介護業界最大手のコムスンが、架空の事業所の責任者やヘルパーの名前を書いて申請し、介護報酬をだまし取った問題は、介護保険制度の根本を問う大事件です。
コムスンはこれまでも同様の問題をおこしてきましたが、摘発される寸前に当該の事業所を閉鎖することによって処罰を逃れるという、脱法行為を繰り返してきました。
1997年に法律が制定され、2000年に施行された介護保険制度は、本来、国の責任で行われるべき(それまで、貧弱ではあっても基本的にそう行われてきた)介護を民間企業に市場として解放しようとするもので、しかも、国が費用の50%を負担していたものを25%に縮小し、代わりに国民から介護保険料を徴収するというものでした。
当時、私は医療労働組合の役員、地域の労働組合の共闘組織の役員として、法案に反対する運動に取り組みましたが、政党としてこの法案の問題点を正確に指摘し、関係者と共にたたかったのは日本共産党でした。
一方、この法案については、自民党はもちろん、当時厚生大臣を勤めた菅直人氏(その後、民主党党首)など「介護の社会化」などとして推進した政党・政治家の責任は重大です。
制度が開始されると、鳴り物入りで参入してきたのが今回問題となったコムスンでした。私たちは、「ディスコが介護にやってきた」とあきれながら問題にしたものでしたが、介護が営利資本の儲けの場になったということを表す出来事の一つでした。
今回の問題で、コムスンの事業を引き継ぐという企業が次々と名乗りを上げていますが、有力企業は、外食チェーン、大手居酒屋チェーンなどです。
「どんだけ?」。と言いたくなりますね。
ところで、鶴岡市にはコムスンの事業所はありません。一時期開設されたようですがその後無くなったようです。
鶴岡の介護では、医療生協を始めとして、農協、社会福祉協議会などの非営利セクターが大きな位置を占めています。市民と結びついたこういう事業があれば、儲け目的の事業の参入の余地は制限されると言うことだと思います。大変心強いことです。
私は、今年の3月市議会厚生文教常任委員会で、「介護サービスの質の確保の問題」を取り上げましたが、コムスンの無い鶴岡市であっても、引き続き重要な課題として追求していきたいと思います。