@自分の死後、自分の想い出をいつまでも語ってくれる仲間、それには生前から仲の良い印象を深める事だ。で、自殺願望していた「いそさん」を引き留め、自分と一緒に暮らし居候させる。
なかなか粋な生き様だ。史上に遺る人物とは違い、何の謂れもない人の「想い出」を後世に伝えるにはこんな生き方もある、と言うことだ。現代ではネット上に様々な文章、写真が残り多分永劫的に誰もが見る、読むことが可能だ、もちろん家族も。 遺言は書面のものだけではなく誰もがその人の良き時代の記憶を辿れるように作っておくのも粋な生き様になる。
『いそさん』米村圭伍
「概要」質屋「高見屋」の若旦那・清次郎は、ある夜、身投げをしかけた男を連れ帰り、そのまま居候させた。周囲の戸惑いをよそに、男の素性を一切明かさずただ“いそさん”と呼ぶように申しつける清次郎。やがて男を従え、親しい人を訪ねては奇妙な行動を取り始める。清次郎の魂胆、いそさんの正体、二人が密かに交わした契約とは…?
ー寄席の小娘夕花に一目惚れ。やがて寄席に出る夕花に昇進のために高価な三味線まで贈り無一文になる。そんな時江戸奉行の新たな捕物、寄席が法度により一座が捕らえられると、「いそさん」は自殺を試みる。ところがどこからか若旦那に止められ条件付きで若旦那に付き合う羽目になる。
ー実は若旦那には慣れ親しい仲間もなく、一緒に戯れる仲間もいない中で余命を悟っていた。その条件は、若旦那と死ぬまで突き合わせ、娘義太夫を思ったことを若旦那の生きている間に「皆に忘れられないように」存在感を植え付けることだった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます