「口語短歌・水曜サロンの会」(その90) 短歌の投稿を歓迎します!!
☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。
「桔梗 白色」
「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」
【詞書】拙者ブログ「世界文化紀行」で葛飾北斎の「富嶽36景」を掲載して来ました。
しかし「富嶽36景」は実際に46景あったことが分かりましたので46景全部掲載し
16日終了致しました。全作品とも楽しく詠むことが出来ました。最後の42・44・
46景等も味のある作品でしたので短歌を詠みました。
註)「甲州三坂水面」山梨県南都留郡富士河口湖町
☆河口湖北斎描く逆さ富士 駆け引き思惑虚と実対比
註)「信州諏訪湖」長野県下諏訪郡下諏訪町
☆浮城の高島城のその先に 富士山望む湖水風景
註)「身延川裏不二」山梨県南巨摩郡身延町
☆身延川谷から湧き立つ白雲は 奇峰の間から富士見え隠れ
浅間山明鏡止水さん
【解説】
詞書にもありますように、葛飾北斎の「富嶽36景」は10景追加され、46景となっている
事実は結構有名な事のようですね。
富嶽三十六景が10枚追加された経緯は、いくつかの説がありますが、そのうちの一つは、
北斎が富士三十六景の反響の大きさに応じて、追加で10枚の版画を制作したというもの
ですね。いずれにせよ、これらは、北斎の画力と創造性を存分に感じることができる傑作
で、日本のみならず世界中で愛され続けている、日本の文化遺産の一つと言えますね。
選定された「逆さ富士」「高島城」「身延川裏不二」の3つの景は、作者の審美眼の
確かさと、それらを詠いきった力量の高さを示していると考えます。
一首目に詠われた逆さ富士、実際に見える夏景色と、湖面に写る冬景色の季節の違いに
よって、より一層美しく、印象的なものとなっていることは事実ですね。そんな想いも
籠めて読んでみましたが・・・。
【ご参考】
★北斎の 狙いは謎の逆さ富士 夏山映し湖面は冬に
【詞書】今日は沖縄最後の激戦地、糸満市摩文仁の平和記念公園で、沖縄戦没者の追悼式が
行われる。大阪歌舞伎座で沖縄演劇祭へ行ったのは何年前だったろうか。古謝美佐子の
声量と白髪の長い髪とどっしりとした風体が圧巻で、魂を揺さぶられたのを思い出す。
そのときに詠んだ歌から
☆島唄はひめゆり(ひめゆり学徒隊)愛しと歌い継ぐ哀しみふかし 怒りの深し
☆地を這いつつ低き声音の島唄は怒りと祈りの鎮魂の歌
☆唄声は騒立つウージの森を越え海を渡りて本土へ届けと
夕庵さん
【解説】
沖縄戦没者を追悼する「慰霊の日」につきましては、私の他のブログでも少し触れさせて
頂きました。
「不確か」な平和の今だからこそ、78年前地上戦の戦場となった沖縄で、犠牲となった
20万を越える人々の想いを改めて想い起し、心に刻んでいきたいと思っています。
古謝美佐子さん、その代表曲「童神(わらびがみ)」をはじめ、沖縄の方言で唄う島唄
には詞書にもありますように、まさに「魂を揺さぶられ」ますね。
三首の歌は、何れも古謝さんの歌う島唄のもつ、沖縄の自然の美しさと恵みに裏打ち
された「祈り」を、情感豊かに詠っていて心に沁みます。そこには哀しい歴史と、
それをもたらした者への静かな怒りが滲んでいます。
二首目の下の句「怒りと祈りの鎮魂の歌」は、古謝さんの歌う島唄の原点を味わい深く
表現していると思います。しみじみと魂に訴えかける、詩情豊かな社会詠と思います。
「紫つゆ草」
【詞書】延喜式神名帳に記されている船山神社の巨石を祀ったのは、いつの時代の誰で
あろうかという疑問を詠ませていただきました。
船山神社については、「船山神社 wikipedia」で検索していただくと分かると思います。
巨石については、そのページの脚注6の「船山神社旧社地・奥山巨石群」をクリック
して頂くと、写真がでてきます。延喜式神名帳が記された時代(927年)は、船山神社は、
この巨石の近くにあったと思われ、巨石のある平群町にいつの時代のものか尋ねても、
全くの謎です。(調べて下さいと依頼はしてあります)。
☆延喜式神名帳の船山(ふなやま)の
巨石祀るは
何時の誰ぞや
西BOOさん
【解説】
「船山神社の巨石を祀ったのは」との事で、生成AI等を用いて調べさせて頂きました。
諸説があり、生成AIの限界も考慮しつつ、一つの解として・・・、船山神社の巨石は、
縄文時代に祀られたとの説に辿り着きました。ただ、参考文献も少なく、断定ではなく
一つの説と理解頂ければと思います。
なお、作者も既に調査されていることと思いますが、この巨石は、縄文時代の磐座であり、
磐座とは、石を神聖なものとして祀る場所とのことですね。
短歌で、古代史の謎に迫るのは、ロマンもありワクワクする営みとも感じます。この分野
の研究成果を私たちにも是非ご披露頂ければ幸いです。
【詞書】子供達の声がうるさいと、公園までなくしてしまう時代です。ひとつの空き缶を
工夫して使い、夕方まで遊んだ時代は遠くなりました。
☆空き缶のひとつもあれば 暮るるまで 空き地に子らの遊びし頃よ
みっちっちさん
【解説】
子供達の歓声が響かなくなった公園と、地域を想像すると寂しさばかりでなく、
恐ろしさを感じてしまいます。それだけ人に対する寛容さが無くなってしまう地域に、
息苦しさを感じるのは私だけではないと考えます。
「異次元の少子化対策」と政権は言いますが、子供たちが楽しく、元気にゆったりと
暮らせる地域社会。それを私たち大人たちが作っていくことが、まず求められていると
考えてしまいます。そんな想いを抱かせる詠歌と思いますし、静かな社会風刺を秘めた
懐かしい歌とも感じます。
「ガクアジサイ」
【詞書】ある方のブログを読ませていただいて病状によっては精神薬の必須な方もいると
いうことを理解しました。私は自分の体験から断薬をお勧めしたりしていたのでしたが、
症状によっては必須な方もいらっしゃるんですね。私の不明を恥じるとともにお詫び
申し上げます。
☆精神薬必須の人のゐることを知らざりこの歳になるまで
☆健全な夫が側にゐることがわれの一番の幸運ならむ
☆関はらぬことが一番たいせつと教へてくれし人に感謝す
水仙さん
【解説】
ご連絡頂きました17首の詠歌は、何れも作者の現在の心情を切々と詠われた優れた
作品です。従って選歌しがたい想いが募りますが、覚悟をもって三首を選定させて
頂きました。
二首目は、御夫君の存在を改めて詠い「われの一番の幸運ならむ」と詠いきる潔さは
見事です。この想いは、是非言葉で御夫君に伝えられることをお勧めします。私たちの
世代は照れくささもあり、自らの想いを夫婦間で言葉に出して伝え合う事が不得手と
思っています。作者はそのような事は無いでしょうが・・・。歌を短冊にしたため
御夫君に贈られることも一案ですね。
三首目は、精神の安定のためにも何より大切な事と思います。心して参りましょう。
【詞書】暑き朝 モーツァルト クラリネット協奏曲 第2楽章 Adagioを聴いて
☆未だ深き夢の中に今年一番の暑き陽がゆっくりと浸して
自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
本歌
新古今和歌集巻第二十 釈教歌 式子内親王
しづかなる暁ごとに見わたせばまだ深き夜の夢ぞ悲しき
私は、モーツァルトが好きで、古典を読む時にYouTubeで聴いております。
このアダージョのイメージとしては、夜明けの太陽が徐々に周りを明るくして、それに
つられて世の中が動き出すと言うもので、それを短歌にしました。
本歌取りは、余り多くの語句を取らないのですが、ちょっとこの愚詠は取りすぎかな?
これから熱中症の危険が多くなる時期です。皆様も十分御注意下さい。
下記URLに、モーツァルトの曲も貼付しておりますので、御來室頂ければ幸いです。
https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/fa51c338f09280c0ad5bd1135f518dc8
【解説】
新古今和歌集の式子内親王の歌は、直訳すると・・・、
「静かな暁ごとに自分自身を省みていますが、まだ深い迷いの夢の中にあります。小さな
事に執着心を持っているために感じる不幸ですが、これは悲しい事です」となりますが…。
本歌取りを行う際は、本歌と主題を合致させないようにすることが求められます。これを
踏まえつつ作者の詠歌は「まだ深き夜の夢」の中と、状態を示す句として本歌取りを行い、
見事に成功していると考えます。自由律の短歌でありながら、詩情を湛え、かつ調べも
整った短歌に仕上げる手並みにはいつも学ばせて頂いています。
ちなみに、本歌取りは、短歌の技法の一つとして古くから用いられてきましたが、本歌取り
を行うことで、短歌に深みや新鮮味を加えることができます。さらに、本歌取りは一般的に
2句まで許されますので、古典等を参考に、挑戦することも短歌を学ぶ上で大切な試みと
思います。作者の挑戦と、その試みにも学んで行きたいと思います。
【詞書】27日の朝刊に、ハーブ研究家で、NHKの番組でも馴染みがあるベニシアさん(ベニシア・
スタンリー・スミスさん)が21日に亡くなった、という記事がありました。72歳だった
そうです。よく姉のうちでBSの番組を見ました。いろんなハーブなどを使ったり育てたり
されていたベニシアさんになんとなく憧れてました。その魂が安らかでありますように…。
☆ゆっくりとハーブの庭に生きた人
大原に遊べその魂よ
ちがやねこさん
【解説】
ベニシアさんのハーブガーデニングの番組は、静かな時の流れと癒しを感じつつ、私も時々
視聴させて頂いていました。
詠われているように「ハーブの庭に生きた人」であったと思っていますし、「大原に遊べ
その魂よ」ですね。ベニシアさんへの作者の想いの籠った挽歌でもあると思います。
享年72歳は、女性の平均余命を考えましても未だお若いと思っています。ベニシアさんに
改めて哀悼の意を表したいと思います。
☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
注) ☆:元歌 ★:返歌
☆島唄はひめゆり愛しと歌い継ぐ哀しみふかし怒りの深し
夕庵さん
★いつの世もかろき命のあるものか 歌ひ継ぐべしひめゆりの唄
みっちっちさん
☆延喜式神名帳の船山の 巨岩祀るは何時の誰ぞや
西BOOさん
★紀の国の花の窟神社に神宿る二つの磐を結ぶ大綱
★熊野には岩座信仰息づきてゴトビキ磐に迎えられたり
夕庵さん
☆空き缶のひとつもあれば暮るるまで 空き地に子らの遊びし頃よ
みっちっちさん
★DHA、EPAと言うからに鯖缶積み上げレシピを作る
夕庵さん
★鯖缶にしやりしやり朝の削り節 夏合宿の風薫る卓
みっちっちさん
☆年波を晒す紫陽花その生を丸ごと好きと妻のつぶやき
ポエット・M
★生くるとはいのちの限り懸命に 紫陽花 雨に落ちぬまま萎へ
みっちっちさん
★生きるとは漂いてゆく修羅の舟 子ガ二の背ほどの安らぎもあれ
夕庵さん
★生くるとは 今誕生の馬の仔がマリオネットのごとく立ち上ぐ
みっちっちさん
☆年波を晒す紫陽花その生を 丸ごと好きと妻のつぶやき
ポエット・M
★紫陽花の青きしずくにうつしみる 心のひだの揺れて朝あさ
夕庵さん
★紫陽花のしずくにうつる花影の ゆれいる様に裡なる揺れも
ポエット・M
☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆
☆沈黙もひとつの会話 しみじみと共に見つめる雨の紫陽花
ポエット・M
【解説】
鮮やかに咲き誇り梅雨の鬱陶しさをひと時忘れさせてくれた紫陽花も、いつしか
最盛期を過ぎ終焉の趣を漂わせています。雨の散歩の折、そんな紫陽花を細君と
しばらく見つめていましたが、それぞれの想いは語らず通り過ぎました。
「散らずに生を全うする紫陽花が好き」と呟いた、かつての細君の言葉を思い
起こしました。語らずに、沈黙することも一つの会話と思い詠ってみました。
「がく紫陽花」
「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著(33)
8.薔薇の花束(2)
これが薔薇だ
ここで踊れ ヘーゲル「法の哲学」より
薔薇なれば
花開かんと
言う君の
長き黒髪
永遠なる瞳
女王様(ボルドー)と
王様(ブルゴーニュ―)の
赤と白
交わす二人は
五月の薔薇よ!
鮮烈な
夢魔の天地を
華麗なる
薔薇の吹雪で
吹雪けよ吹雪
白日夢
裂くは銃声
錯乱か
空に散りゆく
薔薇の残像
剣山の
夢魔こそ怪奇
蒼穹の
天に散りゆく
薔薇の鮮血
「グラジオラス」
【短歌入門・質問・提案コーナー】
チョウキチさんからのコメントです
★さむしろに衣かたしき今宵もや我をまつらん宇治の橋姫
この歌は、改めてみると随分勝手な歌ですね。心の奥に思いやりが潜んでいればいい
のですが・・・。
ポエット・Mの応答コメント
★さむしろに衣かたしき今宵もや我をまつらん宇治の橋姫
この古今和歌集の歌は、直訳すると・・・
「今頃狭い敷物の上で、衣の片側を敷いて寂しく一人寝をしながら、今夜も私が来るのを
待っているのだろうか、あの橋姫にも例えたくなる宇治に住む私の恋人は」となります。
橋姫伝説等の背景も含めて、この歌の解釈には諸説ありますが、私はこの歌の作者である
藤原良経は恋人(妻)を偲ぶ哀しみを詠ったと思っています。その意味で深い思いやりを
感じます。
【ネット歌会について】
「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
(1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
(2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
字数制限(コード30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
(3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
(4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
(5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
(6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
(7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
了