1月31日(土)「21世紀のエコ農業を考える市民シンポジウム」に参加しました。
山大農学部と鶴岡市との連携協定事業としておこなわれるものですが、大学・行政・農家によるシンポジウムとなっていて、大変興味を引かれました。
最初に、主催者挨拶がありましたが、乱暴に要約すると、
「資源循環型農業は人類の喫緊の課題であり、農業を疎かにする国に未来はない。日本は食料自給率4割だが、最近国が方針を転換したことは嬉しいニュース。中国産食品の問題で転換の必要性が明らかになった。農業地域庄内から、日本の農業を活性化する情報を発信したい。」というようなお話だったと思います。
深い洞察に基づく重厚なご挨拶でしたが、「政府が方針を転換した」というのは、ちょっと政府に好意的過ぎる見方かなと思いました。
続いて、三人の方々から各30分程度のお話がありました。
山大農学部教授粕淵辰昭先生の「エコな農業を農書から学ぶ~温故知新~」お話では、
「無農薬、無除草剤、無堆肥で稲が育つ」メカニズム、「トンボが100万匹いるとヤゴが1tの堆肥=牛一頭分 を生産する」など、「田んぼ」という小宇宙を科学的に解明するお話で、ぐいぐい引き込まれました。
「エコ農業からエコ社会へ~人と環境にやさしいまちづくり~」鶴岡市藤島庁舎産業課エコタウン室エコタウン推進主査の武田壮一さんのお話では、
「イネミズゾウムシ防除のための波板の柵、ムシを吸い取る機械(掃除機みたいなヤツでした)の研究」などなど、有機農業のための実際的な取り組みが進められていることが理解できました。
驚いたことに、全国から視察が相次ぐすばらしい取り組みをしていながら、市内で話す機会は稀だったようでした。
富塚市長の関心が薄いんでしょうネ。もったいない、もったいない・・。
「エコ農業を語る~微生物や小動物が農業を楽しくする~」鶴岡市有機農業推進協議会会長の志藤正一さんのお話では、
「有機農業を始めて、回りの生き物に感動するようになった」「消費者との交流の中で、『安全、安心』が自分たちの使命であると感じ」るに至ったこれまでの経過、
「再生紙マルチ農法、米ぬか除草、除草機、冬季湛水・冬水田んぼ、あいがも」などなど、さまざまな取り組みにチャレンジしてきた体験談、
「人は一生かかってもお米一粒作れない。米を作るのは稲自身。人ができるのは彼らの生命力を引き出すこと」という結び、
などなど、いくつかの写真も交えて、藤島の大地で営々と重ねられてきた志藤さんの農業が感じられる圧巻のお話でした。
参加者との質疑応答の後、三氏の「夢」が語られましたが、その志の先に、鶴岡のみならず、日本の農業の未来があるのではないかと感じられ、感動的なシンポジウムとなりました。