平日にお休みをいただいて、上野の東京都美術館に「マティス展」(HENRI MATISSE: The Path to Color) を見に行ってまいりました。
ポスターのメインビジュアルは「赤の大きな室内」(1948) マティスらしい作品です。
モダンアートが好きで、マティスが好きなので楽しみにしていた展覧会です。赤を基調にした明るい色彩。ポップでデザイン性があるところ。私は食卓の風景が好きなので、マティスの室内画にも心惹かれます。
本展は、パリのポンピドゥーセンターのコレクションを中心に、地下1階~2階と3フロアにわたって展示され、各フロアがそれぞれ違った趣向となっていて、いろいろな角度からマティスの魅力が堪能できました。
読書する女性 (1895)
初期の作品の中では「自画像」(1900) と、この作品が特に心に残りました。穏やかな内省的な写実画に、これがマティス?!と新鮮な驚きを感じました。描かれている女性は、マティスの当時のパートナーだそうです。
パイプをくわえた自画像 (1919)
1階の展示室は、マティスの全盛期の作品の数々で、すべて写真撮影が可能でした。
私の心をとらえたのがこの素描。画材は墨とありましたが、黒いチョークのようなものでしょうか。ラフな線がいい味わいになっています。眼鏡の感じが玉村豊男さんに似ていると思いました。^^
赤いキュロットのオダリスク (1921)
このオダリスクのシリーズは、ポーラ美術館のマティス展で見た記憶があります。イスラム風の衣装を着たモデルが、長椅子でポーズを取り、エキゾティシズムたっぷりの作品です。背景もイスラム風。いつものマティス・レッドとは違う、臙脂(えんじ)色がすてきです。
緑色の食器戸棚と静物 (1928)
ちょっぴりセザンヌ風だな、と思いながら見ていました。マティスの室内画は、描かれる食器もすてきです。
夢 (1935)
まるで映画のワンシーンのようで、ひと目見て引き込まれました。描かれているのは、マティスの最期までそばで支えたアシスタントであり、モデルを務めた女性で、画家との信頼関係の中で安心した表情を浮かべています。
黄色と青の室内 (1946)
マティスといえば赤のイメージがありますが、黄と青のこの作品もすてきだなーとパチリ。
マグノリアのある静物 (1941)
最初はクチナシかと思ったら、マグノリア (タイサンボク) でした。アメリカの南部を代表する懐かしくも大好きな花に思わずパチリ。おそらくマティスが晩年をすごした南仏ヴァンスと植生が同じなのでしょうね。
芸術・文学雑誌「ヴェルヴ」の表紙
マティスらしい切り絵を使った雑誌の表紙デザイン。ポップで動きがあって楽しくて、見ているだけで元気になります。
2階は、マティスが最晩年に手掛けたヴァンスのロザリア礼拝堂を、取り上げていますした。白くてモダン、陽当たりよく、こじんまりとした愛らしい礼拝堂でした。教会には必ずあるイエスの誕生の物語も、マティスの手にかかると、漫画チックでかわいらしい。
中でも私が心を打たれたのは、ステンドガラスのブルーとイエローが反射して、時の経過とともに色が変化していくキャンドルです。心が洗われる清らかな空間でした。