第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その121) 短歌の投稿を歓迎します!!
☆☆☆ 能登地震で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また、被災され避難を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げます。
☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
第二部 「ネット短歌」 :返歌専用です。
「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。
「咲き盛る 白梅」
「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」
【詞書】源氏物語や紫式部日記・紫式部集には和歌(巻名歌等)が沢山
ありますが、その和歌の返歌を口語短歌で提出します。返歌は
源氏物語の内容や進行に合わせてではなく、短歌に沿った言葉・
単語や自然・地名からヒントをもらい詠みます。今週は源氏物語巻
名歌から2首、紫式部集より1首の計3首提出します。
註)源氏物語巻名歌・6葵(あおい)
歌の背景
光源氏二十二歳。びっしりと車が立ち並んでいる賀茂の葵祭の日、
女の方から車の場所を譲ってくるのでどんな好色者だろうとみると、
「せっかくお目にかかったのに、その注連の内(シメノウチ)には
入りかねております」と、「逢ふ日」に掛けて、あの典侍が歌を
贈ってきました。源氏は素っ気なく歌を返します。
〇はかなしや 人のかざせる 葵ゆゑ 神の許しの 今日を待ちける 源典侍
注連の内には
〇かざしける心ぞあだに おもほゆる 八十氏人に なべて逢ふ日を 光源氏
「返歌」
☆典侍(ないしのすけ) 恋に想いは みそかごと
葵の簪(かんざし) 祭りに輝く
☆移りかわる 花のほころび 今さかりと
八十氏人(やそうじびと)を 眺めているも
注)八十氏人(やそうじびと):多くの人々
註)紫式部集・6
〇西の海を おもひやりつつ 月みれば
ただに泣かるる ころにもあるかな
「返歌」
☆大宰府の 遠い赴任地 見極めて 心に沁みる 言葉たむける
浅間山明鏡止水さん
【解説】
今回は「源典侍」「光源氏」「紫式部」の詠まれた歌への返歌を、3首詠んで
頂きました。
源典侍と光源氏の絡みは、源氏物語でも結構辛辣に描かれていますが、源典侍は
今でいう、いわゆる美魔女であったとの説があります。この方は紫式部の兄嫁が
モデルではないかと言われているようですね。
1首目、2首目は葵祭に、紫の上と仲良く祭り見物に来たのに、空気を詠まず声を
かけ歌を寄こす源典侍に、光源氏は立腹しそっけなく対応する様子が返歌にも
表れています。しかし、一度は逢瀬を重ねた方ですので、せめて・・・の想いを
返歌に込めて詠ってみました。「おめもじ」は女性言葉ですが皮肉も滲ませ
ました。いかがでしょうか。
【ご参考】
★花時を 過ぎても香る君ゆえに 八十氏人は おめもじ待つや
3首目は、紫式部が「姉君」と呼んだ「筑紫の君」が詠んだ歌で、
「西の筑紫の海を思いながら月を見ていると泣けてくる」との意ですが、
紫式部は「西へ行く月の便りにたまづさのかき絶えめやは雲のかよひぢ」と
返歌し姉君が筑紫へ行っても手紙は絶やしませんよ、と返しています。
従って、作者が返歌として詠まれた「心に沁みる 言葉たむける」手紙が
送られたと推察出来、適切な内容と考えます。
これからも、益々返歌に磨きをかけられることを期待しております。
【詞書】孫と遊園地に行く約束をしたことを詠ませて頂きました。
☆まだ先も 孫と約束 遊園地 止まぬワクワク どちらが子供
【詞書】最近の温かさについて詠ませて頂きました。
☆春の風 しがしながらも ふと我に いまだ2月に早過ぎないか
【詞書】2月に雨が降ることを詠ませて頂きました。
☆2月とて雨の降る日が続けども 雪合戦した昔懐かし
西BOOさん
【解説】
今回も、追加分を含めて3首の歌を詠んで頂きました。
一首目は、お孫さんと約束した遊園地行に、自らがワクワクしている
気持ちが素直に表現され、さらに孫想いのほのぼの感も滲み出る良い
歌と感じます。「止まぬワクワクどちらが子供」の下の句が秀逸です。
2首目、3首目は最近の異常気象の様子を、具体的な事象を交えて詠み
歴史的な事実として、後の世に参考となる資料になるかも知れませんね。
2月に夏日の気温となり、その2月に雪国で雪ならぬ雨が続く気象は、
やはり異常と言わざるを得ませんね。正に、「雪合戦した昔懐かし」
と詠いたくなる心境ですね。
【詞書】京都の湯豆腐は絶品です。「奥丹」は東山にある静かな庭園の
ある豆腐専門店です。
☆湯豆腐の熱きが身のうちつらぬきて京の「奥丹」はやも暮れゆく
【詞書】大阪天王寺にある七坂のひとつです。
☆逢坂のささやくような紗の雨に木末の梅は蕾のままに
【詞書】春雨の続く日ついうとうとと・・・
☆春霖は逢いたき人を連れてくる 夢に虚ける午後の憂鬱
夕庵さん
【解説】
3首の歌は、いずれも詩情豊かな「夕庵ワールド」に誘ってくれます。
一首目の「熱きが身のうちつらぬきて」、2首目の「ささやくような
紗の雨」の表現が秀逸です。
3首目の歌は、春雨の情景と午後の憂鬱な心境を美しく表現され、言葉の
選び方や構成、余韻など、様々な要素が効果的に用いられています。
なお、「春霖」という語は春の訪れと同時に、しっとりとした湿気を
帯びた空気感を喚起し、午後の静かで物憂い雰囲気が伝わってきます。
また、「逢いたき人」という表現は、具体的な人物像を思い浮かべさせる
ことなく、読む方の想像力を刺激し、「夢に虚ける」というフレーズは、
憂鬱な感情をより深く表現することに成功していると感じます。
総じてアンニュイな気分を醸し出しながら、物語性を滲ませた印象深い
歌と考えます。
【詞書】YouTube短歌:小さな映画館 ニューシネマパラダイスを聴いて
☆村人が白い幕を張って
映写機を回す
小さな小さな祭
自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
ただ、情景だけを淡々と記す。俊恵が鴨長明に述べた幽玄の自讃歌
「み吉野の山かき曇り雪降れば麓の里は打時雨つゝ」(冬歌 俊惠法師)
です。それを真似てみました。
どこの家にも大型テレビがあり、いつでもネットから映画が見られる
ようになった今、村の祭りの余興に、映画を上映する所は無いですが、
遠い昔はどこでもそうでした。
下記URLに、ニューシネマパラダイスを貼り付けておりますので、
そんなノスタルジックを、この音楽と共に感じてくれれば幸いです。
https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/aab16d061c767657e2ab65010de639ce
【解説】
「ニュー・シネマ・パラダイス」は、1988年のイタリアのドラマ映画
でしたね。映画への愛情が丁寧に描かれ、停滞期に入っていたイタリア
映画の復活を、内外に印象付ける作品となったとのこと。
ユーチューブを視聴させて頂きましたが、エンニオ・モリコーネの音楽も
中々良いですね。ピアノとバイオリンのコラボが、おっしゃるように
ノスタルジックで心地よく胸に響いてくる素敵な曲です。
「遠い日の祭り」に余興として上映された映画は、幼かった私の記憶にも
鮮明に残っています。映画の始まるまでの、あのワクワク感は今でも思い
出します。そんな想いをかき立てる「小さな小さな祭」の句の淡々さを
この歌は的確に表現していると考えます。
俊惠法師の歌の下の句の「麓の里は打時雨つゝ」の水墨画にも似た情景
描写も、韻も含めて見習いたいものですね。この雰囲気も詠まれた歌には
十分表現されて、磨き抜かれた自由律短歌と考えます。
「咲き初める ボケの花」
【詞書】春告鳥と言われる鶯の初鳴が待たれます。裏山に鶯が鳴くのを、
今は亡き母が喜んでいたのを思い出します。
☆鶯の声に目覚めて 亡き母に見守られたる ごとき幸せ
【詞書】亡き父と月を見ながらお酒を酌み交わし、父の話をいつまでも
聞いたのを思い出します。
☆稜線におぼろ月見て 山ホテル 酒酌み交わし考(ちち)のうんちく
【詞書】昔の朋友が亡くなったのを人づてに聞きました。同じ男の子を
好きになってかっこいいねとよくお喋りしました。結局どちらの恋も
実りませんでした。
☆同じ人想ひし友よ 今日からは 恋敵とふ あの日の二人
みっちっちさん
【解説】
父、母、友と、それぞれの方に寄せて詠った歌は、何れも作者の想いの
こもった、味わいのある歌と感じます。
特に、2首目の歌は、子どもが息子ばかりで、女の子のいない私には、
とても羨ましく響いてきます。月を眺めつつ「酒酌み交わし」ながら聞く、
お父様のうんちくに満ちたお話。それは心に響き、いつまでも忘れ得ぬ
思い出となっていることと思います。
歌は、山ホテルの美しい風景と、お父様とお酒を酌み交わしながら過ごした
楽しいひとときを五感で鮮やかに表現し、ほのぼのとした懐かしさを
呼び起こしてくれます。また、言葉の選び方が適切で、深みのある歌に
仕上っていると感じます。
お父様もそんな作者の様子を、天国で頼もしく、また楽しく見つめて
くれていると思います。
【詞書】株価上がれど景気はどうだか。って感じです。昔のバブル頃のような
雰囲気はまったく無く、政府がいくら「最低賃金を上げよう」とかバイト
など求人情報の企業のCMがいくら「時給を上げよう」とか言っても、
色んな事情で難しい事業者さんが大半なんじゃないかと思うし…。
土地など不動産とかは外資が買っているという事例もよく聞くし…。
(過去に姉が曰く。「京都は京都であって京都でない」と)株価ばかり
やたら上がっても、ぬぐいきれない“不況感”が澱んでいる感じです。
せめて願わくは、この株価が一挙に下がりませんように…。
☆4万に届くかのよな近頃の
株価3万9千怖し
【詞書】アメリカで2月の満月は「スノームーン」と呼ばれるのは、去年ぐらいに
知りましたが、2月24日の満月は地球から最も遠くに位置し、見かけが
1年のうちで一番小さく見える満月で、「マイクロムーン」
「ミニマムムーン」などと呼ばれるんだそうです。24日の夕刻の買い物
帰りに、ハアハア🥵言いつつ家の近所の坂を、自転車を押しながら
登ってて、ふと東(この時は左)の空に目をやると、連日雨がちだったり
曇っていたりですっかり忘れてた満月が出ていました。うっっっすら
雲が掛かってましたが、綺麗に丸~く見えて、「あー、2月のは
“スノームーン”とか言うなあ、小さいけど綺麗やなあ」と一瞬堪能して
「早よ帰ろ」と切り上げました。帰ってから何となく調べて、
“今日はミニマムムーン”みたいな見出しを見て、「なるほど、小さく
見えた訳やな」と納得しました。満月でも、“東の空”にある時点で、
頭の真上とかに見えるぐらいの(見かけの)大きさ(微妙にもう少し
大きかったかもですが)だったので、納得した訳です。…で、満月が
出ていて油断してましたが、9時か10時か頃に雨が降りまして、慌てて
洗濯物の一部を軒下に移動せました。「満月見といて良かった!」
☆2月のは「スノームーン」の満月が
24日は「ミニマムムーン」に
【詞書】月面探査機SLIMさんの着陸地点が、太陽光が届かない「夜」から、
光が届く「昼」の状態になって、通信が再確立できたということだ
そうです。「昼」の高温にカメラが耐えられたかはまだ判らない、
のだとか。「昼」の高温や「夜」の(絶対零度まではいかずとも)
マイナス170度にSLIMが耐えられる構造ではなかったとかで、
通信が再開できるかは判らなかったんだそうです。取りあえず
JAXAの方々もホッとされたことでしょう。どのぐらい機械が
もつかは判りませんが、なるべく地球とやり取りできることを
祈ってます。
☆高温や低温の危機を乗り越えて
目覚めたSLIMはお仕事再開
ちがやねこさん
【解説】
今回も「月面探査機」を含めて、「株価高騰」「ミニマムムーン」と
ホットな話題を、情報提供を含めて精緻に詠んで頂き、学びになります。
一首目の「株価高騰」は、詠まれているように、日経平均株価は
3万9千円台に達していますが、かつてのバブル期のような好況感は
ありませんね。
市場心理と経済指標の乖離、バブル期との違い、今後の経済見通し等を
考慮し、投資等に当たっては冷静な状況判断が必要と言われていますね。
現在の株価上昇は、主に欧米経済の回復や金融緩和による資金流入が
要因と考えられますので、政権のどなたかがおっしゃるような、ぬか
喜びは決して出来ませんね。これらの流れに対し作者が詠われているように
「怖し」の警告は必要ですね。現下の経済状況を的確に把握された優れた
社会詠と考えます。
2首目、如月の満月「ミニマムムーン」は小さいながらに夜空に煌々と輝いて
いましたね。「満月見といて良かった!」の実感と、静かな喜びが滲む
良い歌と思います。
3首目は、作者のライフワークでもある、月面探査機SLIMのミッション
再開の喜びが歌には溢れています。私たちも厳しい環境を乗り越えて、
観測が継続されることを祈りたいと思います。
☆風を裂き身もだえるごと波荒ぶ 橘媛(たちばなひめ)の入水の地よ
ポエット・M
【解説】
この歌は、古事記に記されている日本武尊の伝説を踏まえて詠って見ました。
日本武尊は東征の折、相模国の走水から海路で上総国へ向かおうと
しましたが、いざ船で渡り始めると突然の暴風雨となり、船は進むことも
退くことも出来なくなりました。すると后の弟橘媛は「この嵐はきっと
海神様の仕業です。私が身代わりとなって海を鎮めましょう」と言い、
海に身を投じました。するとたちまち暴風雨は止み、無事に上総国へ行く
ことが出来たとの伝説があります。
過日眺めた走水の海は、この伝説の如く折からの低気圧の通過の影響で
荒れ狂っておりました。これを「身もだえるごと」と表現してみました。
波の激しさと同時に、愛する夫のためとは言え、自ら海に身を投じた
弟橘媛(おとたちばなひめ)の苦悩や恐怖を想い、その状況も暗示して
みました。そこに「橘媛の入水の地よ」というフレーズを加え、歌全体に
緊迫感と哀しみが表現できればと考えましたが・・・。
「波荒ぶ 走水の海」
「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(28)
「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め、小説、
短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。に
9.「短歌の章」 家のノラ猫(5)
ペット食だけでは飽きると削り節
煮干しもまぜて 妻与えおり
猫小屋を孫に造らせ 良く出来たと
妻は満足して アルバイト料を出す
猫小屋に毛布をしっかり敷き詰めて
カイロはいるまいと 妻われに言ふ
【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
「口語自由律短歌」についてのお訊ねがありましたので、以前にも少し触れ
ましたが、再度編集し、前週に続き掲載致します。
短歌は記紀万葉の時代から五・七・五・七・七の5句31音で、韻律をふまえて
詠むという形式が確立し、長い伝統的の中で磨かれ受け継がれてきました。
しかし、時代の変遷の中で文学全般、日常的に使っている言葉(口語)で
表現しようとした言文一致運動が始まりました。これに呼応し短歌の用語にも
口語を用いようとする口語歌運動が明治30年代(1897-1906)におこり、
大正期には歌壇の一部にかなりの隆盛を示しました。
口語自由律短歌は、普段使い慣れた現代の言葉(口語)を使って26~38音
の文字で、分かりやすく韻律に囚われず自在に表現する短歌でもあります。
この形式は、新しい表現の可能性を追求するためのもので、詩的な表現や
感情の描写に自由度を持たせています。また、口語自由律短歌は、現代の
言葉を使うことで、より直接的で自然な表現が可能となり、日常生活や
現代社会のさまざまなテーマを扱うことができます。
このように、口語自由律短歌は、短歌の伝統的な形式を超えて、新たな
表現の可能性を追求する詩的な表現形式と言えます。
この水曜サロンでは、定型を踏まえた口語短歌を中心に詠んでいますが、
「口語自由律短歌」も、学びを含めて鑑賞していきたいと思っています。
「咲き競う 河津桜」
【運営にあたって】
(1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
(2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
場合もありますのでご容赦願います。詞書は一首200文字程度にまとめて
頂きたくご協力願います。
(3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
(4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
(5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
(6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
(7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
了