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加計問題・愕然とするしかなかった「前川新会見」の空疎な中身

2017-06-26 19:24:05 | マスコミ
加計問題・愕然とするしかなかった「前川新会見」の空疎な中身

マスコミよ、ツッコむ点は山ほどあるぞ

嘉悦大学教授 髙橋洋一

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52122


◇やっぱりマスコミは不勉強


 筆者はもう1ヵ月近くも加計学園問題について書いてきたが、ある人から、マスコミでも筆者と同じく、加計学園問題の発端が、獣医学部新設について門前払いをしてきた「文科省告示」にあることを指摘する人が出てきたと聞いた。やっとか、と思ったら、この現代ビジネスのコラムで、長谷川幸洋さんが書いたという。

筆者は長谷川さんの番組でこの問題を解説したこともあるが、まだこのことを指摘するのが長谷川さんだけなのか…マスコミは本当に不勉強だと驚いている。


加計学園問題はもういいだろう、また別のことについて書こうと思っていたところ、先週金曜日、前川氏が日本記者クラブで記者会見を行った。これについてマスコミが鋭い質問をしていたら、筆者が触れる必要もなかったのだが、相変わらずマスコミの質問にはまともなものがなかったので、本コラムでは、改めて先週の前川氏の記者会見と、マスコミが突っ込むべきだったポイントについてを示そう。


これまでの前川氏の記者会見に関して、挙証責任の話についての問題点は、5月29日付け本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51868)で記し、前川氏が部下の報告を無条件に信じ、文科省文書の内容が正しいとしていることについては、先週の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52049)にその問題点を書き、前川氏の発言は間違っていると指摘した(何度も繰り返すが、獣医学部新設に際して、その是非を考えるための獣医師の「需要見通し」については、新設の許認可を持っている文科省側が示す責任=挙証責任がある、ということだ)。



ところが、前川氏は先週新たに行った記者会見でも同じミスを繰り返していた。もっとも、さすがに、「挙証責任」に関しては質問が出ていた。それに対して、前川氏は、


「私は政府の中でどっちが挙証責任があるかという議論をするのは実は不毛ではないかと思っておりまして、やはり協力しながらお互いの持っている情報をつきあわせてどうするのがいいのかを考えるべきだと思っておりまして、何か裁判のように挙証できなかったら負けだとかですね、挙証責任を負わないほうが、正当性が推定されるんだとかいう論の立て方自体がですね、ちょっとおかしいんじゃないかと思っております」


と答えている。前の記者会見より随分ぼかしているが、それでもピント外れな答えだ。


この答え方は、これまで筆者が書いてきたように間違いであるが、改めてマスコミ諸子のために、挙証責任がなぜキーになるかを説明しておこう。



◇それでもシラを切るとは…


この問題の本質は、そもそも「文科省告示」の段階で、文科省が獣医学部の新設を認めず、門前払いしてきたことにある。役人の常識では、そもそも認可制度があるのに「門前払い」を行うのはマズいことであり、「新設を認めない」と告示することはほとんど違法といってもよい。


普通であれば、その告示自体を廃止して、新設についての資格要件を定めた告示を新たに出すところだ。ところが、行政スタイルが古い文科省はそれができずに、結局、新たな告示を出すこともできなかった。


結果、獣医学部新設に関する2015年6月30日の閣議決定において、獣医師の増加に対して需要があるかという「需要見通し」をはじめとする4条件を設け、この4条件を満たす場合は新設を認める(逆にいえば、満たせなければ新設の必要はない)というところに逃げ込んだ。


この経緯から見ても、4条件の挙証責任は、許認可を持っている文科省にあることは明らかだ。そうでなくても、許認可官庁が挙証責任をもつのは、いわば役人の常識である。そんなこともわからないなら、文科省の許認可はやめるべきと筆者が言ってきたのは、そうした意味である。


そして、挙証責任が文科省にあるならば、前川氏の「行政が歪められた」という発言はすべてその根拠を失い、崩れるのがわかるだろう。

ところが、前川氏はいまだに挙証責任についてはシラを切り続けている。そこで、本コラムでは誰でもわかる決定的な証拠を挙げよう。



特区に関しては、その諸手続を法律・閣議決定で定めている。その中でも「国家戦略特別区域基本方針」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/kihonhoushin.pdf)はその名の通り特区に関する基本であり、これは閣議決定されている。


その中の23ページで、

「規制所管府省庁がこれらの規制・制度改革が困難と判断する場合には、当該規制所管府省庁において正当な理由の説明を適切に行うこととする」

と書かれている。筆者から見れば、これは許認可をもつ規制官庁なら当然であるので、わざわざ書く必要もないことだと思っているが、国家戦略特区に関わる省庁には、文科省のような「非常識官庁」もあるために、念のために書いたのだろう。


前川氏も、この閣議決定を知らないとはいわないだろう。この閣議決定は安倍政権直後に行われたものなので、もし前川氏に異論があったなら、部下が交渉する前に、内閣府にそれを言っておく必要がある。



先週のコラムでも筆者が引用した「特区ワーキンググループ」では、閣議決定されたこの基本方針通り、獣医学部新設については文科省に挙証責任があるといっている。文科省官僚がそれに反論できなかったのは、この基本方針がある以上、当然である。

だからこそ、2015年6月30日の閣議決定にある「4条件」について、2016年3月31日までに文科省がその見通しを示せなかったら、そこで文科省の負けが決まり、議論終了だ、ということだ。


さすがに内閣府は、文科省の「泣き」を一度認めて、9月16日まで議論を引き伸ばしたのだが、結局文科省は何も変わらなかったので、そこまで、だったのである。




◇なぜこれが読み取れないのか


マスコミが話題にしている例の文科省文書は、それ以降に作られたものだ。だから、筆者から見れば、終戦になっているのに武装解除しない敗残兵の泣き言、言い訳にしかみえない。前川氏は、「官邸の萩生田副長官、和泉補佐官にせかされた」というが、決着はついた、つまり終戦したのだから「打ち方やめ」といっているだけだ。


どうして、終戦が決まってから、ありもしない「総理の意向」が出てくるのかということを、マスコミは質問しなければいけないが、それもできてはいない。まったく情けないものだ。

マスコミはこうした経緯を無視して、あたかもあの文科省文書が正しく、2016年9月下旬以降も文科省と内閣府で交渉が続いていたかのように報じ、そのなかで「総理の意向」があったに違いないと言っているが、ハッキリ言えば間違いだ。



新たに出てきたとされる萩生田副長官に関する文科省文書は、以上の経緯を知っていれば何も問題ないことが分かる。

つまり、萩生田副長官は、農水省の意向を文科省に伝えて、文科省が負けている、つまり終戦になっていることを知らせただけだ。つまり、農水省としては、新設を禁止すべき需供状況でないとしているが、文科省は需要見通しを2016年3月までに作らなかった。それが、「農水省は了解しているのに文科省だけがおじけづいている」という内容の意味だ。こんな簡単なことを報じられないようでは、マスコミはどうかしている。



筆者は、彼らは確信犯的に前川氏に加担していると思う。というのは、先週の前川氏の記者会見自体、マスコミ側が持ち込んで実施したもののようだからだ。その証拠に、司会者が冒頭のところで「(今回の会見は)日本記者クラブが前川さんに申し入れをしました」といっている。このため、マスコミから厳しい質問はほとんど飛ばず、前川氏の言いたい放題になっていた。



もっとも、いい質問もあった。

「今回問題になりました総理のご意向などと書かれた文書についてですけど、前川さんが報道機関に文書を流したとの指摘があります。これは前川さんが流したのでしょうか。また、前川さんは特区の選定過程で行政がゆがめられたと声をあげています。ただ一方で、前川さんが事務次官に就任した際に、文科省の歴代幹部が長年天下りをしていた実態を承知していたと思うんですけど、この時なぜ省内のゆがみについて声をあげなかったんでしょうか」

という質問だ。これに対して、


「まず、情報の流出元については、私はコメントいたしません。ということでご理解いただくしかありません。2つ目の質問は、私はちょっと意味が取れなかったんですが、天下りを承知していたのに自制しなかったのはなぜかというご質問ですか。私は天下りといいますか、今回の再就職規制違反の発端になった吉田局長の早稲田大学への再就職への経緯は、事務次官として人事課から報告を受けるまでは承知しておりませんでした。

また、その他の案件についても、違法な事例があるということはその時点では承知しておりませんでした。再就職等監視委員会の指摘を受けて改めて違法行為というものが明るみになって、その時点で私は違法行為についての認識をするに至ったということですから、知っていたのに是正しなかったというのは当たらないと考えております」


と前川氏は答えている。流出元については、自分ということを示唆したのかと邪推してしまった(笑)。




◇官僚失格…?



加えて天下りについては、前川氏の言葉で愕然とした。ご承知の通り、この天下り斡旋禁止を企画立案したのは、筆者である(第一次安倍政権政権時代のことである)。このため、筆者は霞ヶ関全部を敵に回したともいわれた。

天下り斡旋禁止は、霞ヶ関全体で天下りについてどのように対処するかと各省人事部局が集まり協議した「有名な法律」である。それまでの天下り規制とまったく異なっていたために、キャリア公務員で知らない人はまずいない。


そもそも官僚は法律の執行を行うのが仕事だ。それなのに天下り斡旋を禁止する法律を知らないというなら、官僚失格である。前川氏は、事務次官、文科審議官、官房長という人事で重要ポストを歴任しているので、知らなかったでは済まないはずだ。「知っていたが、必要悪としてやってしまった」というのが普通だろう。


記者会見では、「そんなの知らないはずないでしょ、知らなければ官僚失格のはず」とさらに追及すべきだった。



前川氏は、官僚失格またはトンでもないウソをついていることになる。この「または」は数学と同様で、官僚失格とウソつきを兼ねていることも排除していない。


ちなみに、前川氏が現役時代に行っていた違法行為は、文部科学省における再就職等問題に係る調査報告

(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/19/1382987_04.pdf)に詳しい。



この報告書では、50回程度、前川氏が登場しており、多くの事例において、前川氏が「法第106条の2第1項に規定する「地位に就かせることを目的として」「役職員であつた者に関する情報を提供した」ものと考えられる。」とされ、文科省天下り問題の中心人物であり、「天下りキング」ともいうべき人物である。



筆者は、本コラムにおいて、再三天下りと許認可の関係を指摘してきた。天下りに尽力する人は、許認可を厳しく運用する。前川氏はその典型人物である。

前川氏は「行政がゆがめられた」というが、天下りに好都合な行政を、内閣府によってゆがめられてしまったという意味ではないか。内閣府のほうが、文科省のゆがんだ行政を正して、天下りをなくそうとしているはずなのだが。どうも、マスコミは間違った報道ばかりをしているようだ。


2017.6.26

















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吉田清治氏の慰安婦謝罪碑書き換え 韓国警察が元自衛官の奥茂治氏を出国禁止 損壊容疑で取り調べ

2017-06-26 12:44:01 | 歴史
吉田清治氏の慰安婦謝罪碑書き換え 韓国警察が元自衛官の奥茂治氏を出国禁止 損壊容疑で取り調べ


http://www.sankei.com/world/news/170626/wor1706260007-n1.html


朝鮮半島で女性を強制連行したと偽証した故吉田清治氏が韓国の国立墓地に建立した謝罪碑を勝手に書き換えたとして、韓国警察が元自衛官の奥茂治氏(69)を一時拘束していたことが25日、分かった。奥氏は拘束を解かれたが、出国禁止措置が取られているという。


 奥氏によると、24日午後、仁川(インチョン)国際空港に到着したところ、捜査員に手錠をかけられ、中部の忠清南道(チュンチョンナムド)天安(チョナン)市の警察署に連行された。容疑は公用物損壊や不法侵入の疑いだと告げられたという。取り調べで、奥氏が碑文の書き換えの事実については認めたため、25日未明に拘束を解かれ、現在は市内のホテルで待機している。今後、検察が在宅で取り調べを行う見通し。


 吉田氏は、慰安婦らを「奴隷狩り」のように強制連行した張本人だと名乗り出て、朝日新聞が1980~90年代初頭に紙面で集中的に取り上げた。83年には、著書の印税で天安市の国立墓地「望郷の丘」に「あなたは日本の侵略戦争のために徴用され、強制連行されて…」と記した謝罪碑を建立していた。


朝日新聞は2014年、吉田証言を「虚偽」と判断し、関連記事を取り消した。吉田氏の長男が「父の虚偽で日韓両国民が対立することに耐えられない」「間違いを正せるのは私しかいない」として、謝罪碑の撤去を奥氏に相談。奥氏は今年3月、撤去する代わりに、元の碑文の上に「慰霊碑 吉田雄兎(ゆうと=吉田氏の本名) 日本国 福岡」と韓国語で記した別の碑を張り付けた。


 これを受け、韓国警察が奥氏に出頭を要請。奥氏は出頭に応じるため、24日に韓国入りした。


 奥氏は産経新聞の取材に「韓国では吉田証言の嘘について認知されていない。裁判ではっきりと説明していきたい」と話している。

2017.6.26







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悪質さ増す日本メディアの世論誘導 信じる人はもはや絶滅危惧種

2017-06-24 11:50:07 | マスコミ
悪質さ増す日本メディアの世論誘導 信じる人はもはや絶滅危惧種


http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170624/soc1706240001-n1.html


安倍晋三内閣の支持率が、6月の世論調査で軒並み急落した。5月は56・1%だった産経・FNNの調査結果は、今回47・6%と8・5ポイント低下した。そのほか、読売と日経が49%、共同通信44・9%、朝日41%、毎日36%と、いずれも50%を切った。



 これは野党やメディアの勝利なのか。そうとは思えない。緊迫する北朝鮮情勢や欧州で相次ぐテロ事件には目もくれず、ひたすら安倍内閣の足を引っ張り続けた「国壊」議員たちに、愛想を尽かした国民は多いはずだ。


 読売は世代別支持率も公表した。30代以下の若い世代の内閣支持率は今回も60%以上だった。民進党などの野党と一部のメディアが「倒閣運動の好機」ととらえた「森友・加計学園」問題や、「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法の採決をめぐるカラ騒ぎは、若者の心には響かなかった。


 中高年と比べて、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブなどを通じ、多角的な情報を入手しているからだろう。


 テレビや新聞などの情報だけで物事を判断する世代と、ネット情報も参考にする世代との情報格差は広がる一方だ。数十年後は現在の若者が中高年である。メディア情報で世論誘導される人々は、もはや絶滅危惧種なのだ。



 米国でドナルド・トランプ大統領が誕生した背景の1つに、米国民の根強いメディア不信がある。米メディアは「暴言」を繰り返すトランプ氏が共和党候補になれば、自分たちが応援する民主党のヒラリー・クリントン元国務長官の勝利は確実だと考えていた。

思惑通り、トランプ氏が共和党予備選を制したが本選挙も圧勝した。メディアが終始報じた「ヒラリー優勢」の世論調査は完全に間違いで、世論誘導できると信じていたメディアの完敗だった。



 懲りない米メディアは再び民主党と組んで「トランプ降ろし」に励んでいる。日本の一部メディアの「安倍降ろし」と同じ構図だ。日米ともメディアの病巣は根が深い。



 最近、日本メディアの情報操作は悪質さを増している。沖縄の反米軍基地運動家の暴力性や、左派団体が「国連」の権威を利用して日本を貶めてきたカラクリは、前衆院議員の杉田水脈(みお)氏や、キャスターの我那覇(がなは)真子氏、テキサス親父日本事務局の藤木俊一氏らのおかげで白日の下にさらされた。だが、積極的に報じるのは夕刊フジと産経新聞くらいだ。



 築地市場の豊洲移転の問題で、小池百合子都知事の独断が多額の損失を発生させており「都民ワースト」である事実も、都民への周知が足りない。


 メディアの横暴を放置すれば、先の絶滅危惧種の絶滅よりも、日本国の絶滅が先かもしれない。






 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。







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文科省と外務省の怠惰で中韓に媚びる歴史教科書 自国の主張教えなければ国益守れない

2017-06-15 19:36:11 | 歴史
文科省と外務省の怠惰で中韓に媚びる歴史教科書 自国の主張教えなければ国益守れない


http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170615/soc1706150008-n1.html




 最近、『世界と日本がわかる 最強の世界史』『日本と世界がわかる 最強の日本史』(ともに扶桑社新書)という拙著を刊行し、売れ行き好調だ。「世界が納得し、中国や韓国も黙る日本国家の正史」という触れ込みである。日本国家の外交的主張を、リベラルな人たちも含めて世界で通用するように論じた史書がないことを、憂いて書いたものだ。


 子供たちが学ぶ歴史教科書を見ると、推古天皇以前の天皇の名前は書かれていない。やや保守的と言われる一部の教科書だけで、仁徳天皇の名が大仙古墳(かつての仁徳天皇陵)の中で紹介されたり、神武天皇の名が歴史でなく「神話」として登場するにとどまる。



 今年2月ごろ、聖徳太子の名が一時抹消されると話題になった。後世になって使われた固有名詞や用語を、統一方針として排除して当時の名称にこだわるなら、太平洋戦争をやめて大東亜戦争にしなくてはならないから、首尾一貫しているわけではない。天皇の名前などは、宮内庁が使っているようにすべきだ。


 古代日本は朝鮮半島南部を支配し、任那(みまな)と呼ばれていた。中国や韓国の史書にも記述があっても、「韓国が嫌がるから」と教科書に書かれなくなってきている。



 社会主義国家の中国でも、建国の経緯では三皇五帝を紹介している。逆に、中国の皇帝が周辺諸国の国王を任命した「冊封(さくほう)体制」など、中国の教科書にすら登場しないのに、「媚中学者」の意見に従い、東アジアの国際関係の基本秩序だと強調されている。


 外交史については、どこの国でも自国の政府がとっている認識を国民が共有するよう教科書は書かれている。中国や韓国の意見に同調する学者や、逆に東京裁判などについて政府より否定的に見る保守派の意見も、異論として紹介するに留めるべきだ。



 外務省が、中国や韓国に媚びて、領土など外交関係につき「正史」的な考え方をまとめていないのはおかしい。島根県・竹島など、記述をためらうべきではない。文部科学省が、専門分野ごとの学者の気ままな縦割り論理に従うのも、根本的に間違っている。



 日中韓がともに、お互いの立場も教えるのなら一案である。だが、中韓の国民は自国の主張を子供のときからたたき込まれる一方、日本人は教えられたこともないのでは、国益は守れない。


 中韓の地名や人名について、「現地読み」か「日本語読み」か、地理と歴史でも、各分野の学者の気まぐれでバラバラの扱いがされている。政府が方針を決めるべきであり、文科省も外務省も怠惰と言うほかない。





 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『世界と日本がわかる 最強の世界史』(扶桑社新書)、『蓮舫「二重国籍」のデタラメ』(飛鳥新社)など多数。








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6月1日、プーチン大統領は北方領土めぐり「重大発言」 不可解すぎる官邸の対露政策

2017-06-13 16:16:03 | 正論より
6月13日付       産経新聞【正論】より




6月1日、プーチン大統領は北方領土めぐり「重大発言」 不可解すぎる官邸の対露政策 

新潟県立大学教授・袴田茂樹氏


http://www.sankei.com/column/news/170613/clm1706130006-n1.html


 6月1日にプーチン大統領は、日露関係や北方領土問題に関して重大発言をした。私にとって衝撃的だったのは、日米韓などが北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗してミサイル防衛(MD)システムなどを強化していることに対して、彼が「これはイランの核を口実にした欧州でのMD配備と同じ欺瞞(ぎまん)で、問題は全く北朝鮮にあるのではない」と述べたことだ。

 つまり彼は、日米韓の本音は露を対象にしたMD包囲網の強化だとの被害者意識を強めている。あるいはそれを理由に、北方四島の軍事強化を正当化しているのだ。彼は「これらの島はその最適の場所」とさえ言う。露は公式には北朝鮮の核・ミサイル開発を批判するが、実際には日米韓が北朝鮮を「喫緊の脅威」と強い懸念を抱いていることを全く無視している。




≪二島返還さえ拒否する口実に≫


 6~7年前までは露指導部も「日米のMD協力は露向けではない」と理解を示していたが、「クリミア併合」などで欧米と激しく対立して以来、被害者意識をとみに強めた。今では「信頼できるのは軍事力のみ」と公然と述べる。


 プーチン発言で日本人に失望感を与えたのは、日米安保条約がある限り、色丹、歯舞を渡せば米軍基地ができ、「それは絶対容認できない」として、事実上二島返還さえ拒否したことだ。この拒否の言葉は、以前から露側の発想や心理、行動に目を向けてきた筆者には驚きではなかった。日米安保条約は以前から存在していたし、今回は二島返還をも拒否する新たな口実にしただけだ。


 彼は昨年12月の訪日時にも同条約に懸念を表明した。問題は安倍晋三首相の熱意のある対露経済協力にもかかわらず、プーチン政権下で対日姿勢は強硬化し、領土交渉は後退していることだ。

 最近では、4月の首脳会談で合意した四島での「共同経済活動のための合同調査」も、共同経済活動に関する両国の基本認識が異なるため-ロシア側は「ロシアの法の下」で、日本側は「特別の制度」の下で行うとしている-その話し合いの段階から躓(つまず)いている。




≪メディアは幻想を抱かせ続けた≫


 官邸は昨年末の共同経済活動の首脳合意を、平和条約に向けての成果の如(ごと)く宣伝したが、私は新たなハードルを設けたに等しいと批判した。これは正しかったと思う。苦心して法的グレーゾーンで何か象徴的なことをしても、本格的な共同経済活動は到底無理だ。


 日本では、昨年11月のリマでの首脳会談直後、安倍首相の焦燥感が報道され、領土交渉悲観論が広がったが、プーチン氏の6・1発言はそのダメ押しとなった。わが国のメディアは、12月の首脳会談での彼の強硬姿勢を「まさかのちゃぶ台返し」(週刊朝日)とか「プーチン豹変(ひょうへん)」(文芸春秋、NHK解説委員記事)などと報じたが、無知ゆえでないとしたら、メディアが長年垂れ流した楽観論の責任を大統領に転嫁するものだ。

 これまで日本では首相官邸も多くのロシア専門家やメディアも、「ヒキワケ」とか「相互の妥協」とか「平和条約締結は重要」といったプーチン氏の甘言に飛びついた。そしてメディアは、「経済協力を進めても領土での譲歩はしない」といった彼の発言(2016年9月)や、「二島返還もあり得ないことは百パーセント確実」といった政権筋の露専門家の言(『エクスペルト』16年5月)など強硬論は単なる交渉術と無視して報道せず、首相官邸や政治家、国民などに幻想を抱かせ続けた。


 実際にはプーチン氏は、05年9月に「南クリル(北方四島)は第二次世界大戦の結果ロシア領となり、国際法的にも認められている」と述べ、それ以後、露首脳はこの基本姿勢をむしろ強化している。実はプーチン氏も以前は「四島の帰属問題を解決して平和条約を締結」と合意した東京宣言の重要性を認める01年のイルクーツク声明にも、03年の日露行動計画にも署名していた。つまり未解決の領土問題存在を認めていたのだ。


 しかし、12年3月の「ヒキワケ」発言の時も「二島を引き渡しても主権は露が保持する」可能性を述べていたが、メディアは前者のみ大きく報じ後者を無視した。もし「豹変」「ちゃぶ台返し」を言うなら、05年に言うべきだ。ちなみに、私は翌年プーチン氏と会談したときに、対日強硬論への彼の「転向」を直接批判した。





≪「新アプローチ」は非論理的≫


 私が納得できないのは、首相の北方領土問題解決の熱意は支持するが、そのための対露政策が非論理的に見えることである。プーチン氏が近年、領土問題での対日姿勢を一層強硬化しているとき、「従来の発想では1センチも進展しなかった」として、露側が「領土問題棚上げ」と理解するような「新アプローチ」を官邸は実行している。当然露側は、自らの強硬政策は正しかったとして、今後もその政策をさらに強めるだろう。

 ロシア人は、すり寄る者は喜んで利用するが、弱者として見下す。わが国としては、経済協力と領土交渉は、あくまで均衡を取って共に進めるべきだ。(新潟県立大学教授・袴田茂樹 はかまだしげき)










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加計問題、元凶は文科省 元経産官僚・岸氏が徹底追及「前川氏ヒーロー扱いするメディアに失望」

2017-06-08 12:13:26 | マスコミ
加計問題、元凶は文科省 元経産官僚・岸氏が徹底追及「前川氏ヒーロー扱いするメディアに失望」


http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170607/soc1706070013-n1.html


学校法人「加計学園」(岡山市)の問題で、文部科学省の存在意義が問われ始めた。獣医学部新設の認可について、本来の役割を果たさなかった可能性が指摘されているのだ。前川喜平前事務次官は「総理のご意向」などで「行政がゆがめられた」といい、その主張に野党や一部メディアも便乗しているが、許認可権を死守しようとする「霞が関の抵抗」に加担していることにならないか。元経産官僚で、慶応大学教授の岸博幸氏が“問題の暗部”に切り込んだ。



加計学園問題


「今、野党などは(朝日新聞が真っ先に報じた)『文書』や、前川氏の証言などを根拠に『加計学園』問題を追及しているが、一連の手続きに違法性はない。前川氏は、官邸の圧力で『行政がゆがめられた』と主張するが、文科省は獣医学部新設を認められない理由を十分に説明できず、交渉で負けたのだ。官邸を恨むのは筋違いだ」


 岸氏はこう語り、疑惑の核心である「行政がゆがめられた」という前川氏側の言い分を否定した。岸氏は、小泉純一郎内閣で、総務相や郵政民営化担当相などを歴任した竹中平蔵氏の秘書官として、政治主導の構造改革を支えた人物である。

 50年以上も獣医学部の新設が認められなかったのは、日本獣医師会が反対し、文科省や農水省も「獣医師の数は不足していない」と説明してきたためだ。これが大きな既得権益化していたため、国家戦略特区で規制を緩和したといえる。



 ところが、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」が相手だったため、野党と一部メディアが“熱狂”している。岸氏の指摘はなかなか浸透しない。


安倍首相も5日午前の衆院決算行政監視委員会で、「(選定の)仕組みは国家戦略特区諮問会議で、きっちりと議論することになっている。(会議の)民間議員は『正々堂々たる一点の曇りもない議論をしてきたのに、首相の意向で決められたかのように言われるのは憤懣(ふんまん)やるかたない』と言っている」と説明したが、野党側は納得しない。

 同日午後の参院決算委員会でも、野党は「加計学園」問題にターゲットを絞り、安倍首相を攻撃した。

 民進党の平山佐知子参院議員は「『私の友人が獣医学部を新設したい』と思っているなら、『そうなればいいな』と私なら思う」と一方的に持論を披露し、安倍首相による「忖度(そんたく)政治」を立証しようと躍起だった。



 岸氏は、国民に理解しづらい「加計学園」問題の背景について、「メディアが、きちんと事実関係を調べて報道していない。恐ろしい状況だ」と語った。


 そもそも、国家戦略特区は2013年12月に制度整備された。特区認定を求める地方自治体などが国に対して規制緩和を要望し、許認可権を持つ官庁が対応するものだ。現在、産業の国際競争力や地方創生の観点から、「株式会社による農業参入」など242事業が認定されている。許認可権こそ「官僚の力の源泉」であるため、霞が関の抵抗はすさまじい。


岸氏は「安倍政権の目に見える改革の成果が『国家戦略特区』だ。官僚は既得権益を死守したいだろうが、日本の将来を考えた場合、旧態依然とした規制を取り払い、新しい風を入れる勇気が必要だ」という。


 前川氏は5月25日の記者会見で、文科省の獣医学部新設について、「(認可基準で)将来の人材需要が見込めない。『原則的に禁止、新設しない』という考えに至っている」「農水省も厚労省も将来の人材需要についての明確な道筋を示さなかった」と語った。

 岸氏は、これこそ既得権益を守りたい“抵抗勢力”の思考であり、守旧派の権化のような論理として、こう論破した。

 「国家戦略特区の制度では、規制を緩和しない場合、担当官庁がその理由を説明しなければならない。できなければ規制を緩和するだけだ。文科省が『獣医学部新設が不要』と考えるのなら、その理由を納得できるように説明しなければならない。前川氏は獣医の需給について、『農水省と厚労省が説明してくれなかった』と発言していたが、文科省が調べればいいだけだ。それすらサボっていたから、文科省は突破されたのだ」

 そして、前川氏が「行政がゆがめられた」と主張していることについて、同じ官僚OBである岸氏は「前川氏自身が、文科省の違法な天下り斡旋(あっせん)問題に関わってきた。『行政をゆがめた』のは前川氏だ。どの口が言っているのか」と怒りをあらわにした。



 岸氏は最後に、強い違和感を覚える、一部メディアの報道姿勢に改めて言及した。


 「事実を検証すれば明確に分かることが山ほどあるにも関わらず、『この問題はいかがわしい』という構図を無理やり、作り出そうとしている。前川氏をヒーロー扱いし、問題の本質をすり替えようとするメディアには失望している」

2017.6.7













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「日本に何ができるのか。アメリカを前面に立たせて日本は後ろにいるつもりか」 

2017-06-07 12:20:56 | 正論より
6月7日付    産経新聞【正論】より



「日本に何ができるのか。アメリカを前面に立たせて日本は後ろにいるつもりか」 
トランプ米大統領のいらだちが問うもの 専守防衛で拉致は解決しない  

福井県立大学教授・島田洋一氏


http://www.sankei.com/column/news/170607/clm1706070005-n1.html



 ≪日本は自分を守るだけか≫


 トランプ政権発足前後から続いた日米の“蜜月期間”は終わったのか。

 5月26日、先進7カ国(G7)首脳会議直前に行われた日米首脳会談の場で、北朝鮮と中国の関係に話題が及ぶや、トランプ大統領が態度を一変させた。関係者の話を総合するとこうなる。


 中国はよくやっていると語るトランプ氏に対し、安倍晋三首相はその不十分である旨を説いた。正しい指摘である。ところがトランプ氏は、いらだちもあらわに、居丈高に言い放つ。

 では、日本は一体何ができるのか。もし北朝鮮と軍事衝突になった場合、アメリカを前面に立たせて後ろにいるつもりか。ミサイル防衛に力を入れると言うが、自分を守るだけの話じゃないか。


 こうした趣旨の言葉がトランプ氏の口から矢継ぎ早に飛び出した。国際場裡(じょうり)では先輩格の安倍氏にアドバイスを求めるといった春先までの態度はすでに、もうなかった。


 会談後の記者会見で安倍首相は、「特に、平和安全法制を制定したことによって、日米が日本を守ることにおいて、お互いが助け合うことができる同盟になりました。助け合うことができる同盟は、当然、その絆を強くします」と語っている。

 確かに平和安全法制によって、日米の「絆」が音を立てて崩れる事態は回避できた。


 しかし、東アジア情勢が緊迫化する中、「日本を守ること」において「日米が助け合う」(米側にしてみれば、これ自体、身勝手な言い分ということになろう)を超えて、日本は何ができるのか、というトランプ氏の問いに応えるものではない。




 ≪米国に突き放される可能性も≫


 安倍首相は拉致問題に関して、「動乱時には米軍による救出という体制が取れるよう、米政府に拉致被害者の情報を提供し協力を依頼している」と国会答弁している(平成27年7月30日)。しかし、仮にトランプ氏から、「自国民の救出ぐらい自分でやってくれ。米軍にそんな余裕はない」と突き放されたらどうするのか。

 冒頭のやり取りに照らし、そうした可能性は十分ある。動乱、すなわち武力衝突を伴う混乱が続いている間は、米軍は当然、敵の早期無力化と自国兵士の安全を最優先としよう。


 ある拠点施設に日本人拉致被害者がいる可能性があるから、砲爆撃は控え、地上部隊が入っていく形にしてほしいなどと申し入れれば、「それなら日本が自分で制圧しろ。できないなら口を出すな」という話になろう。攻撃作戦を他国に全面的に委ねる「専守防衛」の弊害は、こうしたところにも表れる。

 政府は、米軍が保護管理する「暫定統治機構」が北朝鮮にできた段階で、その同意に基づき、自衛隊が拉致被害者の移送に当たる案を検討中とされる。ただ、実施の条件となる制空権確保は米軍に依存すると位置づけている。

 また地上での救出活動中も、自衛隊の武器使用は制限があるため米軍の協力(すなわち護衛)が必要だという。


 要するにアメリカが一定期間、占領軍として存在することを前提としているわけだが、トランプ氏は選挙期間中、米軍が海外で占領軍的役割を担うことを「愚か」(stupid)と口を極めて批判していた人物である。

 有事に際しては、できる限り海空軍力による攻撃に特化した作戦を選ぼうとするだろう。自衛隊が活動できる条件を、一から十までアメリカに整えてもらうという発想では、結局、自衛隊が動ける機会はないままに終わりかねない。





 ≪敵基地攻撃力の整備を目指せ≫


 こうした主体性を欠いた現実遊離の姿勢はミサイル問題でも顕著である。北朝鮮はすでに、高度2000キロを超えるロフテッド軌道(鋭角に高高度から落ちてくる)ミサイル実験に成功している(5月14日)。この発射態様だと「迎撃がより困難になる」(防衛白書平成28年版)。ダミーも含め同時に多数発射された場合には、完全にお手上げとなる。

 であれば、論理必然的に敵基地攻撃力(指令系統中枢への攻撃も含む)の整備が必要となるはずだが、いまだ政治日程に上る気配がない。


 このままでは、日本の防御システムは、かつてのフランスのマジノ線に似たものに終わりかねない。独仏国境沿いに巨費を投じて建設された要塞線は、ナチス軍がベルギー領を通る迂回(うかい)ルートで侵入してきたことで、およそ意味を持たなかった。ロフテッド軌道の北朝鮮ミサイルも同様、いわば高度の点で防御システムを迂回して侵入してくる。

 「拉致、核、ミサイルの包括的解決」には、北朝鮮の現体制を倒す以外にない。日本が敵基地攻撃力の整備に本格的に乗り出すなら、それを嫌う中国が、現状変更に向けて動く可能性も高まろう。専守防衛に固執する限り「アメリカ頼み」以外の展望は開けない。(福井県立大教授・島田洋一 しまだ よういち)











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“空回り”する野党の政権追及 原因は疑惑ありきの「思い込み」と「ベンチマーク」欠いた批判

2017-06-06 09:04:29 | 民主党
“空回り”する野党の政権追及 原因は疑惑ありきの「思い込み」と「ベンチマーク」欠いた批判



http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170606/soc1706060009-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop




民進党などの野党は、「森友学園」や「加計学園」の問題を政権追及の材料にしてきたが、思惑通りの成果は上がっていないようにみえる。何が間違っているのだろうか。


 結論からいえば、「思い込み」と「ベンチマークの欠如」だ。思い込みというのは、森友学園では「総理の関与」で、今回の加計学園では「総理の意向」。それがあるはずだという前提で目の前の現象を追い続けるというのが、野党や多くのマスコミである。


 こういうときには、別の事象の「ベンチマーク」を探すといい。これは、プロの数学者がしばしば使う方法だ。受験数学など普通の数学問題でこの方法を使うことはないが、これまで誰も解いたことのない難問の場合、似たような構造を持った別の事象で問題を置き換える。そうすると、全く別の事象であっても簡単に解けることがある。


 社会問題の真相の解明でも、同時並行的に起こっている別の問題がしばしば役に立つ。森友学園問題では、小学校予定地だった旧国有地の東側の土地がこれに当たる。

 森友学園に先行して豊中市に売却されたが、そこで土中のゴミが発見されている。にもかかわらず、この事実を知りうる近畿財務局は、森友学園に売却する際、当初その事実を相手方に伝えていなかった。ここが問題の本質だ。



 加計学園問題のベンチマークは、国家戦略特区で千葉県成田市に医学部新設が認められた国際医療福祉大のケースだ。


医学部新設も38年ぶりだが、もし加計学園に「総理の意向」が働いていたのだとすると、両者のプロセスに差があるはずだ。実際は国際医療福祉大が先行し、加計学園が後になっている。加計学園が追い越したのであれば問題かもしれないが、そうしたこともない。筆者のみるところ、両者のプロセスに顕著な差はなく、「総理の意向」は外部からは認められない。



 前川喜平・前文科事務次官の“告発”について、筆者には、規制緩和の「推進派」に「反対派」が負けて吠えているようにもみえる。閣議決定にある「需要見通し」を文科省が出せない時点で内閣府の勝ちで、「総理の意向」を持ち出すまでもなくゲームオーバーだったのではないか。あまりに惨めな負けだったので、「総理の意向」を言い出した可能性すらある。


 ベンチマークからおかしなことが見つかれば、何かがある。それが「総理の意向」かどうかは、カネの流れを見るのが手っ取り早い。総理の周辺へカネが流れていれば、ベンチマークがなくても政権への大打撃になるかもしれない。

 安倍政権が長期政権になって、ますます野党・マスコミは焦っている。安倍政権は、マクロ政策の金融政策をうまくやって失業率を低位に保っていることが支持率が落ちない最大の要因だ。若者から支持されているのは雇用環境が良いからだろう。安倍政権を叩く野党やマスコミほど、この点が分かっていないが、こうした政策の基本中の基本を理解すべきである。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


2017.6.6












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