の夫婦
経済的に困難な両親を助けて働いてきて、低賃金のために結婚に踏み切ることもできないでいる若者
上京して20数年働いてきた会社から簡単にクビにされ、50才に手の届く年になって鶴岡に戻ってきた人
etc.・・
派遣労働者など低所得、障がい、母子家庭、病気などなど、多くの方は困難を抱える、社会的弱者です。
この10年余り、「『規制』を無くすれば世の中が良くなる」「医療も教育も『自己責任』」などと、国民生活を守るために築かれてきた制度を次々と破壊してきた、「新自由主義」の政治が、庶民の暮らしに大変な苦しみをもたらしてきました。
その中で、弱者はまともに暮らしていくことすらできない社会になっているということです。
またこの間、アメリカのイラク侵略戦争に率先して協力し、戦後初めて戦場に自衛隊を派遣するなど、大きく「面舵」を切った日本の外交も厳しい目にさらされています。
世界では、東南アジア友好協力条約の広がり、中南米・カリブ海諸国機構の動きなど、「アメリカの覇権主義の終焉」と言える巨大な平和の流れが発展しています。
こうした中で依然として「日米同盟重視」などと言って、自衛隊海外派兵を強化し、米軍再編に巨額の金を差し出す自公政権の政治は、世界の流れにも取り残されたものとなりつつあります。
昨年は、悪政に対する社会的な反撃が大きく進んだ年でもありました。
「派遣切り」、増税、後期高齢者医療制度、介護切り捨て、憲法九条擁護、などなど、広範な分野でのたたかいがマスコミでもかなり報道されるほどに発展しました。
そして多くのたたかいが、日本共産党員が中心となったり、党と共同したりするものであったことも目を見張ることでした。
こうした中で、日本共産党に対する期待も高まりつつあることを私の身の回りでも実感します。
自公政権への批判が空前の高まりを見せる割には、民主党に対する期待はそれほど広がっていないようですが、それは、同党が自公政治の中身を切り替える路線を持ち合わせていないことを国民が見抜いているからに他なりません。
資本主義の構造的な行き詰まり、世界の政治の急速な発展の時代に、時代の要請に応える日本の進路を指し示す政党が求められています。
今年鶴岡では、山形県知事選挙、衆議院総選挙、鶴岡市長・市議会議員選挙と、4つの選挙がたたかわれます。
鶴岡の新しい進路を選択する歴史的な年になる可能性のある年です。
人間を大事にする社会をつくるという理念を腹に据え、弱者としっかり連帯する、暖かいたたかいを、着実に、そして大きく発展させる年にしていくために、今年も全力を挙げていく決意です。
そう、大地を踏みしめて力強く前に進む牛のイメージで。