@「騙し」「嵌められる」は人生最悪となる、その短編がここにある。誰でも「騙される」「嵌められる」は特に純情で、正直者は損をするという気持ち以上に人生・社会を逆行するかもしれない。騙す側の立場と、騙される側の立場は天と地の違い以上のものがあり、騙す方は冗談半分でも、騙された方はそうは思わない。この差は人によって一生憎まれることも生じるかもしれない。近年は顔を見ないで騙す、嵌められる、SNS/Twitterは要注意だ。単純で抽象的な批判・意見投稿から騙され、嵌められることから言葉のやり取り(送信テキスト)には相手の顔(感情)が見えないからこそ要注意が必要だ。(あまりにも短いテキストは誤解を招く原因にもなりかねない。)
『暗殺の年輪』藤沢周平
- 海坂藩士・葛西馨之介は周囲が向ける愍笑の眼をある時期から感じていた。18年前の父の横死と関係があるらしい。久しぶりに同門の貝沼金吾に誘われ屋敷へ行くと、待っていた藩重役から、中老暗殺を引き受けろと言われる―武士の非情な掟の世界を、端正な文体と緻密な構成で描いた直木賞受賞作と他4篇。
- 「黒い縄」
- 純情な男が罠に嵌められ妾女殺人犯として追われる身となる。それは元岡っ引きが仕組んだ事件だった。犯人はその元岡っ引きで自分の犯行をその時付き合い始めた純情な男に負わせ証拠隠滅のため殺害することだった。妾女はその岡っ引きが現役の時からの仲で妾女から純情な男と一緒になることで 別れを言われた時から殺害を企んでいた。結末は、犯人はその元岡っ引きだと判った時、純情な男はいくら事情証拠を訴えても岡っ引き相手では勝ち目がないと悟り江戸を去ることを決断。だがそこに待ち合わせ捕物格闘の末、純情な男が勝ち、元岡っ引きは死体となる。実質純情な男はついに殺人犯になり逃亡する。恋心で一緒に逃げるはずだった娘に「あっしはもう追われる身だ。悲しい目に合わしてしまった。勘弁しておくんなさい。」と一人江戸を去る。
- 「暗殺の年輪」
- 闇に包まれた父の死、更に母の噂。馨之介はある時家老からの話で中老を暗殺することを頼まれる。父を知る知り合いと中老の中間から話を聞き、父はその中老を暗殺することを頼まれ失敗、父は家老の忠臣に殺害され、その失敗の所為で母が馨之介の命を助けるべく中老に身を捧げて命乞いをしたことを知った。馨之介は家老からの話を受けて暗殺を試みるが、そこに恋ごろを許す娘が通り、助太刀は来ないと知り、一人で実行する。暗殺を実行した直後、助太刀と思われた家老の家臣が馨之介を殺すために出没、すべて家老の仕業だと悟り逃げることしかできなかった。
- 「ただ一撃」
- 仕官を望む浪人が城下の腕利き四人を滅多打ちにすると、城主は恨みを持ち、なんとか侮辱を晴らすべく更にもう一番勝負をさせることにする。その一番に抜擢されたのが隠居していた60を過ぎた元兵法機能者であった。城主の指名であれば断れず、負ければ城主の面目を潰され家族にも犠牲があることを判った上で引き受けた。10日間で昔の技(獣のような)を蘇らせ試合に挑んだ。勝負はただの一撃で決まり、勝利した。だが、勝負の前日婿嫁を手玉により獣のように犯したことで嫁は初めてその境地を知り、恥じて自殺してしまった。幸い子供ができなかったことを理由にその後婿は新たな嫁を迎えた。
- その他「溟い海」「囮」