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ニッポンのゆる~い日常

千葉法相、「反日集会」に祝電

2009-11-27 12:33:55 | 北朝鮮・韓国
千葉法相、「反日集会」に祝電 参院議員として送った

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091127/stt0911271149006-n1.htm


 千葉景子法相は27日の閣議後会見で、慰安婦への補償や、永住外国人への地方参政権付与を求める市民集会に祝電を送ったことを明らかにした。その上で、法相として集会の内容に賛意を示したことにつながるとの指摘については「参院議員ということで対応した。そういうことは決してない」と述べた。

 また、千葉氏は祝電を送った理由を「まったくこれまでの議員としてのお付き合い。ご無礼がないように儀礼的にお出しをしたもので、それ以上のことはない」と説明した。

 集会は21日に川崎市内で開かれた「川崎・富川(ぷちよん)市民集会」。「過去を変えるな、未来を変えよう!」をテーマに韓国・富川市の市議を招き、民主党の川内義博参院議員も祝電を送った。開催趣意書によると、富川市議会は9月に「日本軍『慰安婦』問題解決を促す決議」を採択。決議には姉妹都市である川崎市への働きかけが盛り込まれている。




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「日本=悪玉」原因は戦後教育

2009-11-22 10:40:35 | Weblog

「国を愛せない教師たちが子供を育てている」、『学校の先生が国を滅ぼす』著者語る

http://sankei.jp.msn.com/life/education/091121/edc0911212040001-n1.htm


 大阪府内の府立支援学校で起きた、入学式や卒業式の際の国旗掲揚と国歌斉唱をめぐる校長と教師との激しい対立の体験をまとめた『学校の先生が国を滅ぼす』が出版され、反響を呼んでいる。校長として、「日の丸、君が代」に反対する教師たちと渡り合った著者の一止(いちとめ)羊大(よしひろ)さん(66)は「国を愛せない教師が子供たちを育てている。学校でどんなことが起きているのかを知ってほしかった」と話している。

 一止さんは平成10年から3年間、知的障害を持つ子供たちを教育する府内の公立学校で校長を務めた。赴任早々、問題は起きた。職員会議の冒頭で着任のあいさつをしようとしたところ、会議を仕切り、「議長」と呼ばれている教師から拒まれた。結局、あいさつをすることができたが、入学式で国旗を掲揚することに触れたため、その後の教師たちと国旗・国歌をめぐる闘争の幕が開いた。

 教師たちは障害児教育への意識は強く熱心だったが、ひとたび国旗・国歌が話題になると反発した。一止さんの説明に聞く耳を持たず、国歌斉唱の文字を省いた式次第を式当日まで隠す、国旗掲揚と国歌斉唱に反対し、連日、校長室に押しかける…。教師の反抗はエスカレートした。「国旗・国歌を通して国を大切に思う心を教えるのは当然のこと。話せば分かるというのが私の基本スタンスだったが、そこまで猛反発を受けるとは思わなかった」と当時を振り返る。


 一止さんは、その原因は戦後の教育にあるとみる。「日本=悪玉という考え方が、日本の良さを教えず、国に誇りを持てない子供や大人を作り出す。その教育が繰り返されている」。

 国旗・国歌は戦争につながるといって抗議してきた女性教師がいた。その際、一止さんは17歳で戦死した兄の写真を見せ、「戦争をいやだという気持ちは私も人一倍持っている」と諭したが、返ってきた言葉は「先生のお兄さんも侵略者」だった。

 「戦後教育がここまで人の心を壊しているのかと愕然(がくぜん)とした。国のために命を投げ出した兄はどんな思いでこの国を見ているのだろうか」。

 しかし、一止さんの指導は決して無駄ではなかった。3年目には数人の教師の共感を得た。「私が国旗・国歌について言わなければ波風も立たなかった。先生が国民から国を思う気持ちを奪っている、それではいずれ国が滅びる。その意味を多くの人に考えてほしい」。

 府教委によると、21年度の府立支援学校の入学式での国旗掲揚・国歌斉唱の実施率は100%だが、13・6%の小中・高等部で国歌斉唱時に教職員が不起立だった。府教委は「不起立の教師には校長による指導を続け、そのために府教委も校長を支援していく」としている。




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鳩山首相の日露会談での「誤り」

2009-11-20 09:08:26 | Weblog
11月20日付   産経新聞より


鳩山首相の日露会談での「誤り」   北大名誉教授・木村汎氏


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091120/plc0911200313002-n1.htm


 ≪「実利的」では誤解される≫

 鳩山由紀夫首相は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席を利用して、シンガポールでロシアのメドベージェフ大統領との会談を行った。新聞報道で判断するかぎり、同首相の対露政策について筆者は危なっかしいものを感じる。懸案の北方領土問題を解決しての平和条約締結の目標および戦術にかんして、とりわけそのような感想を抱く。

 まず、鳩山首相は、麻生太郎前自民党首相が犯した誤りを正そうとしないばかりか、繰り返しさえしている。

 例えば鳩山首相は今回メドベージェフ大統領に向かい、「従来の冷戦思考にとらわれないで、プラグマティック(実利的)な解決をしたい」と述べたという。俗耳受けする言葉である。だが、北方領土問題は冷戦前に発生し、その非はひとえにソ連側に存在する。

 ソ連軍は、日ソ中立条約を一方的に破って日本の領土に侵攻し、今日にいたるも武力占拠を続行中である。このような国家主権の侵犯行為は直ちに撤回すべきであり、それ以外の解決法があろうはずがない。麻生前首相やそのブレーンが示唆した「面積等分論」や「3・5島論」にうかがえるようなプラグマティックな観点からの解決法にそもそも馴(な)じむ類の問題ではない。



 ≪「独創的アプローチ」の陥穽≫

 麻生前首相は、ロシア側から行われた「独創的なアプローチ」提案という美辞麗句の陥穽(かんせい)にも陥った。日露間では、既に北方領土問題解決のためのフォーミュラ(枠組み)やアプローチについては合意済みなのである。1993年に細川首相とエリツィン大統領が調印した「東京宣言」は、この点を明確にして述べる。

 「双方(日露両国)は、この(北方)問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」

 ところがプーチン首相は大統領当時から、ロシアが脆弱(ぜいじゃく)な状態にあったエリツィン期の“負の遺産”を帳消しすることに使命感を燃やす。日露での東京宣言の調印をエリツィン大統領の勇み足とみて、可能なかぎりプレー・ダウン(軽視)しようとする。同宣言中の右の規定に代わるものとして、「創造的なアプローチ」提唱を思いついたのである。

 このような日露交渉の歴史的な経緯について無知だった麻生前首相は、ロシア側の「創造的アプローチ」提案に見事乗せられてしまい、その具体的内容を示すようロシア側に迫った。

 鳩山首相は、祖父の一郎氏が仕残した平和条約締結を自らが行うとの意気込みを喧伝(けんでん)して止(や)まない。しかしそれを完成させるためには、地道な勉強と準備作業を重ねたうえで対露交渉に臨む必要がある。そうであるにもかかわらず、同首相も不勉強ぶりを露呈した。メドベージェフ大統領に向い、麻生前首相同様、「独創的アプローチ」にもとづくロシアの新提案を示すよう迫る愚を繰り返したからである。北方領土の解決法として、新しい独創的なアプローチなどあるはずはない。あるとすれば、東京宣言が明記したものが唯一それに当たる。


 ≪「2島+α」でよいのか≫

 鳩山首相は、麻生前首相の「誤り」を繰り返すばかりではない。前任首相に比べさらに低い姿勢で対露交渉を行おうとしている。

 日本政府はかつて「政経不可分」の立場を堅持していたが、ゴルバチョフ氏やエリツィン氏の「改革」志向を促進しようとして「拡大均衡」論や「重層的アプローチ」と名づけられる柔軟姿勢に転じた。だがその結果、経済関係ばかりが進展する一方で平和条約交渉は一向に発展しないというアンバランス状態を導いてしまった。麻生前首相は昨年11月リマで行われた日露会談で、メドベージェフ大統領に向かい、このことにたいする不満を率直に表明した。

 ところが鳩山首相は、この前首相による反省や抗議に注意を払うことなく、所信表明演説のなかで実にあっけらかんとして宣言した。「日露関係については、政治と経済を車の両輪として進めてまいります」と。

 今回の日露首脳会談では、さらに深刻と思われる失言を、鳩山首相は行った。「(歯舞・色丹の)2島返還では(日本)国民は理解できない」と述べたからである。同首相の表現は、ロシア側に次のようなものとして受けとられる危険性がある。〈2島に少しでもプラスαをつけ加えてほしい。そうすれば、日本国民の理解が得られるかもしれない〉

 このような無用な誤解を避けるためにも、なぜ同首相は直截(ちょくせつ)に日本国民も自分も4島返還を求めていると明言しなかったのか。4島返還は、日本の全政党が同意している国会決議事項であり、民主党の主張でもある。

 政治は、結局のところ言語を用いてのシンボルの闘いである。理系出身の政治家も、この点だけは拳拳服膺(けんけんふくよう)し言葉遣いを慎重なうえにも慎重にしてほしい。(きむら ひろし)




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「小沢氏側へ5000万円」

2009-11-19 13:21:16 | 陸山会(小沢一郎)
「小沢氏側へ5000万円」水谷建設元会長、ダム工事受注で裏金か


http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091119/crm0911190203002-n1.htm


 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」による政治資金収支報告書の虚偽記載問題で、法人税法違反罪で実刑判決を受け、服役中の中堅ゼネコン「水谷建設」元会長の水谷功受刑者(64)が東京地検特捜部の事情聴取に対し、「平成16年に小沢氏側に少なくとも5千万円を持っていった」と供述していることが18日、関係者への取材で分かった。当時の陸山会の収支報告書にはこの献金の記載がなく、政治資金規正法違反(不記載)にあたる疑いもある。

 16年当時、国土交通省発注の胆沢ダム(岩手県)を水谷建設が下請けで受注しており、特捜部はその見返りだった可能性もあるとみて、慎重に捜査しているもようだ。関係者によると、問題の工事は、国交省東北地方整備局が16年10月に発注した胆沢ダム堤体盛立第1期工事で、大手ゼネコンの「鹿島」が、他のゼネコン2社と共同企業体(JV)を組み、約203億円で受注。水谷建設は、他4社とJVを組み、下請け工事を受注していた。

 水谷受刑者は、特捜部の複数回にわたる事情聴取に対し、「小沢氏側に5千万円を持っていった。ほかに(水谷建設)社長に5千万円を持っていくように指示した」と供述したという。

 ただ、水谷建設社長は小沢氏側に5千万円を持っていったことを否認しているという。特捜部は西松建設の違法献金事件で、3月に小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告(48)と国沢幹雄元社長(70)=政治資金規正法違反罪などで有罪判決確定=を起訴した後も小沢氏周辺の捜査を継続。ゼネコン関係者から事情聴取を進めてきた。

 胆沢ダムをめぐっては、国沢元社長が特捜部の調べに対し、ダム工事受注が献金の動機のひとつだったとする供述をしたとされる。

 ゼネコン関係者によると、小沢氏側は地元・岩手を中心に東北地方の公共工事受注に強い影響力を持つとされ、国沢元社長の公判でも検察側は、談合組織への影響力を背景に、西松が小沢氏側から「天の声」を得る目的で違法献金を続けたと主張している。



 【用語解説】水谷建設

 三重県桑名市に本社を置く昭和8年創業の中堅ゼネコン。ダムや空港、道路、原発などの土木工事を得意とし、主に大手・準大手ゼネコンの下請けに参入している。同社ホームページによると、平成20年8月期の売上高は約321億円、従業員は約590人。18年7月に東京地検特捜部が法人税法違反(脱税)容疑で水谷功元会長(64)=実刑確定=らを逮捕。この脱税事件をきっかけに福島県発注のダム建設工事をめぐる汚職事件に発展し、同年10月、収賄容疑で当時の佐藤栄佐久知事(70)=上告中=が逮捕、起訴された。




「小沢氏側へ5000万円」、民主党に波紋 「事実なら原爆級」「スパッと議員辞職を」

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091119/stt0911191133005-n1.htm





「小沢氏秘書が寄付強要」青木愛議員の元公設秘書が証言

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091119/crm0911190855005-n1.htm

 民主党の青木愛衆院議員(東京12区)が代表を務める政党支部「民主党参議院比例区第58総支部」に対し、青木氏の元公設秘書らが多額の献金を行っていたことが19日、分かった。元公設秘書の男性は「小沢一郎幹事長の秘書から寄付をするよう強要された」と話している。国会議員秘書給与法では、公設秘書への寄付の勧誘や要求を禁じており、同法に抵触する恐れもある。

 青木氏はタレント出身で、小沢幹事長の元秘書。今夏の衆院選で参院からくら替えし、公明党の太田昭宏前代表を破り当選した。

 元公設秘書の男性によると、男性は青木氏が参院議員だった平成20年4月に公設秘書に採用された。青木氏の事務所は当時、小沢氏の政策秘書が運営を実質的に取り仕切っており、採用時の条件として、国から支給される秘書給与の一部を政党支部に寄付するよう求められたという。

 国から支給される給与は当時、月三十数万円だったが、小沢氏の政策秘書はうち二十数万円を「手取り」と称し、「残りを寄付するように」と要求したという。

 男性は同月、求めに応じる形で青木氏の政党支部に10万円を送金。翌月から寄付を6万円に減額したところ、小沢氏の政策秘書から「どういうことだ」と連絡があり、トラブルに。4カ月後に青木氏の事務所を辞めたという。


 男性は「採用時から寄付を条件にするなど、はっきり言って『強制』だった。ほかの公設秘書も寄付を強要され、それが原因で何人も辞めている」と証言している。

 同政党支部が提出した平成20年分の政治資金収支報告書によると、同年に大口の個人献金を行った4人はいずれも議員秘書で、総額は426万円。収入の約3割を占めている。

 公設秘書の給与をめぐっては、かねてから寄付をめぐるトラブルが多く、民主党は今年9月、同意の有無を問わず寄付を禁止するよう全議員に通達を出している。



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共同体に振り回され判断誤るな

2009-11-19 13:17:00 | Weblog
11月19日付    産経新聞より


共同体に振り回され判断誤るな  国際日本文化研究センター所長・猪木武徳氏

  
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091119/plc0911190350000-n1.htm


 ≪ベトナムでの国際会議で≫

 10月末、ベトナム・ハノイで開かれた「東南アジア日本研究学会」第2回国際会議に出席した。アセアン諸国の人文学・社会科学の日本研究者が2日間にわたって報告と討論を行う研究会議である。日本の国際交流基金がバックアップし、今回はベトナム社会科学院が運営の中心的な役割を担った。オーストラリア、米国、英国、中国からの参加もあり、国際色豊かな専門家会議であった。

 良質な外国研究が日本に必要なことは言うまでもないが、諸外国、特にアジアの国々に良質な日本研究者が生まれることも、日本の将来を大きく左右する。その意味で、研究者間の学術交流は、「よき外交」の礎とも言えよう。

 研究報告は多分野にわたった。専門外の研究については、その綿密さと実証性に感心するばかりであったが、研究水準の高さは十分推し量ることができた。

 たとえば、ハノイ国家大学のファム・レ・フイさんは、「古代国家の公私牛馬管理について」という研究を発表した。日本古代国家にとって(土地・人間以外の)貴重な財源であった牛馬の管理の問題を、「北宋天聖令」という近年中国で発見された新史料を用いて唐の律令制と比較しながら論じたものである。ベトナムの学者が、中国の新史料を用い、日本の律令制の特質に迫る心意気には痛(いた)く感激した。

 ≪将来へ現在の正確な理解≫

 「日本研究」も、地域を日本だけに限定し、「純粋に日本的な特質」を云々(うんぬん)するという手法では文化・文明の本質に迫れないという認識が高まってきた。それは、「地域」とは何か、純粋な文化とは何か、と改めて問うことでもある。「日本」の現在を歴史的に考える場合、アジアの脈絡の中で問題を意識せねばならないということを、この会議を通して改めて実感した。

 こうした認識がこれまで弱かったのには理由がある。従来の地域研究には、学者兼植民地官僚が貢献して来たという側面があり、「統治」という視点から、一国、一地域の特殊性のみに強い関心が払われることが多かったからだ。

 史学の分野では常識となりつつあるが、「日本」という国に日本研究を閉じ込めるのではなく、広く「アジア」の中で日本を歴史的に把握することが重要だという点をこの会議の多くの報告は示していた。ただし、「歴史的に把握する」というのは、過去をほじくり、過去に引きずられることを意味しない。将来に向けた現在の正確な理解でなければならない。畏友・宮本又郎氏が引用した「現代の無理解は、運命的に過去の無知から生まれる」というマルク・ブロックの言葉を思い出したのもこの会議においてであった。

 ≪EU実現までの険しさ≫

 この点を現下の日本の政策論議と関連させるとどうなるだろうか。「東アジア共同体」についての政治家やメディアの発言が目立つ。しかし、この理念を実現するために、歴史を正確に把握しつつ、これからどのような時間的視野のもとで、いかなる努力を積み重ねる必要があるのかについて語られることは少ない。

 日本が国際的に孤立せず、近隣地域の共同体のメンバーとなる日が来ることを望むものは多い。しかし欧州連合(EU)実現までの険しかった道のりを想い起こすことも必要であろう。シャルマーニュからマーストリヒトのEU条約まで1200年近い歴史は、欧州共同体の成立の道が平坦(へいたん)ではなかったことを示しているからだ。

 「政治の密度」が薄く、国家権力の弱かった中世世界での「統合事業」は、国民国家がひしめく現代ほど困難ではなかったはずだ。しかし戦後、ヨーロッパで関税同盟が成立し、その内部で暴力の行使が禁止される平和団体としてのヨーロッパに進化するために、半世紀以上の歳月でも未(いま)だ不十分なのが現実なのである。

 ましてや、価値観の基本的一致もなく、学問的にも未だ理解が不十分な段階で東アジアの国々が、国家主権を事実上限定して行くような理念に軽々に飛びつくことのリスクは大きい。「東アジア共同体」の問題は、国家による暴力の行使、すなわち戦争を、国際紛争解決の方法とすることに制限を加えようとする動きでもあるから、物事は簡単ではないはずだ。

 「国民国家」に始めがあったからには、いつか終わりの日が来ることは確かであろう。だが問題は「どれほど先のことか」、という点にある。その実現のために、「持続と蓄積」の精神で働き続けることは政治の尊い仕事ではあるが、理念に振り回されて、現実の判断を誤ることだけは避けねばならない。

 そのためには、まず「日本」という狭い地域の利益や伝統にのみこだわって日本の孤立を招くような愚を避け、アジア太平洋経済協力会議(APEC)を含めた広い視野から日本の将来位置を探求することが、われわれに課せられた重要な仕事であることをベトナムでの会議で実感したのである。(いのき たけのり)





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外交に「主義」を持ち込む危うさ

2009-11-19 13:14:06 | 正論より
11月18日付   産経新聞より


外交に「主義」を持ち込む危うさ   拓殖大学学長・渡辺利夫氏


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091118/plc0911180237003-n1.htm



首脳会談に肝心なものなし

 13日夕刻、鳩山首相はオバマ米大統領との首脳会談に臨んだが、成果は乏しかった。2050年までに日米の温室効果ガス排出量80%削減をめざす共同文書を発表し、さらに「“核兵器のない世界”に向けた日米共同ステートメント」を出しただけであった。2つが今世紀世界の最重要課題であることは否定さるべくもないが、いずれもまっとうに過ぎてコメントのしようもない。

 そもそもこれが2国間の首脳会談で論じられるべきテーマなのだろうか。核を保有しない日本が“核のない世界を”と叫んだところで「紙つぶて」である。2050年における温室効果ガスの削減目標など総論は大いに結構だが、工程表を示すことなく40年先の目標を示されても信じる気にはなれない。いかにも安直な合意ではないか。せめてオバマ大統領の“顔をつぶさない”ための外交的儀礼だったのにちがいない。

 差し迫った問題をなぜ提起しないのか。肝心な日本の国家安全保障への取り組みはどこへいってしまったのか。日米間の緊急課題は、米海兵隊普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に関する、2006年5月の日米両政府合意の実現の可否である。合意の実現なくして米海兵隊のグアム移転、沖縄本島南部に立地する6施設の全面返還はない。


基地合意の見え透いた擬装

 極東の軍事力抑止と沖縄の負担軽減をバランスさせ、この2つを同時に実現する方途は、目下のところ2006年の合意実現以外にはない。今回の首脳会談では日米閣僚級作業グループを設置して早期解決をめざすことが確認されたようだが、見え透いた「擬装」である。

アジア太平洋を舞台に展開される米軍再編は、兵器体系の進歩とこの地域の地政学の双方をにらんで長期をかけて練り上げられた計画である。これに齟齬(そご)をきたす条件を米国がのむとは考えにくい。このことを鳩山首相や岡田外相が知らないはずもないのだが、国外・県外移転をうたったマニフェストを重視しなければ「民主」党の身が立たないということなのであろう。政党であるからにはみずからの「主義」を貫くことが悪いはずはない。

 しかし、国家安全保障についてだけは「主義」は危うい。刻々と変化する国際政治環境には柔軟で自在な対応を欠かすことはできない。北朝鮮が核ミサイルの保有を宣言する時期がいずれやってこよう。中国が国産空母を完成して東シナ海の制海権を掌握する日もそう遠くはあるまい。

 その時点で日米同盟が機能不全であれば、日本の外交的敗北は明らかである。外交は本来が変幻自在のものである。不変でなければならないのは、「外交とは国民の生命と財産を守護することだ」という原則のみである。この一点にさえ揺らぎがないのであれば、軟弱といわれようが強硬と難じられようが、変節漢だの卑怯(ひきょう)だの罵(ののし)られようとも動じない姿勢が外交には必要である。

 国益を守るには他に選択肢なしとして劣勢の日本を日清戦争に向かわしめたのも、他日を期して三国干渉という屈辱に潔く甘んじたのも、陸奥宗光という同一の人物であった。「戦争外交」の全局を精細に描いた希代の名著が『蹇蹇録(けんけんろく)』であるが、全編を通じて情緒の陰りや「主義」など微塵(みじん)もない。国益を守るためにはいかなる外交戦略が必要か。それだけを徹底的に考え抜いた指導者が陸奥であった。陸奥の外交官人生は、外交の「原型」を示して余すところがない。



「同盟」を機能させるには

 友邦をもたず戦われた孤絶の戦いが日清戦争であった。現在の日本は世界最大の覇権国家米国を同盟国として擁しているではないか。日本を取り巻く周辺国が挑戦的な外交を繰り返し、彼らが日本に照準を合わせているのは核兵器やミサイルである。専守防衛の日本が日米同盟を堅固なものとする努力を怠っていいはずがない。

 同盟とは2国間のものでなければならない。日本が第2次大戦での敗北によって亡国の危機におとしめられたその淵源(えんげん)をたどっていけば、日英同盟の廃棄に行き着く。明治末の10年と大正期を通じて日本の安全保障を確たるものとしたのが日英同盟であった。第1次大戦後の覇権国家米国はもう1つの覇権国家日本の弱体化を目論(もくろ)み、そのためには日英同盟を廃棄に追い込むよりほかなしとして日英に迫ってこれに成功したのである。代わりに与えられたのが日英米仏から成る4国同盟であったが、この同盟が機能することは一度たりともなかった。

 同盟とは本来が利害を共有する2国間のものである。日本の安全保障が完璧(かんぺき)に守られたのが、日英同盟と日米同盟の時代であったことがその何よりの証である。民主党政権は東アジア共同体の提唱にみられるごとく、多国間の安全保障をより優れたものだとみているようだが、日本の近現代史はそれが無効であることを教えている。(わたなべ としお)




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天皇陛下即位20年

2009-11-12 20:48:03 | Weblog
天皇陛下即位20年 記念式典でのお言葉全文

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091112-OYT1T01004.htm?from=main1

12日、国立劇場で行われた即位20年記念式典での天皇陛下お言葉全文は次の通り。



 即位20年に当たり、政府並びに国の内外の多くの人々から寄せられた祝意に対し、深く感謝します。

 今年(こんねん)は平成生まれの人が成人に達した年で、スポーツその他の分野でも、既に平成生まれの人々の活躍が見られるようになりました。20年という時の流れを思い、深い感慨を覚えます。ここに即位以来の日々を顧み、私どもを、支え続けてくれた国民に心から謝意を表します。

 この20年、様々なことがありました。とりわけ平成7年の阪神・淡路大震災を始めとし、地震やそれに伴う津波、噴火、豪雨等、自然災害が幾度にもわたり我が国を襲い、多くの人命が失われたことを忘れることはできません。改めて犠牲者を追悼し、被災した人々の苦労を思い、復興のために尽力してきた地域の人々、それを全国各地より支援した人々の労をねぎらいたく思います。

 即位以来、国内各地を訪問することに努め、15年ですべての都道府県を訪れることができました。国と国民の姿を知り、国民と気持ちを分かち合うことを、大切なことであると考えてきました。それぞれの地域で、高齢化を始めとして様々な課題に対応を迫られていることが察せられましたが、訪れた地域はいずれもそれぞれに美しく、容易でない状況の中でも、人々が助け合い、自分たちの住む地域を少しでも向上させようと努力している姿を頼もしく見てきました。これからも、皇后と共に、各地に住む人々の生活に心を寄せていくつもりです。

 先の戦争が終わって64年がたち、昨今は国民の4人に3人が戦後生まれの人となりました。この戦争においては、310万人の日本人の命が失われ、また外国人の命も多く失われました。その後の日本の復興は、戦後を支えた人々の計り知れぬ苦労により成し遂げられたものです。今日の日本がこのような大きな犠牲の上に築かれたことを忘れることなく、これを戦後生まれの人々に正しく伝えていくことが、これからの国の歩みにとり、大切なことではないかと考えます。

 この20年間に国外で起こったこととして忘れられないのはベルリンの壁の崩壊です。即位の年に起こったこの事件に連なる一連の動きにより、ソビエト連邦からロシアを含む15か国が独立し、それまでは外部からうかがい知ることのできなかったこれらの地域の実情や歴史的事実が明らかになりました。より透明な世界が築かれていくことに深い喜びを持ったことが思い起こされます。

 しかし、その後の世界は人々の待ち望んだような平和なものとはならず、今も各地域で紛争が絶えず、多くの人命が失われているのは誠に残念なことです。世界の人々が、共に平和と繁栄を享受できるようになることを目指して、すべての国が協力して努力を積み重ねることが大切であると思います。

 今日、我が国は様々な課題に直面しています。このような中で、人々が互いに絆(きずな)を大切にし、英知を結集し、相携えて努力することにより、忍耐強く困難を克服していけるよう切に願っています。

 平成2年の即位礼の日は、穏やかな天候に恵まれ、式後、赤坂御所に戻るころ、午後の日差しが、国会議事堂を美しくあかね色に染めていた光景を思い出します。あの日沿道で受けた国民の祝福は、この長い年月、常に私どもの支えでした。即位20年に当たり、これまで多くの人々から寄せられた様々な善意を顧み、改めて自分の在り方と務めに思いを致します。

 ここに、今日の式典をこのように催されたことに対し、厚く感謝の意を表し、国の繁栄と国民の幸せを祈ります。


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外国人参政権法案で小沢氏「やがて片が付く」 韓国民主党代表に

2009-11-12 20:38:38 | 外国人参政権
外国人参政権法案で小沢氏「やがて片が付く」 韓国民主党代表に


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091112/plc0911121840011-n1.htm


 民主党の小沢一郎幹事長は12日、来日中の韓国民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表と党本部で会談した。同席者によると、小沢氏は永住外国人への地方参政権付与法案について「(議員立法でなく)政府が提案した方がいいと思ってやっている。やがて片が付きますよ」と述べたという。





さあさあ、小沢一郎はどっち向いてるんでしょうかね

日本国民の方を向いていないのは確かですね




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「破局」へ歯車を進める鳩山外交

2009-11-12 10:11:18 | Weblog
11月10日付     産経新聞より



「破局」へ歯車を進める鳩山外交   東洋学園大学准教授・櫻田淳氏


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091110/plc0911100249001-n1.htm


 ≪オバマ来日と井上成美の言葉≫

 「アメリカがよくあれまで我慢したものだと思う。資金の凍結や油の禁輸などは窮余の策で、まだまだおとなしい方だ。日本のやり方は傍若無人と云うの外はない」

 井上成美(しげよし)は、戦前、日独伊三国同盟の締結や日米開戦への動きには頑強な抵抗を示し、米内光政や山本五十六と並んで、「海軍左派三羽烏」と称された。井上は、戦時中には海軍兵学校校長、海軍次官を務め、帝国海軍最後の大将に昇進した。井上は、海軍兵学校校長在任時、英語が敵性語として扱われた時節に兵学校での英語教育の続行を指示した。

 前に触れたのは、戦後、昭和30年代後半に、井上が日米開戦に至る過程を回顧して語った言葉の一節である。1940年9月の北部仏印進駐から翌年7月の南部仏印進駐を経て日米開戦に至る過程に関して、一つの解釈は、米国が資産凍結、石油・屑(くず)鉄禁輸といった様々な対日圧力を加え、それが日本を真珠湾攻撃に追い込んだというものである。

 しかし、井上は、第二次世界大戦序盤の欧州戦線の状況に乗じた北部仏印進駐には反対したし、南部仏印進駐を「火事場泥棒」と評した。井上は、当時の米国が加えた様々な対日圧力を呼び込んだのは、実は、そうした「国際慣例」にも違背した日本の対応に他ならなかったと指摘し、それ故にこそ、その過程で「我慢をした」のは米国であったと認めたのである。


 井上の述懐は、他国の反応に細心の注意を払わず、結果として井上が「傍若無人」と評した往時の日本の姿勢にこそ、日米開戦の遠因の一つがあったことを説いている


 然(しか)るに、鳩山由紀夫内閣発足後50日余りの対米政策は、誠に支離滅裂なものであると評する他はない。たとえば、岡田克也外務大臣は、バラク・H・オバマ大統領の「核兵器のない世界」演説以降の国際潮流に乗じてか、米国に核先制不使用を要求する意向を示した。しかし、そうした要求は、米国の「核の傘」の恩恵を明らかに受けている日本の安全保障上の立場と整合しないし、そもそもオバマ演説では、「同盟国に対する『核の傘』の提供」は、明言されているのである。


 ≪対外関係に優先する自己都合≫

 また、普天間基地返還に絡む案件に関しても、普天間基地を拠点にする海兵隊部隊は、在日米軍の「抑止力」の中核を占める存在であるけれども、そうした事情への考慮は、鳩山内閣において、どこまで働いているのか。

 鳩山内閣下の対米姿勢における最大の難点は、結局のところは、民主党という一政党としての「自分の都合」が客観的な対外情勢判断の総(すべ)てに優先していることなのであろう。鳩山内閣には、「政権交代」の結果として登場したという自負を反映した故にか、従来の自由民主党主導内閣で展開されてきた対外政策ですらも転換し、新たな対外政策方針を構築できるという幻想が漂っているのかもしれない。


 しかし、米国をはじめとする他の国々が対日関係の文脈で相手にしてきたのは、日本政府であって、自民党という一政党ではない。自民党であれ民主党であれ、日本政府が他の国々と約束したことは、基本的に踏襲されなければならないのである。対外政策には、「独善」ほど忌むべきものはないのである。



 ≪国家の利益を背負った交渉≫

 因(ちな)みに、井上は、日独伊三国同盟を推し進めた松岡洋右(ようすけ)の構想を「痴人の夢」と評した。

 松岡は、日独伊三国同盟にソ連を引き込む構想を梃子(てこ)として、「対等な日米関係」を実現させようとしたけれども、そうした松岡の「独善」を絵に描いたような構想は、日米関係における「対等性」を実現するどころか、その「破局」に向けた歯車を決定的に進めたのである。

 目下、「東アジア共同体」構想を唱え、「緊密で対等な日米同盟」を標榜(ひょうぼう)する鳩山総理の言動を前にして、奇妙な既視感を覚えるのは、果たして筆者だけであろうか。

 こうした情勢を前にして、オバマ米国大統領が来日する。鳩山総理は、オバマ大統領に対して、どのような言葉を掛けるつもりなのか。オバマ大統領もまた、米国という国家の利害を背負って来日するのであれば、実質的な成果を期待できない「ビジネス」に本来は付き合っている暇もないであろう。そうした実の伴わない「ビジネス」に付き合わせる弊害には、鳩山総理は、自覚的に向き合うべきであろう。

 米国は、日本とは比較にならないほどに、「我慢が出来ない」国家なのである。

 「アメリカ(オバマ政権)がよくあれまで我慢したものだと思う。…日本(鳩山内閣)のやり方は傍若無人と云うの外はない」

 筆者は、往時の井上が痛憤の念とともに回顧した風景が、このような体裁で再現されないことを切に願っている。(さくらだ じゅん)








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日米関係を修復せよ

2009-11-12 09:25:04 | Weblog
11月12日付    産経新聞より

【鳩山首相に申す  櫻井よしこ氏】


   日米関係を修復せよ


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091112/plc0911120244002-n1.htm



 誕生から約2カ月がすぎても、鳩山政権の基本的方針が定まらない。とりわけその外交、安全保障政策には不安が拭(ぬぐ)い切れない。

 国家の生存を懸けた闘いの主戦場が外交である。外交での敗北は国運の衰退をもたらす。失敗から回復するには半世紀、一世紀単位の長い時間と計り知れない努力が必要となる。国家の土台も国民の精神的基盤も液状化して二度と立ち上がれなくなる危険性もある。だからこそ、外交において失敗は決して許されない。

 21世紀における日本外交の最重要課題は、軍拡を続ける中国の脅威をいかに躱(かわ)すかに尽きる。そのために、日本にとって永遠の艱難(かんなん)である中国に正面から向き合って、日本はまず、自らを磨き続けなければならない。同時に、日米同盟が中国の脅威の抑制への最も現実的な解であることを肝に銘じなければならない。

 だが鳩山由紀夫首相には、同盟国と脅威をもたらす国の相違が識別できないらしい。米国を遠ざけ、中国に接近する、少なくともそうだと思わせるような言動を続けた結果、いまや日米関係は戦後最大の危機である。

 首相に就任した9月16日の記者会見で、首相はアメリカを排除するつもりはないとしたうえで、東アジア共同体を中長期的に構想したいと語った。

 22日には、国連演説で訪れたニューヨークで中国の胡錦濤国家主席と会談し、日中間の違いを乗り越えて「友愛外交」を推進し、東アジア共同体の構築を呼びかけた。

 首相は「Voice」9月号に「私の政治哲学」と題して以下のように書いた。「アジア太平洋地域に恒久的で普遍的な経済社会協力及び集団安全保障の制度が確立されることを念願し、不断の努力を続けることを誓う」


 東アジア共同体は、安全保障分野をも包括する組織になると言っているわけだ。では、日米安保条約の位置づけはどうなるのか。米国が強い関心を抱くなか、首相はニューヨークで、オバマ大統領と初の首脳会談を行いながら、この重要な点についても、東アジア共同体構想についても説明しなかったという。

 日米同盟を変質あるいは形骸(けいがい)化させかねない新たな長期的戦略について、同盟国に説明もしないのであれば、不信感を抱かれるのは当然だ。米国の対日不信をさらに深めたのが岡田克也外相である。

 岡田氏は10月7日、東アジア共同体のメンバー国を「日中韓とASEANに、豪印ニュージーランド」の範囲で考えていると述べ、明確に米国を外した。

 10月10日の日中韓首脳会議で首相は、「今までややもすると米国に依存しすぎていた。アジアの一員として、アジアをもっと重視する政策をつくり上げていきたい」と語った。

 米国の不信は高まり、さまざまな形で日本側に不快感が伝えられた。

                   ◇

 10月20日に来日したゲーツ国防長官は、自衛隊の栄誉礼も、外相、防衛相による歓迎夕食会も拒否。11月のオバマ大統領来日までに普天間飛行場移設問題についての結論を出すよう要請して日本を離れた。岡田外相はオバマ大統領来日前に日米外相間で話し合いたいと訪米と会談を要請したが、国会の日程を優先させて自ら言い出した外相会談を断った。

 中国で3泊4日をすごすオバマ大統領は、日本滞在はその半分の2日間だ。しかも、当初の予定は変更され、1日遅れの来日となる。13日深夜に、鳩山首相は普天間問題についての結論も出さないまま、APEC(アジア太平洋経済協力会議)参加のために日本を離れる。大統領は首相不在の日本で日程をこなす。こんな異常な外交日程はないだろう。日米の歯車が噛(か)み合わず、不吉な軋(きし)み音が聞こえてくる。

首相が提唱する東アジア共同体構想は、誰も振り向かなくなった古証文だ。もともと、形の上では小泉純一郎首相が2002年に提唱した。考えを授けたのが田中均外務審議官だと言われる。04年には産官学から人材を集めて東アジア共同体評議会(CEAC)が東京で設立されたが、背後で共同体構想を強力に進めたのが中国だった。

 中国は東アジア共同体のメンバー国を日中韓とASEAN10カ国に限ることにこだわった。そのままでは中国の独壇場に必ずやなったであろう共同体に、日本は豪印ニュージーランド3国を入れることに成功した。こうして中国の力を薄めたのである。

 思うような形に仕上がらなかった共同体構想への関心を中国は急速に失った。加えて、米国の中国戦略が大きく変化し、ゼーリック米国務副長官が05年9月、ニューヨークで中国に「責任あるステークホルダーであってほしい」と呼びかけた。対立するのでなく、利害を共有するパートナーになってほしいと言ったのだ。

 中国人民大学国際関係学院副院長の金燦栄教授は、中国の米国専門家は全力をあげて米国の意図をひと月かけて分析し、200ページの報告書をまとめたと語った。結果、中国もまた、対米政策の大転換を図ったのだ。それが中国の平和的台頭である。

 「フォーリン・アフェアーズ」05年9~10月号に掲載された中国改革フォーラム理事長の鄭必堅氏の論文、「大国への中国の平和的台頭」には、「東アジア共同体から米国を排斥することは中国の利益に合致しない。中国はむしろ同地域において米国が安全保障及び経済の両面で前向きの役割を果たすことを望む」と明記している。

 つまり、東アジア共同体を提案し、かつて米国の排除を意図した中国は、現実の変化に素早く対応して、米国抜きの東アジア共同体はあり得ないと、当初のもくろみとは反対のことを言い始めたのだ。これはもう4年も前のことだ。

 にもかかわらず、鳩山首相は、何を思ったか、この捨て去られた古証文を持ち出した。岡田外相は意固地にも東アジア共同体には米国を入れないと言い続ける。鳩山民主党政権がまるでピエロに見えてくる。


 米中関係の専門家、田久保忠衛氏は、米国防大学の国家戦略研究所(INSS)が07年4月に出した特別報告書の内容に注目すべきだと語る。

 「特別報告の冒頭には、『北東アジアの安全、繁栄、自由を促進するための地域的な協力強化の基盤として、米国は中国および日本とそれぞれの健全な2国間関係を求める』と書かれています。日米同盟とともに、良好な米中関係の維持が、米国の方針なのです」

 米国の国益が、日米同盟重視よりも米中関係重視によって増進されると判断すれば、米国はためらうことなく外交方針を転換するという意味であろう。米中接近の谷間に沈みかねないいまこそ、外交の根本に、同盟国と脅威をもたらす国の識別がなければならない。にもかかわらず、友愛外交を唱え、普天間問題で迷走するのは、国際情勢の変化を理解できていないからである。今年4月、米国で語り合った若手日本研究者でアメリカン・エンタープライズ研究所のM・オースリン氏は「日本は台頭する中国によって削り取られていくだろう」と書いている(『フォーリン・ポリシー』誌09年4月号)。

 日本削り取りに向かう中国の脅威に、現在の日本は対処できまい。日米同盟なしには尚更である。オバマ大統領を迎えて、最悪の状況に陥った日米関係の修復に鳩山首相は全力をあげなければならない。





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