@男には女ごころが読めない。それは女が求める結婚相手に迷い迷うことがあるからだ。名誉・地位か、経験豊かで金持ち、だが女たらしで少々荒い性格か、それとも貧相だが若い将来の夢を持った人か、の選択を迫った時だ。この小説はその選択肢を絶妙に捉えた「女ごころ」をミステリーとして書き上げている。「乗るか反るかはやってみること」と括る。
「良かれと思ったことが裏目に出る」、人生長く生きていれば1度や2度そんな場面に誰もが遭遇する。だが、哀れみ(情け)を掛けられることは誰もが心地良いとは思わないことも知っておく必要がある。生まれながらの人の人生に「お節介」は無用の場合がある。
『女ごころ』W・サマーセット・モーム
「概要」若く美しい、不幸な未亡人メアリーに新たに昔から見守ってくれた男、申し分のない英国紳士エドガーがいる。ある日、ふと知り合った、亡命者の青年にメアリーは情けをかけるが、本物の「恋」と思った青年はピストル自殺を遂げてしまう。彼女がその時頼ったのは「ならず者」と呼ばれる男であった。
ー愛した夫が事故で亡くなり、もう人を愛せないと悟るがその若さの美貌が周りを許さない。3人の男性がメアリーに近づく。昔からの父の友人、将来知事的地位を約束された年配男からプロポーズされる。ある日、パーティーで知り合った女たらしの男性と、もう一人国を追われた若い貧相な演奏者とも顔見知りになる。
ー女たらしの男性とは気軽さもあり打ち解けるが断固結婚相手になる人物ではないと悟る。
ー家に帰る途中、演奏をした若い貧相な男に哀れみを覚え親切に家に招待する。食事を用意し、ダンスをしたことで貧相の男が「男性」に変貌、夢にまで見た幸せを逃したくないとメアリーに迫った。だがここで事件が起こる。プロポーズされた男から渡されたピストルで貧相な男が自殺、後処理に女たらしの男に貧相な男の遺体処理を相談してしまう。
ーメアリーはプロポーズされた男に事件の全貌を話すと「汚れた過去」は将来重大な過失となるからとメアリーを捨て去った。そこに女たらしの男が再び現れ結婚しようと声を掛けると、メアリーは「あたしと結婚をお望みなら・・。でもあたしたちの場合、乗るか反るかの冒険ですわ」と言うと、男は「ねえ、メアリーさん、それでこそ人生ですよ。 乗るか反るかやってみるのが」と。
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