東映チャンネルの今月のOAで拾った作品
現代やくざシリーズの第六作で最終作でもある
なんと石松愛弘の脚本を手直ししつつ深作監督が、降旗康男や中島貞夫と“名匠”が
いわゆる任侠着流し路線からの受け継いだきたやくざという人物像をなんとか壊して行こうってして
菅原文太を起用して新しいやくざ像を作り上げてきた”現代やくざ“シリーズを第六作で深作欣二さんがそんな綺麗事ではやくざは描けないだろうって完全に東映任侠映画を壊して見せた作品であり
そうよく言われてることだけど手持ちカメラでさらに臨場感を出すために現場ではライトを使わずに自然光で人物に影を与えてフィルムのザラ付きというおまけ付きで
この一年後にあの「仁義なき戦い」シリーズへの橋渡し的な存在になった作品でもある
したがって菅原文太のモノローグにで映画は進行していくのだが、この映画での主人公は明かに今までの“現代やくざ”シリーズで描かれてきた人物像とは違って明らかに己の欲望のためだけに生き、それが立ち行かない時には苛立ちその苛立ちを暴力によって解消しようとする
しかしその暴力もいわゆる抑えられるとさらに苛立ちっていうような
そんな主人公の内面を表現する文太さんが実にいい
ある意味今で売れずにきてた己の俳優人生の恨み辛み遠一気に爆発させたのと
深作欣二監督のカメラワークによる演出とがピッタリとはまったっていう作品でしょうね
これで一応現代やくざシリーズは終了するものの
深作欣二+菅原文太でのこのコンビはさらに人斬り与太シリーズとして
この作品でなんと文太さんをも喰って見せた三谷昇さんを続投させて
また裸もレイプシーンも厭わなかった渚まゆみさんまで続投での「人斬り与太 狂犬三兄弟」なる作品まで作られる羽目に
今作での文太さんは本当に俳優人生での鬱憤をこの映画で完全に晴らして見せて名実ともに名優となり
さらに「仁義なき戦い」で不動の地位を得ることになるんですよね
新東宝から松竹に移籍して不遇の時代を生きてる時に安藤昇さんから東映に来ないかって誘われて
東映でも不遇の俳優人生を歩んでいたのがこの映画で一気に爆発したって言える
そんな彼の鬱屈を解放したのが深作さんだったのね
っていうことで安藤昇も古いやつでござんす的な役で出演されてるのもなんとも・・・
1972年製作、日本映画、東映作品
深作欣二共同脚本・監督作品
出演:菅原文太、待田京介、渚まゆみ、小池朝雄、内田朝雄、地井武男、諸角啓二郎、八名信夫、室田日出男、三谷昇、藤山浩二、藤里まゆみ、小林稔侍、小林千枝、河合絃司、伊達弘、久保一、木川哲也、花田達、土山登志幸、太古八郎、高月忠、五野上力、城春樹、須賀良、谷本小夜子、清水照夫、城恵美、安藤昇
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