今日は少し暑いぐらいのバカ陽気の一日、
職場の昼休み、すぐ近くにある宇治川堤を覗いてみました。
セイヨウカラシナの花がたくさん咲いて、かなり春めいた雰囲気が漂っています。
この花は遠目には、菜の花と呼ばれるアブラナとよく似ていますが、アブラナほど
太く柔らかい茎や、縮れた豊かな葉もありません。言ってみれば菜の花モドキです。
しかし、このセイヨウカラシナも様々なアブラナ科の野菜などと何代にも渡って複雑な交雑を繰り返した交雑種で
正確に言えば「セイヨウカラシナを母種とする交雑種」なのです。したがって葉の形や花の付きかたなどは
個体によってまちまちで、とんでもない交雑種もみられます。下の画像のものは近くで栽培されているアブラナと
よく似た特徴を備えた個体です。
アブラナ科の植物は開花直前から自家受粉や、同じ種類からの受精を抑制する物質が現れるため
同じ種属間では種ができにくいのです。この性質を植物学用語で自家不和合性と呼んでいます。
このため自然界ではどんどん交雑が進んでいきますが、野菜の人工交配では2種類の親品種を隔離された場所で
並べておけば、確実に交配品種を作ることができます。
しかしここで1つの疑問が出てきます。親品種のどちらにも自家不和合性があるのに、
どうして親品種の種が採れるのか?
これには当然ながら裏技があります。
タネ明かしをしますと、自家不和合性は開花直前に現れるので、それ以前の蕾を先の尖ったピンセットで開いて
蕾の中の雌蕊に開花した花の花粉を受粉させれば交配に必要な親品種の種採りができます。
ただし、これは大変な人手を要する作業で、これからの季節に種苗会社では研修中の新入社員や
アルバイターなどを総動員しています。
この作業は交雑を防止するため、ビニールハウスの側面が細かい網になった網室と呼ばれる施設の中で行われます。
こちらは近くで生花用に畑で栽培されているアブラナです。ここでもセイヨウカラシナとの交雑があり
栽培に苦労されているとのことでした
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