四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

ふるさとの山

2011年04月26日 23時22分31秒 | コンサート
 早、葉桜が薫風に揺れハナミズキ、チューリップ、ツツジ、シャガ等々春の花々が爛漫と咲き競う素敵な季節。しかし、今年の春は手放しでその季節を味わうことをはばかる重い鬱屈を抱えています。

 それは…、地震、津波、原発と三重苦の災害に見舞われ命を落とされた14,000余名を超える方々、さらに、依然として厳しい避難生活を余儀なくされている人々の存在。その人々と共にあることを密かに胸に刻み日々を律して過ごしていることもありますが、自然の見せる慈愛に満ちた顔に潜む、凄まじいまでの酷さを改めて知ったことによる畏怖の心ゆえかも知れません。

 当初、計画はしたものの自粛しようとの意見もありましたが、東北で酒蔵を営む方の心熱くするメッセージもあり、話し合いの結果20年数年ぶりに行われた郷里での中学の同級会。
 その会に参加すべく先週末休暇を取って長野上山田温泉まで行って参りました。全国各地からの参加者は二十数人で、同級生の二割強にのぼる物故者を考慮すると六割以上の参加率で盛況な宴となりました。このような状況ゆえに懐かしい友に会いたかったとの意見に代表されるように単なる懐かしさのみでなく、故郷につながる絆を再確認する会ともなりました。

 私たちは団塊の一端を形成する世代ですので、良きにつけ悪しきにつけ時代の変転の洗礼を常に受け続けてきました。文字通り戦後史を自分史に重ねて闘いつつ歩んできたとの実感があり、級友も離れていても同志との想いを強く感じて参りました。

 それぞれの場所で地に足をつけ、生活の厳しさからもそれぞれの使命からも逃げることなく踏ん張ってきた着実な歩みを物語るように、一人一人の顔は幾星霜の季節の鑿に刻まれたすがすがしい表情を造っていました。級友の一人一人の顔を眺め女性、男性関わりなく改めて頼もしく感じた次第です。

 宴の翌日は、「被災者支援」をメインテーマとして開催されていた「上田城千本桜祭り」に有志で参加し、久しぶりに高校時代の通学の地を訪れました。桜はまさに満開の状況で、信州の蒼い空に映える桜の見事さを堪能することが出来ました。咲き満る桜を通して、今なお白銀に輝く遥かな北アルプスの景観に、さらに噴煙を上げ続ける浅間山の雄姿にたまらない懐かしさを感じました。「ふるさとの山ありがたきかな」を改めて実感した次第です。     

  ☆幾星霜隔てて会いし友垣の
          笑みとなまりにきずな新たに

 被害にあわれた皆様へのお見舞いとしてはささやか過ぎますが、鎮魂の意味をも込め、前回に続き再び咲き競う春の花の中から「なにわいばら」を「鎮魂の花 その2」として掲載させて頂きます。

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