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「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策

2010-05-30 20:30:37 | 民主党
「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策


http://www.asahi.com/business/update/0529/TKY201005290356.html?ref=goo


インターネットでどんなサイトを閲覧したかがすべて記録される。初めて訪れたサイトなのに「あなたにはこんな商品がおすすめ」と宣伝される――。そんなことを可能にする技術の利用に、総務省がゴーサインを出した。ネット接続業者(プロバイダー)側で、情報を丸ごと読み取る技術を広告に使う手法だ。だが、個人の行動記録が丸裸にされて本人の思わぬ形で流出してしまう危険もある。業者は今後、流出を防ぐ指針作りに入る。

 この技術は「ディープ・パケット・インスペクション(DPI)」。プロバイダーのコンピューター(サーバー)に専用の機械を接続し、利用者がサーバーとの間でやりとりする情報を読み取る。どんなサイトを閲覧し、何を買ったか、どんな言葉で検索をかけたかといった情報を分析し、利用者の趣味や志向に応じた広告を配信する。

 DPIは従来技術に比べてより多くのデータを集められるため、こうした「行動ターゲティング広告」に利用すると広告効果がさらに上がると期待されている。

 だが、情報を突き合わせれば、他人に知られたくない持病やコンプレックスなどが特定される恐れがある。技術的にはメールの盗み読みもでき、憲法が保障する「通信の秘密」の侵害にもつながりかねない。こうした点から、米国と英国では業者による利用が問題化し、いずれも実用化に至っていない。

 DPIは現在、一部のネット利用者が「ウィニー」などのファイル交換ソフトで通信を繰り返し、サーバーに負荷がかかって他の利用者に迷惑をかけるのを防ぐのに使われている。総務省もこの監視目的での利用は認めてきたが、業者側から新たに広告利用を要望され、昨年4月に作った識者による研究会の中に作業部会を設けて検討してきた。

 その結果、導入を認めたうえで、ネット業界に対し、(1)情報の収集方法と用途を利用者にあらかじめ説明する(2)利用者が拒否すれば収集を停止する(3)情報が外部に漏れるのを防ぐ――など6項目を求める「提言」をまとめて26日に公表した。総務省消費者行政課は、こうした情報収集の技術は発展途上にあり今後どう変わるか未知数のため、「あまり縛らず、緩やかな原則にした」としている。

 DPIの導入を検討している大手プロバイダー、NECビッグローブの飯塚久夫社長は「個人の特定につながらないよう、集めた情報はいつまでも保存せず、一定期間が過ぎたら捨てる。(プライバシーの侵害目的だと)誤解されたら全部アウト。業界で自主規制が必要だ」と話す。

 一方、新潟大の鈴木正朝教授(情報法)は「DPIは平たく言えば盗聴器。大手の業者には総務省の目が届いても、無数にある小規模業者の監視は難しい。利用者が他人に知られたくない情報が勝手に読み取られ、転売されるかもしれない。業者がうそをつくことを前提にした制度設計が必要だ」と話す。

 作業部会に参加した一人は「総務省の事務方は積極的だったが、参加者の間では慎重論がかなり強かった。ただ、『利用者の合意があれば良いのでは』という意見に反対する法的根拠が見つからなかった」

2010年5月30日4時50分









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「同化せぬ移民」別世界の危険性

2010-05-28 09:35:13 | 正論より
5月28日付     産経新聞【正論】より


「同化せぬ移民」別世界の危険性   比較文化史家、東大名誉教授・平川祐弘氏


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100528/plc1005280418007-n1.htm



 ■「同化せぬ移民」別世界の危険性


 西洋へのイスラム移民の急増で現地社会との軋轢(あつれき)がにわかに強まっている。西欧では約4億の総人口のうち1700万人がイスラム教徒の移民と子孫である。人口に占める割合はフランスのマルセイユで25%に達し、パリでも10%を占める。数は増大する一方で、ロンドン生まれの2人に1人は母親が外国人といわれている。




 ≪妻帯しても溶け込まず≫


 西欧は労働者移民の入国は打ち切ったが、家族の合流は認めた。その人道主義が裏目に出た。それで外国人花嫁がドイツだけで年に3万人近く入国する。北アフリカから複数の妻を呼び寄せる者もいるらしい。教育は低く言葉は通ぜず、西洋を祖国と思わない。イスラム同胞に連帯感を抱き、イスラム教を大事にし、これだけが真の宗教で、改宗は許さず、改宗者は死刑に価すると考える者もいる。

 当局は当初は若者も妻帯すれば同化するだろうと予測したが、イスラムの人たちは、なかなか西欧社会に溶け込まず、国内国家ともいうべき社会の別階級を形成しつつある。そうした家庭に生まれた子供も社会に溶け込みにくい。それが各国で大問題となり、ついに選挙の争点となった。日本における朝鮮学校は北朝鮮の金父子の肖像を掲げる異質の別世界だが、もしもその人口が年々増大したら、不安に思うだろう。




 ≪オペラの上演まで自粛して≫


 西欧では住みついた女たちがベールで顔を覆うことが問題となった。フランスは市民の平等をうたう。平等とは、国家が人種・宗教により人を別扱いしない世俗主義が公教育の基本であり、イスラム教徒の女子生徒の校内でのベール着用を認めない。着用にこだわれば非宗教性の原則違反で退学になる。半面、同様の原則で、公共建築物から古くからついていたキリスト教の十字架も取り外している。


 オランダでは「公共の場所ではイスラム教徒もベールを取るように」と移民相が言明した。しかし移民の半数以上はベール着用が望ましいとしており、「ベールを取れ」と最初に提案した議員は「殺すぞ」という脅しを何度も受けた。ベルギー議会はベールの禁止を可決した。


 イタリアのテレビ討論で女性議員が「ベールは宗教的シンボルでもなくコーランで定められたわけでもない。女の顔を隠すベールが自由のシンボルであったためしはない」と発言するや、同席したイタリア在のイスラム教導師が「無知なる者の不信心な発言だ。あなたにコーランを解釈する権利はない」といきりたち、他の導師は「憎悪の種を播(ま)く女」ときめつけた。この宣告はイスラム社会では死刑に相当する。

 イタリア内務省は同議員に警官を常時つけて身辺保護に当たらせた。1988年に『悪魔の詩』を刊行したインド生まれの英国人小説家ラシュディは「教祖マホメットを諷刺しイスラム教を冒涜(ぼうとく)した」としてイラン当局によって死刑を宣告され、その訳者の五十嵐一筑波大学助教授は学内で殺された。そんな宗教テロが思いだされる。「触らぬ神に祟(たた)りなし」で言論表現の自由は萎縮(いしゅく)する。

 ベルリンではモーツァルトのオペラの上演も自粛した。メルケル独首相は、劇場関係者のそんな自己規制を「まだ脅迫もされないうちから白旗を掲げたようなもの」と批判した。




 ≪恐ろしい「国内国家」形成≫


 西洋の女の裸の露出度に眉を顰(ひそ)める非キリスト教国民は多い。イスラム系男性が故国から花嫁を迎えるのは、西洋社会の道徳的頽廃(たいはい)に「汚されていない」女性と結婚するためと主張する。「うまそうな生の肉を外に出しておけば、猫が来てさらって食う。女も家の中にとどまりベールで顔を覆っていれば、問題は起きない」とイスラム教のお偉いさんが発言した。だがこんな主張はイスラム圏の外ではもはや通用するまい。


 ところが欧米左翼のフェミニストは排外主義者と呼ばれたくないから、腰がひける。米国の女性小説家エリカ・ジョングは「イスラム教徒が西洋でもベールをつけるのは、1960年代にヒッピーが長髪をしたようなものでしょう」と答えた。記者が「ベールをつけるのはイスラム人コミュニティーの圧力のせいではないか」と問い詰めると、「欧米の病院でお産すればベールへのこだわりも減るでしょう」とかわした。出産となれば、ベールも服も脱いで医師に肌を見せるからの含意だろう。だがイスラム女性を治療しようとしたイタリア人男性医師は診察室に押し入った夫に殴打された。


 グローバリゼーションは「文明の衝突」を加速する。よそごとではない。日本も移民の受け付けは上限を設け、社会への同化をはからないと只事ではすまなくなる。移民が集団で国内国家を形成し、旧態依然たるアイデンティティーにすがりつき、「差別された」と騒ぐことほど恐ろしいことはない。先ごろニューヨークの中心部に爆薬をしかけたのは米国に帰化したパキスタン系の男で、イスラム原理主義に感化された一児の父だった。(ひらかわ すけひろ)









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朝鮮学校無償化 検討メンバー決まるも「非公表」

2010-05-25 09:19:17 | 民主党
朝鮮学校無償化 検討メンバー決まるも「非公表」


http://sankei.jp.msn.com/life/education/100524/edc1005242352004-n1.htm


 4月からスタートした高校授業料無償化制度の対象に朝鮮学校を含めるか検討する文部科学省の専門家会議のメンバー選定が遅れていた問題で、やっとメンバーが決まったことが24日、分かった。ただ、朝鮮学校の無償化には国民から強い反発があることなどから、同省は当面、メンバーや会議日程、内容を非公表とする方針だ。審議会の公開を原則とする同省では異例の対応になる。

 同省によると、川端達夫文科相の諮問機関として設置される同会議のメンバーは、最近になって教育行政や教育制度の専門家ら約10人が決定した。

 ただ、「静かな環境での議論が必要だ」(川端文科相)として、メンバーの氏名・役職、会議の日時や場所などは当面、非公表とすることにした。現時点ですでに会議が行われたのかも公表していない。

 会議は、朝鮮学校の教育が、日本の高校に準じる内容か-などを5月下旬から8月まで計5回程度審議した上で、無償化制度の対象にすべきか結論を出す。

 民主党がマニフェストに掲げる情報公開推進に反しないよう、会議終了後にメンバーの氏名や議事録の概要などをまとめて公表する方針だという。

 会議をめぐっては当初、川端文科相が4月中にメンバーを発表する意向を示していたが、国民の反発などを懸念した専門家がメンバー就任の打診を断るなどしたため発足がずれ込んでいた。

2010.5.24 23:51



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藤本氏に選対費が支払われず 民主党本部、県連へ“罰則”

2010-05-24 23:43:01 | 民主党
藤本氏に選対費が支払われず 民主党本部、県連へ“罰則”


http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20100524/CK2010052402000143.html?ref=rank



参院選2人目の擁立に協力せず


 夏の参院選静岡選挙区で、民主党公認で立候補する現職の藤本祐司・国土交通政務官に対して、同党本部から選挙対策費が支払われていないことが分かった。同党静岡県連は「複数改選区には複数候補を立てる」との党本部の意向に反発し、藤本氏に続く2人目の候補擁立に協力しなかった経緯がある。党本部側からは、不払いについて、同党県連に対する“罰則”ととれる説明があり、選挙本番が近づく中で党本部と県連の間に新たな摩擦の種が生じた。

 不払いは23日、静岡市内で開かれた藤本氏支援の集会で、牧野聖修・県連会長らが明らかにした。集会終了後、取材に応じた藤本氏の説明によると、同党公認で今回出馬する現職数人に確認したところ、党から4月に100万円、5月に500万円の計600万円が選挙区総支部などに渡っており、藤本氏側にのみ支払われていなかった。

 選挙区の2人目擁立問題で、静岡県連同様に党本部と対立した京都府連の現職にも支払われていたという。ただ、公認決定直後の3月には、藤本氏にも100万円が支払われていた。


 牧野会長によると、5日ほど前、党本部の佐藤泰介・財務委員長から牧野会長に直接電話があり、「静岡県連の活動費と藤本氏の選挙対策費を出さない。(小沢一郎)幹事長の方からの話。幹事長に謝ればいい」との説明があった。

 佐藤委員長以外にも、同党選対関係者ほか複数の議員からも、牧野会長に「県連が党の方針に反したため、藤本氏への選挙対策費は出さない」との話があったという。

 牧野会長は「党の方針に従わなかった県連へのペナルティーなら理解できるが、公認候補に選挙対策費を出さないのは納得できない。言うことを聞かなければ締め付けるという方法論は、民主党らしくない」と憤る。

 今月中に支払いがなければ、牧野会長が小沢幹事長に会って支払いを求めるという

2010年5月24日







民主・小沢氏 「活動費について言う必要ない」 静岡県連への支給停止問題


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100524/stt1005242210009-n1.htm


「資金は私と財務委員長が決定している。マスコミの諸君に言う必要も理由もない」

 民主党の小沢一郎幹事長は24日の記者会見で、静岡県連(牧野聖修県連会長)が党本部から参院選活動費の支給を止められたと反発していることへの説明を拒否した。そのうえで「(平成18年に)代表を引き継いで以来、選挙を一切任されてきた。私なりの判断で選挙戦を戦い、今、政権を任されている」と言い切り、自身の判断に誤りはないと強調した。

 活動費の支給停止は静岡県連と参院静岡選挙区(改選2)の現職、藤本祐司参院議員に対する措置。県連が小沢氏の改選2議席の選挙区での2候補擁立方針に抵抗したことへの報復と受け止めるむきもある。

2010.5.24 22:08



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【中国 海洋覇権への道】(中)「威嚇航行する艦隊の野望」

2010-05-24 08:37:09 | 支那(中国)
【中国 海洋覇権への道】(中)「威嚇航行する艦隊の野望」


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100523/plc1005230005000-n1.htm


 「まるでチンドン屋」

 「割れ鐘をたたく音」

 中国海軍の漢級原子力潜水艦が2004年に沖縄・石垣島周辺を領海侵犯したころ、自衛隊関係者の発言は頼もしかった。静粛性の低さもあり、ほぼ完璧(かんぺき)に追尾できていた。

 だが5年半後の現在、「数だけで近代化に遅れている」「練度・士気が低い」といった、優越感も混じった指摘が聞かれなくなった。比例して「自衛隊の“脅威”」を批判する中国軍事当局者もめっきり減った。彼我の戦力逆転により必要が無くなったためだ。

 沖縄・宮古間を4月、威風堂々と横切った中国海軍艦隊も、日本を脅かす戦略の順調な仕上がりを見せつけた。

 軍事関係者は4月の事件で、キロ級潜水艦浮上航行の意味に注目した。公海では国際法上、潜航が許されるし、隠密行動こそ潜水艦の命だからだ。

 実際、静粛性に配慮した宋級潜水艦が06年、沖縄沖で米空母に8キロまで気付かれずに接近した事実は、隠密行動の恐ろしさを証明した。しかも、水上艦や原潜からなる米軍の防御陣形内に浮上している。武威を示したのだ。

 今回の浮上航行は宋級より勝るキロ級の披露が目的だったとされる。いずれも「太平洋に進出し空母を沈める能力」を、日米に警告したといえよう。単純なプレゼンス誇示ではない、戦略に基づき計算し尽くされた作戦行動である。 

 戦略は1982年、最高指導者・●(=登におおざと)小平の意向で海軍が立案した。「第1・2列島線」を基本とする海洋覇権計画である。


 すなわち-

 (1)1982-2000年(沿岸防衛のほぼ達成)

 (2)2000-2010年(第1列島線内の制海権確保)

 (3)2010-2020年(第2列島線内の制海権確保/通常型空母2隻建造)

 (4)2020-2040年(米海軍による太平洋・インド洋覇権阻止/原子力空母2隻の建造計画開始)

 (5)2040年(米軍と対等な海軍建設)
 

しかし、(2)の達成は15年にずれ込み、計画全体も5年ずつ後ろ倒しになると分析されている。それは15年に本土から1500キロまで、陸上航空兵力による海上航空優勢が整い、米空母艦載機を近づけなくさせ、ミサイル潜水艦40隻以上の配備を完了するといった中国軍の近代化計画とも合致する。

 戦略の当面の主役は潜水艦だ。「主役選定」は1996年の台湾危機に影響された。中国軍は総統選妨害のため台湾近海にミサイルを撃ち込んだ。その際、米軍は2個空母打撃群を台湾近海に急派した。中国側はこの武威に押され矛を収めざるを得なかった。

 コンプレックスはいまだに軍指導部に根強い。その情念は、敵性潜水艦を駆逐できぬ海域には入らない、米空母の“弱点”を看破する。潜水艦こそコンプレックスから解放してくれる即効性の「特効薬」であると確信したのだ。

 空母と艦載機で1兆円近く。長期教育したパイロット・整備員・乗員が5-6000人も乗り込む空母は単なる兵器ではない。轟沈は論外で、航行に支障が起きただけで地球規模の米戦略に齟齬が生じる。台湾危機でも、米空母は潜水艦を恐れ台湾海峡には近付いていない。

 東・南シナ海と日本海に米空母打撃群を入れない戦線が第1列島線。米軍増援阻止・妨害の最前線が第2列島線とみられるが、潜水艦の「待ち伏せ帯」と言い換えても良い。ただし、潜水艦のような「忍者」は事前に「屋敷内」を探る必要がある。

 「屋敷への忍び込み」こそが海底地形・海流・水温調査に当たる。これら諸条件で彼我の艦艇が発する音の伝わり方が違い、魚雷発射のための待ち伏せ場所やその後の逃走経路にも重要な差が出てくる。中国海軍が音響測定艦や潜水艦を駆使、日本の排他的経済水域(EEZ)で無断調査するのはこの目的故だ。領海侵犯後、逃走した漢級の操艦が予想以上だったのは調査の確度を物語る。

 中国海軍は宋・キロ級よりさらに優秀な元級を保有。「外洋訓練の常態化・実戦化推進」宣言もした。1月には南海艦隊航空部隊が、海上における超低空飛など「実戦能力向上」を練成した。4月の事件におけるヘリコプター異常接近も、海自護衛艦相手に「実戦能力向上」を図る演習だった可能性がある。

 東シナ海はもはや、米海軍と海自で防衛できる「安全な海」ではない。






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【中国 海洋覇権への道】(上)「日米同盟との決戦の時」

2010-05-24 08:33:53 | 支那(中国)
【中国 海洋覇権への道】(上)「日米同盟との決戦の時」


http://sankei.jp.msn.com/world/china/100522/chn1005222340006-n1.htm


 ■「外洋へ」艦隊挑発

 「日米同盟との決戦の時が来た」「早く台湾を解放しよう」-。中国の国際情報紙、環球時報が運営するホームページ、環球ネットが最近、こんな過激な書き込みであふれている。

 中国海軍の艦隊がこの4月、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋で行った大規模演習のニュースへの反応である。

 若い世代が圧倒的に多い中国のネットユーザーは「中国軍の示威行動が自衛隊と在日米軍を圧倒した」と受け止めているようで、「太平洋の未来覇者万歳!」とまで中国海軍を礼賛したりしている。

 演習は7日ごろから始まった。ミサイル駆逐艦や潜水艦などの艦船10隻が9日までに東シナ海で訓練を実施。10日に両島の間を抜けて南下し、沖ノ鳥島(東京都)西方海域で22日まで活動した。8日と21日には艦載ヘリが2度、監視中の海自艦船の約90メートル近くまで接近した。艦隊は再び両島間を通って帰投している。

 ヘリ異常接近では、日本政府が「極めて危険な行為だ」と抗議したのに対し、中国側は「海軍艦艇の訓練は正常なもの。日本側の監視活動が行き過ぎで、抗議は受け入れられない」(楊潔●=簾の广を厂に、兼を虎に=外相)と、開き直り気味の逆批判を展開した。

 こうした強気の態度がまた、「気合で日本の覇権主義を黙らせた」と、愛国主義的なネットユーザーたちを勢いづかせている。

中国軍の機関紙、解放軍報は4月10日付で、演習の概要を紹介する記事を1面に掲載、「今回の遠洋演習は、潜水艦、水上艦艇、ヘリなど多種の兵器による合同訓練であるだけでなく、(敵、味方に分かれて)対抗演習もし、参加兵力の規模の大きさ、訓練時間の長さ、複雑な状況下での訓練など、近年まれに見るものだ」と誇らしげに伝えた。

 この演習をめぐり、在日米軍を仮想敵としたものだったとの見方が北京の外交筋の間で浮上している。

 沖縄本島~宮古島の海域は、沖縄の米軍が有事の際の台湾支援に向かう途中、通過しなければならない要所だ。米軍艦隊を海上で阻止、在沖米軍と台湾を分断することを想定した演習だった、というのである。


                   ◇


 ■「強国の先兵」膨張する海軍

 中国海軍がこの時期に、東シナ海で日本と在日米軍への挑発とも取れる示威的行動に出たのはなぜか。

 背景には、普天間飛行場の移設をめぐる日米関係の悪化や、「友愛」を唱える鳩山由紀夫首相のアジア重視外交、台湾の馬英九・中国国民党政権の中国との対立回避姿勢などがある。

 中国は、そうした有利な状況が重なった絶好機を逃さず、悲願だった「遠洋訓練」の既成事実作りに着手し、海軍の行動半径拡大を目指したとみていい。そして、その先に、遠洋型海軍への転換と世界の海への進出という大戦略がある。

 ここに至るまで、中国は長い道のりを経ている。


1949年に建国された新中国は当初、海軍をさほど重視していなかった。その際、主に陸軍力で国民党との内戦に勝ったため、以来、数十年にわたり「陸」中心の軍建設を進めた。

 60年代までの海軍の最大任務は、陸軍による台湾攻略作戦の支援にあった。66~76年の文化大革命期、軍人も政治運動にかまけていた間に、海軍は、戦力をさらに落とし、外国の沿岸警備隊程度と揶揄(やゆ)された。

 78年に改革・開放期に入ると、軍事予算増大に伴い、ようやく中国の海軍力は徐々にだが強化されていく。役割も「沿岸防衛」から「近海防衛」へと変わった。

 次なる転機は91年に訪れる。湾岸戦争が、中国軍指導者の意識改革に決定的な影響を与えたとされる。

 海上からイラク軍攻撃を開始した米軍の強さに衝撃を受けた江沢民政権は、現代戦争における海軍の重要性を力説するようになり、「陸」から「海」へと強化の比重を移していった。

 海軍力増強を推し進める車輪のひとつが軍事的な要請だとすれば、もうひとつが経済上の要請である。

 海洋の豊富な天然資源や漁業資源を獲得し、原油など海外の資源エネルギーや自国産製品を輸送する海上交通路を確保することは、中国が高度成長軌道をひた走ればひた走るほど、死活的重要性を帯びてきた。

例えば、中国が一方的に主張する管轄海域約300万平方キロの半分までが、東南アジア諸国や日本などと領有権を争う海域であり、中国は海軍力が脆弱(せいじゃく)なころには半ば放置していたこの海域でも、声高に領有権を主張し出し、周辺諸国とのトラブルを増やしている。

 中国政府が近年、打ち出した戦略目標、「海洋強国の建設」は、先の「軍経両輪」に支えられている。

 「海洋強国」の先兵ともいえるのが、海上自衛隊や在日米軍、台湾の海軍をにらむ東海艦隊、ロシア海軍を主たる仮想敵とする北の北海艦隊、ベトナム、インドネシアなど東南アジア諸国との対抗に備える南の南海艦隊という中国海軍の三大主力部隊であり、外洋進出を活発化させている。

 現在、建造中とされる中国初の空母は2015年にも進水するといわれ、ウクライナから購入した旧ソ連製空母、ワリャーグも、数年後には改修を終え、訓練艦として配備されるとの報道もある。

 今回、東シナ海での演習に参加した艦船は、東部沿海の浙江省寧波市に司令部を置くその主力部隊のひとつ、東海艦隊の所属だ。

 中国海軍事情に詳しい政府系シンクタンクの学者によると、同海軍が外洋へ出るルートは、南北計9本あり、マラッカ海峡などを通る南側の3本を除く6本すべてが、津軽、大隅両海峡をはじめ日本列島の中、もしくは日本周辺にある。

それらのルートを通過すれば、海自や在日米軍に監視されて、艦の性能などのデータが収集されるほか、外交問題にもなりかねないとの懸念があるという。

 外洋への出口を実質上、閉ざされている北海艦隊と東海艦隊にとり、今回の演習もそれに向けての具体的な行動だったといえ、ヘリの異常接近は、日本の監視行為への牽制(けんせい)の意図が込められていたとみられる。

 国営新華社通信傘下の国際先駆導報に日本政府の抗議後の4月29日付で掲載された、「中国艦隊の追跡、通信盗聴などの行為は国際法違反のみならず、非友好的だ」との海軍将官発言もそのことを示している。

 中国国防省の高官は「日本は中国海軍の外洋進出に過敏にならず、順応すべきだ」とも言ってのけた。

 これからは日本周辺海域での中国海軍艦船の出没と演習が常態化することを覚悟しておいた方がいい。


                   ◇


 高度成長を背に増強著しい中国海軍の艦船が、このところしきりに日本近海に出没するようになり、東アジアの海を波立てている。地域を長らく支配している米国の制海権は今後も安泰なのだろうか。中国「遠洋戦略」の実態を報告する。






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自分で作った“辺野古反対”の世論 踊る首相に嘲笑

2010-05-23 21:47:44 | 鳩山由紀夫
自分で作った“辺野古反対”の世論 踊る首相に嘲笑


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100523/plc1005232040016-n1.htm


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題で、今月4日に続いて沖縄を再訪問した鳩山由紀夫首相。仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事らとの会談で、公式に同県名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設を求めたが、「最低でも県外」の公約をほごにした首相に、県民の間では「自分が作り上げた世論に踊らされていただけ。予想通りの結果」と嘲笑(ちようしよう)の声が広がった。

 23日朝、那覇市の県議会棟正面に県会議員30人余りが座り込み、県内移設反対を訴えた。

 ある県政関係者は「われわれの本音は現行案支持だった。ほとんどの県民も納得していた」と話した上で、「鳩山首相の無責任発言で反米、反基地闘争グループが大義名分を得て活気づいた。4月25日の県民大会も、そうした活動家や反米イデオロギー闘争を展開しているグループがほとんど。メディアはそれを県民の総意だと伝えた。メディアの扇動に世論は現行案反対へと導かれ、われわれもそれに追随するほかなかった」と座り込み抗議への経緯を語った。

 現行案反対の世論は、意識的に形成されてきた可能性が高いという。それを象徴するのがキャンプ・シュワブに隣接する辺野古住民の声がほとんど伝えられてこなかったことだ。

辺野古住民で組織する辺野古区行政委員会は21日、環境影響評価(アセスメント)の枠内で移設場所を決定した場合、条件付きで容認することを全会一致で決議した。決議は地元紙などでも報じられたが、住民の一人は「住民の9割以上は受け入れることを容認していた。そうした思いがほとんど報道されなかっただけ。民主党政権も反対派の声ばかり聞き、移設後、実際に米軍と付き合っていくわれわれの声を聞こうともしなかった」という。

 一方、ある財界関係者も「鳩山政権は最初から全く知恵も戦略もなかった」とした後、こう続けた。

 「首相は負担軽減というが、意味が分かっているのか疑わしい。一番の負担は基地が自治体の中心部などにあり、都市開発ができないこと。負担軽減というなら政府が今、やるべきことは普天間をすみやかに辺野古に移し、普天間飛行場の跡地開発をどうするかなど前向きに検討すべきだ」

 ある革新系県議は「これだけ混乱を招いたのだから、一国の首相としての責任と誠意を見せるべきだ。自らがまいた種なのだから」と言い切った。

2010.5.23 20:39







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子ども手当「満額」に異論噴出 黙り込んだ厚労相

2010-05-23 17:21:51 | 民主党
子ども手当「満額」に異論噴出 黙り込んだ厚労相


http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100523ddm003010095000c.html


 昨年の衆院選で掲げた公約通り、月2万6000円まで引き上げるのかどうか--。16日夜、民主党本部であったマニフェスト(政権公約)企画委員会は、1万3000円の子ども手当の満額へのアップを取りやめる流れを定めた。

 「ギリシャみたいになっては困る」。財政破綻(はたん)を危惧(きぐ)する菅直人副総理兼財務相はそうまくし立て、仙谷由人国家戦略担当相らも赤字国債の増発を戒めた。マニフェスト見直しに慎重な小沢一郎幹事長の側近、高嶋良充筆頭副幹事長も強い異論は唱えず、関係閣僚で独り「満額」を主張してきた長妻昭厚生労働相は押し黙った。

 終了後、長妻氏は「(保育サービスなど)現物に充てろという議論もあった。政務三役で議論したい」と語り、かたくなに修正を拒んできた姿勢を初めて転換させた。


 4月22日、首相官邸。国と地方の協議の場で、全国市長会長の森民夫・新潟県長岡市長は、鳩山由紀夫首相を前に「福祉は子ども施策だけではない」と訴えた。「手当の満額支給には年間、個人市民税(125億円)に匹敵する112億円が必要」。森氏が示した市の試算に首相は目をむいて驚き、「他の福祉施策とのバランスは重要だ」と応じた。

 減額の口火を切ったのは、3月末に上積み分を給食費に充てるようぶちあげた仙谷氏だ。原口一博総務相も減額の可能性に触れた。


 主要閣僚が修正を口にするのは、満額に要する財源3兆円を見いだせないから。減額には党から異論も出て参院選マニフェストの議論は迷走したが、政府・民主党は「2万6000円」の表記は避けつつ、「上積みする」との一言を盛り込む玉虫色決着を描く。

 長妻氏も簡単に折れたわけではない。周囲には「公約を変えるなら衆院選をもう1回やらないと」と漏らし、先日も厚労省の今別府敏雄会計課長に「難しいかもしれないが、財源は」と問うた。しかし答えは「子ども手当に所得制限を入れることで1000億円程度なら」。長妻氏は「うーん」とうなり、黙り込んだ。

 「私は2万6000円の旗を降ろしたわけではない」。18日の政務三役会議で、長妻氏はなお強がった。だが、出席者の一人は「何が何でもというわけではなくなった」と受け止めている。




 ◇「理念は?」省内に不満


 長妻氏が公約にこだわるのは、政治家としてのけじめばかりではない。企業・団体献金を一切受けないスタイルは、潔癖さの半面、国民の支持頼みというもろさも抱える。それだから世論を気にし過ぎ、何をしたいのか理念が見えない--。長妻氏を見つめてきた厚労官僚の多くはそうとらえている。

 4月27日夜。内閣府で開かれた「子ども・子育て新システム検討会議」の初会合は、議論の大半が厚労省関係だった。なのに長妻氏は役所がおぜん立てしたメモすら読まず、沈黙を守った。福島瑞穂少子化担当相が発言を促したものの、発したのは一言、「ありません」。「アドリブがきかないからな。他の閣僚と応酬になるのが嫌だったんだろ」。厚労省幹部はそう推し量る。

 長妻氏は年金記録問題で名をはせた。ただ、厚労行政の手腕には当初から「未知数」の評がつきまとう。


 「子どもの昼寝に敷布団が必要か? 床に直接寝かせればいい」。長妻氏は担当部局と保育所の設置基準面積の緩和を議論した際、そう言い切ったという。子どもを床に雑魚寝させれば1人当たりの基準面積を小さくでき、その分保育所を増やすことができるとの趣旨だった。出席した幹部はみな、あっけにとられた。


 老人施設で食事介助を体験した時のこと。「おばあさんは、おかゆが好きなんですか」。そう問いかけた長妻氏に、女性は「歯がないからね。おかゆしか食べられないのよ」と諭すように答えた。




 ◇「素人」武器に改革 世論に過敏反応も


 「就任直後は30分おきにびっくりした。私ら普通の感覚とは違う」

 4月24日夜、地元の東京都渋谷区で開いた国政報告会で、長妻氏は約200人の聴衆に語りかけた。厚労省に省や局、課ごとの目標がないことを紹介し、「目標のない会社って聞いたことありますか」とあきれてみせた。

 長妻氏を「素人同然」と嘆く「プロ」の官僚たちだが、感覚が世論とズレている面があるのも事実だ。それは旧社会保険庁の不祥事や、薬害肝炎を引き起こす一因となった。それも現場を知らないからと考える長妻氏は、職員に自治体などへ足を運ぶよう命じている。自らも介護や保育、労働の現場30カ所を訪ねた。ある幹部は「今は国家公務員倫理規程で民間の人と食事もできず、若い職員は情報量が少ない。良い機会だ」と評価する。

 衆院当選4回の長妻氏も、05年は小選挙区(東京7区)で落ち、比例で復活した。「一匹オオカミ」と称され、党内では孤立気味。そうした政治基盤の弱さもあって、時に世論に過敏となる。


 3月下旬、母国に子を残してきた外国人にも子ども手当を支給するとの厚労省方針に、インターネットには「不正を招く」との書き込みが殺到した。長妻氏は「国会答弁がもたない。法案修正だ」と職員にあたった。


 75歳以上を切り離した後期高齢者医療制度の見直しを巡っては、心の揺れを見せた。

 「うば捨て山」との批判を浴びた制度だけに、民主党は「年齢で差別する制度を廃止」と公約していた。長妻氏の意をくみ、厚労官僚は高齢者もみな現役と同じ市町村の国民健康保険(国保)に加入させる案を用意した。


 しかし、この案も65歳以上は医療費が別枠だ。長妻氏の了承を得て3月8日に公表すると、16日の参院厚労委で共産党の小池晃政策委員長は「うば捨て山の入山年齢を下げただけだ」と批判した。


 うろたえた長妻氏は外口崇保険局長を呼び、「年齢を書き込まない方法はないか」と再考を促した。それでも高齢者には税を集中投入する必要があり、別財源にせざるを得ない。吉岡てつを高齢者医療課長の説明に、長妻氏も「うん」と消え入るようにうなずいた。


 結局、長妻氏は幹部と「高齢者も現役も、同じ国保の保険証」との理屈で押し通すと腹合わせし、5月18日の衆院決算行政監視委員会第3分科会に臨んだ。「年齢差別ではない」。突っぱねる長妻氏を、自民党の谷公一氏はこう皮肉った。

 「大臣の思いは理解しました。基本的仕組みは(後期高齢者医療制度と)大きく変わるものではないですね」

2010年5月23日 東京朝刊




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「結論先送りの不誠実な合意」野党、一斉に批判

2010-05-23 09:55:30 | 日本
「結論先送りの不誠実な合意」野党、一斉に批判


http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100522-OYT1T00767.htm


 米軍普天間飛行場移設問題を巡る日米両政府の大筋合意について、野党からは22日、「結論の先送りに過ぎない」とする批判が相次いだ。


 自民党の石破政調会長は22日夜、「鳩山首相は米国、沖縄、連立与党の3つの合意を5月末までに、と言っていた。日米間だけの合意では、社民党は飲めないし、沖縄も受け入れるかどうか分からない。単なる先送りだ」と指摘。さらに「言っていたことと全く違う0点の結果。不誠実な合意だと言わざるをえない」と批判した。

 谷垣総裁は同日午後、福島県郡山市で記者団に「米国と合意を結んで現地と話すというのは順序が逆だ。沖縄の信頼を失っている。首相が辞めなければ問題の解決はない」と述べ、首相の退陣を重ねて求めた。

 また、公明党の山口代表は「合意したとされる内容は現行案に近いが、沖縄県民の気持ちをもてあそんでいる。地元の理解を得られていない点で現行案より後退している」としたうえで、「工法や具体的な分散移転先はあいまいなままだ。鳩山政権への米政府の寛大さの上に成り立った表面的なつじつま合わせに過ぎない」と酷評した。

 みんなの党の渡辺代表は大阪市内で「延長戦に持ち込むアリバイ作りだとしか言えない」と語った。

(2010年5月23日03時02分 読売新聞)







「辺野古」「県外に分散検討」で日米大筋合意


http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100522-OYT1T00877.htm


 沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、日米両政府は22日、同県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に滑走路を建設する移設案に大筋合意した。

 滑走路の具体的な建設位置や、工法の決定は今年9月をメドに先送りする。月末までに外務、防衛担当閣僚(2プラス2)による共同文書として発表する。

 首相は23日に沖縄県を再訪問し、仲井真弘多知事らと会談し、日米合意の概要を伝えるものと見られるが、沖縄県側は、「県内移設」に反対する見通しだ。

 日米合意は、両政府が2006年に合意した現行計画をほぼ踏襲する内容で、現行計画を批判してきた鳩山首相の政治責任が厳しく問われるのは必至だ。日本側は、沖縄県外への基地機能の分散移転を検討することを米側に求め、米側は応じる考えを示した。

 政府は、こうした内容を今週中に2プラス2の共同文書として発表し、28日にも閣議で政府の対処方針として決めることを目指している。

 首相は22日、首相公邸に岡田外相や北沢防衛相、平野官房長官ら関係閣僚を呼び、日米の合意内容について協議した。その後、外相が外務省でルース駐日米大使と日米両政府の実務者を交えて会談した。

 その結果、共同文書にはキャンプ・シュワブ沿岸部に滑走路を建設することを明記する一方、沖縄の負担軽減策として基地機能の県外への分散移転を検討する方針を盛り込むことで大筋合意。ただし、詳細な建設位置や工法については明記しない。

 政府は滑走路の建設工法を現行計画の「埋め立て方式」に戻す方針だ。ただ、決定は今年9月ごろまで先送りすることにした。合意文書では、基地機能の分散移転の具体的移設先は明記しない方向だ。

 米側は、06年の日米合意の移設期限である14年から移設が大幅に遅れる事態を避けるため、現行計画に基づく環境影響評価(アセスメント)の範囲内で建設位置を決めるよう求めている。

 ◆米軍普天間飛行場移設に関する日米両政府の大筋合意の骨子◆
▽沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に滑走路を建設
▽工法や具体的な建設位置は秋までに決定
▽基地機能の沖縄県外への分散移転を検討

(2010年5月23日01時45分 読売新聞)









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西太平洋を影響下に置く行動だ

2010-05-23 09:13:35 | 正論より
5月21日付    産経新聞【正論】より


中国海洋パワー 西太平洋を影響下に置く行動だ   中国軍事専門家・平松茂雄氏


 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100521/plc1005210335000-n1.htm



 ■西太平洋を影響下に置く行動だ


 東シナ海と西太平洋のわが国周辺海域で、軍事訓練・演習を実施した中国海軍の艦載ヘリコプターが海上自衛隊の艦艇に異常接近したり、東シナ海で測量中の海上保安庁の測量船を中国海洋調査船が追跡するなどの出来事が相次いだ。

 これらの背景には、日本が実効支配する尖閣諸島を含む東シナ海の排他的経済水域(EEZ)を勢力範囲に取り込もうとするばかりでなく、さらに沖縄南方、わが国最南端の領土である沖ノ鳥島周辺海域に至る西太平洋に中国の勢力圏を確立して、この海域で支配的であった米国の海軍力を排斥する中国軍の意図がある。

 日本政府の抗議に中国側は「この海域は中国の排他的経済水域であるから、正常な訓練であり、国際法に基づいた合法的な行動である」と説明した。また中国海軍元幹部は「これまで自国の海を守らなかったことが異常だった」と述べて、中国の海洋調査船が海上保安庁の測量船を追跡して排除したことの合法性を強調した。




 ≪有効な措置をとらぬ日本≫


 中国の海洋調査船が追跡した海域は、東シナ海の排他的経済水域の日本側海域である。中国は日中中間線を認めていないが、日本の船を追い出す行為はこれが初めてだ。これまで、特に1990年代後半に、東シナ海の日本側海域で中国海洋調査船が頻繁に侵入して調査活動を実施してきたが、わが国政府は抗議するだけで、中国の活動を停止させるための何ら有効な措置をとらなかった、そのこともあって主客が転倒、日中の立場は逆転しつつある。

 中国は今世紀に入り、沖ノ鳥島周辺のわが国の排他的経済水域に侵入して違法な調査活動を続けてきた。2004年には沖ノ鳥島が日本の領土であることは認めるが、排他的経済水域を設定できない「岩」であるとの認識を示し、堂々と調査活動を続けた。

 そして昨年6月に、5隻の艦隊が沖ノ鳥島の北東海域に出現して訓練を実施した。今年3月には6隻の艦隊、4月には前述の10隻の艦隊が同西方海域で軍事訓練、対艦演習を実施した。同様の訓練・演習が続けられそうだ。

 では、中国はなぜ沖ノ鳥島周辺海域に進出するのか。目的は2つ考えられる。1つは悲願の「台湾統一」に際して、軍事力を行使する場合に、米国海軍の空母機動部隊と原子力潜水艦をこの海域で阻止することにある。もう1つは、米国の覇権に挑戦し、将来の太平洋への全面的な進出に備えて、西太平洋を影響の下に置くことにある。そのために、中国はいわゆる第1列島線から第2列島線の間の広範な海域に進出し、軍事行動を前提とした海洋調査活動、あるいは軍事訓練・演習を行って存在感を高めているのである。

 中国の西太平洋進出を突き詰めて考えれば、ガス田開発や潜水艦増強の背景もすべて見えてくる。中国海軍には、青島、寧波、湛江にそれぞれ司令部を置く北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊の3つの艦隊がある。




 ≪日米安保体制は無力化≫


 東アジア・西太平洋では、北海艦隊と東海艦隊が太平洋に出るには、東シナ海から沖縄本島と宮古島との間の水域を通ることになるが、そのまま南進すると沖ノ鳥島の西方海域に出る。

 その途中の東シナ海のど真ん中には、中国がこの30年来開発してきた平湖と春暁の石油ガス田群がある。この海域は、単に資源開発だけでなく、中国の2つの艦隊が西太平洋に出て行く重要な通り道に位置している。というより、その通り道に中国は石油ガス田を設置して、艦隊の通航を守っているのである。

 一方、南海艦隊の本来の任務は南シナ海の防衛にあるが、海南島から真東に進んで、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を抜けると、沖ノ鳥島の西方海域に出る。この海域で、中国海軍の3つの艦隊は合流することになる。

 中国にとって、日本の周辺海域がいかに重要な海域であるかということが分かる。だが、わが国にはそうした認識が欠落している。中国の艦船が公海を通ることは国際法理上やむを得ないと事実上中国の行動を容認し、中国から日本を守るための措置を講じようとしない。

 このまま放置して、中国海軍が東シナ海から西太平洋に展開する既成事実が積み重なれば、米軍の行動は著しく制約され、日米安保体制は無力化する。そうなれば日本のシーレーンの要にある台湾が中国に統一されるばかりか、日本は中国の属国と化すであろう。

 冷戦時代に、米国海軍は日本周辺海域で情報収集するソ連漁船の活動を妨害し、ソ連潜水艦を執拗(しつよう)に追跡して東アジア・西太平洋の安全を確保した。海上自衛隊も米海軍に協力して懸命に活動した。今、わが国がなすべきは、その先例を臆(おく)することなく実行することである。(ひらまつ しげお)





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