3月21日(木)鶴岡市議会3月定例会で私がおこなった、市長提案の予算議案等に対する反対討論の全文を掲載します。
少々長いものですが、H25年度の市の事業全般に関する日本共産党市議団の見解の要旨ですので、ざっと眺めて頂ければ幸いです。
提案されています議案の内、一般会計予算及び国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険の3特別会計予算、議第34号(いずみ保育園を廃止する条例)、33号(国保税を引き上げる条例)、42号(西郷地区に設置する下水道に受益者負担を課す条例)に日本共産党市議団を代表して反対の討論を行います。
投機による株価上昇などを挙げてマスコミが期待をあおるアベノミクスは、無制限の規制緩和、公共事業のばらまき、大企業応援の成長戦略など、過去におこなわれ破綻したものであり、その道に本市の希望が持てないことは明瞭であります。
こうしたもとでの本市25年度予算案は、合併後八年目、榎本市長の任期最終年度の予算でありますが、行財政改革による市民負担増とサービス削減が引き続き進められることが計画されています。
まず市非常勤職員の問題では、学校図書職員、公民館職員等、専門性があり、臨時的ではない職種まで、短期での任用打ち切りが強められています。
本人の不利益であることはもちろん、結局市民サービスの低下をもたらすものであり、処遇の改善とともに、適切な正職員化が求められます。
国が地方公務員の人件費にかかる交付金を一方的に削減したことは、地方自治体に理不尽に介入して賃下げを強要するものであり、市が全国市長会の一員として遺憾の意思を示したことは当然であります。
職員体制については、地域主権改革によって自治体の事務量が増大する中、必要な人員体制を確保するための特段の努力を求めるものです。
市立泉幼稚園が廃園とされれば、市立は西郷を残すのみとなります。今となっては廃園に強い反対意見は出なかったということですが、公立保育園の役割についての議論が不十分なままに、市立幼稚園を無くしてきたこれまでの流れには同意できません。
保育園では、統合改築され民営化される朝日保育園が開園します。指定管理は昨年12月に既に議決されていますが、あくまでも市立の保育園として、役割を果たしていくことが求められます。
かつて当局は「保育園は民間委託で正職員が増え体制が充実する」と主張していましたが、現在では、民間への移行時に臨時職員の正職員化を図るという市の努力は全く無くなっており、ともかく安上がりを追求しようという姿勢が浮き彫りになっています。
子どもの医療費軽減制度は、県内でも外来も含めた無料化の対象年齢引き上げが進んでいます。
第三子の幼稚園保育園利用料が無料化されることは一つの子育て支援策ですが、医療費無料制度は、命と健康に直接関わり、対象者も多い制度として特段の重要性があり、少子化対策としても優位性があることを指摘しておきたいと思います。
高すぎる国保税は、払いたくても払えない滞納者を増大させ、滞納と国保財政悪化の悪循環となっています。
国民皆保険制度の中で国保は、低所得者を受け止める役割を負わされていることから、国が国庫負担を抜本的に拡大することが求められていますが、今打ち出されている財政基盤強化策・低所得者支援策等は、極めて限定的なものであり、それどころか、財政運営の都道府県単位化では、市町村の負担を増やすとともに、医療費削減競争を進めることが狙われています。
本市が一般会計から国保財政への繰り入れに踏み出したことは評価するものですが、提案されている一人平均年10580円、14.3%の増税は負担の限界を超えており、もう一段の投入をおこなって負担軽減を図るべきと考えます。
後期高齢者医療制度は、高齢者差別の制度であり、制度廃止が求められています。行政としても制度の本質を認識して発言していくべきです。
創設から12年となる介護保険制度は、社会保障改悪の理念を先駆ける制度として、お金が無ければ十分なサービスが受けられないという矛盾を拡大しています。本市でも、経済力にかかわらず誰でも入所できる施設である特別養護老人ホームの増設は喫緊の課題です。1200人を超える入所待機者の切実な声に応える、大幅な増設が図られないことは大きな問題です。
下水道受益者負担金について。「下水道導入で先行利益があり、土地の価値が上がる」という理由で導入されたものですが、現在では実態の伴わないものであり、受益者負担金はやめて使用料でまかなうべきです。
本市産業の基盤である農業では、大規模農家育成と中小の農家切り捨てが国策となっています。個別所得補償制度はあるものの生計を賄うだけの農業所得の確保は困難であり、所得補償・価格保障を軸に作り続け暮らし続けられる農政へ、国にもしっかり発言していく立場が求められます。
TPP参加阻止は、本市の農業と地域経済を守るための重大課題であり、市の姿勢は評価しつつ、全力を挙げて取り組んでいくことを改めて強く求めます。
旧町村の多様な資源と地域の特性を生かすための地域活性化事業では、位置づけに相応しい進展はなかなか見られません。十分な予算、庁舎の体制と権限の拡大が必要であり、行革が庁舎の機能を後退させることについては強く警鐘をならすものです。
慶応大先端生命科学研究及びその関連事業には、(先端研支援3億5124万円、先端研産業支援センター1億1103万円、新産業創出地域基盤1275万円など)4億7500万円の予算が投入されます。当局は近年になって、「先端研プロジェクトは若い人材の流入・定着を目指した学術文化、教育、産業など多面的観点からの戦略的振興策」などと主張していますが、先端研誘致と支援開始の理由は産業振興と雇用拡大であり、市民の注目もそこにあります。
これまでさまざまな研究成果は発表されてきたものの、量産化に至り、多くの市民に働く場を提供した事業は生まれていません。
ガンコホート健診、高校生の研究活動などそれ自体は意義有るものですが、市税投入額に見合ったものとは到底言えないのであります。
研究成果を活かすための研究会・ネットワークづくりなどがおこなわれていますが、世界最先端の研究と、本市の地場企業との結びつきは限られたものにならざるを得ません。
研究自体は、人類の進歩に貢献するものとして大きな意義を認め敬意を表するものでありますが、その支援は国家的におこなわれるべきものであり、本市が産業振興と雇用拡大効果に見合わない、身の丈を超えた支援を続けることは無理があると改めて指摘し、反対するものです。
食文化創造都市の推進、再生可能エネルギー利活用などは、地域の資源と人を活かそうという方向性に基づく取り組みであり、農業、地元商工業と結合して産業活性化が図られることを期待します。
住宅リフォーム制度の充実、緊急雇用対策に市独自に資金を上乗せすることなどは、深刻な不況のもとでの市民の切実な要求に応えるものです。
東日本大震災復興支援の職員派遣等の取り組みも、被災地への市民の思いを汲んだ重要な事業です。
以上、特に問題とする点に限り、又特に注目する点に限り取り上げました。
当局は、行革による経費削減効果や地方交付税特例期間、合併特例債などをもって「合併効果」と謳っている訳でありますが、職員・事務事業等の削減は、旧町村を始めとして市民に多大な負担をもたらしています。
交付税特例は、「合併前と同様で減っていない」ことに過ぎず、合併15年後までの38億円減少がゴールです。
特例債は有利な起債ではありますが、3割の借金を増やすものであって、過大な建設事業の呼び水にならないよう、活用には慎重な計画の立案を要するものです。
このように、合併については地方交付税38億円減少という15年後のあり方と、それに向けて現在発生している行革の矛盾を直視した、正しい総括こそが求められます。
市長は市政の役割として、「そこに住む人々に安全・安心な生活の場を提供し、これからも誇りを持って住み続けたいと思う地域社会をつくることである」と述べています。
合併の選択、民営化万能論、受益者負担主義など、国の構造改革改革を受け容れる市政は、スローガンとの矛盾をきたさざるを得ません。
日本共産党市議団は、こうした市政の問題点を正し、切実な市民要求実現に引き続き全力を尽くしていく決意であることを申し上げて、反対討論とします。
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