関とおるの鶴岡・山形県政通信

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H21年度の富塚市政を問う!~総括質問~

2009年03月04日 | 市政全般

 3日(火)、鶴岡市議会3月定例会が開会、私は、会派を代表して市長に対する総括質問をおこないました。
 市長答弁と合わせて40分ほどの、質疑の要約をお知らせします。

  昨年秋からの日本経済の急激な悪化のもとで、本市経済と市民生活も極めて厳しい状況。
 本市H21年度事業は、雇用・経済振興に知恵と力を尽くすことが求められるし、策定された市総合計画の具体化の方向性と、合併後の4年間の最後の年として、この間の市政の流れが問われる年。
 第一に、市民生活の実態をどう認識しているか
 生活保護世帯は、H19年度までの6年の間に130%に急増。受診率の低い国保短期保険証世帯が一千世帯に達しようとしている。就学援助を受けている小中学生が640人超。学童保育でも、親の失業や給与減少などで利用料が払えず退所する家庭も増。
 多くの市民の生活が全体として苦しいものになる中で、最も弱い方のところから大変な事態が発生している。
 市長は、問題をどのように認識しているのか。また、経済的な困難の状況に目を向けた調査で、ニーズも明らかになるが、その意志があるか。
二番目に雇用問題。
 現下の雇用危機は、労働法制の規制緩和と、リストラを助長する経済政策の結果、正規職員が削減され不安定雇用労働者が増大、大企業が不安定雇用労働者の大量解雇・契約解除をおこなっていることに原因。
 大企業の生産現場では、脱法行為が当たり前のようにおこなわれており、現行法規を正しく適用すれば、「派遣切り」の大半は許されない。大量の正規雇用がおこなわれるべき状況。
 大企業はこの間、派遣労働を活用して空前の大もうけ。雇用を維持するのに必要な支出は内部留保のわずか1%。法律に基づいた直接雇用も内部留保のわずかの活用でできる。
 日雇い派遣・登録型派遣禁止、派遣労働そのものの原則禁止など労働者派遣法の抜本改正と、現行法規を厳格に徹底する労働行政の強化、こうした施策で大企業に雇用に関する社会的責任を果たさせることが、今日の未曾有の雇用破壊をストップさせるカギと考えるがどうか。
 また、本市の大企業に、せめて法律は守るように、市としても要請をしていくべきではないか。
 次に地域経済振興と雇用確保策。 
 そもそも地域経済を活性化するとは、地域内のお金の循環をつくることであり、地場産業・地元中小商工業の仕事を増やすことが何よりの良策。
 市内で一年間に建てられる住宅が木造だけで約400棟、仮に一棟2500万円だとすると年間100億円の市場、地場産材の部分では10~20億円の市場。
 鶴岡の建築関連従事者は1万人、住宅産業は仕事の激減で日々の生活を脅かされている多くの業者に関わる裾野の広い産業。
 仮に市が一棟に50万円投下したとしても2500万円の地場産住宅が建てられれば、経済的誘発の効率は第一次だけで50倍、二次的効果、三次的効果も非常に大きなもの。
 それは、温海・朝日を始め、中山間地域の振興をも支援するものともなる。
 バイオ研究支援に投入している4億円の一部を回すだけで、経済振興に具体的効果が期待できる。
 国の林業・住宅産業向けの事業も活用して、今こそ施策を強力に推進する考えはないか。
3番目に介護保険
 第三期事業計画の3年間に介護保険制度は大幅な改悪。施設の食費全額負担と居住費徴収、軽度の方へのサービスも全般的に縮小。特養入所待ちは940人、劣悪な労働条件から離職率は高く、各事業所も人材確保と介護の質の向上に四苦八苦。
 市長はこの間、制度改悪について、「当然のもの」などと容認、利用料減免の条件を厳しくするなどの対応。介護保険制度そのものが、制度発足時に国が謳った「必要な人に必要な介護を保障する制度」に近づくどころか、「理念」からどんどん離れている。
 第4期事業計画は、残念ながら、サービスの供給でも、保険料、利用料の負担の問題でも市民のニーズに応える計画には成り得てはいない。
 保険料が第三期に比べて5.8%から8.2%程度上がる、H23年度では、所得金額200万円の方で年額17000円もの負担増。
 一方特養建設は、増床78床、老健施設やグループホームと合わせても152床。低所得で利用を手控えている人、サービスをまったく受けられない人などに手の届く計画にはなっていない。
 介護保険財政に対する国の負担をより大きく、恒常的なものにしていくことの必要性は明らか、市長の考えは。
 また、市独自の措置で、制度から除外された人、経済的困窮者などへの必要なサービスを確保する施策を思い切って充実させていくべきではないか。
4番目に子育て支援
 市がH18年度におこなった「子育て環境分析調査」でも「子育ての環境について困っていること悩んでいること」の一番は、「子育てに係わる経済的負担」。経済的負担の軽減は、最も重要な子育て支援策。
 ところが新年度予算案では、旧6市町村の保育料を統一するとして、旧町村の料金を引き上げる保育料改訂。「平均負担は現行と変わらず、統一は段階的」ということだが、最高25000円上がり、旧朝日地域の「第三子以降無料」の制度も廃止。
 また、児童館の使用料も最高8700円にのぼる負担増。
 保育料は、市民の強い要望に添って引き下げる努力をするべきではないか。

5番目に、合併調整
 先に挙げた保育料の引き上げに見られるように、合併調整の中の主なものは「負担は高い方・サービスは低い方」。
 旧町村は、地形や風土など困難の条件の中で、税金や公共料金の軽減や除雪など独自の支援策。「合併したのだから制度は一つ」とただ無くしてしまえば、住民がどんどん町場に出てしまう。
 旧町村のすぐれた施策は活かすこと、地域組織・各庁舎に必要な権限を残していくことなどが必要。市長の見解は。
最後に、構造改革路線
 本市行政と市民生活に降りかかっている困難の根本に、新自由主義の構造改革。
 市長はこれまで、その政策を容認し、それに沿った政策を進めてきたが、市民生活のどの分野をとっても、市財政の状況を見ても、もはや構造改革政治の破綻は明らか。
 構造改革が誤ったものだという認識をお持ちか。

市長答弁
 経済的困難については、議員仰せの通り、前から申し上げているとおり、大変心苦しく思っている。
 有効求人倍率は昨年12月0.67、社会保険から国民健康保険への移動なども昨年末から近年に無い大幅な動き。
 緊急経済対策本部を設置して、可能な限り対応。生活相談窓口で、引き続き対応していきたい。
 同時に、地方自治体の責任ではないので、状況は、県、国に対しても要望。
 所得の問題は経済不況の問題に関わらず大きな問題。
 実態を調べろと言うことだが、具体的な行動で対応していく。
 実態の把握は、もっと構造的な形で。
 その点はご理解いただけるものと思います。

 次に、雇用・経済対策
 いわゆる請負から労働者派遣に切り替える事業所が増加、特に派遣労働者増加、381万人。
 同一業務での派遣受け入れ最大3年までとする期間制限への違反、適用除外業務への派遣などの法違反が見られるようになり、国では、昨年11月に改正案を国会へ提出した。成立した場合は、派遣労働者の保護や、常用雇用の代替防止の面で改善が図られるものではないか。
 国では非正規労働者についても雇用維持対策を実施、派遣契約の中途解除に対する指導の強化や、解雇・雇止めな嶺働条件問題への対応についても徹底するとしている。是非そのようにしてもらわねばならない。

 住宅産業向け事業については、地域産材を活用した木造住宅の振興は、林業、木材業、住宅建設業など産業の活性化に大きく寄与するもの。
 住宅耐震化、新築、改修、リフォームに利用できる各種の支援制度の周知、地域産材活用木造住宅の普及推進をおこなって、雇用創出と地域経済の活性化にこれまで以上に継続して取り組んでいかなければならない。
 また、林業における雇用、・経済対策は、国の事業を活用して、松くい虫防除事業の防除対象区域から外れた箇所の被害木で、景観を損ねたり、倒木の危険のある枯木の伐採処理の委託、間伐の施業の団地化、作業道の開設等を進める区域での山林の所有境界の調査業務の委託などで対応していく考えであり、現在準備の作業を進めているところ。

 次に介護保険。制度がスタートしてから、サービス提供基盤の整備が進み、在宅サービスを中心に利用者数が大幅に増加、老後の安心を支える仕組みとして、介護保険制度は着実に定着してきた。
 一方で、サービス利用の大幅な伸びに伴い、費用も急速に増大、2015年には、団塊の世代が高齢者の仲間入りをし、2025年には、高齢者人口がビークを迎えると見込まれるので、制度の持続性を確保することが求められる。
 このような課題を踏まえ、予防型システムを柱とする制度の大幅な改正が平成18年度に行われた。
 介護保険制度は、拠出と給付の関係を明確にするために社会保険方式を採用しながら、被保険者の保険料負担が過大なものとならないよう、公費で給付費の50%を賄う。保険料は現役世代を含めた40歳以上の方が負担。また、介護報酬改定に伴う保険料負担の軽減策として、臨時特例交付金が国から財政措置され、平成21年度と22年度の保険料負担の軽減がされるが、このたびの報酬改定に限る臨時的な措置。
 制度に閲し課題があれば福祉の現場にいる自治体として国に改善を求めていくことは当然であり、本市としては、これまでも全国市長会における意見具申はもちろんのこと、県内の主な市町村で構成する山形県高齢者介護研究会においても、国に対して要望をし、また意見交換などを積極的に行ってきた。今後ともそれは当然継続しなければならない。
 次に、市独自の施策、あるいは独自の考え方でということだが、例えば施設を例にすると、これまでもー定の整備は進めたし、次期計画では、小規模型特別養護老人ホーム、老人保健施設、小規模多機能型居宅介護など、第3期計画から約4割増しの整備を計画。今後も鶴岡市としての考え方をもって施設整備計画を具現化していきたい。
 また、在宅サービスについては、要介護に至らないよう日常生活を支援する在宅生活支援家事援助サービス、高齢者と介護家族者を支援する認知症高齢者見守リサービスといった、本市独自のサービスを、地域を広げながら実施しているところ。
 今後とも、高齢者の状態や環境に応じた真に必要なサービスは確保していきたい。

 次に子育て支援。保育料は、合併の合意に基づいて改正をおこなった。
 児童福祉審議会に諮問、「現行の全市の平均保育料を維持しつつ、H21年度から段階的に改正を進めて、H24年度で統一する」旨の答申を頂いた。
 答申を尊重して、保護者に説明をおこなっているところだが、大方の保護者からは理解を頂いた。
21年度の保育所入所受付も新保育料で募集をおこなった。
 「保育料が高くなった」とのご指摘だが、一部の地域、階層に於いては保育料が高くなったところもあるが、国基準に対する徴収率の比較では、78.23%から77.56%で、平均保育料では22156円から21966円、いずれもわずかですが下がっており、全体的には値上げにはなっておらない。
 また児童館の使用料も、審議会からの答申を尊重して、使用料が変更、保育料と同じ負担の適正化を図るために、保育料と同じように保護者の経済力に応じた使用料とした。
 いずれにしてもこの度の改正は、値上げのためではなく、あくまでも保護者の公平性の観点から統一したもの。

 合併調整
 調整にあたっては、協議会の合意の方向性を尊重することを基本にして、同じ市民として受益と負担の公平化、適正化、大方の市民の合意と各地域への配慮、金品交付から市民活動の環境作りと、4つの基本的考え方をもって調整してきた「大きなものは負担は高く、サービスは低く」ということは必ずしも当てはまらない。
 水道料金のように大方の地域の負担軽減を図ったもの、特色のある農林水産物の振興、産地形成の支援、克雪対策のような地域固有の課題克服のための支援は従来通り。保健師による高齢者の健康対策事業、妊産婦から乳幼児に至るまでの各種健診、相談、医療費支援など子育て関係事業、不登校や発達障害児等にきめ細かく対応するための学校教育支援員相談員、スクールカウンセラーの配置の全市適用など、今後の市民生活にとって根幹をなす重要な施策・サービスは、その充実・拡大を図っているものも多数有る。
 負担増とならざるを得なかったものもあるが、段階的に統一するといった激変緩和措置を講じたものもあり、住民負担への配慮には十分注意しながら慎重に検討をおこなった。
 調整項目すべてを最高水準に住民負担軽減や、サービス拡大をおこなうことは、国・地方を通じて厳しい財政事情を踏まえれば、現実的でない。
 そもそも合併の本質的な意味は、社会経済情勢の大きな変革期にあって、すべての市民等しく安心して健康でいきいきと生活をできるようにということ。
 今後合併をしなかった町村が、これからの財政事情の中でどんな厳しい状況になるかも踏まえて、私どもの合併は決しておかしなものではなかったと、後々実証できるもと思っている。
 
 国の構造改革。私どもも時代の推移の中で、県の制度政策と調整しながら、精一杯の努力をしてきた訳で、今後の対応として、更に実情の掌握をしながら対策を講じて参りたい。議員のご意見はご意見として承っておきます。