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消費税10% 世論を読み違えた首相 言い訳と火消しに躍起

2010-06-29 14:55:07 | 民主党
消費税10% 世論を読み違えた首相 言い訳と火消しに躍起


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100628/plc1006282336017-n1.htm


 菅直人首相が「消費税率10%」を掲げたのは、28日閉幕した20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)で「財政」が議題となることを見越し、華々しく外交デビューしたいとの思惑からだ。支持率のV字回復で、増税を掲げても乗り切れるとみたようだが、その後、反発は強まっている。世論を読み違えた首相は“言い訳”に躍起だ。

 首相はカナダ・トロントでの27日(日本時間28日)の記者会見で、G20や主要国首脳会議(ムスコカ・サミット)について「財政再建と成長の両立が一番の中心課題だった。リードというか、大きな方向性について意見を述べ、皆さんの参考にしてもらった」と、日本主導をアピールした。

 だが国内では10%発言で負担増が先行する印象が強まり、民主党の勢いにブレーキがかかった。

 首相は26日、税率の争点化を報道のせいにし、仙谷由人官房長官も28日、「10%に上げるとの報道に傾斜している」、枝野幸男民主党幹事長も「参院選後すぐ消費税を上げるとの誤解がある」と、それぞれ懸命に火消しに努めている。

 「1998(平成10)年の参院選では最後の2日間で民主党が逆転し、橋本龍太郎首相の退陣に至った」

 首相は17日、参院選の公認証交付式で12年前の参院選を例に陣営の引き締めを呼びかけたが、10年参院選の自民党大敗の原因は首相らが恒久減税に関する発言を二転三転させたことだった。今回も同じ結果にならないという保証はない。

2010.6.28 23:36






民主党:参院選法定ビラ「消費税」の文言削除 反発に配慮


http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100629k0000m010119000c.html


民主党が参院選で訴える政策を解説するために配布している法定ビラ2種類のうち、最新のビラから「消費税」の文言が削られていることが分かった。党内でも菅直人首相の消費税増税発言に反発が出ており、配慮したとみられる。

 22日発行の法定ビラ1号には「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始」と明記されていた。しかし、26日発行の法定ビラ2号では「意志ある財政こそが、経済や社会保障に好循環を生み出す」と抽象的な表現に変わっていた。

毎日新聞 2010年6月29日 2時30分






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マニフェスト不記載でも実現目指す 夫婦別姓と人権救済機関で法相

2010-06-29 14:49:42 | 日本解体政策

マニフェスト不記載でも実現目指す 夫婦別姓と人権救済機関で法相


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100629/plc1006291100009-n1.htm


 千葉景子法相は29日午前の記者会見で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案と人権侵害救済機関設置法案(旧人権擁護法案)が民主党の参院選マニフェスト(政権公約)に記載されていないことについて「マニフェストに載っていない、あるいはテーマになっていないことが特段問題になることはない」と述べ、参院選後も引き続き法案成立を目指す考えを示した。

 民法改正案は昨年夏の衆院選で民主党が掲げたマニフェストでも盛り込まれなかったが、千葉氏は「一貫して民主党としては取り組み、提起をしてきた。突然消えてしまうとか継続性がなくなるということではない」と強調した。

2010.6.29 10:59







官房長官、夫婦別姓と外国人参政権に前向き


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100617/plc1006171725010-n1.htm


仙谷由人官房長官は17日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を導入するための民法改正と、永住外国人への地方参政権(選挙権)付与法案について「民主党としてはなるべく早く実現させたいという立場だ。菅内閣も基本的にはそういう考え方だ」と述べ、早期成立を目指す考えを示した。

 ただ、仙谷氏は「改めて政策調査会と所管のところで、国民新党との調整を含めて探りつつやっていく」とも指摘し、両法案に反対している国民新党側への一定の配慮も示した。

2010.6.17 17:25

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中国人48人が来日直後に生活保護申請 大阪市、受給32人

2010-06-29 14:17:13 | 支那(中国)
中国人48人が来日直後に生活保護申請 大阪市、受給32人


http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100629/crm1006291343019-n1.htm


大阪市西区に住む70代の姉妹2人の親族の中国人48人が5~6月に入国した直後、市に生活保護の受給を申請し、32人がすでに受給していることが29日、分かった。市は「入国直後の外国人がこれほど大量に申請した例は初めて。非常に不自然」として調査を始めるとともに、法務省入国管理局に対して入国管理の厳正な審査を求める。

 市によると、姉妹2人は平成20年7月、中国・福建省から来日、11月に日本国籍を取得した。今年5~6月、姉妹の介護名目で同省から親族48人を呼び寄せ、大阪入国管理局が審査した結果、48人は1年以上の定住資格を得たという。

 48人は外国人登録後、平均6日間で市内5区に生活保護の受給を申請。いずれも日本語は話せず、申請窓口には同じ不動産業者が付き添っていたという。

2010.6.29 13:42









【社会】 中国人姉妹、日本に来てすぐ日本国籍取る→親族48人を中国から呼ぶ→1週間で生活保護申請、32人がもらえる…大阪

http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1277788070/





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国のかたち 民主は大事な争点隠すな

2010-06-28 08:54:27 | 民主党
国のかたち 民主は大事な争点隠すな


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100628/stt1006280324001-n1.htm



 参院選の争点として、憲法改正問題をはじめとする「国のかたち」をめぐる各党の主張の違いにも注目したい。

 野党・自民党は政権公約(マニフェスト)の冒頭で「自主憲法制定」をうたい、「自衛軍の保持」などを明記した新憲法草案の概要を示した。さらに、「わが国のかたちを守ります」として、選択的夫婦別姓制の導入と永住外国人への地方参政権付与に反対する姿勢を明確に打ち出した。

 たちあがれ日本、日本創新党、連立与党の国民新党も、ほぼ同じ主張である。

 これに対し、与党・民主党の政権公約は、これらの問題に全く触れていない。枝野幸男幹事長は参院選後に党憲法調査会を復活させる意向を示しつつ、「憲法改正は喫緊の課題ではない」とも述べた。党内に護憲勢力を抱えていることもあり、改憲に消極的な姿勢はほとんど変わっていない。

 その一方で、民主党は「国のかたちを変える」と唱え、大胆な地域主権改革などを実行するとしている。閣議決定された地域主権戦略大綱によれば、明治以来の中央集権体質から脱却し、この国のあり方を大きく転換する改革で、憲法の地方自治の本旨にも沿ったものだとしている。

 主権は、政治のあり方を決める権利という意味で「国民主権」という使われ方もするが、第一義的には、国民の安全確保や領土の保全(防衛)など、国家統治の最高・絶対の権力を意味する言葉である。菅直人内閣は「地域主権」をどんな意味で使っているのか。自民党などの政権公約にある「地方分権」と、どこがどう違うのか。首相は、これらの点を有権者に分かりやすく説明すべきだ。

 菅首相は所信表明演説で、政治学者の松下圭一氏から学んだという「市民自治の思想」や「官僚内閣制(官僚主導)から国会内閣制(政治主導)への転換」を強調した。松下氏は昭和40、50年代の革新自治体に影響を与えた“進歩的文化人”として知られる。

 菅政権は憲法を変えず、一方的解釈により国のかたちを変えようとしているようにも思われる。

 外国人参政権や夫婦別姓制の導入は民主党の基本政策だが、これら左派色の強い主張は、昨夏の衆院選の政権公約でも封印された。有権者は、民主党政権があえて触れようとしないこれらの争点にも注意を払ってほしい。

2010.6.28 03:23









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ニッポン親中外交が失おうとしているもの

2010-06-26 19:59:50 | 日本
ニッポン親中外交が失おうとしているもの


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100626/plc1006261815012-n1.htm


 カナダで始まったサミット(G8)で外交デビューした菅直人首相。参院選を前に、笑顔の「顔見せ外交」となりそうだが、その手腕はまったく未知数だ。菅政権の引き継ぐ民主党外交は、深傷を負った日米関係と「アジア重視」の親中路線に代表されることになる。特に民主党の対中観の示された8カ月間を点検すると、見えてくる日本の現実がある。専門家は「日本の中国属国化」への警鐘を鳴らしている。

 

共産党の政治意志

 中国政府はここ約2カ月で、日中間にしこっていた「ギョーザ」「ガス田」という2懸案を相次いで片づけた。

 約2年にわたって中国が「ゼロ回答」を続けてきた2案件だったが、まず3月末にギョーザ中毒事件の容疑者の拘束を唐突に通告。ガス田の共同開発にかんする条約交渉開始は、5月末に来日した温家宝首相が首脳会談で打ち出した。いずれも中国共産党ならではの政治決定。交渉より政治意志がすべてである。

 日中関係筋は「北京は昨年末あたりに民主党の評価を定めたようだ。3月初めから兆候があった」と述べる。相次いでカードを切ったのは民主党政権が当面続くとの読みからであろう。中国側の「民主党評価」のポイントはふたつ。「歴史認識(靖国問題)」と「台湾問題」で中国の意向に逸脱しないとの判断であった。


 温-鳩山両首脳の日中首脳会談の2日後、鳩山氏は辞意を表明した。さっそく温家宝首相は菅直人氏に祝電で「引き続き戦略的互恵関係を」と念を押した。「菅氏は親中派」(関係筋)とみられており、中国側に警戒感はない。

 一方の菅政権は、発足早々、次期中国大使に民間人、伊藤忠商事元社長の丹羽宇一郎氏氏(71)の起用を閣議決定した。丹羽氏の起用は、中国への強烈なメッセージだ。もはや日中関係は「政治より経済」であり、中国の海洋覇権への懸念より「日中間のトップセールスへの期待」の宣言となった。

 地域の流動化要因としての北朝鮮問題、中長期的な米中関係の行方、今後の中台関係-外交課題の山積する北京はまさに「政治力」の世界である。中国大使は人脈、情報、分析、決断を求められるポスト。経済人大使起用の波紋は拡大している。政府判断の是非は、成果を持って問われることになるはずだ。

 

軽量級への友好ムード

 中国共産党は日本の民主党を「好(ハオ)=好ましい」と判断した。初動の民主党が示した媚中的な対中政策への評価である。

 日中関係は小泉政権の靖国神社参拝などで2006年まで冷え込んでいた。その後の自民党政権(安倍、福田、麻生内閣)は無難な路線で関係を修復した。そうしたなか、自壊する自民党に代わって現実味を帯びた民主党政権誕生に中国はただならぬ関心を寄せた。

政権交代後、民主党は中国の「期待」に応えた。まず自民党時代の安倍晋三政権に代表される「価値外交」(民主主義など価値を共有する国との関係重視)から異なる体制との共存共栄をうたう「友愛外交」へ転換。歴史に関しては早々と「歴史をみつめる政権」と名乗った。さらに小沢一郎前幹事長が同党議員ら大挙600人を引き連れ訪中。中国の次期指導者、習近平・国家副主席が天皇陛下との会見を希望すれば、天皇会見の「一カ月ルール」を破ってまで中国側の希望に沿った。

 そして、3月から5月にかけ東シナ海、西太平洋で続いた中国海軍の駆逐艦進出や艦隊航行、艦艇ヘリの示威飛行や調査船活動などの軍事的覇権行為に、日本の民主党政権は、厳しい態度を取らなかったどころか摩擦を回避しようと腐心した観すら残った。「軽量級ニッポン」に、中国は実に友好ムードである。

 

「日本は属国化する」

 中国共産党は2021年、結党百年を迎える。

 中国軍事の専門家、平松茂雄氏は、親中的な日本の民主党政権の登場が中国の軍事戦略上、重要な時期に偶然、重なったことをもっと注視すべきだ-と主張している。

 「中国は1970年代からほぼ10年ごとに着実な海洋戦略を進めてきた。80年代南沙諸島に進出し、90年代に東シナ海で出て、2000年からは西太平洋への海洋調査を始め、昨年からは軍艦も派遣し始めた。これからの10年は、2021年への締めくくりだ」

 「その意図は台湾統一である。この海域からの米海軍力の影響力排除を狙っている。軍艦はこれからもっと増える。軍事進出に反応すべきこの時期に、この海域を(鳩山政権は)『友愛の海』と呼んだ意味は深刻である。さらにいえば、中国は2050年に建国百年だが、これに向け太平洋、インド洋進出を目標としている。中国の軍事戦略を容認していけば、日本は属国化する」と警告する。

 平松氏はまた、東シナ海のガス田開発についても、ガス田が沖縄と宮古島の間を通る場所に位置し、その権益主張は資源・経済的なものより、西太平洋への戦略的意図が深いと指摘している。

 日本周辺の海をめぐる中国の既成事実化は、過去約30年にわたり積み重ねられてきた。そしてその意志はいま、「御しやすいニッポン」に攻勢を強めている。これを警戒すべきだという雰囲気は、いまの民主党にはない。

2010.6.26 18:00







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"経済大国"中国がODAを享受

2010-06-25 23:15:29 | 支那(中国)

テレビ・新聞が報じない上海万博の舞台裏
経済援助は合わせて9100億円也

一人勝ち中国にいまだ「偽装ODA」援助して欲しいのはこっちの方だ


http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20100624-01/1.htm


世界経済が疲弊する中、ひとりバブルを謳歌する中国。現在開催中の上海万博は、まさにその「わが世の春」と言ったところだろう。その中国に、いまだ日本が「途上国」という名目で経済援助を続けているとしたらどうだろうか。たしかODA(政府開発援助)は多くの非難にさらされ終了しているはず。いまだ中国に言われるまま垂れ流し続ける「偽装ODA」ほか経済援助の実態を明かす。

 上海万博が盛り上がりを見せている。中国国内で初めて開催される万博は、中国が30年間の市場経済を通じて、貿易額、外貨準備高ともに世界一、GDP第3位の経済大国に上り詰めたことを内外にアピールする一大イベントと位置づけられている。

 日本のテレビや新聞は、万博会場からいかに中国が繁栄し、豊かになったのか、を繰り返し報道し、スタジオのコメンテーターは、「21世紀の大国は中国だ」「日本の今後の成長には中国との協力が必要だ」と異口同音に発言する。だが彼らは肝心なことはなにも言ってはいない。


 それはすでにGDPで今年中にも日本を抜いて第2位になると見られるその中国に対して、いまも日本の経済援助が続いているという事実である。


 多くの国民は08年度を最後に日本の対中ODAは終了したと思っている。だがこれは厳密に言えば錯覚なのである。終わったのはODAの90%を占めていた円借款だけで、これ以外の無償資金協力と技術協力は今も続いている。

 そればかりではない。確かに外務省が仕切るODAは激減しているが、今度は逆に各省庁が個別に中国との交流を名目にして、それぞれ予算を獲得しているのである。これでは「偽装ODA」と言われても仕方ない。

 円借款中止で、国民の中にあるODA批判を封じ込め、その一方で目立たないように省ごとに援助予算を計上するという巧妙な手口なのだ。


 そもそもこれまでの日本の対中経済援助がどれほど膨大なものであったのか、ここで整理しておく。まずODAの総額が3兆円超、さらにODAとは別に国際協力銀行が融資する資源開発ローンという公的支援が3兆円、合計で6兆円である。この金額は世界最大であり、中国政府が海外から借りている公的資金のうち、実に30%を占める。


そればかりか日本の円借款のほとんどはアンタイドローンといい、いわゆる”紐つき”ではない世界でも稀な融資制度なのである。たとえば建設プロジェクトなどで日本企業が必ずしも受注できないのだ。中国は日本のカネで自国企業や韓国、米国、ヨーロッパなど第三国の企業に仕事を振ることが可能なのである。

 開催中の万博に世界から押しかける観光客が使用する上海浦東国際空港や、一昨年開かれた北京五輪で空の窓口となった北京首都国際空港も建設時に日本が援助している。

 こうした日本のインフラ支援について、海外からの借款を担当する国家発展改革委員会と鉄道省は合同で、3年前、次のようなレポートを全国の地方機関に通達している。

 タイトルは『積極的かつ有効に外資を利用し、中国の鉄道建設とその発展を促進しよう』。「我が国はこの25年間鉄道建設に外国資本を利用しようと、無から有へ、小から大へと工作を行なってきた。(中略)78年の開放政策から2005年までの間に我が国の鉄道建設に利用した海外からの借款は累計で98・13億ドル、そのうち、鉄道省が利用したのが89・39億ドルだった。その内訳は日本の円借款が27・18億ドル、世界銀行が23・95億ドル、アジア開発銀行が20・8億ドル、残りが諸外国からのものである」

 実に円借款が27%強。世界銀行への日本の出資比率が2位、アジア開発銀行(ADB)へは米国と並び最大であることを考慮すれば、中国の鉄道は日本マネーで建設整備されたことが理解できる。




「環境」を名目に増える対中支援

「偽装ODA」によって対中援助が再開されていることは、たとえば、08年度以降環境省で中国の水質汚濁や大気汚染についての予算が計上されていることなどからもわかる。

 このほかにも、中国政府の日本専門家が「ODA再開の受け皿」として設立を画策している機関がある。それが「日中省エネ環境基金」である。

 2006年10月、当時の安倍晋三首相が中国を訪問し、「戦略的互恵関係」を確認した。これは、小泉政権時のぎくしゃくした関係を改善しようというのが目的で、背景には中国進出を加速させ、貿易を促進したい財界と、日本から最新の環境や省エネ技術を獲得したい中国政府の思惑が存在していた。

 2006年12月には日本の財界も「日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会」を結成し、日本政府からの公的支援を強く要請している。つまり日本企業の対中投資をバックアップすべく日本政府も環境ODAを実現せよ、というのである。注目すべきは、2007年に発表された「環境保護協力の一層の強化に関する共同声明」の文面に、「協力」という単語が多いことである。

実はこれはODAのキーワードである「援助」「支援」に代わる新しい言葉で、その意味は「援助」となにも変わらない。日本国民の反発を考慮してこうした文言を使っているだけなのである。


そして民主党政権に代わった後の昨年11月、「日中省エネ環境基金」の設立提案が中国側からあった。中国は中国で、新華社系列の時事週刊誌『瞭望』(2009年6月8日号)のなかで、中国人の日本専門家がはっきりと「基金は日本の過去のODAに代わる新機構である」と断言している。


 日中省エネ環境基金について、新聞は突っ込んだ背景を説明していないため、読者にはこれがODA再開のための受け皿であるという事実が全く伝わらない。この団体の肝は、中国政府が日本と同じように出資を提案していることだ。それは日本だけが一方的に援助するのではなく、中国もちゃんとお金を出していますというポーズなのだ。「偽装ODA」を側面支援しているのが、「青年交流」である。「戦略的互恵関係」を確認した前述の2006年の安倍訪中を機に、外務省を中心にして始まった「日中21世紀交流」(後に「21世紀東アジア青年大交流計画」に拡充)。これが現実には経済援助再開のための公費を使ったODAのための“地ならし”なのである。

 中身は、日中高校生の相互短期訪問、さらに中国の高校生の日本へのホームステイというものである。いまさら、こんなものを公費でやったところで、効果は期待できないと思われるのだが、背景を見るとある事実が存在する。

 それは、こうした交流事業の担当機関が外務省官僚の天下り団体として有名な「国際交流基金」で、ここに「日中交流センター」なる組織が誕生していることだ。そして、2009年7月に所長に就任したのが阿南惟茂前中国大使である。

つまり「日中21世紀交流」は現実には外務省のチャイナ・スクールの重鎮が仕切るというわけなのだ。彼は長年、日中関係を仕切ってきた経世会の橋本龍太郎元首相らから寵愛され、その一方で、中国に対する迎合的姿勢が世論の厳しい反発をうけていた人物でもある。2006年に中国大使を退任し外務省を離れ、その後、新日鉄に天下り、顧問の椅子についていた。

 そして彼は昨年11月、もうひとつ外務省の有力な機関のメンバーに復帰している。それが日本と中国の両国政府の諮問機関「新日中友好21世紀委員会」である。昨年11月この委員会の委員が刷新され、新メンバーが選出された。日本側の座長は西室泰三・東京証券取引所グループ取締役会長だが、事実上のトップは阿南氏であることは言うまでもない。

 注目されるのは中国側の顔ぶれだ。座長が唐家璇元外交部長(外相)なのだ。彼は田中眞紀子元外相に首相の靖國参拝を止めろと「厳命」したことが知られる中国外交部の対日プロパーで、すでに外交部長と国務委員を正式に引退した人物である。その彼が再び、中国の対日外交に影響をもつ諮問機関のトップに就任しているのである。

 唐と阿南。ふたりは小泉元首相のODA中断に強く反対した経歴を持つ。経済援助の再開と時を同じくして、過去ODAに直接関与していた人物も復活してくるという構図なのである。

 今後は中立色を装う21世紀委員会で、「中国の環境対策は日本にとっても有意義であり、アジア全体のためにも両国は協調して対応すべき」との提言が出されるはずだ。さらにこの動きを財界とマスコミがバックアップして、世論が形成されるだろう。もう流れは作られているのである。だがこれで問題は終わらない。




国際機関を通じて日本から隠れ援助

 前述の通り、世界銀行、ADBを通じた経済援助は続いており、その額は各4216億円と4800億円。ODAとは別の迂回ルートになっている。「偽装ODA」と合わせて経済援助は9100億円也!

 また、ADBは一貫して日本の財務省出身者が総裁に就任し、“財務省の植民地”とまで形容される機関である。日本政府の意向は反映し易いはずだが、中国向け融資は増える一方だ。

 ADBの現総裁は黒田東彦氏で、当然財務省出身だが、彼の中国観は「中国は覇権国ではない」というもので、さらに、アジア共同通貨構想にも前向きな東アジア共同体論者として内外で知られる。

 ADBの中国向け融資で問題なのは、政治的にデリケートな少数民族地域のプロジェクトも多く含むことで、チベットと都市部をつなぐ内陸道路建設への融資などはダライ・ラマのチベット亡命政権から強い抗議があったにもかかわらず、実行されている。この件でADBに取材したところ、「ADBは国際援助団体であり、そうした政治的なことは関係ない」とそっけない返事が返ってきたばかりである。

 現在ADBが最重要視している開発プロジェクトに中国の新疆ウイグル自治区と中央アジアを結ぶ新シルクロード開発構想がある。ADBが主導権をとって関係各国と協調して行なう予定だが、構想実現には次のような背景があると開発関係者は語る。「ADBは黒田総裁の下に副総裁が4人いる。最近はこのポストのうち1つに中国人が就任している。で、彼が受け持っているのが『中央アジア地域』で、事実上、中国人がこの地域開発のイニシアティヴを握っている。仮に、この交通網が整備された場合、一番利益を得るのは中国。周辺の国に中国製品が氾濫するのは眼に見えている。そればかりか中央アジアは資源の宝庫。中国の浸透に拍車がかかるのは言うまでもない」(前出の関係者)。

新シルクロード開発は黒田総裁と中国人副総裁とのコンビのもと、これから数十年計画でさらに強力に推進される予定だ。ODAの迂回機関であるADBは日中連合体制なのである。

 世界銀行の支援も減ってはいない。ADBの首脳が日中連合なら、こちらは米中のG2体制である。総裁はロバート・ゼーリック元国務副長官で、中国融和派の代表的な政治家だ。

 ゼーリックの下で、事実上のナンバー2ポスト、チーフエコノミストを務めるのが中国の経済学者林毅夫で、彼は胡錦濤や温家宝の経済ブレーンとして知られている人物だ。彼らを通じて米中間で経済問題が情報交換されている事実は無視できない。

 中国は先ごろ世界銀行への出資金を増やしている。投票権は出資比率に比例しているので、これにより中国の投票割合は4・42%となり、米国、日本に次いで第3位になる。そうなれば、自国の支援ばかりか、中国と親しい、或いは影響下にある国への支援を世界銀行のマネーを使って行なうことができるようになる。

 こうしてみればODAに代表された日本の対中援助が終わってはいないことに気付く。「偽装ODA」は継続中なのだ。だがここで極めて単純な疑問に行き着く。それは、日本はいまや経済大国となった中国に援助を続けるほど豊かな国なのか、ということだ。失われた10年の経済空白の結果、派遣社員は激増し、レイオフは当たり前となり、給料は下がる一方だ。経済のデフレに歯止めがかからない。しかも若者たちは将来の年金に不安を持っているのが日本なのだ。


 経済的理由だけではない。中国は初の空母建造に着手し、核を保有、大陸間弾道弾にも転用しえる人工衛星ロケットまで打ち上げる。防衛省の『防衛白書』も近年、中国の脅威にはっきりと警戒感を示している。こうした軍事脅威を与える国に援助する必要があるのだろうか。不安にあえぐ国民の血税がこれからも中国に向かう。日本はいまや経済大国・中国の朝貢国に成り下がってしまったのである。

(SAPIO 2010年6月9日号掲載)より







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選挙はだまされる方が悪い

2010-06-25 09:27:58 | 日本
選挙はだまされる方が悪い


http://sankei.jp.msn.com/politics/election/100625/elc1006250354003-n1.htm



世の中にうまい話などない。

 たとえば、「徳川幕府が明治維新のどさくさで隠した埋蔵金のありかがわかった。発掘費用の一部を投資してもらえば年利30%つけて償還する」という電話がかかってきたとしよう。みなさんは、すぐ電話を切るか警察に通報するはずだ。民主党が昨夏の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)も「徳川埋蔵金」のたぐいだった。

 廃止すると高らかに宣言したガソリン税の暫定税率は、小沢一郎幹事長(当時)の鶴の一声で維持され、高速道路の無料化も通行量の少ないごく一部の路線で実施されるだけ。1カ月2万6千円の子ども手当も半額は支給されたが、残りは「上積みする」(参院選向けのマニフェスト)とは言うものの、不履行に終わるのは確実だ。

 先日、21世紀臨調主催で開かれた「マニフェスト検証大会」で、民主党を支援している連合以外の民間団体が「言論NPO」の25点をはじめ軒並み落第点をつけたのも大いにうなずける。

 昨年の衆院選で民主党のマニフェストを信じて投票した方は、裏切られた思いがしていることだろう。しかし、その気になれば政党や候補者に関する情報が容易に得られるようになった現代の選挙においては、酷な言い方ではあるが、だました政党や政治家よりだまされた有権者の方が悪い。むろん、昨夏に一政党のスローガンにすぎなかった「政権交代」をあたかも錦の御旗のように垂れ流したメディアの責任が極めて大きいのを承知の上である。

 現行憲法では、国会を国権の最高機関と規定しており、その構成員である国会議員を選ぶのは有権者にほかならないからだ。

 今回は、ぜひともだまされたと後悔しないよう各党のマニフェストや候補者の資質に目を光らせて投票していただきたいが、その際に見分けるポイントが2つある。

 1つは、政策を厳しく比較することだ。朝鮮半島が依然、冷戦下のような緊張状態にあり、しかも国家財政が逼迫(ひっぱく)した中で、何の痛みもなしに、みんなが幸せになれるような政策はあり得ない。にもかかわらず、非現実的な夢物語を吹聴する政党や政治家はまゆにつばをつけた方がいい。

 もう1つは、各党の候補者がどんな国家観を持っているかを見極めることだ。弁舌さわやかで人気者であったとしても、しっかりとした国家観のない人物を選んではいけない。市会議員でも県会議員でもなく、国会議員を選ぶのだから当たり前の話である。

 そうした観点で、各党のマニフェストを点検することをお勧めするが、昨夏からがらりと一変したのが民主党のマニフェストだ。経済政策にせよ、安全保障政策にせよ、修正どころか、まったく別物と言っても言い過ぎでない。「法人税率引き下げ」「日米同盟の深化」など自民党の政策かと見まがうものも少なくない。ただし、具体策のないスローガンの羅列がほとんどで、菅直人首相が力こぶを入れている消費税問題も「税制協議を超党派で開始する」と書いているだけ。

 さきの国会に提出しようとした外国人参政権法案や夫婦別姓法案について一言も触れていないのもおかしな話だ。

 一方、自民党のマニフェストは44ページと民主党の倍もある。量だけなら圧勝だが、野党なのに、あんな事もこんな事もやります、と書き連ねるのはいかがなものか。選挙後に大連立でもしなければ、実現不可能な政策ばかりで、およそ野党らしくない。

 うまい話がないように、満点の政党などない、と断言できる。参院選ではどの政党や候補者がよりましか、読者の皆さんには「ベター」な選択をお願いしたい。その際、小紙がだまされないためのお手伝いをできれば幸いである。

2010.6.25 03:54








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参院選公示 一層の劣化許さぬ選択を 民主の「現実路線」を見極めよ

2010-06-24 12:46:43 | 日本
参院選公示 一層の劣化許さぬ選択を 民主の「現実路線」を見極めよ


http://sankei.jp.msn.com/politics/election/100624/elc1006240328001-n1.htm



日本の劣化をこのまま放置するのか、それとも食い止めることができるのか。民主党が政権を獲得したあと、初の本格的な国政選挙として公示される第22回参院選の最大のポイントである。

 劣化をもたらしているのは、鳩山由紀夫前政権下で繰り返された数々の迷走と失政にとどまらない。民主党がマニフェスト上に並べてきた子ども手当や農家への戸別所得補償などに象徴される、利益誘導や選挙至上主義の色彩が濃い政策なのである。

 前政権を引き継いだ菅直人首相は、消費税を争点化するなどしているものの、東アジア共同体構想や地球温暖化対策の温室効果ガス25%削減目標など、鳩山前首相が重視した基本路線を継承する考えも鮮明にしている。これらで国益を守ることができるのか。



 ≪依存心招くばらまき≫

 実体が不明な東アジア共同体構想に幻惑されたため、鳩山前首相は胡錦濤国家主席との会談で中国海軍による海上自衛隊への軍事威嚇に触れることができなかったのではないか。25%削減目標も企業に負担増を強いて海外脱出を促すことになっていないか。

 日米同盟を空洞化し、日本の企業の活力を生かさないことが、この国を劣化させていることを認識しなければならない。

 菅政権がうたう「現実路線」への転換が本物かどうか。さらなる劣化を起こさない政治の枠組みはどうあるべきか。有権者の見極めに日本の未来がかかっている。

 懸念するのは、財源の裏付けなく、ばらまき政策を実施しようとする政権与党の無責任さだ。参院選向け公約では、子ども手当の満額実施を見送るなどの修正を加えたが、基本的な考えは変わっていない。こうした政策の多用は、国民の政府に頼ろうとする依存心を強め、自立心を損なっている。政府と国民の関係だけでなく、国のあり方も変質させかねない。

 前政権以来、もっとも注目を集めたともいえる事業仕分けが、将来を見据えた国家戦略に基づくものでなかったことは、小惑星探査機「はやぶさ」帰還と、それをめぐる政府の対応が示している。

 後継機となる「はやぶさ2」の平成22年度開発予算は、概算要求時点の約17億円から政権交代時の歳出見直しと事業仕分けを経て3千万円に縮減された。仕分けにあたった蓮舫行政刷新担当相は、今になって仕分けを再検討する可能性に言及しているが、科学技術における国際競争力強化への関心のレベルを物語っている。



 ≪自民は存在感足りぬ≫

 争点として避けられてきた消費税引き上げを、首相があえて打ち出したこと自体は政策論争を深めており、評価したいが、消費税の使途や10%という税率の根拠などを明確に示すべきだ。社会保障を負のイメージではなく、成長分野に位置付けるのであれば、産業化の具体的姿を示す必要がある。

 民主党政権がムダの排除を掲げ、消費税増税を否定する公約を反故(ほご)にしたことの説明も不十分だ。民主党は国家公務員の総人件費2割削減を掲げたが、積極的な取り組みは見られなかった。国会議員の定数削減も、衆院選で掲げた衆院比例代表80の削減は未着手だ。新たに参院で「40程度」削減する方針を示したが、本気度はわからない。

 いくら財政の危機的状況を訴えても、「わが身を切る」姿を政府や政治家が実践してみせなければ、負担を求められる有権者の心に届かない。消費税論議と同時に定数削減についても与野党で合意しておくことが必要だ。

 沖縄全戦没者追悼式に出席した首相は「沖縄のみなさんと真摯(しんし)に話をしていきたい」と米軍基地が集中する負担の軽減に努める考えを示す一方、「日本の安全だけでなく、東アジアの状況の中で前政権が合意したことをきちんと引き継ぐ」と語った。日米合意に基づき、8月末までに普天間飛行場の移設先の位置や工法を決定する考えを示したものなら妥当だ。

 米側には、参院選や9月の代表選などの政治日程を抱える民主党政権が、日米合意を完全履行できるのか懐疑的な見方もある。再び同盟空洞化を招くことのない外交姿勢が問われている。

 自民党は野党として臨む党再生をかけた選挙で、与党過半数を阻止し、現政権継続に歯止めをかけるとしている。だが、その重要性について国民への訴えかけは不十分だ。民主党政治の問題点をさらに具体的に突き、受け皿としての存在感を示す必要がある。








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「革命政権の行方」(下)“劇薬・小沢”の解毒なるか

2010-06-24 09:18:59 | 民主党
「革命政権の行方」(下)“劇薬・小沢”の解毒なるか


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100623/plc1006232315010-n1.htm



捕らぬタヌキの…

 参院選に向けて情勢分析を進める民主党選対幹部は先週、報道各社の世論調査結果にほおを緩めていた。

 「今の情勢なら単独過半数取れる。ひょっとしたら(改選議席54を大幅に上回り)70を超えるかもしれないなあ…」

 首相に菅直人が就任した後、内閣支持率は劇的に回復した。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した世論調査では、支持率は54.3%と高い水準を維持した。

 その後、菅の消費税発言で民主党の勢いにやや陰りが見え始め、単独過半数の獲得はそう容易ではない状況だが、もし民主党が単独過半数を獲得できれば、現執行部の求心力はますます高まり、逆に前幹事長の小沢一郎には遠心力が働く。

 これまで小沢は、他党との連立で過半数に足りない議席を補う「数合わせ」を得意としてきた。

 平成5年7月の衆院選後には、わずか1週間で日本新党代表の細川護煕を担いで8党・会派をまとめ、比較第1党の自民党から鮮やかに政権の座を奪い、世間をあっといわせた。

 民主党の支持率が急降下した2月下旬には、公明党の支持母体である創価学会幹部と会談し、参院選後の連携をにらんだ「手札」をちらつかせもした。

 民主党が参院選で敗北した場合、野党と瞬時に手を握れるのは「剛腕・小沢以外、他の誰にもできない」(小沢周辺)と党内外にアピールしたわけだ。

 小沢や側近議員らが、党内の「反小沢」の動きにタカをくくっていたのは、ここに理由がある。



 

脱小沢時代

 その状況は菅政権で一変した。民主党はこれから名実ともに「脱小沢」時代に入る、という見方も党内では広がりつつある。

 あるベテラン議員は、菅政権発足後、小沢との距離感に悩む若手議員を会合に誘い、参院選で与党で過半数に達しなかった場合の政局についてこう説いた。

 「これから3年間、国政選挙がないとなれば、小沢でなくても、(野党・無所属議員の)10人やそこらはすぐに引っ張ってこれる」

 若手議員が「例えばどの党からですか」と問うと、このベテラン議員はさらっと答えた。

 「公務員制度改革をすべて任せるから、思い切りやってみてくれといわれたら、おそらく(連立・提携を)断らないだろう」

 国家公務員の10万人削減をマニフェスト(政権公約)に掲げる「みんなの党」を念頭に置いていたのは明らかだった。

 反小沢を標榜(ひようぼう)してきた党執行部の1人は言い放つ。

 「政権を取れる政党に成長するため、民主党は小沢という劇薬を飲んだ。政権を維持するため、そろそろ解毒して元通りクリーンになる時期だ」




2人の師

 民主党幹事長の枝野幸男は就任直後、産経新聞のインタビューに対し、小沢が政治資金問題で起訴された場合の政治責任の取り方について「これは一般論」と断った上でこう述べた。

 「(刑法の)推定無罪の原則と、政治責任は別次元であるべきだ」

 場合によっては、離党や議員辞職の勧告も視野にあることをほのめかした発言だ。小沢はそれを受け入れるだろうか。

 「民主党に入党するとき、これが自分にとって最後の政党であり、民主党に骨を埋めると覚悟した」

 小沢は18年の党代表選で、こう表明したことがある。おとなしく民主党を離れ、謹慎するという選択肢はあるのか。党内最大勢力の小沢系議員は、主の没落を座視できるのか。

 ロッキード事件で逮捕され、自民党を離党した元首相の田中角栄が、その後も「闇将軍」として党内支配を続けようとした道を、まな弟子の小沢も歩むのか。

 小沢は前首相、鳩山由紀夫の退陣後、代表選候補として担ぎ出すため、角栄の長女の元外相、田中真紀子の私邸まで足を運んで説得を重ねた。だがそれが決裂して以来、2人はまったく音信不通となっている。

 「あれ以来、電話はチャリンとも鳴ってない」

 真紀子は、周囲にこうこぼしている。

 小沢は参院選公示日の24日、山梨県南アルプス市にあるもう一人の政治の恩師、元副総理の金丸信の墓に参る。闇献金事件で略式起訴され、後に脱税で逮捕された金丸の墓前で、何を祈るのだろうか。

 小沢の一挙手一投足が民主党の「明日」を左右する構図に変わりはない。(敬称略)










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「革命政権の行方」(中) 苦境の小沢氏、9月に立つか

2010-06-24 08:56:20 | 民主党
「革命政権の行方」(中) 苦境の小沢氏、9月に立つか 


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100622/plc1006222251035-n1.htm


■再起を期す

 積年の悲願だった政権交代を成し遂げ、それを「革命」と評していた民主党前幹事長、小沢一郎は今、苦境に立たされている。

 「『静かにしておれ』と言われているので、参院選では田舎の山奥やさびれた港町、あるいは大都会の裏町を回りたい」

 小沢は17日、東京都港区のホテルで開いた自身のパーティーで冗談交じりにこうあいさつし、首相の菅直人が党代表選で「小沢さんはしばらく静かにしていてほしい」と述べたことを当てこすった。

 その一方で復権をうかがう言動も隠そうとしない。12日には和歌山の世界遺産「熊野古道」を散策し、こう再起を期した。

 「古道を歩くと、身も心も再生する。自分をもう一度洗い直し、全力で努力していく」

 小沢が影響力を回復させるチャンスとにらむのは9月の党代表選だ。この機会を逃すと逆に「小沢は死に体になる」(非小沢系議員)運命が待ち受ける。

 小沢系といわれる議員は民主党の衆参国会議員約420人のうち150人を超える。代表選が党員、サポーターの参加も認める正式な形式で実施されれば、理論上は菅の再選を阻むことも可能なのだ。

 小沢は4日の党代表選を前に、小沢系の2~4期生の衆院議員で構成される「一新会」(45人、会長・鈴木克昌衆院議員)が自主投票を選んだ際、側近らにこう念押しした。

 「結束は弱まらないか。自主投票で大丈夫か…」




 ■数の結集

 菅内閣発足から2日後の6月10日昼。新執行部が「脱小沢」色を鮮明にするのをよそ目に、「一新会」は国会にほど近いマンションの一室で早速定例会を開いていた。

 定例会は毎週木曜日に開かれ、普段は国会や党運営などを報告する程度だが、この日は違った。会合の詳細なやりとりは明かされていないが、小沢側近の一、人はこう語る。

 「今まで小沢を支える複数のグループは別々に活動してきた。だが、これからは一緒に日本のあり方や小沢イズムを勉強しようという気持ちが、みんなの中にわき出てきた」

 小沢を支える民主党内のグループは大きく分けて4つある。中心的存在の「一新会」、新人衆院議員中心の「一新会倶楽部」(倶楽部)、「参院小沢系」、「旧自由党系」の4つだ。

 統一しなかったのは、「小沢軍団」の圧倒的な人数をあらわにしないためだった。にもかかわらず、あえて結集するということは「これからはなりふり構わず反転攻勢に出る」ことを意味する。

 小沢の信頼が厚い事務局長の岡島一正、事務局次長の松木謙公、小沢の秘書出身の樋高剛らいわゆる一新会のコアメンバーは今後組織の立て直しに本腰を入れるとみられる。

 参院選の投開票は7月11日。小沢系議員が結集しての勉強会は、その後に照準を合わせている。




 ■必要な組織固め

 だが、そのシナリオもそう簡単ではない。新執行部人事では、国対委員長の山岡賢次や副幹事長の松木や樋高、佐藤公治ら小沢側近はその任を解かれた。

 国会対策や選挙対策など党のカネを差配できるポストもすべて失った姿に反小沢のベテラン議員はほくそ笑む。

 「子分らに配るカネまでも止められたぞ…」

 また、小沢が結束の弱まりを懸念した通り、一新会と若手の一新会倶楽部の間にもしこりが生じている。

 代表選で一新会倶楽部は当初、結束して臨む方針を決めていたが、一新会が自主投票を決めたことを受け、結局、自主投票に切り替えたからだ。一新会コアメンバーが菅の対抗馬として現国対委員長の樽床伸二を支援するよう働きかけたことにも、一新会倶楽部からは「ボクらは数合わせ要員なのか」と不満の声が噴き出した。

 15日夜、東京・赤坂の居酒屋で一新会メンバー約20人のよる懇親会が開かれた。主催したのは、めったに会合を呼びかけない一新会会長の鈴木だった。関係者が意図を探ると鈴木サイドは「これは小沢さんの指示です」と答えた。

 一方、菅が参院選を前に「消費税10%」構想をぶち上げたことは、消費税率引き上げに反対してきた小沢に格好の対立軸を与えた。

 小沢に対し、4月に「起訴相当」の判断を下した検察審査会の次回議決の時期は不透明だ。消費税率引き上げ反対を大義に小沢が9月の代表選に出て一発逆転の大勝負を打つ。そんなうわさが早くもささやかれ始めた。









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