四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その163)

2025年01月15日 05時39分26秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その163) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 巳年の初春をお慶び申し上げます。本年もよろしくお願い致します。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 日本水仙」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 「光る君へ」は昨年12月15日を持って終了致しました。昨年1年間
 源氏物語贈答歌の返歌をやって来ましたが、まだ「明石の帖」まで
 しか到達していません。旬を過ぎて行くテーマに、続けるかどうか
 悩みましたが最後の帖まで続けようと思いました。
 今年もよろしくお願いします。
「18.明石(あかし)明石の君」
 須磨で源氏を襲った嵐はなお続いていた。紫の上からの使者によると
 都でも天変地異が続いているという。雷雨の中、源氏は住吉の明神に
 祈りを捧げる。風雨が静まったころ、まどろむ源氏の夢枕に故桐壺帝が
 立ち、この地を去るように告げる。奇しくも翌朝、明石の入道が源氏を
 迎えに現れる。入道も源氏を迎えるお告げを明石で得ていた。明石に
 移った源氏は、都にも劣らない暮らしぶりに心を落ち着ける。入道は
 源氏に大切に育てた娘(明石の君)のことを持ちかける。入道の期待を
 受け、源氏は明石の君に手紙を送るが、身の程を知る姫はなかなか
 なびかない。一方都では凶事が続いていた。朱雀帝は桐壺院の幻を
 見て、眼病を患う。源氏への不遇が原因と考えた帝は源氏を都へ
 呼び戻すことを考える。 八月十三日、ついに源氏と明石の君が
 結ばれるが、紫の上を思う源氏は明石の君を冷遇する。明石の君は
 想像通りの事の運びに深く思い悩む。 年が変わり、源氏は赦免され、
 都への帰還が決まる。同じ頃、明石の君は懐妊し、源氏は再び明石の
 君に心を寄せる。明石の君に執心しながらも、源氏は2年ぶりに都に
 戻り、権大納言に昇進、久々に帝と対面した。
〇むつごとを 語りあはせむ 人もがな 
         憂き世の夢も なかば覚むやと 光源氏
 註)男女の語らいをできる相手がほしいのです、この辛い世の夢が
   いくらかでも覚めやしないかと
〇明けぬ夜に やがて惑へる 心には 
         いづれを夢と わきて語らむ  明石の君
 註)明けない夜の闇にそのまま迷っている私の心には、どちらが夢か
   現実か判別してお話しすればよいのでしょうか
(返歌)
☆気品あり 奥ゆかしさの 雰囲気で 情が深まる 明石の君に
☆明石の君 光源氏と すれ違い 身投げしたいと 思い悩むも
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 作者の 註)にもありますように光源氏の歌は「愛の言葉を語り合う
 あなたのような方がいれば、悩みの多いこの世の夢も覚めてしまう
 でしょう」と意訳出来ます。
 この歌を贈られた明石の君は「明けることのない夜に惑える私の心は
 夢か現実かもわかりません」と、想いのこもった返歌をしています。
 その後、かたく結ばれた二人は運命の波に翻弄されますが、光源氏に
 とっては、人生を大きく好転する起点ともなっていきますね。
 このような背景を踏まえて、作者の返歌を鑑賞させて頂きますと、
 いずれも光源氏と、明石の君へ寄り添った歌になっていると感じます。
 それぞれの想いをもう一歩進めて詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★君ともに 想い深めるこの宵に 憂さもいつしか 薄らいでゆく
 ★明けぬ夜を 吾をいだきて祓う君 惑える我の光明なれや

【詞書】庭の椿の花を詠ませて頂きたいと思います。
☆寒風に負けじと開花白椿 降りたる雨も雪になりそな
【詞書】クワガタの冬眠を詠ませて頂きたいと思います。
☆クワガタが冬眠に入り動かない 年甲斐もなく啓蟄を待つ
【詞書】新春詠を一首追加します。
☆年始め何より先に祈り給う 能登に御神の御加護のあらむ
                         西BOOさん
【解説】
 新年に追加頂き、三首の歌を詠んで頂きました。
 一首め歌は、自然の厳しさと白椿に寄せる作者の優しさを感じ
 させる詩情に満ちた良い作品と感じます。
 上の句では、寒風に負けずに咲く白椿の強さと美しさが描かれ
 寒風に逆らいながらも咲く姿は、逆境に立ち向かう椿の強い
 意志の存在が表現されています。
 下の句では、降り始めた雨が雪になる予感を描写して、自然の
 変化を捉えた一瞬の美しさを表現しています。まさに四季の
 移ろいと、そこに繰り広げられる厳しくも美しい情景が、余す
 ところなく詠われています。
 二首目は、作者の小さな命に寄り添う想いが溢れる歌と感じます。
 三首目は、雪に見舞われながら、水道を始め未だ復旧も道半ばの
 能登の人々に寄せる、多くの方の想いを代弁した歌と感じます。

【詞書】冬の景色色々を三首、出詠します
☆きしきしと大地の息や 深更のかけら かすかに霜柱の声
☆寒江をはるか越へ来し旅ごころ 車窓にもたれ荒野を眺む
☆流星の落ちゆく先は はるかなる 空と海との境界線か
                         みっちっちさん
【解説】
 「冬景色」について三首の歌を繊細に、かつ雄大に詠んで頂きました。
 特に、一首目の歌は、冬の深い静けさと厳しい冷気が繊細に美しく描写
 されています。
 上の句の「きしきしと大地の息や」という表現は、まるで冷え切った
 地面が音を立てるように感じられ、冬の厳しい寒さが伝わってきます。
 また、「深更のかけら」は、夜の静けさの中に散りばめられた寒さの
 断片を見事に表しています。さらに、「かすかに霜柱の声」という
 一節で、静寂の中で微かに響く霜柱の音を表現し、フィクションで
 ありながら、あたかも現実であるかのように感じさせ、繊細な感覚を
 呼び起こすことに成功しています。表現力の高さ故と考えます。
 二首目の「寒江」は冬の川を意味します。
 三首目の歌の雄大さに打たれます。下の句を「空と海との狭間かと見ゆ」
 等、余韻を残す工夫をしてみましょうか。なお、このよう表現を目指し
 たいものです。

     「咲く満る 山茶花」

【詞書】世の中忙しい 天国と地獄
☆世の中「忙しい」とて
 独り本を読み音楽を聴く時
   たのし
【詞書】寒冷歳暮
☆窓の外の日溜りをみれば暖かそう
  外に行きたくなる午後
【詞書】YouTube:新春 ヨハン・シュトラウス二世 春の声を
☆こんこんと涌き出る泉で
  春の妖精達が跳びはね踊るよ
                         自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い
 いたします。
 一首目は、年末はどこも忙しいらしい。新古今和歌集の入道左大臣
 (藤原実房)歌に、
  いそがれぬ年の暮こそあはれなれ昔はよそに聞きし春かは
 出家引退後の歳の暮は、ゆっくりとしているが寂しいと言った意味。
 私はどうしても哀れなどは無いなあと。
 年末の忙しさを表現した曲とすれば、オッフェンバック作曲 
 喜歌劇「地獄のオルフェ」(初演1858年)序曲第三部、
 「天国と地獄」以外には無いだろう?
 実は、源氏物語と新古今和歌集、平家物語の勉強が遅れている。
 ちょっとは焦った方が良い?まあ、あと10日以上(20日時点)も
 ある?
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/de38cd5fc6cd81348e58d6f7c3698313
 二首目は、東京の気温は、10℃くらいだが、アメダスを見れば風が
 強く寒そう。窓から見る外の景色は、暖かそうだが。
 今日は、予定も無い月曜日。長いこと、年末年始とか関わらず生きて
 来て、年末だから、クリスマスだからと言う意識は無い。まあ、
 どこかに出かけようと思うも、遅れている源氏物語をずっと読んでおり、
 先は長い。
 バッハのアリオーソは、チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調(BWV.1056)
 第2楽章のメロディだが、カンタータ 第156番「我が片足は墓にありて」
 の曲と同じとあった。まあ曲名は自分を表しているなあ。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/871a4a799a29328e7f49d3665623f3a2
 三首目は、新春と言う事で、どう言う曲があるかな?と思っていたら、
 ある雑誌に、春の声の楽譜があり、今年が生誕200年を迎える
 ヨハン・シュトラウス2世が、1882年に親友のリストと即興演奏会に
 出席した時にイメージして作曲した。ウィーン・フィルのニューイヤー・
 コンサートで毎年演奏される新年を代表する曲とのこと。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/ab394a4df30cb1790018108478487ed8
【解説】
 師走の繁忙下にありながら、悠然と音楽を聴きながら読書を楽しむ。
 そのゆとりある作者の日々が、歌からうかがえます。
 「たのし」と簡潔に言い切る潔い表現に惹かれます。また・・・、
 「哀れなどは無い」という、つぶやきにも。
 なお、短歌説明に記された「天国と地獄」は、説明にもありますが、
 第二帝政期のフランス社会が抱えていた偽善性や矛盾の風刺をすることで
 当時の世相を取り入れバロデー化されています。本来は死んだ妻を愛する
 あまり地獄に赴くという感動的な夫婦の物語を、互いに愛人を作り、
 決して愛し合っているわけではないのに体面だけを気にして仕方がなく
 妻を取り戻しにいく、という偽善に満ちた夫婦の滑稽さを風刺した「喜劇」
 作品を生み出し成功を収めたと言われています。
 二首目の歌、カンタータ 第156番の「曲名は自分を表して」はいませんよ!
 と申し上げます。益々のご健詠をとお祈り致します。
 三首目は、新年に追加詠として出詠頂きました。
 「こんこんと涌き出る泉で」の上の句で新春にふさわしい、明るく楽しげな
 雰囲気を醸し出しています。また、春の妖精たちが泉で踊る光景は、春の
 到来を祝う喜びと希望を象徴し、生き生きとした生命力を見事に表現した
 歌になっていると感じます。

【詞書】お正月3日間好天気に恵まれ 氏神様へ初参りに出かけました。
☆元朝のま清水からだを巡りめぐり やさしきひかり一身に浴ぶ
☆神さぶる木立ぬければ厳かに 小さく古き本殿御座す
☆初詣 祈りの言葉を胸に抱き 光の粒降る参道をゆく
                         夕庵さん
【解説】
 今年の三が日は好天に恵まれ佳い日和でしたね。「初参り」につき三首
 詠んで頂きました。いずれの歌も、初詣という新年の始まりの儀式が、
 神聖で希望に満ちた雰囲気を伝えます。
 特に三首目の歌、「光の粒降る」という表現は、参道に降り注ぐ光の
 輝きが美しく描写されており、視覚的なイメージを豊かに表現しています。
 また、参道を歩む姿が、祈りと共に新たな一年の始まりを迎える静かな
 決意を感じさせる歌になっています。作者の背筋を伸ばした凛とした姿が
 眼に浮かびます。
 一首目の「一身に浴ぶ」の体言止めが鮮やかです。

☆霜まとい なお咲かんとす水仙の 香り仄かに 秘むる矜持も
                         ポエット・M
【解説】
 海辺の公園の南斜面に日本水仙が咲き初めています。昨夜の寒さ故か
 咲き初める花に薄っすらと霜がついているかに見えました。雪中花との
 別称をもつ水仙ですから、雪にもめげず仄かに香りを漂わせ咲き切る
 強靭さは分かります。それでも、その凛々しさを支える水仙なりの
 自然の厳しさとの苦闘の跡には、感じるものがありました。そんな
 想いを詠ってみましたが依然として掘り下げの浅さを感じています。

 
     「咲き初める 日本水仙」

「一握の砂」石川啄木 鑑賞(1)

 「一握の砂」から、三首づつ短歌を抄出し紹介させて頂きます。
  抒情短歌の原点を味わいつつ、学んで参りたいと思います。
  なお、私の師でありました野村泰三、冷水茂太両氏の師、
  土岐善麿は、石川啄木の遺稿刊行に尽力するなど、啄木の才を
     認め、お互いにリスペクトするなかでした。
  啄木の短歌の三行書も、善麿の発想であったと言われています。

  東海の小島の磯の白砂に
     われ泣なきぬれて
    蟹とたはむる

  頬につたふ
     なみだのごはず
   一握の砂を示し人を忘れず

  大海にむかひて一人
     七八日
   泣きなむとすと家を出にき

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】前回に続き掲載致します。
 ・チョウキチさんからのコメントです。
    〇惜しからぬ命に代えて目の前の
           別れをしばし とどめてしがな  紫の上
  いよいよ純真、紫の上らしくなりましたね。紫式部の本心は
  どうだったでしょうか。
  源氏物語に初めて接して以来、紫の上のファンです。

 ・ポエット・Mの返答
  いつも、「水曜サロン」を見守って頂き、また歌評や、アドバイスも
  頂きありがとうございます。
  「紫の上」は「葵の上」が亡くなった後、光源氏の正妻となりましたが、
  おっしゃる様に、光源氏が須磨配流の中でも、想いの籠った文を頻繁に
  届け、しっかりと支えましたね。流麗な文のやり取りで光源氏を最後まで
  励まし続けた律儀で理想的な女性として、源氏物語では描かれています。
  容姿も端麗で物語では主要なヒロインとの印象があります。

  チョウキチさんがファンと言うのも頷けます。
  私も紫の上の、桐壺を思わせる楚々とした姿と人柄に惹かれますが、
  源氏物語では破格のキャラクターとして登場する「朧月夜」の
  何ものにも囚われない、自由で奔放な人柄にも惹かれます。当時の
  王朝文化の中では、中々存在しないキャラクターだったでしょうが、
  作者の紫式部も憧れと、願望を込めて描き出した個性的な存在とも
  読み取れます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                    了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その163 ネット歌会)

2025年01月15日 05時19分35秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その163 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 巳年の初春をお慶び申し上げます。本年もよろしくお願い致します。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 ☆☆☆ 「ネット歌会」の「返歌」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中で自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。飛び入り歓迎です。


     「咲き初める 日本水仙」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆年始め何より先に祈り給う 能登に御神の御加護のあらむ
                         西BOOさん
★新玉のひかりは静かに身にふりて ただ平穏なる日々を祈りぬ
                         夕庵さん

☆寒風に負けじと開花白椿 降りたる雨も雪になりそな
                         西BOOさん
★ふっくらと開く椿の真白きに 今朝の冬空冴えわたりゆく
                         夕庵さん
★白椿年を越しつつ満開も 二月堂の椿はまだか
                         西BOOさん
★見はるかす二月堂より下を見る 東大寺の鴟尾 黄金に映え
                         夕庵さん
★大仏の蓮に刻さる華蔵界 世界に残る唯一の世界
                         西BOOさん
★阿弥陀仏の極楽浄土に咲く蓮の 泥にも染まず真白にぞ在り
                         夕庵さん

☆クワガタが冬眠に入り動かない 年甲斐もなく啓蟄を待つ
                         西BOOさん
★クワガタの冬眠したのを確かめる あの日の僕が今ここに居る
                         夕庵さん
★クワガタの産まれは多分ルソン島 ホントに冬眠しているのかな
                         西BOOさん
★アフリカの冬眠知らずのクワガタは はさみかざして獲物を探す
                         夕庵さん

☆きしきしと大地の息や 深更のかけら かすかに霜柱の声
                         みっちっちさん
★サリサリと野道分け入り霜草の 音確かめて楽しくなりぬ
                         夕庵さん
★七色の光かすかに霜柱 さりさりと踏む朝の楽しみ
                         みっちっちさん
★霜柱も冷たい風と昇華して 雪の芸術樹氷を作る 
                         夕庵さん
★星屑の煌めくごとく 雪まつり 芸術作に歓喜の札幌
                         みっちっちさん
★ピラミッドもクレオパトラも皆消えて 砂像愛しや泡沫の夢
                         夕庵さん
★夭逝のツタンカーメン はるかなる金のマスクにその美貌見ゆ
                         みっちっちさん
★マスクにも有効期限のあると聞く インフルエンザの猛威怖ろし
                         夕庵さん
★恐ろしや 共に卓球せし友がインフルエンザに罹患せしとは
                         みっちっちさん

☆寒江をはるかに越え来し旅ごころ 車窓にもたれ荒野を眺む
                         みっちっちさん
★冬鳥は 遙かな旅の終着を この湖と決めて安らぐ
                         夕庵さん

     「咲き初める 蝋梅の花」

☆流星の落ちゆく先は はるかなる 空と海との境界線か
                         みっちっちさん
★満月の夜に現れし流星群 不確かなれどきっとふたご座
                         夕庵さん
★流星よ 明日は晴れるや 海行きのバスに飛び乗り気まぐれの旅
                         みっちっちさん
★気まぐれの旅は羨しや いつの日かと思(も)いつつ過ぎてパンフ見るのみ
                         夕庵さん
★海原を眺め夜長の旅の宿 パンフにもなき寂れし湯宿
                         みっちっちさん
★長年の無沙汰を詫びる旅に出む きっと泣くだろ互いの姿に
                         夕庵さん
★初恋を語り合ひたる友垣よ 無沙汰なれどもなほ胸の奥
                         みっちっちさん
★あわあわの初恋なれど声聞くは 年の初めの定期便なり
                         夕庵さん
★眩しげに笑む君見つめ 初恋と 分からぬままの十歳の夏
                         みっちっちさん
★思い出のあれはきっと初恋と レモンのなかのはがゆいわたし
                         夕庵さん
★レモン水飲み干す君の喉仏 命見つむるごとき初恋
                         みっちっちさん
★胸にある言葉もついに口にせず 飲み下したりポカリスエット
                         夕庵さん
★告白もせぬまま過ぎし初恋は 甘くて苦きレモンスカッシュ
                         みっちっちさん
★恋占い(こいうら)を貴船の神に託さむと
         雪の階(きざはし)黙(もだ)してのぼる
                         夕庵さん
★夕映への八坂神社へ君とゆく ハートの絵馬に祈りを込めて
                         みっちっちさん
★絵馬に書く「合格祈願」の受験生 見交わすふたりの春はすぐそこ
                         夕庵さん
★絵馬に書く「能登復興」のボランティア 瓦礫の地にもちさき芽吹きが
                         みっちっちさん
★能登の地も成人式は敢行し 晴れ着の顔にひとときの笑み
                         夕庵さん
★ふるさとに初恋ありき 成人の日の晴れ晴れとなほしみじみと
                         みっちっちさん
★おのこらの金髪数多集まりて 成人式の今様を見る
                         夕庵さん

☆夕映えに燃ゆる姿も さらしつつ 散るに間のある 冬もみじ揺れ
                         ポエット・M
★秋実り鳥もつつかぬ渋柿の 重力に負け落つる運命
                         西BOOさん
★熟れてなお鳥のついばみ無き柿よ 孤高たもちて落暉に染まる
                         ポエット・M

☆コスモスの すがれる花に 舞う胡蝶 亡びに向かう命愛しく
                         ポエット・M
★枯れ花に命を託す小さき蝶 亡びの時も風のまにまに
                         夕庵さん
★枯れ花も命養う宝庫かも 蝶に見えるや豊穣の野と
                         ポエット・M
★村おこし休耕田にひまわりを過疎の明日はきっと明るい
                         夕庵さん
★村の明日 思う心にひまわりは 答えて咲くや光もまとい
                         ポエット・M
★ひまわりの種は好物リスの群れ 摩周湖ブルーに人気を添えて
                         夕庵さん
★ひまわりの群れ咲くかなた摩周湖よ 霧の晴れ間に冴える藍色
                         ポエット・M
★摩周湖はいつも霧に閉ざされて あなたの心の読めない旅は
                         夕庵さん
★君ともに「摩周ブルー」に魅せられて 澄みゆく水に想いものせて
                         ポエット・M
★魂も吸い込まれそうな摩周湖に 浄化され発つ身を軽くして
                         夕庵さん
★摩周湖の水底深く眠りたし 畔に祈る君を見つめて
                         ポエット・M
★祈るしか出来ぬこととは悔しくも 想いは深し摩周湖深し
                         夕庵さん
★摩周湖の深き底にも届きたる 君の想いと 厚き心は
                         ポエット・M
★身を律す切なき心摩周湖に 捨て見返れば漣の立つ
                         夕庵さん
★切なくも想い振り捨て摩周湖のさざ波見つめ旅を終えたる
                         ポエット・M
★旅終えてなお生きなむと新生の 一歩踏み出す朝日にむかい
                         夕庵さん
★決然と新たな歩み刻みゆく 君の髪にも冬日煌めく
                         ポエット・M
★わが髪にシャンパングラスにも煌めきて 門出を推しぬ冬の光は
                         夕庵さん
★バブリーなシャンパンタワーも遥かなり 失なわれしは心に及び
                         ポエット・M
★シャンパンのグラスを合わす新年も 家なき人らの心によぎる
                         夕庵さん
★手も足も心も凍る街角に 家なき人らに炊き出しの湯気
                         ポエット・M
★新年の朝の雑煮の炊き出しに ほこほこ笑顔の故郷恋し
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き満る 山茶花」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その162)

2024年12月18日 05時55分39秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その162) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
         巳年の本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を本年も目指したいと思います。

 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 ☆☆☆ 年末・年始の「水曜サロン」への投稿日程を緊急で申し訳ありませんが
     諸行事等、諸般の事情を勘案し、次の通り変更させて頂きます。
     よろしくご協力の程をお願い申し上げます。
 ☆☆☆  2025年  1月15日(水) 新年最初掲載日、締め切り   1月14日(火)
       なお、締め切り時間は17:00です。

 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める シクラメンの花」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「17.須磨(すま)六条御息所」
 源氏は自分をとりまく政情の悪化から自ら須磨へ退去する決意をした。
 都へ残る紫の上は悲嘆にくれるが、源氏は後ろ髪を引かれる思いで
 邸や所領の管理を託す。藤壺、東宮をはじめ、親しい人々と別れの
 挨拶を交わした源氏は、故桐壺帝の御陵を訪ねる。そこで源氏は
 故桐壺帝の幻が立ち現れるのを見た。
 紫の上と最後の別れを済ますと、源氏はごく少数の供とともに須磨
 へと向かった。須磨での生活が落ち着くと、源氏は閑居のわびしさを
 痛感する。語らう相手もいないため、源氏は紫の上や 六条御息所に
 手紙をしたためるが、源氏の不在を都の人々もまた嘆いていた。源氏は
 須磨で秋を迎えた。帝や東宮は源氏を恋しく思うが、弘徽殿の大后を
 恐れ源氏に便りを出すことさえできない。
 そんな状況下、今や宰相となったかつての頭の中将が源氏を訪ね、
 久方ぶりに語り合った。一方、明石の入道は源氏の噂を聞き、娘を
 源氏に捧げようと思いつめていた。三月、禊ぎをしていた源氏を
 暴風雨が襲い、源氏は命からがら逃げ出した。
〇うきめかる 伊勢をの海人を 思ひやれ
            藻塩垂るてふ 須磨の浦にて 六条御息所
 註)浮草を刈る伊勢の海人のように、辛い目に逢っている私を思い
   やってください。「藻塩たる」という須磨の浦で
〇伊勢島や 潮干の潟に 漁りても
         いふがひなきは 我が身なりけり  光源氏
 註)伊勢の潮が干いた潟で貝拾いをしても貝がないように、言っても
   かいのないわが身なのでした
(返歌)
☆伊勢の海 涙にぬれた 暮らしこそ 万事につけて 尽きることなし
☆しみじみと 思われるまま 悲しくて 文の便りは 心にしみる
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 「須磨 六条御息所」では、伊勢に下向された六条御息所へ光源氏が
 文を送りました。その返事を待たずに、六条御息所から須磨まで文が
 届けられ、そこに記されたものが一首目の歌です。註)の通り、
 「伊勢で辛い思いをしております私の気持ちをお察しくださいませ。
  あなたさまが涙に濡れていらっしゃるという須磨の浦で」と意訳
 できます。
 二首目の歌は、その歌への返歌として光源氏の詠んだものですが、
 自らの境涯に希望を見いだせない状況が「甲斐のない我が身」と切々と
 詠われています。
 作者の返歌は、それぞれの立場を肯定しつつ、その方に寄り添って、
 詠まれており、思いやりの籠った歌になっていると感じます。

 それぞれの方の歌へ、光源氏、六条御息所の立場に立って直截な
 想いをこめて返歌を詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 光源氏から六条御息所へ
★伊勢の海 涙にぬれる君思い 吾の哀しみ より深くして
 六条御息所から光源氏へ
★須磨浦に 漁りし君を偲ぶれば 吾より深き哀しみに泣く

【詞書】ポインセチアで二首、雪で一首、詠みました。
☆街ゆかば花舖は燎火の海のごと ポインセチアの赤に浮き立つ
☆君を待つポインセチアの窓の席 イマジン流れ走り来る君
☆星影の降りしきるごと雪の中 恋人達のシルエットゆく
                         みっちっちさん
【解説】
 今の季節、ポインセチアの真紅の彩りは、クリスマスシーズンの街角を
 一層華やかに染めていると感じます。そんなポインセチアを主題に二首、
 そして「恋人達のシルエット」で一首、いずれも物語性を秘めた歌を
 詠んで頂きました。
 特に一首目から、クリスマスシーズンの浮き立つような街の雰囲気がよく
 伝わってきます。上の句の比喩表現は、クリスマスライト、ポインセチア
 等の装飾が華やかに輝く様子を燎火(野火)の海に例えており、視覚的な
 美しさが強調されています。また、「ポインセチアの赤に浮き立つ」という
 表現により、特にクリスマスを象徴する花であるポインセチアが、その
 真紅の色で一層華やかに映える様子が表現されています。全体として、
 季節感と色彩の美しさが際立つ、印象的な歌となっていると感じます。
 二首目の歌、今でもこの季節になると「イマジン」の曲が流れている
 カフェが結構ありますが、短編小説のような雰囲気をもつ素敵な歌です。
 ちなみに、12月8日は、1980年、アメリカ・ニューヨークの自宅前で
 凶弾に倒れたジョン・レノンの命日(享年40歳)でもあります。
 三首目の歌、幸せそうな「恋人達のシルエット」もいいものですね。
 作者にとって、ありし日の自分たちに重なるのかも知れません。


     「ノボタンの花」

【詞書】炭素14ダイヤモンドについて詠ませて頂きました。
☆将来の宇宙飛行に搭載か 炭素14ダイヤモンド
【詞書】テレビで極超巨星を見て詠ませて頂きました。
☆テレビにて極超巨星の光知る イータカリーナ星雲の中
【詞書】被団協で詠ませて頂きました。
☆被団協 ノーベル賞の授賞式 幾重の苦難に涙浮かぶる
                         西BOOさん
【解説】
 今回も、追加分も含めて最新の話題を中心に三首詠んで頂きました。
 作者の、世情で発生している最新の事象についてのアンテナの高さには
 いつも学ばせて頂いています。
 一首目の歌、「炭素14ダイヤモンド電池」は、ブリストル大学とイギリス
 原子力規制庁により2024年12月4日付のプレスリリースで公表されました。
 この電池は、事実上半永久的に使えることに加え、原料コストが低い等々
 メリットが多いと言われています。まだプロトタイプ(試作品)ですが、
 研究チームは今後実用化を目指しているとのことです。ペースメーカーを
 はじめ、宇宙機材等への活用に特大の期待がかかっています。
 三首目の「被団協 ノーベル賞の授賞」は、詠まれているように筆舌に
 尽くしがたい「幾重の苦難」を乗り越え、人生をかけてひたすらに闘って
 きた被爆者、そしてそれを支えた多くの人々の取り組の結果もたらされた
 誇るべき成果と考えます。「核兵器廃絶」への途上とは言え、これを弾みに
 さらにこの運動が広がり、次の世代へも着実に引き継がれていくことを支援
 したいと思います。

 
【詞書】初冬の一日、京都の穴場 日蓮宗妙覚寺の紅葉を訪ねました。
  はじめて水鏡というものを体験して、その美しさにしばらく
  動けませんでた。
☆妙覚寺(てら)庭のもみじの妙の水鏡 水泡生(あ)れるも又静かなり
☆水鏡は不思議を映す鏡なり 見えぬ心も時に顔出し
☆逆光のもみじは真紅に染め上げて さながら雲の波とそよげり
                         夕庵さん
【解説】
 京都の「具足山妙覚寺」は千利休による茶会が、かつて開かれ、かの
 織田信長の一番の定宿であったとのこと。また、その庭園「法姿園」は
 客殿の前の苔庭に多くの紅葉が植えらた「自然庭園」で、それらを映す
 水鏡も見事のようですね。この庭園の景観を、しっとりとした情緒を
 湛えた歌に詠んで頂きました。
 特に二首目の歌、「水鏡」というモチーフは、物理的な反射だけでなく、
 心の反映をも示唆しています。水面に映るものは、時には美しく、時には
 儚いものですが、人の心の中にある「見えぬ心」が時折顔を出すという
 表現は、自己の内面を見つめることの大切さや、人との関係における微妙な
 想いの変化をも感じさせます。なお、「不思議を映す」という表現は、
 心の動きや、自ら意識しない想いの複雑さを示し、一層の興味を引きます。
 さらに、この歌は内面的な探求や人間関係の微妙さを巧みに表現しており、
 私達に、より深い思索を促していると感じます。
 三首目の「雲の波とそよげり」の表現も見事です。


     「もみじ葉」

【詞書】落葉
☆いろいろ紅葉
 まうまう銀杏
   しず心なく
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 2010年とちょっと前に作った短歌ですが、時節に合った物として、
 投稿します。
 最近、曜日の感覚がずれ、月曜休館日と知っているのに、図書館に行く
 など、毎日が日曜日とは言え、困った物だなあと思っていた所、火曜日
 夕方まで、この短歌の投稿を気が付いたのは、水曜日の朝でした😱
 老いと言う物は、落葉と同じく、止められんなあと思っております。
 本歌は、古今集 紀友則
  久方の光のどけき春の日にしづこころなく花のちるらむ
 です。
                         自閑さん
【解説】
 自由律短歌でありながら、不思議な韻律と言いますか、心地よい調べが
 歌から響いてきます。紀友則の本歌取りに成功している歌と感じます。
 この歌は、特に紅葉とイチョウの葉の舞い散る様子が印象的に描かれて
 います。「いろいろ紅葉」は、色とりどりの紅葉の美しさが視覚的に
 強調されており、秋の豊かな色彩を感じさせてくれます。
 「まうまう銀杏」は、舞う銀杏の葉が風に乗って揺れ動く様子を
 リズミカルに表現しており、その動きの妖しさまで伝わってきます。
 また、「しず心なく」という部分は、秋の風景を見つめる中で心が
 静まらない様子や、自然の美しさに心を奪われる感覚が描かれており、
 本歌の「春の日」よりも深い印象を与えてくれます。
 今回も古今集からの本歌取り、その見事な例示に学ばせて頂きました。
 なお、「曜日感覚のずれ」は私も日々感じ、実感しております。

【詞書】12月15日は今年の最後の満月でしたね。アメリカでの呼び名は
  “コールドムーン”ですが、寒空の中で輝く姿は、寒いのを忘れて
  見入ってしまう美しさでした。曇りがちになりそうだから無理かな~
  なんて思ってて、お手洗いの小窓越しに明るい光が見えたので、
  「あっ!」と思って開けると薄~く雲がかかっていたものの、非常に
  明るい月が見えました。玄関の方へ回り、改めて見ると本当に明るく
  美しいお月様でした。
  今年はSLIMさんのこともあり、「光る君へ」で、よく月が出ても来て
  いましたから、何かやたら月を見たなあ…という気がします。
  (「光る君へ」はキャストの俳優さんが最終回をファンの方々と見る
  イベントがやっていて、紫式部/まひろ役の吉高由里子さんが
  「今夜は満月です!」って言うてはったとか…何とタイムリーな…!)
  この間の三日月と金星とISSの共演もテンション爆上がりでしたし…。
  (用事で母の俳句の先生の家に行っていて、先生と一緒に見ました。
  「こんなん(上空通過するISS)あるんやねえ。お父さん(旦那さん)にも
  言うわ~」なんて喜んでくれてましたが)
  とにかく今年最後の綺麗な満月がみられて良かった!
☆薄雲を纏いて尚も冴え冴えと
         今年最後の満月輝く
【詞書】鳥取県の境港に近い所に居る母方の叔母さんから、ほぼ毎年届いて
  いるんですが、最近たまにテレビでも見ることもある、江戸時代などは
  江戸城への献上品にもなっていたという(その事実は’90年代に
  武道館のクリスマスコンサートを見に東京へ行った際、昼間に東京
  江戸博物館に行った時に、各地からの献上品を地図で示していた
  展示で知りました)日本海の荒波の中で採取される島根県の十六島町
  (うっぷるいちょう)の岩海苔が今年は仁田米のお餅と一緒に届き
  ました。「かもじのり」とも呼ばれるそれは、お雑煮などに入れると
  とても香りが良く美味しいんです。…有難いことです。母も喜んで
  即電話していました。来年は「お正月はできない」ですが、お雑煮
  などに使って美味しくいただきます。…いや~嬉しいわあ…。
☆その昔 献上品にもなったという
       “十六島海苔”叔母から届く
【詞書】日本初の民間のロケット“カイロス”の、今年3月に打ち上げ
  失敗し、爆発させたという初号機の後継機(2号機)が、打ち上げを
  予定されていた12月14日に風が強いために翌15日に延期された
  ものの、15日も強風の為延期となりました。打ち上げを楽しみに
  見物に来ていた方々には残念なことでしたが、前回のような
  “失敗”ではなく、また延期になっただけ。(18日の午前11時の
  予定だそうです)変わらず応援を!ですね。
  “カイロス”には5機の小さな人工衛星が積まれているとかで、
  その一つは高校生が作ったんだとか…。宇宙への夢を携えて
  無事に打ち上がることを祈っています!
☆2号機の三度目の正直祈ってる
       5つの夢乗せカイロスよ飛べ!
                         ちがやねこさん
【解説】
 「コールドムーン」「十六島海苔」「カイロス」をテーマに味わいのある
 三首の歌を心をこめて詠んで頂きました。
 一首目の歌、今年のフィナーレを飾るにふさわしい冴え冴えとした満月
 「コールドムーン」を詠まれて、その率直な感動が伝わって来ます。
 上の句の「薄雲を纏いて尚も」は、薄雲がかかってもなお明るく輝く
 満月の力強さと美しさが直截に表現され、共感を誘います。また、薄雲と
 満月の対比が、視覚的な美しさを一層引き立てて、繊細な観察力と詩的な
 表現力が光る素敵な歌と考えます。
 二首目の歌、かつて、江戸城への献上品にもなっていた「十六島海苔」が、
 毎年叔母様から届くなんて素敵なことですね。日ごろのお母様の心遣いの
 賜物と感じます。直接表現されていませんが、お母様の喜ぶ表情が目に
 浮かぶ歌と感じます。これを用いたお雑煮はさぞかし美味しいと思います。
 三首目の歌は、希望と期待を込めた力強い表現が印象的です。
 東京のベンチャー企業「スペースワン」が開発した小型ロケット「カイロス
 2号機」は、15日に予定していた小型ロケット打ち上げを延期し18日午前11時
 に再セットしました。カイロスには高校生が作った人工衛星をはじめ、京都の
 「テラスペース」や、台湾の公的宇宙機関などの5つの小型人工衛星が搭載
 されています。詠われているよう「三度目の正直」で成功することを
 私達も祈りたいと思います。この歌は挑戦的な時事詠と思います。

☆コスモスの すがれる花に 舞う胡蝶 亡びに向かう命愛しく
                         ポエット・M
【解説】
 いつも訪れる海辺の公園の花野にコスモスの群生がありますが、既に大半は
 枯れかけています。枯れて見える花にも少しは蜜が残っているのか、二三の
 蝶が枯れかけた花の上を舞っていました。冬に真向かう季節、蝶にとっても
 厳しい状況と感じます。そんな花と蝶にフォーカスし、命の移ろいと儚さを
 詠ってみました。ただ、その儚さの中にも、懸命に命を繋ぐ蝶たちの健気さと、
 その営みに愛おしさを感じました。なお、その想いを表現することの難しさを
 改めて感じました。

  
     「枯れかかる コスモスの花」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(68)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

49.「短歌の章」 釧路湿原(3)

   そこはかとなく湿原は暮れむとす
            いのち幽けく想ほゆるかも

   釧路湿原にも春は漸く及ぶらし
            霧たちそめてはてし知らえず

   釧路湿原霧淡くたつ中にして
            命あるものの何思ふべし

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 ・チョウキチさんからのコメントです。
    〇惜しからぬ命に代えて目の前の
           別れをしばし とどめてしがな  紫の上

  いよいよ純真、紫の上らしくなりましたね。紫式部の本心は
  どうだった
でしょうか。
  源氏物語に初めて接して以来、紫の上のファンです。

 ・ポエット・Mの返答
  いつも、「水曜サロン」を見守って頂き、また歌評や、アドバイスも
  頂き
ありがとうございます。
  「紫の上」は「葵の上」が亡くなった後、光源氏の正妻となりましたが、
  おっしゃる様に、光源氏が須磨配流の中でも、想いの籠った文を頻繁に
  届け
しっかりと支えましたね。流麗な文のやり取りで光源氏を最後まで
  励まし
続けた律儀で理想的な女性として、源氏物語では描かれています。
  容姿も端麗で
物語では主要なヒロインとの印象があります。
  チョウキチさんがファンと言うのも頷けます。
  私も紫の上の、桐壺を思わせる楚々とした姿と人柄に惹かれますが、
  源氏物語では破格のキャラクターとして登場する「朧月夜」の
  何ものにも
囚われない、自由で奔放な人柄にも惹かれます。当時の
  王朝文化の中では、
中々存在しないキャラクターだったでしょうが、
  作者の紫式部も憧れと、
願望を込めて描き出した個性的な存在とも
  読み取れます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                    了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その162 ネット歌会)

2024年12月18日 04時58分34秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その162 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
         巳年の本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を本年も目指したいと思います。

 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 ☆☆☆ 年末・年始の「水曜サロン」への投稿日程を緊急で申し訳ありませんが
     諸行事等、諸般の事情を勘案し、次の通り変更させて頂きます。
     よろしくご協力の程をお願い申し上げます。
 ☆☆☆  2025年 1月15日(水) 新年最初掲載日、締め切り  1月14日(火)
       なお、締め切り時間は17:00です。
 
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「冬に咲く ストック」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆いつまでと わからぬ別れ 切なくて 二度と逢えない 思いが胸に
                         浅間山明鏡止水さん
★切なきは便り届かぬ夕暮れを これぞ別れというものと知る
                         夕庵さん

☆被団協 ノーベル賞の授賞式 幾重の苦難に涙浮かぶる 
                         西BOOさん
★被爆者の歌人切明千枝子(ちえこ)は今日も立つ 核廃絶を訴えるため
                         夕庵さん
★プーチンの核の脅しは続けども 核廃絶の声も止まぬ
                         西BOOさん
★人類の破滅を招く核戦争 ゆるめてならぬ核のタブーを
                         夕庵さん

☆街ゆかば花舗は燎火の海のごと ポインセチアの赤に浮き立つ 
                         みっちっちさん
★花舗ははやポインセチアで賑わいし 小さな一鉢日だまりに置く
                         夕庵さん
★病室のポインセチアに喜びし妣(はは)の最期の笑顔を偲ぶ
                         みっちっちさん
★暖かきポインセチアの赤い色 ひかり降らせよ戦禍の子らに 
                         夕庵さん
★平和への祈りを胸にピースバラ 戦禍の子らへ その大輪を
                         みっちっちさん
★平和ヘの祈りのシンボル折鶴は レセプションの机上に置かれ
                         夕庵さん

☆水鏡は不思議を映す鏡なり 見える心も時に顔出し
                         夕庵さん
★水鏡 心を映す鏡なら 君の思ひを覗きたきもの
                         みっちっちさん
★心裡 覗きたくとも閉ざされし 君のピエロについて行けない  
                         夕庵さん
★悲しみの涙隠して笑ひたる ピエロ演ずることも人間
                         みっちっちさん
★人間は所詮ピエロを演じては 己を護るひとつの手段
                         夕庵さん
★お喋りの好きな吾なれど のんびりと己を護る一人居も好き
                         みっちっちさん
★荒波を生きていくのを覚悟して 己護るは己しかなし 
                         夕庵さん
★人生の小波荒波乗り越へて 一度の命 楽しみゆかむ
                         みっちっちさん
★やり直す人生はなくひたすらに 生き越し道程(みち)を夕映えに見つ 
                         夕庵さん
★亡き父に肩車され帰りしは 夕映へ燃ゆる思ひ出の道
                         みっちっちさん
★肩車の少女は何を見たのだろう 思い出の箱いっぱいにして
                         夕庵さん
★肩車されしおさなご 夕映えの冬日にもなほ考(ちち)の温さよ
                         みっちっちさん
★肩幅の広さ温さよ 亡き父の 思いしきりに蘇り来る
                         夕庵さん

     「終焉の もみじ葉」

☆夕もみじ何問いくるや 終焉の 哀しきまでの耀きのこし
                         ポエット・M
★終焉はかくありたしと もみじ葉の 輝きそっと両手に包む
                         夕庵さん
★散りしきる もみじ葉そっと受け止めて 笑みを浮かべし君は遥かに
                         ポエット・M
★もみじ葉の栞をそっと忍ばせて あの日の本を君に返さむ 
                         夕庵さん
★もみじ葉の 栞はさまるページには 君の「いいね」の 恋歌が載る
                         ポエット・M
★わが歌に「いいね」がつけば嬉しくて 架空の恋も艶帯びてくる
                         夕庵さん
★艶帯びる歌の秘めいる恋心 かりそめなれど籠る思いも
                         ポエット・M
★かりそめの恋やもしれず危うげな 人恋う心の揺れ止まぬなり
                         夕庵さん
★揺れ止まぬ想いも愛し かりそめの 恋と知りてもひたぶるにもえ
                         ポエット・M
★かりそめの恋といえども育みて 熟成するのを待つ楽しさに
                         夕庵さん
★熟成の 甘き香りも知らずして 闇に霧散の ほろ苦き恋
                         ポエット・M
★この恋も片道切符の予感して 途中下車する駅を探しつ
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き香る 菊の花」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その161)

2024年12月11日 05時37分10秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その161) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 ☆☆☆ 年末・年始の「水曜サロン」への投稿日程を緊急で申し訳ありませんが
     諸行事等、諸般の事情を勘案し、次の通り変更させて頂きます。
     よろしくご協力の程をお願い申し上げます。
 ☆☆☆  2024年12月18日(水) 今年最終掲載日、締め切り 12月17日(火)

 ☆☆☆  2025年  1月15日(水) 新年最初掲載日、締め切り   1月14日(火)
       なお、締め切り時間は いずれも17:00です。

 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 山茶花」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「16.須磨(すま)紫の上」
 源氏は自分をとりまく政情の悪化から自ら須磨へ退去する決意を
 した。都へ残る紫の上は悲嘆にくれるが、源氏は後ろ髪を
 引かれる思いで邸や所領の管理を託す。藤壺、東宮をはじめ、
 親しい人々と別れの挨拶を交わした源氏は、故桐壺帝の御陵を
 訪ねる。そこで源氏は故桐壺帝の幻が立ち現れるのを見た。
 紫の上と最後の別れを済ますと、源氏はごく少数の供とともに
 須磨へと向かった。須磨での生活が落ち着くと、源氏は閑居の
 わびしさを痛感する。語らう相手もいないため、源氏は紫の上や
 六条御息所に手紙をしたためるが、源氏の不在を都の人々もまた
 嘆いていた。源氏は須磨で秋を迎えた。帝や東宮は源氏を恋しく
 思うが、弘徽殿の大后を恐れ源氏に便りを出すことさえできない。
 そんな状況下、今や宰相となったかつての頭の中将が源氏を訪ね、
 久方ぶりに語り合った。一方、明石の入道は源氏の噂を聞き、
 娘を源氏に捧げようと思いつめていた。三月、禊ぎをしていた
 源氏を暴風雨が襲い、源氏は命からがら逃げ出した。
〇生ける世の 別れを知らで 契りつつ
          命を人に 限りけるかな     光源氏
 註)生きている間に生き別れというものがあるとは知らず命の
   ある限りはあなたとずっと一緒だと思っていたよ
〇惜しからぬ 命に代えて 目の前の
          別れをしばし とどめてしがな  紫の上
 註)勿体なくもない私の命に代えて、今のこの別れの瞬間を
   少しの間でも引きとどめたいものです
(返歌)
☆いつまでと わからぬ別れ 切なくて 二度と逢えない 思いが胸に
☆わたしとて 心苦しい 胸の内 ついて行きたい どんなとこにも 
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 光源氏の歌は、註)にもありますように彼が生きている間に別れを知らずに
 愛を誓ったことに対する感慨を表しています。愛の深さを感じつつも、
 命には限りがあることを改めて認識した悲しみが込められています。
 一方、紫の上の返歌は、光源氏との別れを心から哀しむ気持ちが込められて
 います。彼女は、命をかけても大切なこの瞬間を押しとどめたいという強い
 願望を持って、愛する人との別れを避けたいという切なる思いが、歌から
 
伝わってきます。これらの歌から、二人の深い愛情と別れに対する哀切さが
 表現されています。
 これらを踏まえて、作者の返歌を鑑賞させて頂きましたが、何れもそれぞれの
 方の想いに寄り添った返歌となっています。
 特に、二首目の歌は「ついて行きたい どんなとこにも」と詠い、
 「私も連れて行ってください」との想いが、直截に詠われ、紫の上になり
 切っての歌になっていて、共感を誘います。さらに進めて・・・、
 別れを止める事が出来ないならば、この命を懸けても一緒に参りますと
 詠って見ましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
★別れゆく定めと言えどわが命 かけて歩まん 旅路をともに

【詞書】「冬の川」で三首、出詠いたします
☆流れゐて流れなきごと いにしへの哀史沈めて冬の宇治川
☆冬川の淡き小波に ひるがへる魚の背ひとつ きんと光りぬ
☆水墨のごとき山辺の冬川に かすみて立つは朱の阿弥陀橋
                         みっちっちさん
【解説】
 俳句の歳時記をひもとくまでもなく「冬」の季語、「冬の川」を詠みこみ
 思わず背筋を伸ばしてしまうような、凛とした三首の歌を詠んで頂きました。
 特に、一首目の歌は、宇治川の静けさと、目に見える流れの底に歴史の
 重みが静かに沈み、溶け込んでいるような描写が印象的です。止めることの
 できない時の流れ、そして、自然の移ろい。その中で流転を繰り返す人間の
 営みを心をこめて詠んでいると感じます。
 今年の流行語大賞にもノミネートされた、宇治川「界隈」ではありませんが、
 下の句の「いにしへの哀史沈めて」では、 源氏物語にまつわる女人たちの
 哀史が偲ばれます。歴史の表舞台を彩る華やかな物語の陰で、女人たちが
 味わった哀しみとその存在の儚さが心に沁みます。
 この歌は宇治川界隈で繰り広げられた歴史的な出来事と、その舞台である
 宇治川の静かな冬の情景を巧みに融合させた優れた作品と考えます。
 三首目の発句は「水墨画の」と、字余りにしてもよろしいかと考えますが
 いかがでしょうか。

     「未だ咲く 皇帝ダリア」

【詞書】紅葉もそろそろ見納めと思い詠ませて頂きました。
☆紅葉の色付いたのもつかの間で 水面に浮かび川下りけり
【詞書】今年の短い秋を詠ませて頂きました。
☆夏終えて立冬むかえ師走が来 秋、消滅の兆しあるやも
【詞書】月と金星の接近を詠ませて頂きました。
☆今日と明日 月と金星接近す 宵の時間は晴れます様に
                         西BOOさん
【解説】
 今回も、追加分を含めて「紅葉」「短い秋」「月と金星の接近」を
 テーマに、味わいのある三首の歌を詠んで頂きました。
 一首目、二首目は、ともに訪れの遅い秋と、それを味合う間もなく
 瞬く間に冬に至った、今年の季節の移ろいを危機感を込めて詠って
 いています。誰しもが実感を持って経験した今年の異常気象ですので、
 二首の歌を共感をもって味合わせて頂きました。なお、「秋、消滅の
 兆しあるやも」に、作者の危機感が十分に表現されています。
 三首目の歌、12月5日(木)17時15分頃、詠まれているように「宵の時間」に、
 月と金星が接近して見られましたが、この時間帯国際宇宙ステーション
 (ISS)の姿も見られたようですね。「晴れます様に」との祈りと共に夜空を
 見上げた方も多かったことと思います。殺伐とした世情の中で、このような
 天体ショーに想いを馳せ、詠うのもいいものですね。

【詞書】瀬戸内海と太平洋の狭間にある和歌山県の白浜温泉へ娘と二人
  久しぶりに秋の旅を楽しみました。
☆見はるかす千畳敷は波荒らし 風を呼んでは人寄せつけず
☆懐かしき湯浅の街の佇まい 醤油の匂い流れ来るよな
☆「甚風呂」の暖簾くぐれば古き世の 男女混ざりの賑わいの声
                         夕庵さん
【解説】
 日本三大温泉地の1つとして知られる白浜温泉へ、お誕生日のお祝いを
 兼ねてお嬢様と旅をされたとの事。いずれの歌にも抑制されながらも
 楽しさと和みが感じられます。
 特に一首目は、白浜温泉の千畳敷という特定の場所を通して、自然の
 壮大さと、時には人をも寄せ付けない自然の荒々しさと厳しさを巧みに
 表現した歌と考えます。
 上の句の「見はるかす千畳敷は」は、千畳敷の広大な景色を遠くまで
 見渡す様子が鮮明に描かれ、訪れた場所の壮大さが視覚的に伝わって
 きます。また、「波荒らし 風を呼んで」では、荒れ狂う波と風の様子が
 描かれており、自然の厳しさとそれに対する人の非力さを強調しています。
 この歌から、感受性の豊かさを感じると共に、作者の表現力とにより「場」
 の情景が鮮明に浮かんできます。
 三首目の下の句、「男女混ざりの賑わいの声」からは、時空を超えて
 「賑わいの声」が響き、湯浴みの様子が偲ばれます。
 ちなみに、白浜温泉は飛鳥、奈良朝の時代から斉明、天智、持統、文武天皇を
 はじめ多くの宮人たちが来泉された1300年余りの歴史を持つとのことです。


     「黄金に染まる イチョウの葉」

【詞書】12月6日でしたね。びっくりしました。
  歌手であり俳優でもある中山美穂さんが、自宅で亡くなられていたという…。
  その日の晩に予定されていたクリスマスコンサートの為に、新幹線で大阪に
  向かうために品川駅で待ち合わせをしていた関係者が、中山美穂さんが
  来ないので自宅へ行き、浴槽で亡くなっていた中山さんを発見した、
  ということでしたが、その後の報道によると入浴中の事故であると確認
  されたそうです。先の仕事の予定もある中での死去ということで、何とも
  残念なこと…ファンの皆さんや関係者の方々の心境を思うと何とも辛い
  ことかと思います。歌でのデビューの頃は「ザ・ベストテン」などの歌番組も
  多く、よく見たり歌を聞いたりしていました。ファンというわけではなく
  とも、印象深いものがありました。(あんなにコンスタントにドラマに
  出演されてたんやなとは知りませんでしたが)近年は、歳を重ねても
  “素敵な女性”と言う感じでした。コンサートなどにも熱心に取り組んで
  おられたようなのにこんなにも突然に居なくなってしまった…。’80年代
  からのアイドルの中でもひときわ輝きを放っていた方だったと思います。
  その輝きは永遠…。どうか彼女の魂が安らかであらんことを…。
☆日本中WAKUWAKU
     DOKIDOKIさせてきたShinin'Star
                ずっと輝く
【詞書】今日12月10日は、ノーベル平和賞授賞式です。会見で代表の田中氏が
  「核兵器との共存は無い」と言っておられました。武力…ましてや核兵器を
  抑止力とするより、より良き平和への道を開いていく知恵が、この地球上に
  住む人類に無いわけが無い!人の未来も過去も全て消してしまう核兵器は
  やはり持つものではない…。悪い頭なりに私はそう思うわけです。
  被団協の代表者の方(田中氏)がどのようなスピーチをされるか…テレビで
  ではありますが心して聞きたいと思います。
☆核兵器根絶願う“被団協”
      追い風とならん「平和賞」授賞
【詞書】今日(10日)未明…4時過ぎでしたか、一軒おいて隣の家の前に救急車が
  停まっていました。先週始め頃だったかにも来ていました。そこのお宅
  なのか、そのお向かいなのかは定かではありませんでしたが…。父が
  亡くなって以降、何となく前にも増して救急車の音が気になるように
  なりました…。どちらのお宅にしても家人の方がご無事でありますように…。
☆救急車未明に近所の家(いえ)の前
       気にかかります他人ん家(ひとんち)とは言え
                         ちがやねこさん
【解説】
 今回も「中山美穂さん逝去」「被団協ノーベル平和賞」「未明の救急車」と、
 今日的なホットな話題をテーマに三首の歌を詠んで頂きました。
 一首目の歌、まさに「Shinin'Star」とも言える中山美穂さんが、不慮の
 事故で自宅で逝去されました。歌手としても、女優としてもマルチの活躍を
 されたことはフアンはもとより、私たちにとっても「素敵な女性」の一人で
 あったと思っています。詠われているように、これからも「ずっと輝く」
 存在として私達の胸に刻まれていくことと思います。改めてご冥福を
 お祈りしたいと思います。
 二首目の歌、被爆された日から79年にわたる歳月を、命の際(きわ)とも
 言える筆舌に尽くしがたい厳しい日々を歩まれた被団協に集う一人一人の
 皆さん。その皆さんの求めた「自分と同じめに二度と合わせない」
 「核兵器の使用禁止」「核兵器廃絶」への取組に、今回の「ノーベル平和賞」
 は大きな励ましとなり、詠まれているように「追い風」となったと思って
 います。この想いはこの取り組みの中、志半ばで逝った多くの被爆者の皆さん
 にとっても共通の想いでもあったと思います。さらに、この運動を人生を
 かけて側面から支えて来られた多くの方々にとっても…。作者の詠まれた歌も
 被団協に集う多くの皆さんのエールとなると考えます。

 三首目の歌、隣近所のお宅への救急車が何度も来るのは、心配ですね。
 お父様のご逝去の後、詠まれているように他人事とは言え気になることは、
 解りますし、それだけ人の危機に敏感になっている故と感じます。
 作者のご近所の方への心配り、優しさの垣間見える良い歌と感じます。
 冬の入り口の気象変化は、それだけ人身にとってリスクでもありますので
 お互いに気を付けて参りましょう。

☆夕もみじ何問いくるや 終焉の 哀しきまでの耀きのこし
                         ポエット・M
【解説】
 今年は、秋の訪れがとりわけ遅い三浦半島ですが、師走も中旬となり
 紅葉に染まる木々がそこかしこで眺められるようになりました。海辺の
 公園のいろはモミジがようやく紅に染まり、夕茜の中で微かな輝きを
 放っていました。夕映えを受けながら輝くもみじ葉は、なぜか昼間の
 輝きとは異なり、ひっそりとした風情を漂わせ哀しささえ感じてしまい
 ました。そんな情景を詠んでみましたが、情緒に流された感がします。
 もみじ葉が散る間際、終焉の瞬間にみせる輝き、そこに哀しさも伴う
 のだと感情移入してしまいました。

  
     「照り映える もみじ葉」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(67)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

48.「短歌の章」 釧路湿原(2)

   地を這ひて流るる白き粉雪に
            われも流るる如く 走れり

   釧路湿原ひたすらに生くるけものあり
            行き行きていかなるところに居らむ

   霧たちて釧路湿原おぼおぼと
            あめつちの中に沈み行きたり

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今週は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                    了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その161 ネット歌会)

2024年12月11日 05時16分15秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その161 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 ☆☆☆ 年末・年始の「水曜サロン」への投稿日程を緊急で申し訳ありませんが
     諸行事等、諸般の事情を勘案し、次の通り変更させて頂きます。
     よろしくご協力の程をお願い申し上げます。
 ☆☆☆  2024年12月18日(水) 今年最終掲載日、締め切り 12月17日(火)

 ☆☆☆  2025年  1月15日(水) 新年最初掲載日、締め切り   1月14日(火)
       なお、締め切り時間は いずれも17:00です。

 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「咲き初める 山茶花」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆紅葉の色付いたのもつかの間で 水面に浮かび川下りけり
                         西BOOさん
★楓散るこの山道をただひとり 錦の川と見やる冬の日
                         夕庵さん
★如意輪寺正行詠みしなき数は 錦の旗の元に散るらむ
                         西BOOさん
★楠木正行公(まさつら)は覚悟の戦に一族の 遺髪を奉り出陣したり
                         夕庵さん

☆冬川の淡き小波に ひるがへる魚の背ひとつ きんと光りぬ
                         みっちっちさん
★「煌」とう能登の寒ブリ二百万 セリの男の掛け声たかく
                         夕庵さん
★酷寒の能登の鰤漁 漢(おとこ)らの一本釣りの逞しき腕
                         みっちっちさん
★寒ブリを求めて行きし氷見の街  日本海(うみ)にくっきり雪の白山
                         夕庵さん
★時折は海見るのみの旅に出む 大事な人に会ひに行くごと
                         みっちっちさん
★冬の海今日もひとりで立ち尽くす 自問自答を波が持ち去る
                         夕庵さん
★冬海のかすみの果てに両親の 笑顔が見ゆる そんな気がして
                         みっちっちさん
★両親は仏陀に招かれ手の中へ 健やかなれと護りくるるや
                         夕庵さん
★両親の愛は青空 山や海 何処なりとも護りくれゐる
                         みっちっちさん
★なかなかに縁なき人に手をのべば 生きることへの活力ならむや
                         夕庵さん

☆流れゐて流れなきごと いにしへの哀史沈めて冬の宇治川
                         みっちっちさん
★深い河越えてはならぬ掟なら 迷いつづけて一歩退く
                         夕庵さん
★人の道 越へてはならぬ掟なら この恋ごころ 諦めむとす
                         みっちっちさん
★この胸にふんわり恋の欠片あり 消しても浮かぶあの恋ひとつ
                         夕庵さん
★何ゆへに忘れらぬ恋 この胸に灯さるる火はくすぶり続く
                         みっちっちさん
★埋み火の苦しき恋も若さゆえ けじめをつけし君の言葉に
                         夕庵さん
★若さゆへ人傷つけし言葉あり 友は如何にと後悔いまも
                         みっちっちさん
★声に出た言葉はすぐに歩き出し 尾ひれがついて人を悩ます
                         夕庵さん

    「走水海岸からの 冠雪の富士山」

☆温暖化 ここに及ぶや富士山の 遅き冠雪ひさびさ魅入る
                         ポエット・M
★冠雪の富士山(ふじ)の眺望気高くて われらの誇りと遠く仰ぎぬ
                         夕庵さん
★仰ぎ見る富士山(ふじ)の冠雪 久々に 神々しくも和むみすがた
                         ポエット・M
★富士山の樹海はいかに怖ろしや せめぎいる魂(たま)いるやもしれぬ
                         夕庵さん
★今もなお樹海に眠る魂(たま)あまた 磁気の乱れに呑まれしままに
                         ポエット・M
★森深き樹海をドローンで見渡して 見つけられぬや謎もつ人を
                         夕庵さん
★自らが樹海の奥を求めたる 人の抱えし深き哀しみ 
                         ポエット・M
★あの頃は樹海のごとくからまりし 胸の奥処の痛みしことも
                         夕庵さん
★疼くがに脳裡かすめる想いあり 秘めるに難き遠き別れも
                         ポエット・M
★後悔を引きずりながら生きてきた すまぬすまぬと遠き別れを
                         夕庵さん

☆もみじ葉は風無き空に草書文字 えがくかに散り 放つ輝き
                         ポエット・M
【詞書】京都東福寺の紅葉
★朝日受け通天橋より見下ろせば 楓の雲海いま燃え上がる
                         夕庵さん
★もみじ葉も雲海なすや東福寺 朝日を跳ねて今燃えもえて
                         ポエット・M
★紅葉も燃え尽き贈る次世代へ 春の芽吹きへしばしの眠り
                         夕庵さん
★燃え尽きてしばし眠りに臥せる間も 萌える命の冬芽はぐくむ
                         ポエット・M
★継ぐ命 尽きる命も運命(さだめ)なり 自然の摂理の厳しきものを
                         夕庵さん
★裸木に兆す冬芽は黒々と 継ぎたる命 朝日にさらす 
                         ポエット・M
★生きている ただそれだけで喜びと 限りあるとう命の時間 
                         夕庵さん
★限りある命の際も見つめつつ ひと日ひと日を 愛しみ歩む 
                         ポエット・M
★この足で生きたい道を歩むべし 知らないことを楽しむために
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「遅い もみじ葉」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その160)

2024年12月04日 05時27分33秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その160) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 山茶花」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「15.須磨(すま)藤壺の宮」
 源氏は自分をとりまく政情の悪化から自ら須磨へ退去する決意をした。
 都へ残る紫の上は悲嘆にくれるが、源氏は後ろ髪を引かれる思いで邸や
 所領の管理を託す。藤壺、東宮をはじめ、親しい人々と別れの挨拶を
 交わした源氏は、故桐壺帝の御陵を訪ねる。そこで源氏は故桐壺帝の
 幻が立ち現れるのを見た。紫の上と最後の別れを済ますと、源氏は
 ごく少数の供とともに須磨へと向かった。須磨での生活が落ち着くと、
 源氏は閑居のわびしさを痛感する。語らう相手もいないため、源氏は
 紫の上や六条御息所に手紙をしたためるが、源氏の不在を都の人々も
 また嘆いていた。源氏は須磨で秋を迎えた。帝や東宮は源氏を恋しく
 思うが、弘徽殿の大后を恐れ源氏に便りを出すことさえできない。
 そんな状況下、今や宰相となったかつての頭の中将が源氏を訪ね、
 久方ぶりに語り合った。一方、明石の入道は源氏の噂を聞き、
 娘を源氏に捧げようと思いつめていた。三月、禊ぎをしていた源氏を
 暴風雨が襲い、源氏は命からがら逃げ出した。
〇見しはなく あるは悲しき 世の果てを
            背きしかひも なくなくぞ経る  藤壺の宮
註)お仕えした桐壺院はこの世に亡く、生きておいでのあなたは悲しい
  身の上となられた世の終わりを、出家して煩悩を捨てたはずの甲斐も
  無く泣きながら過ごすことでございます
〇別れしに 悲しきことは 尽きにしを
            またぞこの世の 憂さはまされる  光源氏

註)父院とお別れした時に、悲しい思いはし尽くしたはずなのに、更に
  この世の辛さは酷くなってしまいました
(返歌)
☆藤壺は 心が乱れ 物言わず 思い浮かんだ こと歌にできず
☆光源氏 よろずのことを 思いだし 泣いてる様は 限りなく風情
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 藤壺の宮の歌は、作者の説明の通り「(光源氏を)見ることもなく生きている
 ことが悲しい。この世の終わりを背いて生きる意味もないのに、なぜ生きて
 いかなければならないのでしょうか」となります。これは、光源氏との別れに
 よって悲しみが深く、生きる意味を見失いかけていることが詠まれています。
 両者とも、深い悲しみと絶望感を抱いているという点で共通していますが、
 藤壺の宮は、生きる意味をも見失い、絶望的な状況に陥っているのに対し、
 光源氏は、新たな悲しみを感じながらも、まだ生きる希望を捨てていないと
 読み取れます。ただ、その原因は光源氏自らが蒔いた種であり、そのことへの
 自覚が薄いとの紫式部なりの示唆が感じられます。
 光源氏の返歌は、藤壺の宮への深い愛情と、自身の心の揺れを表現し別れ
 という大きな悲しみの中にあっても、生きる希望を失わず、未来に向かって
 進んでいこうとする強い意志も感じられます。この歌は、源氏物語全体を
 貫くテーマである「生と死」、「愛と別れ」を象徴的に詠っていると考えます。
 これらを踏まえて詠まれた作者の返歌は、「藤壺の宮」「光源氏」それぞれの
 立場に寄り添って、二人の想いを代弁する歌となっていると考えます。
 さらにもう一歩踏み込んで詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★悲しみに哀しみ重ね去り行ける 君なき都 生きる甲斐なく
 ★母に似る面影宿す君ゆえに 愛しく慕う 想いも罪や

【詞書】山茶花(さざんか)で三首、出詠いたします。
☆山茶花の一輪匂ひ 茶釜には 絹のごときの湯気細く立つ
☆駅前を過ぎて山茶花匂ふ垣 暮るる家路に色を散らして
☆山茶花の垣 家々に長寿村 優しき時間ゆるり過ぎゆく
                         みっちっちさん
【解説】
 山茶花をテーマに三首の歌を詩情豊かに詠んで頂きました。
 特に、一首目の歌、茶室に飾られる「茶花」については、千利休の教え
 「花は野にあるように」を基本とし、自然の美しさをそのまま茶室に
 持ち込むことが理想とされていますが、山茶花はその理想通りの花と
 感じます。なお、上の句「山茶花の一輪匂ひ」は、千利休の教えの
 通り、凛とした茶花・山茶花の一輪に焦点を当て、その香りを強調して
 います。冬の寒空の下、ひときわ鮮やかに咲く山茶花の姿が目に
 浮かびます。下の句の、「絹のごときの湯気細く立つ」は、茶釜から立ち
 昇る湯気を、絹糸のように繊細で美しいものとして表現して、冬の静寂の
 中で、この湯気はまるで生きているかのように動き、視覚的な美しさを
 生み出しています。なお、結句は「湯気細く揺れ」ではいかがでしょうか。
 また、山茶花の香りは、ほのかで意識して嗅がないとあまり感じられ
 ませんが、本格的な冬になる前の、今ごろ咲く山茶花はそれなりに
 香りが感じられます。冬になるとあまり香らないのが残念ですが…。
 二首目の下の句、「暮るる家路に色を散らして」の写生もいいですね。

【詞書】テレビのキューガーデンを見て詠まさせて頂きました。
☆キューガーデン 水面に浮かぶ紅葉に 威風堂々日本庭園
【詞書】小春日を詠まさせて頂きました。
☆小春日に庭出で山を眺むれば 赤と黄色の折り重なれり
【詞書】クワガタを購入したことを詠まさせて頂きました。
☆夏ぼけかヒラタクワガタ購入す 覗き見ながら童(わらべ)にかえる
                         西BOOさん
【解説】
 今回は、追加も含めて「キューガーデン」「小春日」「クワガタ」をテーマに
 三首詠んで頂きました。
 一首目の歌、キューガーデンは、ロンドンにある世界的に有名な植物園
 です。その園内には、広大な日本庭園があり、英国にいながらにして
 日本の伝統的な庭園の美しさを堪能することができるとのこと。
 この日本庭園は、1910年の日英博覧会を記念して造られた歴史ある庭園で、
 その中心には、京都・西本願寺の唐門を模した「勅使門」が建っています。
 この門は、日本と英国の友好の象徴として、未だ多くの来園者を魅了して
 いるとの事。この庭園の池の水面に映る紅葉も来園者を魅了し、詠まれて
 いるように、「威風堂々」とした見事な景観を示していると思います。
 三首目は、作者のお人柄も覗くほのぼのとした歌と感じます。詠まれて
 いるように、私達も己を無にして「童(わらべ)にかえる」ひと時を持ち
 たいものと感じさせる良い歌と思います。

     「咲き盛る 白い山茶花」

【詞書】新蕎麦入荷の幟が目立つようになりました。
☆これやこの湯気の向こうに蕎麦ゆがく 老舗の主の寡黙こそよし
☆「瓦そば」は山口県のソールフード 茶そばの焦げの堅さは美味し
☆新蕎麦の幟はためく飛鳥路の 暖簾くぐればお馴染みの顔  
                         夕庵さん
【解説】
 新蕎麦をテーマに三首の歌を、詩情を込めて味わい深く詠んで頂きました。
 新蕎麦とは、その年に収穫されたばかりの蕎麦のことを言いますが、蕎麦の
 実は、気温、湿度、紫外線などで劣化しやすく、かつては保管が難しいもの
 でした。それだけにそば好きたちは、首を長くして新そばを待ったものと
 伺ったことがあります。私も信州育ちですので新蕎麦の味わいが忘れられず
 都会で食べる小麦粉を多く含んだ蕎麦には、長い事馴染めないできました。
 三首目の歌は、「新蕎麦の幟」の表現を始め、作者の豊かな感性と観察力が
 感じられる作品で、作者の日常の中に「飛鳥路」を含めて、歴史が溶け
 込んでいることも示唆しています。
 また、短い言葉の中に、秋の穏やかな情景と、人々の温かいふれあいが凝縮
 されています。下の句「暖簾くぐればお馴染みの顔」には、作者が感じた
 安らぎや喜びを、私達も共有することができます。
 一首目の下の句「老舗の主の寡黙こそよし」の、潔い表現が秀逸です。

【詞書】YouTube短歌:新たな旅立ち キエフの大門
☆またあらたな旅
    時空を越えて
      素数の階段を昇りつつ
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 ムソルグスキーの展覧会の絵の内、キエフの大門は、プロムナードと
 同じくらい有名な部分です。例えば、テレビ朝日系列のナニコレ
 珍百景の番組内では、必ず放送される曲です。
 ムソルグスキーは、親友の画家ヴィクトル・ハルトマンの遺作展の
 その絵を見てイメージして、ピアノ曲を作曲し、その曲をモーリス・
 ラヴェルがオーケストラに編曲し、冨田勲がシンセサイザーで更に
 編曲しました。
 タイトルも解説も、他の演奏も抜きにして、冨田勲編曲のイメージ
 だけで、作歌をするのは、何度も聞き返して結構時間が掛りました。
 素数の階段は、曲を聴いて頭の中に浮かんだ言葉で、数学の素数
 (2.3.5.7.11.13・・・)の列を考える時、素数から次の素数まで
 どれくらいあるか?誰にも分からない。自身も次のステップアップ
 までどれくらいまで歩かなければならないか分からないです。でも
 歩き出さないと、と言う意味を込めました。数学は、オイラーには
 分かっても、おいらには分からないと言う程無知です😓
 プロムナードの一つだけは、どうもイメージが湧かなかったので、
 未作成ですが、いつかイメージが湧いたら作歌しようと思います。
 来年の事を言えば、鬼が笑うでしょうが。
 曲を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/55c63a3e08780ddb9f71433095a6ada5
                         自閑さん
【解説】
 時間と空間の概念を超えたような、壮大なスケール感を生み出した
 冨田勲版「キエフの大門」という曲。作者の歌は、この曲を幾たびも
 繰り返し聞き、作者の個人的な感覚と結びつけ、「時空を越えて」
 無限に広がる宇宙空間をイメージし咀嚼しつつ、納得する宇宙観を
 表現していると感じました。ちなみに「キエフの大門」の「キエフ」
 は、現在のウクライナの首都であるキーウを指します。

 なお、素数は無限に続く数であり、その性質は神秘的で宇宙の法則に
 通じるものと、数学者を始め多くの人々に捉えられてきました。
 下の句の「素数の階段を昇りつつ」は、音楽を通して無限に広がる
 宇宙や、人間の知覚を超えた世界へと到達しようとする作者の意欲を
 表しており、「でも歩き出さないと」との作者の想いも感じられます。
 また、オイラーの素数に関する研究は、現代の数学にも大きな影響を
 与えており、彼の発見は、素数分布の研究、コンピュータサイエンス、
 さらには暗号理論など、様々な分野で応用されています。
 「数学は、オイラーには分かっても、おいらには分からない」と、謙遜と
 ユーモアを交えて語って頂いていますが、一首の歌の中に、これだけの
 世界観を表現できるのも作者の見識の高さと、優れた感性故と感じます。


     「咲き継ぐ 皇帝ダリア」

【詞書】正直言って「うーん…😔」ですね。
  たしかにドラマ「不適切にもほどがある!」は、昭和と令和の比較を
  扱って、その世相や考え方の違いを挙げて面白くしている…ようで
  いて、あの昭和の時代には黙認されていたセクハラ、パワハラ
  モラハラ等々のハラスメントは良くない!だけども令和の、今現在の
  コンプライアンスや忖度や“空気を読む”空気は何なんだよ?的な
  問題提起もしていた…ドラマでもあった…と感じます。そういう
  意味では画期的というか意義のあるドラマではあったかなーと…。
  しかし、話題にはなったけど、あのワードが“年間大賞”なん?とは
  思う訳です。私はかろうじて2回くらいと最終回は見ましたが、
  姉とかは「知らん知らん見てへんかった!」と言ってました。
  …大谷さんが来られなかったとしても、「50-50」じゃあかん
  かったんかなあ…?(…大人の事情ってやつ?)
☆「流行語大賞」候補からならば
      「初老ジャパン」?いや「50-50(フィフティフィフティ)」!
註)これは発表直前です。
☆「ふてほど」ねえ…たしかに面白かったけど
           どれほどの人がそう呼んでたの?
註)発表後です。
【詞書】11月の30日でしたね。夏のパリオリンピックとパラリン
  ピックの選手達のパレードが、東京・日本橋中央通でありました。
  沿道の人々と同じ目線で歩く選手、車椅子の選手が700メートルを
  パレードする様子をテレビでみましたが、沿道の人達にメダルを
  間近で見せ、時には触らせている選手、沿道の人々と同じ目線で
  手を振る選手には皆さん破顔一笑。車椅子の選手や目の不自由な
  選手には、沿道の人々の声が耳にダイレクトに届いたことでしょう。
  今までの車の上からのパレードも悪くはないですが、より選手たちが
  身近に感じられた楽しいパレードになったのではないでしょうか?
  …ちょっと歌舞伎の“お練り”を思い出しました。😄
☆沿道の人々メダルにも触れて
        笑顔はじけたオリ・パラパレード
                         ちがやねこさん
【解説】
 今回も、「流行語大賞」「ふてほど」「オリ・パラパレード」と最新の
 テーマで三首詠んで頂きました。
 一首目、二首目は、「流行語大賞」にまつわるものですが、今年の
 年間大賞は「ふてほど」と決定されましたね。これは、金曜ドラマ
 『不適切にもほどがある!』からとのこと。
 一首目は「発表直前」の予想で詠まれましたが、何れも「流行語」
 トップ10にノミネートされていましたね。
 二首目、詠まれているように「どれほどの人がそう呼んでたの?」との
 疑問は大勢の方が実感していることと思います。
 しかし、「時代がいつであれ、不適切なことは不適切なのだと教えて
 くれる」もので、世の中の感覚はそう大きくはズレていないことを
 改めて教えてくれたと思っています。この二首の歌も「時代の感覚」を
 鋭く撞いており、残していく価値があると考えます。
 三首目の歌、「よくぞ詠んでくれました」と、作者に拍手を送りたいと
 思います。パラリンピックのパレードは、障害を乗り越えて素晴らしい
 成績を収めた選手たちの努力と勇気を称え、障害者スポーツに対する
 理解を深めることを目的としているとのことです。パリ大会に出場した
 100名以上の選手が参加し、沿道には約1万人の観客が詰めかけ随所で、
 詠まれていますように「笑顔はじけた」喜びと、感動を共有できたと
 思っています。なお、作者の心の篭もった丁寧なレポートに感動しました。

☆もみじ葉は風無き空に草書文字 えがくがに散り 放つ耀き
                         ポエット・M
【解説】
 今年の秋、とりわけ黄葉、紅葉に染まる季節の訪れが遅く、紅葉狩の
 機会が中々訪れないまま、既に冬の足音をきく日々となっています。
 それでも、もみじ葉は時をおかず粛々と散っていきます。
 この歌は、風もない静寂な空間の中で、冬日に照らされながら紅葉が
 散る様を「草書文字」に例えて表現してみました。紅葉が散る際に描く
 軌跡は、熟練の書家が筆を走らせているかのような、滑らかな、そして、
 生命力さえ感じさせる流麗さを秘めています。そんな様子をなんとか
 詠んでみましたが、中々ぴったりとくる表現に到達しませんでしたが…。
 推敲途上として掲載させて頂きます。
  
     「照り映える もみじ葉」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(66)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

47.「短歌の章」 釧路湿原(1)

   釧路湿原 雪深々とかぎろひて
            命あるものの静かにひそめり

   あめつちの果なき白きひろごりに
            身を委ねゐるけだものを想ふ

   さいはては すぐろなる空の低くして
            旅に仰げば 雪降り出でぬ

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今週は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                    了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その160 ネット歌会)

2024年12月04日 04時56分42秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その160 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「咲き初める 山茶花」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆小春日に庭出で山を眺むれば 赤と黄色の折り重なれり
                         西BOOさん
★紅葉もようやく整いいざ行かむ パッチワークの山の賑わい
                         夕庵さん
★温暖で本当に紅葉するのかと 遅れはしたが紅(あか)鮮やかに
                         西BOOさん
★寒風に吹かれて楓は葉先より 枯れて短い秋はゆくらむ
                         夕庵さん

☆山茶花の垣 家々に長寿村 優しき時間ゆるり過ぎゆく
                         みっちっちさん
★小春日の庭に爺さま等 相寄りて 蜜柑の出来をこもごも話す
                         夕庵さん
★小春日の庭に仔猫のはしゃげれば 母猫は目をつむりのんびり
                         みっちっちさん
★小春日は野良猫(ノラ)も出てきてひなたぼこ 人恋しさに近づいてくる
                         夕庵さん
★野良猫も冬の寒さは辛かろう 小春日の庭ぐんと背伸ばし
                         みっちっちさん
★保護猫の数奇な運命(さだめ)も金の目も 優しくなりて人に寄り添う 
                         夕庵さん
★保護させし子猫も人の優しさに触れてますます可愛さを増す
                         みっちっちさん
★野良猫の逞しきかな顔相も 立派な髭も野生のままに
                         夕庵さん

☆駅前を過ぎて山茶花匂ふ垣 暮るる家路に色を散らして
                         みっちっちさん
★頬よせばほんのりやさし香りあり 白いさざんか木陰に咲きぬ 
                         夕庵さん
★みどりごに頬よせばふと乳の香は 甘く優しきさざんかに似て
                         みっちっちさん
★みどりごよ 澄みし瞳はいつまでも 濁りなきもの見るためだけに
                         夕庵さん
★みどりごのはじめの一歩 母へ手を 伸ばしつしかと次の一歩へ
                         みっちっちさん
★忘れ得ぬ吾子の大地を踏みしめし 初めの一歩はみどりの芝生 
                         夕庵さん
★吾子想ふ心忍べば 亡き母の吾への優しさ今にしてなほ
                         みっちっちさん
★血縁は情脈々とた絶ゆるなく 親から子へと流れゆくなり 
                         夕庵さん
★いにしへの物語にも脈々と親子の情は心打つもの
                         みっちっちさん


     「咲き継ぐ 皇帝ダリア」

☆これやこの湯気の向こうに蕎麦ゆがく老舗の主の寡黙こそよし

                         夕庵さん
★懐かしき京の隠れ家 ジャズ喫茶 寡黙な主のリズム取る癖
                         みっちっちさん
【詞書】テトは娘宅の子犬です
★テト膝にゆったり過ごすマンションの 陽の射す部屋は隠れ家なりし
                         夕庵さん
★夕暮れの寺の鐘の音渡りても 帰りたくなき隠れ家の悦
                         みっちっちさん
★隠れ家に籠もり終日(ひすがら)風の音
                     聞きつつ短歌(うた)詠む 夢捨てきれず
                         夕庵さん
★短歌詠む楽しさ覚へ夜もすがら 籠る吾のみの心の隠れ家
                         みっちっちさん
★短歌(うた)詠むは文字に託して推敲を 重ね楽しみ一首とならむ
                         夕庵さん
★歌詠むは助詞のひとつにあれやこれ 一首にせむと楽しむ夜長
                         みっちっちさん
★難しき文法古語は 解らねど 紙と鉛筆 あれば充分  
                         夕庵さん

☆命もつものの哀しさ愛しさよ 散る山茶花のかがよう紅(くれない)
                         ポエット・M
★惜しむべく山茶花のはな散る夕べ 初冬の風に身を震わせながら
                         夕庵さん
★山茶花の風に揺れつつ散る夕べ 命のきわの かくも静かに
                         ポエット・M
★散りてなお花の在り処の確かさよ 苔むす上の山茶花の白 
                         夕庵さん
★山茶花の白き花びら散り敷きて 苔むす庭に 白雪のごと
                         ポエット・M
★ひと夜さに雪の妖精舞い降りて 白いべールを覆いてゆけり 
                         夕庵さん
★妖精のべールに包まれ見る夢に 花野うめいる白き山茶花
                         ポエット・M
★打ち水の飛び石つたい茶室には 白い山茶花一輪の待つ
                         夕庵さん
★一輪の茶花に込めたる想いをも 知らず喫する 未熟な吾も 
                         ポエット・M
★告げるべき言葉を花に託せども あわれひとひら卓にこぼれて
                         夕庵さん
★山茶花の散る花びらの音色をも 誘いてひびく茶筌の調べ
                         ポエット・M
★高山の 茶筌の里に延々と 伝統守る 竹の寒干し
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き盛る 黄菊」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その159)

2024年11月27日 05時03分54秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その159) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「咲き初める 皇帝ダリア」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「14.須磨(すま)朧月夜」
 源氏は自分をとりまく政情の悪化から自ら須磨へ退去する決意をした。
 都へ残る紫の上は悲嘆にくれるが、源氏は後ろ髪を引かれる思いで
 邸や所領の管理を託す。藤壺、東宮をはじめ、親しい人々と別れの
 挨拶を交わした源氏は、故桐壺帝の御陵を訪ねる。そこで源氏は
 故桐壺帝の幻が立ち現れるのを見た。紫の上と最後の別れを
 済ますと、源氏はごく少数の供とともに須磨へと向かった。須磨
 での生活が落ち着くと、源氏は閑居のわびしさを痛感する。語らう
 相手もいないため、源氏は紫の上や六条御息所に手紙をしたためるが、
 源氏の不在を都の人々もまた嘆いていた。源氏は須磨で秋を迎えた。
 帝や東宮は源氏を恋しく思うが、弘徽殿の大后を恐れ源氏に便りを
 出すことさえできない。そんな状況下、今や宰相となったかつての
 頭の中将が源氏を訪ね、久方ぶりに語り合った。一方、明石の入道は
 源氏の噂を聞き、娘を源氏に捧げようと思いつめていた。三月、
 禊ぎをしていた源氏を暴風雨が襲い、源氏は命からがら逃げ出した。
〇逢ふ瀬なき 涙の河に 沈みしや 流るる澪の 初めなりけむ   光源氏
註)あなたに逢えず泣き暮れて涙の川に沈んだことが、須磨へ流浪
  する身の上となるきっかけだったのでしょうか
〇涙河 浮かぶみなわも 消えぬべし 流れて後の 瀬をも待たずて 朧月夜
註)涙の川に浮かんでいる泡も消えてしまうでしょう、生き長らえて
  再会できる日を待たずに
(返歌)
☆恋しいと 思う心は 消せなくて 罪に落ちるは 避らぬ道理
☆風情ある 乱れに書いた 筆跡は 耐え忍んだ 心せつなく
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 朧月夜は、源氏物語の「花宴」の巻で初めて登場しましたが、容姿端麗な
 だけでなく、大胆かつ才気あふれる魅力的な存在として描かれています。
 光源氏の歌は、作者の 註)にもありますように、「朧月夜への懸想が
 流浪の端緒となったのだなあ」と振り返る歌を詠んでいます。逢瀬は
 まだ無かったかのように装いをこらしていますが、これは人目につく
 ことを警戒してのことだと考えます。
 朧月夜は、この歌への返しとして「川」の縁語仕立てで「源氏の帰京を
 待たずして悲しみのため私はきっと死んでしまいます」と悲嘆しています。
 作者の返歌はそれぞれの歌の想いを汲み取り、肯定する視点から詠んで
 いますので共感を誘います。なお、「避らぬ=さらぬ」は「避けられない」
 の文語で、動詞「さる」の未然形+打消の助動詞「ず」の連体形です。
 作者と同様に、それぞれの歌の想いに共感して詠んでみましたが…。
【ご参考】
 ★罪なるや裡に燃えいるこの思い 澪に沈まず叉も湧きくる
 ★悲しみの極みに沈む涙河 逢えぬ日かさね 命はてなん

【詞書】冬晴、冬日、冬青空で三首、詠みました。
☆千年の欅(けやき)にもたれ亡き友と遊びし様を偲ぶ冬晴
☆図書館に本のページを繰りながら 窓は落日輝く冬日
☆亡き父は冬青空に似てしかり 檄飛ばしつつ包みてくれし
                         みっちっちさん
【解説】
 俳句の季語で、「冬」となる「冬晴」「冬日」「冬青空」を詠みこみ
 三首の歌をしみじみとした味わいで詠んで頂きました。

 特に、三首目の歌は、亡くなったお父様への愛情と尊敬の念が、適切な
 言葉で表現され、作者の心情に共感し、私達も自身の家族や
大切な人を
 思い出します。

 上の句の「亡き父は冬青空に似てしかり」から、冬の青空は澄みきっていて
 広大でありながら、どこか厳しさも感じさせます。この句は、
亡くなった
 お父様の厳格な一面、そして同時に、広く見渡せる
大きな心の持ち主で
 あったことを表しているように思います。

 下の句の「檄飛ばしつつ包みてくれし」では、檄を飛ばすという言葉からは、
 厳しい叱咤や指導の姿が浮かびますが、同時に
「包んでくれし」という言葉に
 よって、その厳しさの裏側にある
深い愛情が感じられます。つまり、お父様は、
 厳しく叱りながらも、
作者を温かく包み込むような愛情深い人であったと
 詠っています。

 なお、この歌のもつ比喩の美しさをあげたいと思います。冬の青空という
 凛とした風景を、亡くなったお父様の人物像に
重ねられた比喩が、私達の心に
 深く響いてきます。これも俳句で培った作者の「写生」の力と感じます。

【詞書】兵庫県知事選挙を詠ませて頂きました。
☆兵庫県知事選挙の結末に 納得いかず不可思議極む
【詞書】冬の星を見上げて詠ませて頂きました。
☆冬澄んだ星の光を見上げてる 何万年も昔の光
                         西BOOさん
【解説】
 一首目の歌、兵庫県知事選挙の結果については、未だ未解明の部分が
 ありますが、コンサルタント会社社長が、SNSを含む広報戦略を
 「仕事として手掛けた」とい
う件、さらにN党立花氏の言動の件、等々
 諸々の事案がありましたが、兵庫県民の皆さんの選択ですので…。
 ただ、作者が詠まれたように結末も、その後の経緯も「納得いかず」
 との判断される方も多いのも事実と考えます。
 また、多くの歴史的事実が教えていることですが、雪崩打つような
 作られた熱狂と、その結果については私たちは冷静に、かつ懐疑的に
 視ていく必要があると考えます。さらに、「公益通報者保護法」、
 公職選挙法等、法律違反の件も依然として解明されていませんし、
 課題は多々残されていると考えます。

 二首目の歌、「澄んだ星の光」が煌めく冬の夜空を眺めていると
 宇宙の宏大さと、詠まれているように今見ている星が「何万年も
 昔の光」であることに気付く時、人は詩人になるのだと感じます。
 そこにロマンを感じるか、人の卑小さを感じるかは人それぞれと
 思いますが、作者は前者であることが歌からうかがえます。
 なお、この歌から「20億光年の孤独」という詩と谷川俊太郎さんの
 ありし日の姿、そして、静かな語り口が思い浮かびます。


     「コムラサキシキブ」

【詞書】季節の変わり目、特に冬場は腰痛に悩みます。持病とは言え
  他人様には解ってもらえません。整形でシップをもらってきました。
  骨密度は年齢からすると、125%です。60歳から8年間、ジム通い
  したのに貯蓄されていなかったのかな?と思ったり・・・
  週末温泉で体を温めてきます。
☆ふたたびの腰痛辛し蓑虫よ ともにくるまりしばし眠ろう
☆蓑虫は枯れ葉の殻に身を沈め 吾(あ)は三十一の文字を纏わむ
☆歌ごころ忘れてしまえしばらくを 象牙の舟が迎え来るまで
                         夕庵さん
【解説】
 一首目の歌、冬に向かう季節の変わり目に体調が悪くなるのは、私達
 世代の共通の悩みでもありますね。特に寒くなると筋肉に余計な力も 
 加わる故でしょうか筋肉通と共に、腰痛も発生しやすくなりますね。
 腰痛にお悩みとのこと。辛さは分かりますのでお見舞い申し上げます。
 そんな腰痛の辛さを「蓑虫よ ともにくるまり」と少し、ユーモアを
 交えて詠う作者のゆとりと、強さを改めて讃えたいと思います。なお、
 骨密度は年齢からすると十分足りていると思いますが…。
 かく申し上げる私も、週3回程スイミングには通っていますが、長い事
 腰痛を抱えています。
 三首目の歌、「歌を忘れたカナリア」の童謡の本歌を前提にされて
 詠われていると感じましたが…。「象牙の船」にのり「銀の櫂」で
 漕ぎ出すことにより、歌を思い出すカナリアに自らを託した意味深い
 歌と考えました。泉のように湧き出る返歌の数々に圧倒されています。

【詞書】YouTube短歌:バーバヤーガの小屋
☆もあもあもあ
 フィシフィシフィシ
 闇の中で生まれる
 邪悪の中でワレハユク
【短歌解説】自閑さんご自身の解説です。
 展覧会の絵のバーバ・ヤーガとは、子供を食べるスラブ系民話の魔女。
 その小屋(鶏の足の上に建つ)とは、この魔女の住む家で、移動出来る
 との事。スカンジナビア北部及びロシア北部のサーミ人の文化圏では
 高床倉庫がかつては造られていたが、これがバーバ・ヤーガの棲む
 「鶏の足の上に立つ小屋」というモチーフの外見的な由来に影響が
 あったと考えられるそうです。
 そう聞こえたと言う事です。意味は無いなあ。アンリ・マチスや
 ジョルジョ・デ・キリコなどの絵画に影響されたからですね。
 曲を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/d4ecc4eb38b68919b2233359bc84ccdc
                         自閑さん
【歌評・解説補足】
 冨田勲氏による「展覧会の絵」は、前の解説でも触れましたがオリジナルの
 ムソルグスキー版とはまた違った魅力を持つ、電子音楽の傑作だと考えます。
 特に「バーバ・ヤーガの小屋」は、冨田勲氏の独創的なサウンドデザインに
 よって、新たな解釈が加えられたと感じます。 
 紹介されたYouTubeを何度も視聴させて頂きましたが、オリジナル版の疾走感に
 加え、宇宙空間を彷彿とさせるような広大な音響効果が加えられていると
 感じました。バーバ・ヤーガの小屋が、宇宙船のように空を飛んでいるような
 イメージを喚起してくれました。
 また、 原始的なリズムを強調することで、バーバ・ヤーガの力強さや詠まれて
 いるように「闇の中で生まれる」神秘的な雰囲気を際立たせていると感じます。
 冨田勲氏の「展覧会の絵」は、クラシック音楽と電子音楽を融合させた、
 実験的で革新的な作品ですが、作者の「口語自由律」短歌も、冨田勲氏の
 独創性に負けない、短歌の新たな機軸を示していると感じます。特に、
 「そう聞こえたと言う事です。意味は無い」と言い切る潔さを是としたいと
 思います。「ワレハユク」の結句の締め方も良いと感じます。


     「咲き初める ツワブキ」

【詞書】ツワブキが門を入った正面の植え込みの少し脇の低い石垣の下に
  植わって(“生えて”かも…)いるのですが、11月も20日を過ぎてやっと
  咲きました。よそはもう少し早いみたいだったので、「うちはまだかな~」
  って思ってたんですが…。ツバキ(サザンカかも…。ちょっと種類が特定
  できない…)やツゲ(…の類じゃないかと思う)、ツツジ、ウメなどや、
  その向かいの松などが影を作るような場所(でも日は当たる)で石畳と
  低い石垣の間に有り、その場だけぱあっと明るくなっているようで、
  見ていて気持ちが上がります。今の時期、うちは花が咲いていないので、
  ツワブキは貴重です。(ぼちぼちサザンカが咲いて来てはいますが)
☆石蕗(ツワブキ)の黄色輝く門の内
          太陽のごと心に陽が差す
【詞書】(11月26日)朝刊の記事で、「新・オバケのQ太郎」のQ太郎やアニメ
  「忍者ハットリくん」(何となく覚えてますが実写版もありましたので)の
  ハットリカンゾウや「ムーミン」のミイなど、個性的なキャラクターを
  数多く演じられた声優、堀絢子さんが18日に亡くなったと知りました。
  私は2歳くらいかに第1作の「オバQ」が大好きで、(雪ダルマのQちゃん
  ヴァージョンを作っていた写真が残っているほど)その記憶は殆ど
  ないものの、雑誌の小学何年生だかで読んでいたこともあり、「オバQ」が
  大好きで、テレビでもすると知ると、もう嬉しくて…。毎週楽しみに
  見ていて、そのエンディングに出る名前の中の堀絢子さんの名前は
  かなり印象に残っていました。(お名前を何と読むかは後になって
  知りましたが)「ハットリくん」はあまり見ていませんでしたが、あの
  個性的かつ温かみのある声はやはり印象的でした。(「ガンバの冒険」の
  イカサマも個性的なキャラクターでした。「ムーミン」のミイは
  憎ったらしい口もきくけどかわいかったし)
  近年は、反戦を訴える一人芝居をされていたとのことで、11月22日の
  その292回目の公演の準備をなさっている最中だったそうで…。
  ご冥福をお祈りします…。
  しかし、今年は80~90代の“お馴染みの声”のベテラン声優さん
  (ドラえもん、のび太、峰不二子、花沢さん…)や、私と同年代や若い
  年代の声優さん(「葬送のフリーレン」の主人公の師匠フランメの
  田中敦子さんや「ちびまる子ちゃん」のTARAKOさんなど)が多く亡く
  なられて非常に寂しいです…。改めて皆さんのご冥福をお祈りします…。
☆“Qちゃん”の声耳の奥残り居り
        馴染みの声がまた一人逝く
【詞書】11月24日(日)中央競馬秋の目玉の一つ、G1レースのジャパンカップは、
  武豊騎手騎乗のドウデュースが直線から圧巻のレースで勝利しました。
  (2着は2頭同着でした。私には最内の方が先着したように見えました
  が…まあ、上からとか色んな角度から確認してるでしょうから…)もう、
  ゴール直前で「行けーっ!!」って叫んでました(テレビの前で)。さすがの
  武さんでしたが、その表彰式のプレゼンターが何とイチローさん!!
  アメリカと日本両方で“野球殿堂”入りするかも、というレジェンドが、
  日本競馬界の現役レジェンド武豊騎手と並ぶその光景の壮観なこと!
  (お二人以前から仲が良いそうで…)ネットでの後追いで見ましたが、
  いや凄いなあ……と。お二人とも日本の宝です。いやほんまに。
  (武騎手にはドウデュースの有終の美を是非とも有馬で飾って頂きたい!)
☆イチローさん 武騎手をハグで祝福し
         ジャパンカップ後レジェンドに沸く
                         ちがやねこさん
【解説】
 今回も、「ツワブキ」「堀絢子さん」「プレゼンター イチローさん」と
 新鮮なテーマで、三首詠んで頂きました。お父様に関わる件、少し

 落ち着いてきたご様子、本当にお疲れ様でした。
 一首目の歌、北風も吹きはじめる初冬の季節、多くの花々は既に枯れ初めて
 いますが、そんな中でツワブキの黄色く輝く花が目を引きますね。その花を
 「太陽のごと心に陽が差す」と素直に詠った下の句の抑えた詩情が見事です。
 二首目の歌、オバケのQ太郎やムーミンのミイの声優としておなじみの
 堀絢子さんは、数多くのアニメ作品で活躍され、世代を超えて多くの
 フアンを得てきた方と思います。その傍ら、反戦平和を訴える一人芝居
 「朝ちゃん」をライフワークとして「反戦=半千として500回の公演」を
 目指して続けてこられた方でもありました。その活動は、多くの方々の
 深い感動と共感を誘い、平和への意識を高めることに大きく貢献されたと
 考えます。詠われているように、その声は「耳の奥残り居り」いまも語り
 続けてくれていると感じます。改めてご冥福をお祈り申し上げます。
 三首目の歌は、まさに、「ジャパンカップ後レジェンドに沸く」と
 詠われている通りですね。イチローさんと言う2025年の米野球殿堂入り
 候補のレジェンドが、日本競馬界の現役レジェンド武豊騎手と並ぶさまは、
 これ以上ない「壮観」ですね。そんな情景を見事に切り取ったワクワク感に
 満ち、調べも良い歌と感じます。

☆命もつものの哀しさ愛しさよ 散る山茶花の かがよう紅(くれない)
                         ポエット・M
【解説】
 今年の山茶花は他の花と同様に開花時期が少し遅れていましたが、霜月も
 中旬となり、遊歩道や散策の小径の脇等に鮮やかに咲き初めています。
 椿と異なり、花びらを降りこぼしつつ次々と咲く山茶花に、格別な情趣を
 感じてきました。散る山茶花は、命の終わりを象徴していますが、その
 散り行く花びらの鮮やかな紅色は、未だなお生命の輝きを示しています。
 この対比で生の美しさと、死の儚さを同時に表現できたらと詠んでみました。
 また、「哀しみ」と「愛しさ」この二つの想いを、上の句で表現して
 みました。これは一見対立しておりますが、実は深く結びついており、
 その両方の想いが共存していること改めて詠ってみました。

 
     「紅の山茶花」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(65)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

46.「短歌の章」 三十三間堂(3)

   雲の座に立ちて風神雷神は
            まなこを開き下界をうかがふ

   千一体の菩薩つぶさにおろがめば
            亡き人の姿ありと伝ふる

   ありがたき佛おろがむいとまありて
            今日の命のすがしかりけり

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今週は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                    了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その159 ネット歌会)

2024年11月27日 04時42分57秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その159 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「咲き初める 皇帝ダリア」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆冬澄んだ星の光を見上げてる 何万年も昔の光
                         西BOOさん
★大宇宙不変なれども人間の進化は果たして正解なのか
                         夕庵さん
★温暖化、オゾン破壊に宇宙ゴミ 自制せねば自滅するなり
                         西BOOさん
★省エネは温暖化ヘの歯止めにも 一人の自覚が地球を救う
                         夕庵さん

☆亡き父は冬空に似てしかり 檄飛ばしつつ包みてくれし
                         みっちっちさん
★亡き父は米寿を迎えし病床に えんじのマフラーに顔を埋めて
                         夕庵さん
★あたたかき考(ちち)の胡座に埋もれて 眠りし我よ あの冬の日よ
                         みっちっちさん
★冬日向猫は大きな欠伸して 手足伸ばしつ寝落ちもちもち 
                         夕庵さん

☆千年の欅(けやき)にもたれ亡き友と遊びし様を偲ぶ冬晴
                         みっちっちさん
★晩秋の欅の落ち葉風に舞い 今日の歩数を掻き分けてゆく
                         夕庵さん
★晩秋の欅落葉をゆつくりと 妣(はは)の歩幅で共に歩きし
                         みっちっちさん
★後ろより道行く人は足早で わたし一人を置き去りにする
                         夕庵さん
★一人きり知らない道を歩きたし 知らないバスにどこまでも乗り
                         みっちっちさん
★知らぬ街歩けば人はやさしくて 初冬の風の心地よきかな
                         夕庵さん

☆図書館に本のページを繰りながら 窓は落日輝く冬日
                         みっちっちさん
★図書館に読み聞かせいる親子いて 時々「しーっ」と口に手を当て
                         夕庵さん
★落日の図書館にゐて 君の背を見つむるのみの遠き初恋
                         みっちっちさん
★図書館のステンドグラスに陽は落ちて やっと気がつく閉館のとき
                         夕庵さん
★図書館の本の匂ひに包まれて 気づけば窓は夕映への赤
                         みっちっちさん
★夕映えの映るガラスを背にしつつ 二人の影は濃ゆくなりゆく
                         夕庵さん
★夕映へのカフェの窓辺に君を待つ 人波の影 縫ひ来る君よ
                         みっちっちさん
★君待てどスマホも鳴らず気もそぞろ 家路を急ぐ人ばかり行く
                         夕庵さん
★夕暮れの家路を急ぐ人波を 息弾ませて君待つ店へ
                         みっちっちさん
★待つ人はスマホに見入り時稼ぎ 頭に入らぬ文字追うばかり
                         夕庵さん

☆樹影なき街にも枯葉舞いゆくや 哀しきまでの夕映えの中
                         ポエット・M
★やすらぎの欅の径もあっけなく 剪定されて彩を失う 
                         夕庵さん
★ようやくに黄葉に染まる径をゆく 二人の肩に枯れ葉舞い散る
                         ポエット・M
★自転車の舞いあぐ枯れ葉跳び跳ねて 右に左に側溝埋める
                         夕庵さん
★舞い上がる枯れ葉の中を疾走す ライダー君の雄姿忘れず
                         ポエット・M
★ファーつけたバイクに越され追いかけど 姿は見えずあれは女狐
                         夕庵さん
★女狐はネオンきらめく街角に 幻影のこす妖艶な顔 
                         ポエット・M
★花びらのような口からでる嘘に 懲りず集まる夕蛾灯の下
                         夕庵さん
★ほろ酔いのワイングラスに揺れる灯に 嘘と誠の 物語り編む
                         ポエット・M
★ほろ酔いのワイングラスに映る顔 伏せた睫に嘘は見抜けず 
                         夕庵さん
★まつげ伏せ何を隠すや笑む君に ランタンの灯も妖しく揺れる
                         ポエット・M
★ランタンの灯り切なし明日こそは 明るい日のさすものと祈らんむ
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き初める露地の シクラメン」

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コメント (27)
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