3月9日(月)本会議一般質問で、「子どもの貧困」について取り上げました。
今回は総括質問をおこなった関係上、持ち時間が少ないため、「子どもの貧困」という問題について、市に問題意識を持たせるということを主な目的として質問しました。
取り敢えず、全文を掲載します。
関 通告に従いまして子どもの貧困の問題について質問します。時間の関係で少々はしょって質問します。
格差と貧困の拡大が日本社会の重大問題となる中で、特に子どもの貧困という問題が、近年特別にクローズアップされています。
ユニセフの「子ども白書」などには、経済的欠乏から、保育、教育、医療などのサービスの欠落、遊びや休息の不足、虐待など、様々な権利が侵害されている状態、このようなことを貧困というふうに表現しているようであります。
また貧困な状態で育った子どもが、低学力、低学歴となり、親と同様の劣悪な仕事に就き、自分の子どもをもまた貧困な状態に置くことになるというように、経済的困難を中心に、困難が連関し、連鎖してしまうことも特徴とされています。
札幌学院大学の松本伊智朗教授は、日本の貧困の三つの特徴を指摘しています。
第一に、貧困な子どもの割合がOEDCDの加盟15カ国の平均10.2%に対し、日本は15.3%と先進国で二番目に貧困率の高い国であること。
第二に一人親世帯、とりわけ母子世帯の貧困率が突出していること
第三に、社会保障・税での所得再分配後に貧困率が増大していること、つまり重い税金を取られるのに、社会保障給付が貧弱なために、貧困でない層との格差が却って拡大してしまうという驚くべき特徴も指摘されています。
そこで私は、この地域でも実際に貧困が広がっていることに、しっかり目を向けなければならないのではないかと思うのであります。
小学校で、家庭での食事が十分でないために、おなかを空かせて登校する子、給食で栄養をとっている状態の子がいることは知られてきました。
ある学校では、お父さんが失業した低学年の子が「うぢ、おがねねえなやの」と口癖のように呟いているそうです。
また、母子家庭のお母さんがコンビニの仕事で午前1時頃に帰ってくるまで、一人で待っている中学生もいます。
低学力で高卒後の仕事にも希望ももてず、更に勉強の意欲を無くしてしまう子も少なくないといいます。
不登校の問題では、数多くの相談にあたっている民間の専門家の方によれば、「学力エリート層とともに、貧困層での発生が高い」として、「貧困層では、不登校の親自身も不登校や虐待を経験した方も多く、貧困の連鎖が実感される」と話しておられました。
一人親世帯、生活保護、児童扶養手当受給など、行政の資料からも貧困の広がりの一端を読み取ることができるように思います。
いくつか例示しましたが、第一に伺いたいのは、当局が子どもの貧困問題をどのように把握されているか、学校で、子育て支援行政全体でどのように把握されているのか、解決すべき課題と考えておられるのか、現状認識を伺います。
第二に、貧困への対策の問題です。
必要な対策は総合的・系統的なものであり、「市未来子育て環境計画」にも、様々必要な対策が挙げられていますが、同時に、経済的負担の軽減が最も重要な課題であることは明らかです。
経済的負担の軽減が最も重要な課題であることは明らかです。
それは、日本の大半の子育て世帯に対して必要なことですが、抜本的・全体的な拡充は、まずもって国の責任として、それから県の施策としておこなわれるべきであります。
今回提起したいのは、緊急な課題として、最も困難な層、貧困な層に対して、市独自の支援策を拡充するということです。
これも挙げればきりがありませんが、今回は市独自に可能な施策として二つだけ提案し見解を伺います。
第一は、学童保育での保育料軽減の充実です。
経済的に困難な家庭に対して各学童ごとに独自の施策をおこなっているようですが、市独自の施策としては、市民税非課税世帯に対して月額2千円の軽減措置だけになっています。
こうした家庭では、一旦学童に入所しても保育料が払えず退所したり、退所しないまでも滞納に陥る家庭もまれではありません。
そこで、この世帯への軽減措置の充実、それ以外の所得の世帯への軽減措置の拡大をおこなうべきだと考えますが、見解を伺います。
もう一つは、父子世帯に対する支援です。
父子世帯は所得の面では、全体としては母子より高いとは言うものの、二人親世帯よりは低く、母子世帯と同程度の父子世帯でも相当の割合を占めていますが、そこに対する施策は殆ど無きに等しいものとなっています。
ところで本市では、温海地域に旧町時代からの遺児扶養手当があります。
両親又は父若しくは母のいない世帯で中学3年生までの子どもをもつ世帯を対象に手当を支給する者で、実際には、児童扶養手当に準じて、主に父子世帯を支援する役割を果たしているようです。
この施策は、非常に優れたものと思います。
これを生かして、全市の父子世帯に対する経済的支援を実施すべきと考えますがいかがでしょうか。
健康福祉部長 子どもの貧困についてのご質問でございます。
始めに、子育て家庭における経済問題の子ども達への影響をどう認識しているかという
現在の急激な経済低迷、産業構造の変化の中で安定した仕事につけないということで、仕事と生活の間で問題を抱える方が多く見られるというふうになってきています。
子どもと家庭を取り巻く環境というのは、こうした経済情勢ばかりではなくて、急激な少子化、都市課、情報化、核家族の振興、共働き家庭の増加、親の子育て感や、ライフスタイルの多様化など、あらゆる免で変化をしてきていまして、子どもの生活環境や親の養育意識などに大きな変化が起こっていると感じている。
子育て、育児相談の内容を見ても、育児に不安や困難を感じている親世代が確実に増加をしておりまして、深刻な問題であり、子どもの成長に大きな影響を及ぼすということを懸念している。
こういう状況ではございますが、本市の優れた資源、環境などを活かして、これからも子どもの健全育成が図られるよう各種子育て支援を推進していきたいと考えているところです。
具体的な取り組みについて、二点のご質問。
一つ、学童保育に対する利用料減免ということですが、市内の学童保育は運営形態が様々で、鶴岡地域地域が民設民営、温海地域が公設民営、その他の地域が公設公営ということになっている。
各学童保育所の保育料については、民設民営である鶴岡地域の学童保育所は、運営委員会等の各運営主体で設定し、その他の地域においては市で設定している。
現在、所得に応じた保育料を設定しているのは藤島地域のみで、他の地域については基本的に一律の金額ということになっている。
軽減措置としては、民間施設では各施設で、公設の施設については地域ごとにそれぞれ規定しておりまして、兄弟二人目の半額であるとか、母子家庭については7割程度に軽減するというような軽減策が講じられている。
その他、ご紹介ございました、市単独の軽減措置として、住民税非課税世帯に対して、月額2千円の助成というようなこともおこなっている。
こういう状態でございますが、現在、公営、民営混在する中で、市内の学童の保育料や減免措置が統一されていないという状態でございますが、各施設の保育料の均衡ということに配慮しながら、低所得者への保育料の軽減と言うことについて、検討を進めて参りたいと考えている。
二点目の父子家庭の支援の充実ということですが、例えば、18才未満の子を養育している家庭への児童手当とか、貸付金といった経済的支援については、母子家庭のみが対象と、法律的にはされているところですが、これは就業や収入の面で母子家庭が父子家庭より劣悪な状況におかれていることが多いためとされています。
しかし父子家庭におきましては、実際に厳しい経済情勢の中で生活しているケースもあるというように思われますから、児童扶養手当の父子家庭の手当の拡充については、本市としては重要要望として、国県に働きかけているところでありますし、県や全国市長会でも国に対して要望している。
現在、父子家庭の支援と言うことでは、県の事業の一人親家庭生活支援派遣事業という制度がございまして、親が病気や出張などによって家事をすることが困難な場合に家庭生活支援員を派遣して、家事や育児の手助けをするというもの。また、一人親家庭への本市の新しい支援策としては、親が仕事などで夜間の養育ができないと言うときに、その子どもを預かる子育て短期支援事業を拡充するということで、一人親家庭に限定して時間単位での一時預かりを追加をしていきたいというようなことも考えております。
いずれにしても、議員からお話もありましたが、個人に対しての生活保障的な直接給付と言うことは、国がおこなうべきものだと考えておりまして、生活保障的なことに関しては全国市長会等を通して国に要望して参りたいと考えておりますので、宜しくご理解いただけますようお願い致します。
教育長 子どもの貧困に対する認識ということだが、一般的には、子どもの家庭の経済状態が大きく変化したりあるいは家族の中の人間関係が突然変化したり、また友達との関係が崩れたりと、こういう時に子どもたちは、精神的な安定を欠き、学習に集中して取り組めなくなったり、不登校傾向を示したり、時には問題行動に走ったりと言うふうにしがち。
現在の厳しい経済状況下では、家庭環境が大きく変化することにより、子どもたちの心の安定が損なわれるということは予想されるため、子どもたちへのきめ細やかな気配りがより必要になると考えている。
このため、先月開催された校長会において、各学校すべての教職員が、今まで以上に子ども達の変化に目を配るよう徹底を指示した。
また12月の定例会でも応えたが、就学援助申請をおこなう家庭が少しずつ増えてきているということもありますので、教育委員会としては、各学校が民生委員と連絡を密にして、必要な家庭には、就学援助等の支援が諮られようして参りたいと思いますのでご理解をお願いします。
関 市の総合計画では、「一人一人がいきいきと健やかに暮らすことができる健康福祉社会を形成する」「未来を担う子どもたちがよりよい環境のもとでいきいきと育つ地域社会をつくる」こうしたことを掲げています。
その条件にかける世帯があるとすれば、そういう条件のもとにおかれる子どもがあるとすれば、これは経済的支援が基本的には国の施策だということであっても、どうしても耐え難い状態の世帯に対する市独自の施策というものは欠かさないでもらいたい。
教育長の方からは、現下の経済情勢のもとで、更に十分な目配りをされるよう
是非そういう立場で、経済、雇用の問題というのは、教育行政や健康福祉行政の課題にはあまりならない訳だが、子どもにその被害が及ばないように是非目配りを徹底して頂くということを強く求めて終わりたい。