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「情け」に惚れる『刺客』

2019-07-27 07:57:16 | 人生を「生かす」には

@人間の恨みはいつかは爆発する。この小説では次期藩主に抜擢されなかった恨みを藩主に向け謀反する計画だ。それを阻止する脱藩した藩士の活躍とその支援をする女頭領佐知の男と女の絡みが何とも可憐であり小説に吸い込まれていく魅力がある。現代風に言うならば、仕事一途で有能な男性が、優秀なキャリアウーマンの女性に出会い、一緒に仕事をすることになる。仕事とオフはしっかり切り分け付き合い始めるが、いつの間にか親しみを感じ、情けに惚れ分かち合うようになる。だが社会の仕組みはそれを許さない、それは男性には妻子が・・・・という感じなのか。 「情け」は女性より男性の方が流されやすいのかも知れない。(情けが敵)

『刺客』藤沢周平

  • お家乗っ取りを策謀する黒幕(志摩守、隠居後は寿庵保方、次期藩主として候補になったが、藩主に選ばれなかった。それはその母の素性が卑しかったとのこと=死罪人の娘、苛む癖)のもとから、五人の刺客が江戸に放たれた。家中屋敷の奥まで忍びこんで、藩士の非違をさぐる陰の集団「嗅足組」(全員が女性で一六名、江戸に残ったのは十一名)を抹殺するためにである。身を挺して危難を救ってくれた女頭領佐知の命が危いと知った青江又八郎は三度び脱藩、用心棒稼業を続けながら、敵と対決するが…。好漢又八郎の凄絶な闘いと、佐知との交情を描く、代表作『用心棒シリーズ』第三編。
  • ストーリー:「陰の頭領」・「再開」・「番場町別宅」・「襲撃」・「梅雨の音」・「隠れ蓑」・「薄ぐれの決闘」・「黒幕の死」
  • 黒幕の目的は、次期藩主に選ばれなかった事を恨み、政権を取り戻し、自らが藩主になる事だった。その為には藩からの忍び「嗅足組」を根こそぎ殺し、江戸からの情報を差し止め、江戸家老と結託する事。その江戸では寺院や武家に貸し付けた金貸で設けた大金1万両を藩に戻し軍資金として謀反を起こす事だった。藩では一部の金が筆頭家老およびその周りの家臣らにばら撒かれており、いよいよ黒幕の仕組んだ藩主の宴席で毒殺することになった。それを察知した中老および又八郎らはそれを阻止しようと現藩主に賛同する家臣を宴席で待機させ、毒味の合図をきっかけに乱闘する事であった。
  • 又八郎は江戸に詰めた時には盗人に全財産を盗まれ、用心棒で生計を立てるしかなく、その間黒幕からの五人の刺客を「嗅足組」が皆殺しになる前に殺害し、企てを阻止する事であった。その中で昔助けた頭領佐知、中老の娘、が又八郎と協力してその陰謀を阻止することになる。 最後の仕事を終えた又八郎は地元に帰還することになるが、二人は離れ難く、情に傾く。