四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その155)

2024年10月30日 05時12分02秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その155) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「秋薔薇 ビバリー」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「10.賢木(さかき)」
 六条御息所は源氏への思いを断ち、娘とともに伊勢に向かう決心をした。
 出発間近になって、源氏は野宮に六条御息所を訪ね、ふたりは晩秋の野宮で
 心ゆくまで語り明かした。十月、かねてより病に伏せていた桐壺院が崩御。
 年があらたまり、朧月夜が尚侍として帝に仕えた。朱雀帝は、母、弘徽殿の
 大后の言いなりとなり、源氏は政治的に追いつめられていく。藤壺は桐壺院
 亡き後、東宮の後ろ盾として源氏を頼りにするが、源氏の藤壺への執心は
 ますます強まっていく。思い悩んだ藤壺は、桐壺院の一周忌法要後、髪を
 落とした。失意の源氏だが、朧月夜との関係は続いていた。ふたりは
 ある日、右大臣に逢瀬の現場を目撃される。弘徽殿の大后をはじめとする、
 右大臣家の怒りは凄まじいものだった。
〇暁の 別れはいつも 露けきを こは世に知らぬ 秋の空かな  光源氏
 註)あなたとの明け方の別れではいつも涙に濡れたが今朝の別れは今までに
   ないくらい涙に曇る秋の空です
〇おほかたの 秋の別れも 悲しきに 鳴く音な添えそ 野辺の松虫」
                               六条御息所
 註)ただでさえ秋の別れは悲しいものなのにさらに鳴いて悲しませないで
   野辺の松虫よ 
(返歌)
☆光源氏 冷たい態度 取ったこと 後悔するも 別れを選ぶ
☆年下の 恋に溺れる 六条は 嫉妬に苦しみ 生霊となるも 
                         浅間山明鏡止水
【解説】
 源氏物語で、六条御息所は、当代一の文化人として貴族社会に知られている
 存在と描かれています。高貴でしかも美しく教養があり、しかも執念深さも
 もっている女性。この方と光源氏は結ばれ、その後の物の怪の出現等哀しい
 展開へと繋がっていきます。その中で、愛の儚さ、そして人間の業と運命
 といった
普遍的なテーマが繊細に描かれています。
 これらの背景を踏まえ、作者の返歌を鑑賞したいと思います。
 妻である葵の上の死に六条御息所の生霊が関わっていたことから、光源氏は
 六条御息所への愛情が急速に冷め、別れとなりました。作者はこの経緯へ
 想いを馳せ、六条御息所の哀しみに寄り添い、さらに、光源氏の後悔を
 二首の返歌で表現しています。
 それぞれの返歌を別の視点から詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★暁の別れを越える哀しみを 更にかさねて濡れる涙よ
 ★この命かけて慕いし君ゆえに 冷たきしうちに魂も乱れる

【詞書】「朝寒」(あささむ)は晩秋の季語です。まず朝の寒さに
  気づくのですね、「寒き朝」は冬の季語になります。
  朝寒で三首、出詠いたします。
☆朝寒の卓に紅茶の湯気細く 絹のごとくに立ち上ぼりゆく
☆石窯の火色の妣(はは)のセーターを箪笥より出す 窓は朝寒
☆朝寒の透き通るごと静寂(しじま)なる狭庭に鳥の集まれる声
                         みっちっちさん
【解説】
 今回も、俳句の季語「朝寒」を用いて晩秋の情景を、味わい深く三首の
 歌に詠んで頂きました。なお、短歌では季語を必須とはしていませんが
 短歌と季語のコラボレーションは意欲的な挑戦として是としたいと
 思っています。
 三首目に触れたいと思います。晩秋の朝、空気中の塵埃を沈ませ、
 庭を澄み切った静けさが包みます。「透き通るごと」という言葉が、
 この静けさと澄明さの度合いを際立たせています。
 また、下の句の「鳥の集まれる声」が、この静寂の中に鳥のさえずりが
 響き渡り、この対比が冬の朝の静寂をより際立たせるとともに、
 生命の息吹さえもを感じさせます。
 この歌は、短い言葉の中に晩秋の朝の爽やかな情景と、そこに生きる
 生命の息吹が凝縮し表現されて印象深い歌になっています。
 一首目の「絹のごとくに」の比喩も素敵です。

【詞書】大谷翔平選手を詠ませて頂きました。
☆ナ・リーグの優勝祝し乾杯す 次は翔平ワールド・チャンプ
【詞書】衆議院選挙を詠ませて頂きました。
☆衆議院選挙の期日前投票 裏・裏・裏にて野党へ一票
【詞書】霜降に入ったことを詠ませて頂きました。
☆霜降といえど夏日が続きける 「時」の歯車戻してくれよ
                         西BOOさん
【解説】
 今回も「ワールド・チャンプ」「衆議院選挙」「霜降」と、追加分も含めて
 新鮮な
テーマで三首詠んで頂きました。
 一首目、今まさにワールド・チャンピオンに向けて対戦し、3勝しましたが,
 大谷選手の怪我が心配ですね。肩の亜脱臼との診断ですが、怪我にも関わらず
 
戦線復帰しました。大事に至らないことを願うばかりです。
 二首目、今回は政権党の「裏・裏・裏」が明らかになり、政権への失望と
 怒りが増大し、与党の過半数割れという厳しい国民の審判が下されましたね。
 これは、作者の詠まれたように判断された方が多かったからと考えます。
 疑義の
根幹を明らかにし、是正し解消することなく、約束すら反故にする
 誠実さに欠ける姿勢が
随所に目立った結果と考えます。

 三首目、暦の上で「霜降」となるものの、霜ではなく夏日が続くという
 まさに、「時」の歯車の回転の異常さが目立ちますね。CO2排出の削減等
 原点に還っての、取り組みが喫緊の課題となりつつあると考えます。
 世情の問題点に切り込む、鋭い視点に今回も学ばせて頂きました。


     「風に揺れる コスモス」

【詞書】コスモスの便りを聞くとすぐに行きたい衝動に駆られます。
  今年こそいい写真をと思うのですが、上手く撮れませんでした。
☆コスモスは揺れやまず咲き石仏の 変わらぬ笑みに安らぎ覚ゆ
☆コスモスの花びらキューブに閉じ込めて 階(きざはし)飾る花の寺なり
【詞書】亡くなった友人の庭に今年も好きだったノボタンがひっそりと
  咲いていました。 
☆ノボタンはあなたの居ない庭に咲く 雨には傘を差し掛けましょう
                         夕庵さん
【解説】
 秋風に揺れるコスモスは、それだけで絵になりますが、その花とノボタン
 をテーマに三首詠んで頂きました。
 一首目の歌について触れたいと思います。上の句では、コスモスが風に
 揺られながらも咲き続け、生命力にあふれ、常に変化している様子が
 巧みに表現されています。
 一方、下の句では、石仏が時の流れに動ずることもなく、静かに微笑み
 続け、永遠不変の様子が象徴的に詠まれています。
 総じて、コスモスのもつ生命力と爽やかさ、さらに石仏の笑みと永遠不変の
 静けさ。この対比の中で、作者は深い安らぎを感じていることが情趣豊かに
 詠われています。癒しと共感を誘う余情に満ちた歌と感じます。
 三首目の歌、かつて友人と共に眺めたノボタン。今は亡きその友の庭に
 ヒッソリと咲く濃い紫のノボタン。「雨には傘を差し掛けましょう」の
 下の句に、友人と、ノボタンへの作者の想いが溢れ涙をも誘います。

【詞書】10月23日(水)付 朝日新聞朝刊社会面の写真を見て。
  22日に甲子園球場での秋季練習が始まったという記事の写真でしたが、
  コーチと選手の間でにこやかな表情の阪神タイガース新監督、
  藤川球児氏を見て、監督が若くなり、雰囲気も明るくなったかな?
  という感じがしました。ついこの間まで現役だった藤川監督ですから、
  溌剌とチームを引っ張ってくれることでしょう。残念ながら
  “アレンパ”は逃し、セ・リーグ2位で臨んだクライマックス
  シリーズも敗退してしまいましたが、優勝を狙える位置に居るのが
  常になっている昨今のタイガースを維持し、なお上を目指していく
  シーズンでありますように…。監督、ほんま頼んまっせ!!!🐯
☆そのまんま ピッチャーマウンドに上がりそう
             「“球児監督”阪神頼むで!!」
【詞書】10月26日(土)新聞の朝刊の記事より。
  漫画家のちばてつやさん(「あしたのジョー」原作:高森朝雄氏や、
  「ハリスの旋風(かぜ)」「のたり松太郎」、テレビアニメ「あかねちゃん」の
  原作、「みそっかす」など)が、漫画家では初となる文化勲章を受章された
  そうです。(紫綬褒章は現在までに30名ほど受章しています。ちばさん
  自身も2002年に受章。2014年には文化功労者になられているんだとか)
  ちばさんのコメントの「~現在に至る全ての漫画家が、子供の読み物と
  思われていた漫画を『文化』と認識してもらえるまでに育て上げて
  きました」「今回は、その全ての漫画家たちの創作活動に対しての評価を
  いただけたのだと、とても嬉しく誇らしく思います」…長々と引用
  しまして済みません。確かに、連綿と続いてきた日本における漫画の
  歴史は、長らく「子供の読むもの」だったかと私も思います。が、近年は
  漫画も様々なジャンルが生まれ、高い評価を受ける作品も多々あり、
  海外の方々も日本の(COMICでもCARTOONでもない)“MANGA”の熱心な
  読者になっています。そしてつい最近「漫画は“日本の文化”だ!」と
  誇れるようになったのかなと思います。その歴史のただ中にあった
  漫画家さん方、携わった方々の代表として、そして個人の長年の作品を
  創って来られた努力に報いる形としての受章であろうと思いますし、
  本当に喜ばしいことです。ちば先生の原点は、戦後、中国から出国する
  途中に、お父さんの知り合いだった中国の方が匿ってくれた先で
  弟さん達(亡くなられたちばあきお先生は「キャプテン」などの人気
  作品がある漫画家さんですし、もう一人の弟さんも「4P田中くん」と
  いう野球漫画の原作者で漫画に関わる仕事をなさっているそうです)を
  楽しませようとして、絵本を描いたことだと聞いたことがあります。
  平和な中で好きな漫画を描けることは何物にも代え難い事だと思い
  ます。戦中戦後の体験がある漫画家さんも年々少なくなってくる中、
  そういった体験を漫画で伝えて下さるのは有難いことだという思いは
  あります。そういう功績も含めての受章なんじゃないかな…と。
  ともあれ、受章おめでとうございます!
☆漫画界 あしたはどっちも明るいか
           ちばさん文化勲章受章で
【詞書】…実はリアルタイムで見ていません。💦
  姉の所に行ってて(姉は裏番組の「やすとものどこいこ!?」という番組を
  いつも見てるんで…)、CMの隙にちらっとチャンネルを変えてパドック
  だけは少し見られたんですが、レースはダメでした。😭後から母に
  「武さん勝ったらしいよ」と聞いたので、是非とも見たい!(文字を
  大きくしたいぐらいです)と思い、スマホの動画で見ました。何と凄い!
  何て鮮やかな勝ち方や!!4コーナーを曲がるまで後ろから数える方が
  早い位置に居たのに、直線で何や何や何や!?って感じに、ぶわあ~っ!!と
  上がってきて、あれよあれよと1着入線!何じゃこりゃー?!さすが武さん!
  さすがダービー馬(’22年)!あんなに鮮やかな勝ち方久しぶりに見ました。
  いや~、良いもの見せていただきました。武騎手は秋天7勝タイだ
  そうです。やっぱ凄いわ。因みに2着はタスティエーラ。’23年の
  ダービー馬(スキルヴィングがゴール後に斃れたレース…😢)です。
  余談ですが5、6、7着に、お父さん、長男、三男の順で横山ファミリーが
  入っていたことが、ちょっと面白かったです。(本人達や陣営は悔しい
  でしょうが…)いやあ、ドウデュースと武騎手の爽快なレース、元気を
  もらいました!武さん、ドウデュース、陣営の皆様、おめでとうございます!
☆ドウデュース・武騎手コンビが鮮やかに
         直線一気で「秋天」制す
                         ちがやねこさん
【解説】
 今回も、「“球児監督”」「ちばさん文化勲章受章」「天皇賞(秋)」という
 ホットなテーマを、作者の独自の切り口で、三首詠んで頂きました。
 一首目の歌、新監督藤川球児氏の下で、再び“アレンパ”を目指す球団への
 エールの篭もった渾身の一首と感じます。現役そのままの監督への、期待が
 溢れた歌とも感じます。フアンとはいいものと、しみじみ感じます。
 二首目の歌、ちばてつやさんの文化勲章受章は、ちばさんも言われる通り
 「全ての漫画家たちの創作活動に対しての評価をいただけた」ものと
 考えます。作者も言われるように「海外の方々も日本の“MANGA”の熱心な
 読者」になり、「日本の文化」として誇れる存在になったことも事実と
 考えます。詠われているように「あしたはどっちも明るいか」に、作者の
 熱い想いの籠った良い歌と思います。弟のちばあきお氏の「キャプテン」は
 私も子供たちと共に何度も読み返しました。野球の「心」が溢れていたと
 思って
います。懐かしい“MANGA”でもあります。
 三首目の歌、ドウデュース、武騎手コンビによる、天皇賞(秋)を制覇した
 走りはまさに「芸術的」ですらありましたね。ドウデュースの脚力を信じ
 最初は抑え気味に奔り体力を温存しつつ、第四コーナーを曲がり、最後の
 直線で一気に勝負をかけるのは、並みの騎士には出来ない芸当ですね。
 そんなワクワク感が詠みこまれた、臨場感すら感じる歌と感じます。
 「直線一気で」の表現が生きています。競馬フアンでなくとも感じます。

【詞書】YouTube短歌:都会の孤独 古風なメヌエット 
  ラヴェルピアノ曲を聴いて
☆点滅する信号機
 騒音の中の孤独

   私はどこへ
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 古風なメヌエット(Menuet Antique)は、モーリス・ラヴェルの最初の
 出版作品であるピアノ独奏曲。1895年の作品。当時作曲者はまだ20歳で
 あったそうです。
 どこが、アンティークなのか?とは思うが、ラヴェルらしい意味不明と
 言う難曲。当然出来た短歌も意味不明です😓
 下記に、ラヴェルの曲を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/277522afb94fd9f56754edcee89f915d
                         自閑さん
【解説】
 YouTubeは「鈴木萌子ピアノリサイタル(2021年3月13日)」の曲を視聴
 させて頂きました。
 作者の説明にもありますが「古風なメヌエット」は、若きラヴェルの
 才能と、彼独自の音楽観が凝縮された作品とのことですね。視聴させて
 頂いた限りでは、クラシック音楽でありながら、十分現代的な曲との印象
 でした。メヌエットとは、18世紀の宮廷舞曲の形式を踏襲しているとの
 ことです。クラシック音楽には詳しくない私の感想ですので必ずしも

 的を射てないことを承知して申しますと、この曲は豊かな和声や、形式を
 超えた斬新なリズム感が散りばめられている優美な曲と感じました。
 特に、密集した和音による導入部と、短2度(半音)による不協和音は
 印象的な響きとなって伝わってきました。
 これらの曲を踏まえて作者の作品を鑑賞させて頂くと「騒音の中の孤独」
 が象徴的な句として印象に残ります。これは喧騒渦巻く現代の状況に
 おかれた私達の、大方が感じる想いでもあると感じます。その中で自らの
 居場所を確認し、「どこへ」向かうのかも不明な状況は同様であろうと
 思ってしまいます。しかし、混沌とした状況の中で「私はどこへ」と、
 真摯に進むべき方向を模索する、そんな前向きな姿勢を感じさせる歌と
 解釈させて
頂きました。

☆振り向けば相模の灘の夕凪よ 落暉を映し燃え立つがごと
                         ポエット・M
【解説】
 三浦半島に「湘南国際村」という小高い丘があります。そこから逗子湾や
 相模湾の眺望がよく、ドライブついでに時々立ち寄ることがあります。
 10月下旬にはようやく秋らしい気候となり、海の眺望も良く景観もスッキリと
 見え始めました。訪れた時は、ちょうど夕凪時で落日を映した海面が、燃え
 立つように赤く染まり始めました。
 静止画のように静まる夕凪の海が、落日を映して燃えたつように変化する様を
 詠んでみましたが・・・、少し高揚感に欠ける歌となりました。

 
     「秋薔薇 チャールストン」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(61)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

42.「短歌の章」 香港中文大学(1)

   冬に入り風冷ゆるなり 双思樹の
         花もそこばく今朝は散り敷く  ※

   冬の間を籠るとすらむ山ほどの 
         陽だまり暖かく群れ飛ぶ胡蝶

   九龍の山ふところのひなたなか
          冬を籠ると蝶美くしき

   注) そこばく:たくさん。数量の多いさま。

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 チョウキチさんのコメント
 〇はかりなき千尋の底の海松(みる)ぶさの 生ひゆくすゑは我のみぞ見む 光源氏
 〇千尋とも いかでか知らむ 定めなく 満ち干る潮の のどけからぬに  紫の上
  ある時は自分自身の願望、ある時は現実、どんな時でも独占欲が強く
  口上手な男性、しっかりと男性を見抜く女性という人生観、紫式部の
  人生観そのもののようです。
  華々しい平安貴族の裏側が空けるような気がします。

 ポエット・Mの返答コメント
  いつも「水曜サロン」を見守って頂き、また示唆に富んだコメントを
  お寄せ頂きありがとうございます。
  おっしゃる通りですね。「源氏物語」は平安貴族の華やかな世界を
  描きながら、その舞台で雅に舞うかに見える女性達の哀しみや、

  苦悩に寄り添いつつ、光源氏を始めとする男性たちの身勝手さや、
  権謀術数を
駆使する様を、冷徹に描き切っていると感じます。
  貫かれている人間観や人生観は作者の紫式部そのものの思想を反映して
  いますし、物語の執筆の過程で、その進化や深まりも感じられます。
  これは作者が、宮廷女房として宮使いしながら様々な経験を積み、
  成長しつつ、
世界観も鍛えられていった結果とも考えます。
 
【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

コメント (14)
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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その155 ネット歌会)

2024年10月30日 04時35分01秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その155 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「秋薔薇 コケットロマンチカ」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆霜降といえど夏日が続きける 「時」の歯車戻してくれよ
                         西BOOさん
★柿の実もたわわに実り大き葉も 「八入の雨」に色濃く染まり 
                         夕庵さん
★待ちに待ち色付いた柿食するも 甘味少なし夏日のせいか
                         西BOOさん
★晩秋の山里に見る柿すだれ 爺は元気で腰に手をあて
                         夕庵さん

☆朝寒の卓に紅茶の湯気細く 絹のごとくに立ち上りゆく
                         みっちっちさん
★日曜はアップルパイを焼きましょう 芳し香りのキリマンジャロと
                         夕庵さん
★日曜の朝はコーヒー君と飲み いざ秋空の植物園へ
                         みっちっちさん

☆石窯の火色の妣(はは)のセーターを箪笥より出す 窓は朝寒
                         みっちっちさん
★石窯の熱々ピッツァをシェアして 馴染みの店に友と寛ぐ
                         夕庵さん
★その庭に石窯ありて友の家 ピザ焼きくれし友はもう亡き
                         みっちっちさん
★丹精に白いセーター編みくれし友も今では泉下の客に
                         夕庵さん
★瑠璃色のセーター似合ひし妣(はは)なりき あざみのドライフラワーを吊る
                         みっちっちさん
★瑠璃色の地球も今や戦火(ひ)を浴びて 色褪せ痩せて廃墟の多し
                         夕庵さん
★瑠璃色の都市をあるけど 廃墟めく 都市計画は未来見据へて
                         みっちっちさん
★「死の海」の汚名返上した魚庭(なにわ)いまや牡蠣の養殖もあり
                         夕庵さん
★養殖の牡蠣のうまさよ 紺碧の 播州灘の浜食堂に 
                         みっちっちさん
★播州の手延べ素麺これしかり 季節を問わず備蓄品なり 
                         夕庵さん

     「咲き競う コスモス」

☆秋の海 虚空映して藍深く 世情無縁と凪いで静もる 
                         ポエット・M
★秋の海 凪ぐも牙むく恐ろしさ 大漁旗を涙で降ろす 
                         夕庵さん
★大漁旗 掲げて海へ繰り出せば 波間に見ゆる富士に冠雪 
                         ポエット・M
★近江の海 はるか見上げる比良山に 初冠雪のニュース流れる
                         夕庵さん
★比良山の初冠雪を仰ぎ見る 近江の海にも夕映えのして 
                         ポエット・M
★大空と淡海を朱色に染めあげて 夕日は比良の山の端に入る  
                         夕庵さん
★山の端を朱く染めゆく落日に 淡海のみなも さらに燃えたつ 
                         ポエット・M
★夕暮れの湖(うみ)に水脈ひく水鳥の まろき体も黒く陰りぬ 
                         夕庵さん
★水脈ひきて ねぐら目指すか水鳥の 羽根も染めいる湖(うみ)の夕映え 
                         ポエット・M
★風立ちて ひとり葦原刈る人の 背に冠雪の比良の山脈   
                         夕庵さん
★湖(うみ)見つめ一人たたずむ君の背に 比良の山脈 いま暮れかかる
                         ポエット・M
★潜水の得意な番のカイツブリ 湖(うみ)に小さな波を立たせて 
                         夕庵さん
★カイツブリ 湖(うみ)にさざ波 立ているも 静もるみなも 夕もや包む
                         ポエット・M
★ひこにゃんとホテルの庭で握手して 旅の終わりは湖(うみ)と眠らむ 
                         夕庵さん
★満ち足るも 旅の終わりの寂しさに 湖(うみ)のみなもに小石をほうる
                         ポエット・M
★投げられた小石は波紋を描きゆき 消えゆくまでを心遊ばす 
                         夕庵さん
★遠き日に水に字を書き遊びたる 君は書家とし 王義之しるす 
                         ポエット・M
★遠き日に子と机(き)を並べ墨を擦る 硯は亡父の端渓硯 
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「秋薔薇 シャルルドゴール」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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みかん狩へ

2024年10月28日 18時02分35秒 | お出かけ

 現在週二度ほど、公営の温水プールに細君共々通っています。そこで少なからぬ
水泳仲間ができ、スイミングの合間に色々お話しすることもあります。
 昨年、色々な話題から野菜の高騰と、無農薬の野菜の話になり盛り上がった
ことがありました。水泳仲間でミカン園を営み、無農薬の野菜も作っておられる
方から、お招きいただきお宅へ伺い、無農薬野菜を頂いたことがありました。
その後、諸々のやり取りから親しくお付き合いしてきました。

     「未だ咲くコスモス」

 今年はプールへ来られる曜日と時間帯が合わずに、お互いに中々お目にかかれ
ない日が続きましたが、先日たまたまお会いすることができ、ミカン園も営業を
開始した
ので「いらっしゃい」との連絡を頂きました。

 たまたまプールが休みの日、ミカン狩りを兼ねて農園をお訪ねしました。入園料は
要らないと言われましたが、今後の事もあり是非お支払いさせて下さいと
お願いして、
お支払いし、早速ミカン園へ向かいました。比較的小規模と言われていましたが、
ざっと見て600坪程度とかなり広く、みかんも黄色く熟れ始めてはいました。
若干早いとのことでしたが、園内を散策しつつ、もいだミカンを頂きました。
いずれもかなり甘く、まさに採りたての新鮮さと、酸っぱさのハーモニーもあり
美味しく頂きました。三浦ミカンのおいしさを改めて再認識しました。


     「みかんむ園の みかん」

 散策しつつ紅葉も始まった農園の景色を楽しみながら、園内に設けられたテーブルに
座って、休憩を繰り返して1時間ほど過ごしました。ミカン園の隣に位置するお宅の
庭先に柿がなっているので、その景観や庭に咲くガザニアの写真を撮らせて頂いたり
奥様も交えて楽しく
おしゃべりしました。

     「取り残された柿 木守り柿」

 おしとやかで素敵な印象の奥様にお会いするのは2回目なのに、以前からの友人の
ように
接して頂き、和やかで気持ちいい時間を過ごせました。帰りはご夫婦で摘んで
頂いた野菜や、
枝付きの柿もお土産として持たせて頂き恐縮するばかりでした。


     「頂いた無農薬野菜」

「ミカンはもう少ししたら、もっと甘くなるのでもう一度いらして下さい」と奥様から
おっしゃって頂き、再度の来園を約束しつつお別れして来ました。
こんな秋の日のひと時も良いものと、しみじみと感じました。

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秋薔薇を

2024年10月24日 09時21分28秒 | お出かけ

 10月初旬から今週にかけては季節柄、関りをもつ公立中学校の体育祭や、
地域の行事、
各種ボランティア関連の会議、イベント等々が集中し精神的にも
物理的にも余裕のない日々の連続でした。
 そんな日が続く秋晴れの一日、細君ともどもヴェルニー公園の秋薔薇を
見に行ってきました。
この公園では先週末に「2024秋のローズフェスタ」が
予定され、
かなりの混雑が予測されることから、その前にゆったりと
薔薇見物をしようと繰り出したところです。

     「秋薔薇 ポニカ’82」

 この公園の名前は、このブログでも何度か触れていますが…、
フランス人技師ヴェルニーが建設に貢献した横須賀製鉄所跡地が望める
ことが出来ることから「ヴェルニー公園」と名付けられました。

フランス庭園様式を取り入れた海辺の公園で、園内にはフランス式花壇や
あずま屋、噴水等が設けられ、フランス、アメリカ、日本の
種を中心とした
約1400株の薔薇も植えられています。
 四季咲きの品種の薔薇も多く、春、秋双方の季節に咲く薔薇が眺められ、
海辺のボードウオークで散策も
楽しめる優雅な雰囲気の薔薇園でもあります。


     「ヴェルニー公園の景観 (一部)」

 訪れた日には、秋晴れの下で秋薔薇が既に盛りを過ぎ、終焉に近い状態の
花が大半でしたが…、それでも何輪かは咲き残り、そんな薔薇を
愛おしみつつ
眺め、デジイチスケッチもしてきました。

五月の太陽の下で輝くように咲く、生命力に満ちた薔薇も見ごたえがありますが、
秋の陽ざしをまとい静かにうつむきがちに咲く薔薇も、
風情があって良いものと
改めて感じました。

     「秋薔薇 マダム・サチ」

 特に「マダム・サチ」という白薔薇がありますが、五月に咲いていた花とは
異なり秋薔薇の楚々とした雰囲気は、この花の真の姿かと思って
しまうほど
雅な趣をまとっていました。

また、「楽園」という名を持つオレンジ色の薔薇も、秋薔薇の方がこの名前の
雰囲気を醸し出しているとの印象を持ちました。

     「秋薔薇 楽園」

 折からの喧騒の日々の中、そんな薔薇たちを細君と共に眺めながら、
秋のひと時をのんびりと過ごすことができ、久しぶりに「命の洗濯」にも似た
想いを味わうことができました。

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154))

2024年10月23日 05時49分50秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「未だ咲き残る 酔芙蓉 八重」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「9.葵(あおい)」
 桐壺帝が譲位をして弘徽殿の女御が産んだ皇子が帝(朱雀帝)となると、
 右大臣家が権勢を強めた。譲位に伴って六条御息所の娘が斎宮に定められると、
 源氏に冷遇される六条御息所は娘とともに伊勢へ下向することを考え始める。
 葵祭の日、源氏も行列の供に加わると知り、懐妊中の葵の上は見物に出かける。
 そこで、身分をやつして見物に出ていた六条御息所の車と鉢合わせ、従者たちが
 御息所一行を辱めてしまう。底知れぬ恥辱を受けた六条御息所は病に伏せ、
 夢の中で葵の上に憎しみをぶつける。同じ頃、葵の上には物の怪が取り憑き、
 左大臣家では加持祈祷が繰り返されていた。やがて葵の上は出産するが、生霊に
 とらわれ急逝する。源氏は悲しみにくれるが、喪が明けて二条院に戻ると、
 美しく成長した紫の上と新枕を交わす。
〇はかりなき 千尋の底の 海松(みる)ぶさの 
                    生ひゆくすゑは 我のみぞ見む  光源氏
註)限りなく深い海底に生えている海松のように豊かに成長してゆくあなたの
  黒髪は私だけが見届けよう
〇千尋とも いかでか知らむ 定めなく 満ち干る潮の のどけからぬに   紫の上
註)深い愛情を約束されてもどうして分りましょう落ち着きなく満ちたり
  干いたりする潮のようなあなたですから
(返歌)
☆着飾った 紫の君 眺めては 千尋までもと 祝い言口に
☆姫君は 手近の紙に 書きつけて 初々しくも 満たされる思い
                         浅間山明鏡止水
【解説】
 「葵の巻」は、光源氏の最初の妻である葵の上の登場、六条御息所との対立、
 葵の上の死、さらに美しく成長した紫の上と結ばれる、という重要な出来事が
 見事な展開をもって描かれた巻です。これらは、物語全体の展開にも大きな
 影響を与え、物語に
深みと複雑さを与えています。
 作者が今回取り上げた光源氏から紫の上へ贈った歌は「あなたの将来は、
 私だけが見届けよう」と意訳できます。その歌に対して、紫の上は「深い
 愛情を約束されても、それがどうして分りましょう」とつれなく返歌して
 います。これらを踏まえて、作者の返歌の二首を鑑賞させて頂きました。
 一首目の作者の歌には、自分が手塩にかけて育てた紫の上を、この上なく
 大切に思う気持ちがあふれるばかりに表現された良い返歌と思います。
 さらに、それぞれに想いを乗せて、こんな視点で詠んでみましたが、
 いかがでしょうか。
 【ご参考】
  ★咲き初める花にも似たる紫の 君のゆくすえ吾は守らん
  ★姫君の したためたるやその文の うぶな想いに愛しさも湧く


     「咲き残る 千日紅」

【詞書】「夜長」は秋の季語です。よく秋の夜長と言いますが、俳句では
  季語重なりになります。「夜長」で二首、「銀河」で一首詠みました。
☆あの星を父の星とし酒を酌む 心で父と語りし夜長
☆幾たびも優しく本を読みくれし 亡き母と吾(あ)の夜長よ今も
☆紺碧の空と海との境界線 銀河に続く漁火いくつ
                         みっちっちさん
【解説】
 「夜長」と「銀河」をテーマに三首の歌を詠んで頂きました。いずれも今の
 季節を情感をこめて詠っています。特に一首目について触れたいと思います。
 この歌は、亡くなられたお父様を偲び、深い愛情と切なさ、そして静かな
 語り口が印象的な作品です。
 夜空に輝く星を、亡くなったお父様と重ね合わせていることがわかりますが、
 星は、遠くて手が届かない存在でありながら、同時に永遠の象徴でもあります。
 お酒を飲みながら、故人を偲ぶという行為は、古くから日本で行われてきた弔い
 の方法の一つです。ここでは、亡くなったお父様との間に、お酒を介して心の
 交流が生まれている様子が浮かびます。
 秋の夜長、心の中でお父様と語り合うという、作者のお父様へ寄せる深い
 想いが切々と伝わってきます。
 派手な表現ではない故に、静かで落ち着いた言葉の中に作者の心の動きが
 繊細に描かれています。この静けさゆえに、深い悲しみと温かな愛情が一入
 感じられます。
 三首目の「銀河に続く漁火いくつ」の雄大、かつ宏大な歌いぶりが秀逸です。

【詞書】庭の柿を詠ませて頂きました。
☆待っていた柿が赤々色付くも 熟れた柿から雀群がり
【詞書】衣替えを詠ませて頂きました。
☆十月も中旬なれど未だ猶 衣替えは長シャツ一枚
【詞書】突如の訃報にて
☆釣りバカを見たのは昨日の気がするも 突如の訃報落雷のごと
                         西BOOさん
【解説】
 一首目の歌、ようやく色づき食べごろになった柿に鳥たちが群がり
 ついばむ景観。これは、懐かしい里山の景色ですが、街中でせっかく
 実り楽しみにしていた庭の柿が、鳥たちについばまれてしまうのは
 残念
でもありますね。残念な想いを滲ませながらも、そんな鳥たちを
 許している作者の
優しさも覗く、ほのぼのとした良い歌と思います。
 二首目の歌、今年は、10月中旬を過ぎても夏日が続き、未だ街中に
 タンクトップの方も散見されます。そんな情景をさりげなく詠み、
 異常気象の現れを「衣替えは長シャツ一枚」と表現しています。
 日常を詠いつつ、歴史の一齣を記していく、そんな貴重な歌の
 一首に
なっていくものと考えます。
 三首目の歌は追加で詠んで頂きました。詠まれているように、これは
 「突如の訃報」でしたね。どんな演技の底にも温かさを湛えた偉大な
 俳優であり、
歌手としても活躍された西田敏行さんの訃報は、まさに
 「落雷」
にも似た衝撃でした。死因は虚血性心疾患との公表が
 所属事務所からありました。
改めてご冥福をお祈りしたいと思います。

【詞書】お気に入りの鳩時計が窓から出てこなく、鳴き声もしなく
  なりました。電池を替えれば針は正しく動きます。ふと長い間
  使ってきたので、我が身に寄せて考えてみました。
☆われもまた鳴くを忘れし鳩時計 前頭葉が軋みはじめる
【詞書】文庫本を読みながら楽しいひとときです。
☆大公孫樹のリズム正しき黄落を ひとり聞いてる茶房のパティオ
                         夕庵さん
【解説】
 一首目の歌は、印象的な言葉選びと、現代を生きる私達世代の心に響く
 深い
テーマが込められた作品です。
 上の句の鳩時計は、定時に鳴き、時間を知らせる役割を担いますが、
 この鳩時計は「鳴くを忘れし」と表現されており、もはやその機能を
 十分果たし得ない様子が浮かびます。これは、日々の生活において、
 何かしらの機能不全をおこすかも知れない、ご自身への不安を象徴的に
 表現しています。
 下の句、前頭葉は、人間の思考や判断を司る重要な部位ですが
 「軋みはじめる」という表現は、思考が滞り、物事をスムーズに処理
 できなくなりそうな予感を比喩的に表現しているのかもしれません。
 総じてこの歌は、一見シンプルな言葉で綴られていますが、その中に
 深遠な意味が込められ、現代社会を生きる私達世代の普遍的な悩みを、
 優しい言葉で表現し、心に深く響く警句とも言える詠歌となっています。
 二首目の歌、パティオとは、スペイン語で中庭を意味します。茶房の
 中庭で、大いちょうの落ち葉を眺め、その散るリズムに身を委ねる作者の
 くつろいだ様子が浮かんできます。このようなひと時をもてる作者の
 精神的ゆとりと、豊かさに共感したいと思います。

     「未だ咲く 宗旦むくげ」

【詞書】YouTube短歌: 冨田勲 展覧会の絵 カタコンブ
☆暗闇の洞窟に反響するのは
        大地の怒り
        人の苦しみ
                         自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 展覧会の絵のカタコンブは、ローマのサン・セバスティアーノ・フォーリ・
 レ・ムーラ教会がある場所の地下にある納骨埋葬所で、カタコンベとも
 言うそうです。この習慣がキリスト教世界に伝わり、世界中にあるそうです。
 インディ・ジョーンズの最後の聖戦でも出てきていました。
 シンセサイザーの音を、洞窟内での何かの反響と捉え、何の音だろうか?と
 イメージが湧くまで、聞き続けました。
 下記に、冨田勲氏の曲を貼付しておりますので、御覧戴ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/d00c69d54bf478356644ccdc0b71e5de
【解説】
 「カタコンブ」は、作者の「短歌説明」にもありますように地下墓地の
 ことです。暗く湿った地下空間は、死と再生、神秘といった様々な
 イメージを喚起します。ムソルグスキーのオリジナルの曲では、この
 地下墓地の薄暗い雰囲気が重厚に表現されています。
 冨田勲氏は、このオリジナル曲にインスパイアされ、カタコンブの神秘的で
 荘厳な雰囲気を、電子音で表現しました。冨田勲氏の音楽は、単に曲を
 再現するのではなく、この曲が持つ雰囲気をシンセサイザーで具現化し、
 聴く私達に新たなイメージを喚起させてくれます。
 作者は、この「カタコンブ」という曲を幾たびもイメージが湧くまで聴き、
 この歌を紡いだと説明されています。

 この歌は、冨田勲氏の「カタコンブ」という曲の世界観を、作者の独自の
 視点とイメージで捉え、下の句で「大地の怒り 人の苦しみ」と詠って
 います。「大地の怒り」や「人の苦しみ」といった概念を、暗闇の洞窟と
 いう具体的なイメージと結びつけることで、より深い意味を表現しています。
 さらに、冨田勲氏の音楽から受けたインスピレーションを生と死、喜びと
 悲しみとは…と言った、人間が普遍的に抱く問いに対して、作者は熟考を重ね
 この歌に結実させたと考えます。一首の歌を生み出すに至る作者の苦闘にも
 似た姿勢に、今回も学ばせて頂きました。

【詞書】父の遺した書き付けやらを見ながら、保険やら何やらの処理なう、
  です。その最中に、毎月新聞のチラシに混ざって来るA4ぐらいのぺら
  イチのカレンダーがあるんですが、その10月のが出てきて「あー、
  2日には歯医者さん行くって言ってたなあ…」とか言って見ていたら、
  「茶まつり」の書き込みも…。10月6日の日曜だったんですが、こんな事
  書いてはるわ…なんて…。ってか、くたびれてたり、溜まってた家の
  用事したりしてて、すっかり忘れてました。見に行くとかするつもり
  なんだかどうだか、きちんと宇治の(近所である)行事を書き込んでいる
  あたり、きっちりしてるというか何ていうか…。…高度経済成長期を
  支えたサラリーマンの一人であった生真面目父の名残の一つを目に
  してなんとなくふっ…と笑ったひとときでした。…しかし、その
  “きっちり書き残”してあるから(しかも大量に!役所や保険会社や
  etc.…の封書や書面もたくさん…)ある意味助かりもし、大変でも
  あるんですが…。姉など、「(葬儀はこのように、とか)書き残すより
  ちょっとでも話をしておいて欲しかった~」って言ってました。
  …ある程度同感です。
☆「茶まつり」と亡父の字あるカレンダー
          葬儀の日より3日後の日に
【詞書】本名はダイアンサス‘アウラ’なんだそうです。少し前に、
  ダイアンサススーパーパフェという名前の花を買ったのですが、
  もう一つ色違いとか…と思って、売り場で見たらかわいかったので
  こっちにしました。アイドルが手でハートを作ってポーズしている
  イメージが脳裏をよぎりましたが、まあえーわと買っちゃいました。
  宿根草だそうでそのうち植え付けます。❤
☆「あなたにキュン」こっ恥ずかしい名前やな
            でもかわいい花 母におみやげ
                         ちがやねこさん
【解説】
 一首目の歌は「宇治茶まつり」の事と拝察しますが、今は亡きお父様の
 几帳面な一面を詠って涙を誘います。想いを抑え、事実のみを表現した
 歌の行間に、抑えて余りある哀しみが溢れています。
 高度成長期を文字通り、自らの体を張って駆け抜けてきたビジネスマンの
 一人であったお父様は、家庭に在ってはお母様と共に、作者とお姉様を
 深い愛情をもって育んでくれた方であったと拝察致します。作者のお父様に
 寄せる深い想いを知るほどにその感を深めています。この歌も優れた挽歌の
 一首と考えます。なお、二句目は「亡父の記す」ではいかがでしょうか。
 ちなみに、「宇治茶まつり」は、初めてお茶を日本に伝えた栄西禅師と、
 宇治に茶園を開いた明恵上人、茶道の始祖千利休の三恩人への報恩感謝、
 茶業功労者の遺績を追慕するための歴史ある、ゆかしい行事との事です。
 二首目の歌は、お父様を亡くされ言いしれない哀しみを抱えておられる
 お母様へのエールを込めたカーネーションの鉢を…と詠んだものと拝察
 します。ダイアンサス「あなたにキュン」は、おっしゃる通り「可愛い」
 花ですね。お母様もきっと笑顔を取り戻し元気つけられた事と思います。

☆秋の海 虚空映して藍深く 世情無縁と凪いで静もる
                         ポエット・M
【解説】
 10月27日の投開票に向けて衆院選は終盤となり、さらに熱を帯びています。
 「裏金問題」で政権の信頼が損なわれ、うち続く物価高の中で、実質賃金が
 マイナスになる等の情勢の中。有権者にとっては、その意志を政権に反映
 させる絶好の機会でもあり、一方その見識も問われる選挙となっています。
 そんな「選挙の季節」の喧騒をよそに、秋の海は澄み切った空気の中で
 空の色を映し出しどこまでも蒼く、静かに凪いでいました。そんな世情
 とは無縁な風情を見せる凪海の様子を詠ってみました。静もる海を見つめる
 ことで、喧騒から解放され、心の平穏を得ている自分の立ち位置を改めて
 認識してしまいました。

 
     「未だ咲く 白花曼殊沙華」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(60)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

41.「短歌の章」 ソウルにおける国際会議(2)

   東洋最古の天文台なり 瞻星台
         あめつちのめぐりを静かにはかりぬ

   天文台の底部に配したる水鏡 
         星を映して占ひしとなり

   あめつちのめぐりと人のすぐせをば
          水底に映る星にて はかりぬ

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ
   幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154 ネット歌会)

2024年10月23日 05時15分30秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その154 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「未だ咲く酔芙蓉 一重」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆待っていた柿が赤々色付くも 熟れた柿から雀群がり
                         西BOOさん
★スーパーにはやも並びぬ柿の列 色浅くてはまだ手が出ない 
                         夕庵さん

☆釣りバカを見たのは昨日の気がするも 突如の訃報落雷のごと
                         西BOOさん
★スーさんが淋しかろうとハマちゃんは 急いで逝ったか まだまだ早い
                         夕庵さん

☆われもまた鳴くを忘れし鳩時計 前頭葉が軋みはじめる
                         夕庵さん
★何度でも電池替へやう 新たなる前頭葉よ しやつきり動け
                         みっちっちさん
★毎日の散歩するのも新しき電池と 思(も)いて拾いに出よう
                         夕庵さん
★電池替へ気合ひ一発 前頭葉 今ぞ返歌をひねり出さむと
                         みっちっちさん

     「未だ咲く 白花曼殊沙華」

☆あの星を父の星とし酒を酌む 心で父と語りし 夜長
                         みっちっちさん
★ほうき星に魔女跨がるを探せども 無念今夜は見つけられずに
                         夕庵さん
★渡りゆくスーパームーンよ 魔女が乗る ほうき星へと夜空を照らせ
                         みっちっちさん
★夜の更けに窓より空を見上げては 天体の神秘に言葉よ 光れ  
                         夕庵さん
★十月の夜の窓辺に君と飲む ミントティへとうつる星くず
                         みっちっちさん
★ぞろぞろとおしゃべりたちが溢れだす 空っぽになったあなたのカップ 
                         夕庵さん
★おしゃべりに夢中の窓辺 流星よ 明日は晴れるや 旅待つ夜長
                         みっちっちさん
★降り立てば知らぬ街なり一人旅 海へとつづく道は開けり
                         夕庵さん
★知らぬ道歩ひてみたき 秋雲に 続く小径を 海見ゆるまで
                         みっちっちさん
★通学路もすっかり変わり右往左往 たどり着けるや懐かし母校
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「咲き残る 芙蓉」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153)

2024年10月16日 05時11分08秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「秋薔薇 楽園」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「8.花宴(はなのえん)」
 源氏二十歳の春、南殿で桜の宴が催された。源氏は帝に所望され、詩や舞を
 披露し賞賛される。そんな源氏に対して、弘徽殿の女御は憎しみを募らせる。
 宴が終わり、酔い心地で源氏が弘徽殿に忍び込むと、「朧月夜に似るものは
 なき」と口ずさみながら来る女(朧月夜)がいた。源氏が袖をとらえると
 女は最初おびえるが、源氏と知って心を許す。翌朝ふたりは名前も交わさぬ
 まま扇だけを取り交わして別れた。その後、源氏は女が政敵である右大臣の娘、
 弘徽殿の女御の妹と知り、再会の困難を思う。朧月夜は東宮に輿入れする
 予定だったが、源氏との逢瀬に思いふけていた。そんな折、右大臣家の宴に
 招かれた源氏は酔いすぎた風を装い、姫君たちの居室に向かった。当て
 推量で先日の扇の持ち主を問いかけると、返した声はまさにその人自身の
 ものであった。
〇梓弓 いるさの山に 惑ふかな ほの見し月の 影や見ゆると  光源氏
註)梓弓を射るという、その「いる」ではなく、いるさの山に私は迷い込んで
  しまったことです。あの夜かすかに見た有明の月の姿が見えるかと思って
  なぜでしょうか 
〇心いる 方ならませば 弓張の 月なき空に 迷はましやは   朧月夜
註)もし本当に心惹かれている方なら、弓張り月のない闇夜の空でも迷ったり
  するはずはありません
(返歌)
☆弓の集い扇片手に酔ったふり ほのかに逢った人探し当て
☆弘徽殿の月夜に聞いた同じ声 源氏の心動悸止まらず
                         浅間山明鏡止水
【解説】
 王朝の雅を、いかんなく表現した「花宴」の巻。このヒロインは、作者の
 説明にもありますように「朧月夜」で、朱雀天皇の婚約者でもありました。
 光源氏とはロミオとジュリエットの関係ながら愛し合う中となり、やがて、
 光源氏の須磨流謫への引き金にもなっていきます。
 この二人が歌のやり取りをした場面では、光源氏のみならず、朧月夜も
 かなりお酒に酔っていたと描かれています。源氏物語は、このシーンにより、
 奔放でコケティッシュな朧月夜の危険な魅力を最大限に表現されていたと
 考えます。こんな背景も踏まえて作者の返歌を鑑賞させて頂きました。
 二首とも、光源氏の立場からの冷静な詠歌になっていますが、二首目は
 月夜の下で聞いた忘れ得ぬ声の主を前に、高鳴る胸のときめきを詠った
 想いの滲む良い歌と思います。さらに光源氏になり切って詠ってみましたが
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★おぼろ夜に 契りて扇交わあい 秘むるに難き君のおもかげ

【詞書】秋の風景、
  秋の雲、秋の風、稲雀で三首詠みました。
☆秋の雲ふはり夢とも現(うつつ)とも いつしかゆらりロッキングチェア
☆馴染みなる書肆(しょし)の閉店 秋風に貼り紙揺れて 暮れゆく家路
☆遥かなる千枚田へと 稲雀 夕日の光撒き散らすごと
                         みっちっちさん
【解説】
 深まり行く秋を「雲」「風」「稲雀」に焦点を当て、情趣豊かに三首
 詠んで頂きました。
 特に、三首目の歌は、視覚的な美しさと想いの深さを兼ね備えています。
 広がる千枚田の風景と、そこに飛び交う
稲雀の姿を夕陽が美しく照らし
 出す様子を描いています。

 「夕日の光撒き散らすごと」の下の句は、 稲雀によって夕日の光が
 まるで撒き散らされるように広がる情景が、巧みに表現されており、
 視覚的な
イメージが鮮明に浮かびます。
 総じて、自然の美しさと、夕陽が煌めくその瞬間の儚さが表現され
 作者の
感受性の豊かさも伝わってきます。
 一首目の歌、「雲ふはり」が「ロッキングチェア」に帰結していく詠い
 ぶりが
いいですね。

【詞書】赤い羽根募金で詠ませて頂きました。
☆回覧板開くと中に赤い羽根 僅かながらも一つを胸に
【詞書】秋ナスを詠ませて頂きました。
☆秋ナスをご近所さんよりおすそわけ オリーブオイルでサッと炒める
                         西BOOさん
【解説】
 一首目の歌、10月1日から「赤い羽根共同募金運動」が始まりましたが、
 この「運動」は今年で78回目を迎えているとのことです。
 私達の自治会でも少なからぬ議論がありましたが、担当役員を中心に
 例年通り各家庭へ募金のお願いに回っています。周辺の町内会等から、
 作者のように温かな想いと共に協力して頂ける方は、年々少なく
 なっているとの声も聞こえてきます。歌から「赤い羽根」を胸に挿し、
 さっそうと歩く作者の姿が浮かんできます。「一つを胸に」の表現が
 効いていていいですね。
 二首目の歌、おすそ分けで頂いた秋ナスを「サッと炒める」作者の
 姿に微笑ましさを感じます。写真がプロ級なのは理解していましたが、
 お料理も中々なものと感じます。私は、大量に油を吸ってしまうナス
 料理は苦手な料理の一つです。

     「未だ咲く 彼岸花」

【詞書】彼岸花三首です。
☆地を這いて雑草を引く媼見ゆ 畦に秋告ぐ彼岸花さく
☆恩讐の彼方に咲くや彼岸花 哀れ色褪せ地に伏せてをり
☆厭われし曼珠沙華とてわが町に 朱の焔たち賑やかなりし
                         夕庵さん
【解説】
 彼岸花にまつわる「物語」も含めて三首詠んで頂きました。
 三首目の歌に触れたいと思います。この歌は、曼珠沙華を題材に、
 作者の「わが町」への愛着と、その中に咲く曼珠沙華に対する
 複雑な想いが表現されていると感じます。この花は、彼岸花とも
 呼ばれ、その妖艶な美しさから、不吉な花と捉えられることも
 あります。しかし、作者はあえて「厭われし」という言葉を用いる
 ことで、曼珠沙華に対する「負のイメージ」も意識していることを
 示しています。
 曼珠沙華は、負のイメージを持つ一方で、作者にとっては「わが町」
 の「賑やかな」風景の一部であり、愛着を感じる対象でもあることを
 強調しています。この相反する感情を詠むことで歌の深みが増して
 いると感じます。
 なお、曼珠沙華の別名・地方名・方言は数百から1000種以上あると
 言われています。前回のサロンでも触れましたが「相思花」との
 ちっびり素敵な名称もあります。

☆ハナミズキ
   赤き蕾に 光さし
  頬に優しい
     風心地よし
☆まだ緑
  モミジの葉にも
    紅にじむ
  クロのつま先
    絡む枯れ葉よ
                         クロママさん
【解説】
 花水木と、紅の滲むもみじを対象に、季節の移ろいを色濃く感じさせる
 二首の歌を詠んで頂きました。
 一首目の「赤き蕾に」の「蕾」は今の季節ですので、たぶん花水木の
 「実」だと思います。
 今の季節、その実は他の木々に先駆けて葉と共に赤く染まり素敵な
 景観を見せています。そんな内容も踏まえて少し手直しも含めて、
 詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】 
 ★先駆けてもみじに染まる花水木
         葉も実もともに 夕陽に燃えて
 二首目の歌、未だ緑の葉を残すもみじですが、微かに紅を滲ませて
 いる繊細な景観を味わい深く詠まれています。そんな季節にも
 枯れ葉は散り愛犬クロちゃんのつま先に絡み付いてくる。その仕草すら
 可愛らしいと見つめる作者の、ほのぼのとした姿が歌から浮かんできます。


     「未だ咲く コスモス」

【詞書】連休挟んだしなあ…。初七日済むまでバタバタでしたし、
  疲れてもいたし…。でも、頑張ってクリアせんとあきませんね…。
☆父の死後 手続きの嵐の中に居て
       14日以内が多くてしんどい…
                         ちがやねこさん
【解説】
 お父様のご冥福を静かに祈るいとまさえない、手続等怒涛の日々にある
 作者に、想いだけでも寄り添いたいと思います。
 今の作者の想いが、そのまま表現された「手続きの嵐の中に居て」と
 「しんどい…」状態を受止めつつ、なお、「お心を強く」と祈らずには
 いられません。全ての手続きが終わったら思い切り、ご自分の想いを
 解放されたらと思います。何もお手伝い出来ない私達ですが、作者の
 大変さには寄り添いたいと思います。合掌。

【詞書】YouTube短歌:十三夜と彗星三首 冨田勲 ドビッシー 
  月の光(タモリ倶楽部付)
☆十三夜は静かすぎる
   誰も観てないのだろうか?

      ・・・透き通る
☆彗星はその涙のカケラを振り蒔き輝き
               又遠くへ旅 
☆今、私は虚空の何処を旅しているの?
    輝きを増すまで
                         自閑さん
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 10月15日は、十三夜、後の月。十五夜に比べ、社会の認知度は低いです。
 あまりに低いので、昔、京都の神泉と言う所へ行って月を眺めました。
 もちろん誰も居なかった。
 YouTubeを見ていたら、タモリ倶楽部に、冨田勲氏と松武秀樹氏が出演し、
 初期のシンセサイザー「MOOGⅢーC」、別名「箪笥」を演奏する様子が
 出ていました。アナログ・シンセサイザーらしく、毎回セッティングが
 同じでも、出る音が違っていたとのこと。
 このシンセサイザーを運ぶと、あちらこちら痛むとの事で、箪笥の
 補強器具を付けたので、愛称として「箪笥」としたそうです。
 当時の最新鋭も、音も、扱いもアナログだった。
 十五日は、彗星も見られるかも?私が彗星を見たのは、約50年前。
 明日以降晴れる日を望んでいます。次、50年後は、墓の中だから。
 今、太陽の活動も活発なので、オーロラが日本でも見られるとか。
 まあ見られる場所も、いつ起こるかも不明なので、映像ニュースで
 見ようと思っています。
 「振り蒔き輝き」と~き~きは、無理筋かな?
 下記URLに、冨田勲氏の月の光と、タモリ倶楽部出演時のYouTubeを
 貼付しているので、御覧下さい。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/4bbf8fc643400cc12aaeb437e38e8895

【解説】
 今、十三夜の月を眺めてきました。十五夜には少し及びませんが神々しい
 までの輝きを夜空に放っていました。なお、残念ながら流星は確認でき
 ませんでした。その後、作者の紹介により「冨田勲 ドビッシー 月の光」
 の
YouTubeを視聴させて頂きました。
 「月の光」の楽曲は、皆さんご存知のようにフランスの印象派の作曲家
 クロード・ドビュッシーが作曲したピアノ曲です。静かで神秘的な旋律が
 特徴で、世界中で愛されている名曲の一つです。
 冨田勲氏は、この「月の光」を自身のアルバム『月の光~ドビュッシーに
 よるメルヘンの世界』で取り上げ、シンセサイザーを用いて独自の解釈を
 加えたことで大きな話題となりました。
 冨田勲氏は、オリジナルのピアノの音色を忠実に再現するのではなく、
 シンセサイザーならではの広がりや深みのある音色を用いて、「月の光」
 の世界を新たな視点から表現し、オリジナルの静謐な雰囲気を残しつつ、
 宇宙的な広がりを感じさせる壮大なスケール感を持った作品に仕上げて
 います。
 この曲と、流星をテーマに、作者には三首の歌を詠んで頂きました。
 一首目の歌は、十三夜の月の認知度の低さを「静かすぎる」と詠い、
 同時に見えると言われる流星を「涙のカケラを振り蒔き輝き」と
 二首目で詠っています。「~き~き」は私は無理筋と思っていませんし、
 宏大な宇宙空間の広がりと、韻律を感じさせてくれます。
 三首目は「十三夜の月」と「流星」の狭間に揺れる自らを「虚空の何処を
 旅しているの」と詠い、居場所を確認していると解釈させて頂きました。
 なお、幾度も楽曲を聴きイメージを形づくる作者の、修行僧にも似た
 営みの結果紡ぎ出された短歌を、衿を正して鑑賞させて頂きました。

☆花と葉の互いを想う曼殊沙華 とき隔てたる さだめも超えて 
                         ポエット・M
【解説】
 曼殊沙華の開花が遅れていることは前回も触れましたが、未だ咲き残り
 紅の蕊を伸ばしています。無駄な装飾を削ぎ落し、すっきりとした蕊を
 空に向け開くこの花の潔さを見事と感じてしまいます。
 この花は、咲いている時期には葉がなく、葉が出ている時期には花が
 ないため「葉は花を想い、花は葉を想う」ことから「相思花」と呼ばれる
 ことを前回も記させて頂きました。

 こんな葉と花の宿命を、少し大げさですが、改めて詠ってみました。

 
     「未だ咲く 曼殊沙華」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(59)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

40.「短歌の章」 ソウルにおける国際会議(1)

   百九ヶ国より学者来りておのもおのも 
         腹ふくるることなきまでに言あぐ

   日本経済の基調報告成し終へて 
         会場を出づればすでに日暮れぬ

   古に栄えし新羅の跡止む
          佛国寺に秋の陽は静かなり

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153 ネット歌会)

2024年10月16日 04時33分04秒 | 短歌

第二部「口語短歌・水曜サロンの会」(その153 ネット歌会)
            短歌の返歌を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 返歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「ネット歌会」について
      「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式では
      なく、「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」する
      という自然発生的な歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響く
      ものがありましたら、それへの返歌として大いに詠んで頂き第二部の
      コメント欄に記入して頂ければ幸いです。


     「薔薇 デンティべス」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆秋ナスをご近所さんよりおすそ分け オリーブオイルでサッと炒める
                         西BOOさん
★秋ナスは遠慮しますと冷え性に 悪さするから怖い腰痛 
                         夕庵さん
★腰痛に身体(からだ)全体悪さする 妻が罹りし繊維筋痛症 
                         西BOOさん
★痛みとは気の萎えること甚だし 寄り添い祈る絶対完治を 
                         夕庵さん

☆回覧板開くと中に赤い羽根 僅かながらも一つを胸に
                         西BOOさん
★隣組とは名ばかりの回覧板 お別れできずに旅立ちし人
                         夕庵さん

☆馴染みなる書肆の閉店 秋風に貼り紙揺れて 暮れゆく家路
                         みっちっちさん
★立ち読みも見て見ぬふりの小父さんの 眼鏡の横顔もう見られない
                         夕庵さん
★立ち読みの後ろから来る足音は 秋去る音ぞ背筋ぞくりと
                         みっちっちさん
★後ろから呼ばれた声で振りむけど 萩の花揺る風 通り過ぐ 
                         夕庵さん
★後ろから呼ぶ君の声掠れしは 息切れるほど我の元へと
                         みっちっちさん

☆秋の雲ふはり夢とも現(うつつ)とも いつしかゆらりロッキングチェア
                         みっちっちさん
★夢でいい ロッキングチェアでふわふわの 子犬を膝にまどろみたいね
                         夕庵さん
★ふはふはの綿菓子君と食べたるは 祭太鼓の響きし夜長
                         みっちっちさん
★テレビ消し秋の夜長に反歌詠む 明日は活字に披露されむや 
                         夕庵さん

     「咲き初める 秋明菊」

☆遙かなる千枚田へと 稲雀 夕日の光撒き散らすごと 
                         みっちっちさん
★能登の海千枚田をも飲み込んで 今日は遙かな白山見ゆる
                         夕庵さん
★能登の海ちさき少女を呑み込みて 家族の元へ返さむと波
                         みっちっちさん
★列島に 母なる海の恩恵も 突然牙むき試練を与う
                         夕庵さん
★悲しきは水害犠牲の少女着し ジャージの名にて身元判明
                         みっちっちさん
★目に刺さる制服の娘(こ)のお下げ髪 父の無念は海より深し
                         夕庵さん
★紺碧の海よ 無垢なるたましひの悲しき果てを慰め給へ
                         みっちっちさん
★秋の陽を受けてたゆたうさざ波も 奪いし命恐れつつ見る
                         夕庵さん

☆暑き秋 蘂燃やすがに曼珠沙華 「相思花」の名を深く思えり
                         ポエット・M
★変わらない想いを告げる曼珠沙華 天界に居る君のもとまで
                         夕庵さん
★極楽の浄土彩る曼珠沙華 その花苑に君も憩うや 
                         ポエット・M
★天上に咲くとう白き曼珠沙華 色褪せるなく護り給えよ
                         夕庵さん
★天上を白く清める曼珠沙華 眺めて吾を偲びくれるや
                         ポエット・M
★曼珠沙華 彼岸と此岸を結ぶやに 朝露のなか両手ひろげて
                         夕庵さん
★朝露を まといてなおも曼珠沙華 天界さして蕊伸ばしいる
                         ポエット・M
★赤き蘂 崩れるほどに恋しくて この命さえ狂おしくなる
                         夕庵さん
★この命かけて悔いなき恋もなく 夕凪に聴く最終楽章
                         ポエット・M
★いま少し命永らえ彼岸花 巡りの季節(とき)に会いたきものよ
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


     「風に揺れる コスモス」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) 「水曜サロン」に掲載された短歌への返歌を「第二部」のコメント欄へ
    投稿願います。出詠頂いた返歌は、そのまま掲載します。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (5) 掲載順序は原則、本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (6) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
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ノーベル平和賞

2024年10月13日 14時47分18秒 | 日々の歩み

 2024年のノーベル平和賞を、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が
受賞しました。

     「未だ咲く 芙蓉」

 ノルウェーのノーベル賞委員会は10月11日、日本被団協に今年のノーベル
平和賞を授与すると発表しました。ノーベル委員会は受賞理由について、
 「核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使用
  されてはならないことを証言によって示してきたと説明しました。
  その上で、被団協の活動について、「日本被団協は、数千件に
  及ぶ証言を収集し、決議や公開アピールを発表し、毎年代表団を
  国連やさまざまな平和会議に派遣し、核軍縮の緊急性を世界に訴え
  続けてきました。
  いつの日か、被爆者は歴史の証人ではなくなるでしょう。しかし、
  記憶を留めるという強い文化と継続的な取り組みにより、日本の若い
  世代は被爆者の経験とメッセージを継承しています。彼らは世界中の
  人々を鼓舞し、教育しています。このようにして、人類の平和な未来の
  前提条件である核兵器のタブーを維持する手助けをしているのです」
と評価しました。

     「秋の陽ざしの中で未だ咲く 夾竹桃」

 この受賞を聞き、このブログで前にも触れましたが・・・。
「夾竹桃は美しいけれど、たまらなく嫌いな花。なぜって、生きることを
強いるから・・・」と、 遥かな青春の日の友の呟きが甦ります。
長崎での体内被曝と言う重い十字架を背負いながらも、「はんなり」の趣き
そのままの楚々とした雰囲気をまとう女性であったその友。重い血液の病との
死闘の果てに、夾竹桃の咲く葉月のつごもりに身罷りました。
炎暑のもとで敢然と咲く夾竹桃は、つらい生を貫こうとする者へ、無言の
励ましを送っているようにも見えますが、時にはむごい鞭のようなしなやかさを
もって、生への希求を主張しているかに感じます。

 夾竹桃は、人類史上初めてもたらされた一発の原子爆弾によって焼野原と
なった広島で、「75年間は草木も生えない」と言われながらも、いち早く
咲いた花でもあります。それは、瀕死の傷を負い、生き残った広島市民に
復興への希望と勇気を与えてくれたと言われており、市の花にもなっています。
 重い血液の病を背負いながらも、「自分と同じ辛いめに合う者をこれ以上
作ってはならない。そして、ナガサキに続く原爆の被害を三度起こしては
ならない」との強い想いと祈りを秘めた、行動するキリスト者でもあった友。

 その時代、既にニューロコンピュータ(人工知能・AI)の新進の研究者の
一人で、その研究に打ち込む傍ら、核廃絶の運動に真摯に取り組んでいました。
 襲い来る激痛と、不安とによる死よりも惨い生をひたすらに、ひたむきに
生きた友。「十万を越える人々の死の代償として、この世に生を受けた私は、
その人達の分も一分でも長く生きなければ・・・。生きることが辛いなんて
言ったら、 天国へ行ったあの人達に申し訳ないわよね」との言葉と共に…。

 また、「怒りを祈りへ」と、祈ることの深淵を血気盛んな私に教え諭した
方でもありました。 青春の真っ只中、研究室の片隅で出会ったその友の印象は
あまりに鮮明で、その友によって教えられ、切り開かれた世界は未だ私の中に
鮮明な映像として残っています。その友が取り組んだ「ニューロコンピュータ」の
研究課題は今、生成AIとしてコンピュータ等ICTの新たな革新的な扉を開けようと
しています。さらに、その後の研究で今回のノーベル賞の対象にもなっています。

     「白い 百日紅」

 この友は、赤と白の夾竹桃の咲き乱れる、夏の日に短い生涯を閉じましたが、
この友の想いと仲間たちの取り組みは、今回のノーベル平和賞ということで一つの
結実を見ました。
これは天国の友にも届いていることと思いますが、今の世界の現状をみると決して
楽観は出来ません。この受賞を新たな出発点として文字通り「核廃絶」に向けての
取組みを加速し、その手前の「核兵器禁止条約」の締結を、私達の国でも現実の
ものとしていく必要があると思っています。

 この受賞は、核廃絶の運動に取り組みながら、その道半ばで逝った多くの方達、
そして生きたくても生きられなかった多くの方の想いと祈りも込められた賞で
あったと思っています。先ずは、手向けの花の一つとして「受賞の知らせ」を
天国の友に届けたいと思います。即興の一首と共に・・・。
  ☆祈りさえ無力に思える日々を経て 君が想いの結実を見る

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第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その152)

2024年10月09日 05時27分32秒 | 短歌

第一部「口語短歌・水曜サロンの会」(その152) 短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。
 ☆☆☆ 「水曜サロン」は以下の通り第一部、第二部構成に区分して運営致し
     ていますので、それぞれに詠歌、返歌を出詠願います。
     第一部 「口語短歌・水曜サロンの会」:従来通り三首まで出詠願います。
     第二部 「ネット短歌」       :返歌専用です。
 
 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「風に揺れる コスモス」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

☆机(き)にむかいじっと動かぬ吾の背を
           離れて見つむわが眼(まなこ)あり
☆雑踏に目を泳がせて待つ人を少しはなれて見つめてをりぬ
☆虫の声すだく夕べはうら寂し 手足の先より冷えのぼりくる
                         夕庵さん
【解説】
 「わが眼」「待つ人」「すだく虫の声」をテーマに三首の歌を作者の
 感性を交えて、味わい深く詠んで頂きました。
 特に、三首目の歌は、秋の夕べの情景とその中で感じる寂しさや冷え
 込みを見事に表現しています。
 「虫の声すだく」という初句は、秋の夜長の静けさの中に虫の音が
 響き渡る様子を、聴覚的にも鮮やかに描き出しています。
 なお、「夕べはうら寂し」と詠むことで、虫の音さえも寂しさを
 際立たせ、秋の夜長の寂寥感を深めています。
 さらに、下の句の「手足の先より冷えのぼりくる」という表現は、
 体の末端から徐々に冷えていく感覚を、如実に伝え、視覚だけで
 なく、触覚にも訴えかけることで、より立体的で鮮やかな情景が
 浮かび上がってきます。これら秋の夕暮れの情景描写を通して、
 作者の寂寥感も伝わってきますが、それを楽しむゆとりと懐の深さも
 同時に感じられます。

【短歌説明】浅間山明鏡止水さんご自身の説明です。
 源氏物語巻名歌は「源氏物語に登場する個性豊かな15~20人の女性たち」
 を中心に返歌を楽しみたいと思っています。主に光源氏と女性たちの
 贈答短歌が中心です。今週は源氏物語巻名歌から2首提出しますので
 ご指導よろしくお願いします。
 巻名歌は過去分と重複するところもありますが、返歌自体は新規で
 作成しています。私は再度研究しますので、返歌のみのご指導で簡潔に
 願います。
「7.紅葉賀(もみじが)」
 朱雀院への行幸に先立ち、身重の藤壺に気遣って宮中で試楽が催された。
 源氏は頭の中将と青海波を舞い激賞されるが、藤壺は言葉少なに褒めた
 だけだった。出産のため三条宮に退出した藤壺は、さらに源氏を遠ざける。
 源氏の思いは藤壺に似る紫の上に向けられていく。このため葵の上との
 仲はいっそう遠くなった。藤壺が出産をした。源氏の生き写しの皇子を
 前にして、藤壺は恐れおののくが、事実を知らない帝は皇子の誕生を
 手放しで喜んだ。そのころ源氏は源典侍という好き者の老女と関係を
 持った。それを知った頭の中将も源典侍に通う人となる。ふたりは
 老女をだしにしてふざけあった。
〇そよそへつつ見るに心は なぐさまで 露けさまさる撫子の花 光源氏
註)なでし子の花を見るにつけ、愛しい御子と結びついてしまい、
  心は晴れるどころかむしろ涙が溢れてますます湿っぽくなって
  しまうことです

〇袖濡るる露のゆかりと思ふにも なほ疎まれぬ大和撫子    藤壺
註)涙で袖をぬらしている人の縁だと思うにつけても、やはり疎ましく
  思われることもあります。この大和撫子は
(返歌)
☆可愛らしく お生まれになって欲しいのも どうにもならない二人の仲は
☆光る君 返事届くも 嬉しさに 心が躍り 涙を流す
                         浅間山明鏡止水さん 
【解説】
 今回の歌は、「紅葉賀」の在りし日の光源氏と藤壺との贈答歌です。
 「苦悩にかこつけて見ていますが、心は慰められず涙があふれます、
 撫子の花よ」と光源氏が詠んでいますが、ここで撫子は若宮で、自分と
 藤壺の不義によって生まれた子でもあります。決して口外できぬ恐るべき
 罪業、源氏はこの苦悶を慰めようと共犯者たる藤壺に贈った歌です。
 それに対して藤壺は「袖濡るる 露のゆかりと・・・」の歌を返しました。
 「密通で産まれた子と思うにつけ、やはり疎ましく思われる撫子の
  ようなわが子よ」。しかし、下の句は「それでもやはり疎むことは
  できないわが子よ」という意味にもとれ、藤壺はどちらの想いにも
 揺れ
動いて苦悩していたと考えてしまいます。
 雅な振る舞いしか見せぬ高貴な人々も、心の内では己の過去の種まきで、
 もがき苦しんでいる。そのような内面の葛藤渦巻く描写が多いのも、
 「源氏物語」の特徴の一つであり、魅力とも考えます。
 これらを踏まえて作者の二首の返歌を鑑賞させて頂きました。 
 一首目は、下の句で「どうにもならない二人の仲は」と、一見突き放して
 詠っているように見えますが、二人に寄り添う優しさが滲んでいます。
 二首目は、中々返歌がない藤壺から届いた返歌に、小躍りする光源氏の
 様子を詠んでいます。藤壺の苦悩と葛藤への想いが意識的に避けられて
 いると理解しました。あえて「苦悶」も詠みこんでみましたが・・・。
【ご参考】
  ★耀ける撫子いだく君の頬 苦悶にじむも艶もあふるる

【詞書】能登の災害で詠ませて頂きました。
☆能登で家流され娘が見つからぬ 時も無情に流れゆきけり
【詞書】10月の真夏日を詠ませて頂きました。
☆10月に気温は8月下旬並み 神は確かに憤慨している
【詞書】能登の災害で詠ませて頂きました。
☆僅かでも赤十字社に義援金 能登よ復興諦めないで
                         西BOOさん
【解説】
 今回は、追加も含めて「能登豪雨」「10月の真夏日」「義援金」の
 今日的なテーマで三首詠んで頂きました。
 一首目の歌、福井県沖で30日に発見された女性の遺体について、DNA
 鑑定の結果、能登豪雨で行方不明となっていた石川県輪島市在住の
 喜三翼音さん(14)であることが報道されています。詠まれている
 ように、ご家族には発見されるまで「 時も無情に流れゆきけり」の
 日々であったことと思います。このように被害者の方に寄り添った
 詠歌は、少なからぬ励ましになっていると感じます。
 二首目の歌、10月は神無月とも呼ばれていますが、出雲に集まった
 神様たちも、この暑さに詠まれているように「憤慨」しているかも
 知れませんね。ユーモアも滲む辛口の良い歌と感じます。
 三首目の歌、私達も自らができる範囲で、復興支援をとの想いで諸々の
 チャネルで義援金やボランティアを重ねてきましたが、詠われている
 ように「復興諦めないで」の想いを届けることも大切なことと思います。
 能登はもとより、福島、熊本も含めて、未だ復興途上にある人々の状況に
 想いをめぐらす事の大切さを、改めてかみしめています。


     「揚羽蝶と紅の曼殊沙華」

【詞書】銀河、銀漢で二首、押入れに見つけたもので一首詠みましたので
  出詠します。
☆果てしなく続く円周率のごと 銀河に続く宇宙を眺む
☆大の字に寝て銀漢を見上ぐれば 沈みゆくやに ちさき我なり
☆押入れの奥に見つけし小箱には 返せぬままの鉛筆と恋
                         みっちっちさん
【解説】
 「銀河」「銀漢」「小箱」をテーマに、独創的な表現を交えて三首の歌を
 詠んで頂きました。
 一首目の歌は、宇宙の広大さと神秘を、数学の概念である「円周率」と
 結びつけ、独創的で新鮮な表現となっています。
 円周率は理系の人間にとって興味深いテーマの一つですが、この数字は
 無限に続く小数であり、その規則性は未だ見つかっていません。
 「果てしなく続く円周率」と「銀河に続く宇宙」を並置することで、
 無限に広がる宇宙と、それを表すための円周率を結びつけています。
 この対比は、宇宙の神秘をより深く感じさせ、想像力を刺激する表現と
 なっています。なお、「宇宙を眺む」という行為は、視覚的なイメージ
 を喚起し、宇宙の広大さをさらに実感させてくれます。
 二首目の歌の「銀漢」は、「銀河」と共に「天の川」を指しますが、
 銀河はアンドロメダ銀河など、宇宙に無数に存在する他の銀河も含めて
 指し、現代ではより学術的な言葉としても使われています。
 一方「銀漢」は、天の川をより美しく、幻想的なイメージで表現する
 詩歌や文学作品によく見られます。これらを使い分ける感性も大切と
 感じます。

【詞書】YouTube短歌:Jesu, Joy of Man's Desiring
☆私は今、神の言葉を聞いて生かされている
  この荒野にも
【短歌説明】自閑さんご自身の説明です。
 多分、誰でも一度は聴いた事の有る、ヨハン・セバスチャン・
 バッハの1723年に作曲した教会カンタータ『心と口と行いと生活で』
 (BWV147)の終曲のコラール「イエスは変わらざるわが喜び」
 (Jesus bleibet meine Freude)の英語からの訳「主よ、人の望みの
 喜びよ」を、聴いて短歌にしました。
 キリスト教的な短歌にしか出来ませんでした。バッハの教会
 カンタータの名曲だから当たり前ですが。😃
 「荒野でも」と迷ったのですが、何度も読み上げて「にも」としました。
 以下URLに、曲を2つ貼付していますので、お聴き戴ければ幸いです。
 映像なら、下の動画かな?
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/10f91f2927c1fd79c71c2040def5093a
                         自閑さん
【解説】
 作者の「短歌説明」にも記されていますが、バッハの作品の中でも
 特に人気の高いコラール「主よ、人の望みの喜びよ(Jesu, Joy of
  Man's Desiring)」は、その美しい旋律と深遠な精神性から、多くの
 人々に愛されてきました。結婚式の入場曲や退場曲としても人気の
 ある曲でもあります。
 「私は今、神の言葉を聞いて生かされている」の上の句は、深い感謝と
 敬虔な気持ちを感じさせ、バッハの音楽が持つ宗教的な深みと共鳴して
 いると感じます。また、「この荒野にも」の結句は、困難な状況や
 孤独感をも表現しており、その中で神の言葉に「生かされて」救われる
 という対比が印象的です。さらに、荒野という言葉が持つ広がりと
 孤独感が、歌全体に深みを与えていると考えます。
 バッハのコラールの曲を聴き、この歌に結実し表現し切る作者の心意気。
 その作歌における
力量の高さに、今回も学ばせて頂きました。

【詞書】クロもシニア犬に突入しながら、私達との日々を一緒に
  楽しんでいます。
☆彼岸花
    恋うる我が身は
  母を超え
    命貰えし
      幸多き日々
☆軽やかに
   クロの足音
  揺れる風
    彼岸花咲く
      朝ン歩の路
                         クロママさん
【解説】
 一首目の歌は、お彼岸に生まれた作者の深い想いの込められた詠歌と
 感じました。お母様が命がけで作者をこの世に届けてくれた物語は、
 涙なしには伺えません。その事実は伏せられ30歳を過ぎてから知ら
 されたとのこと。作者はそれだけお父様を始め多くの親族の方に
 愛され、見守られ大切に育てられた証でもあると感じます。
 「命貰えし 幸多き日々」は、作者の今の実感であり亡きお母様への
 深い想いと、感謝の思いが込められています。
 二首目の歌。愛犬クロちゃんと共に歩んだ日々は、作者ご夫妻に
 とってもかけがいのない日々であったことと思います。
 クロちゃんはシニア犬になりながらも、愛らしさには変わりなく、
 お二人に楽しさと、喜びをもたらしてくれる大切な存在になって
 いると考えます。
 そんなクロちゃんとの想いの交流が滲んだ歌には「クロちゃん愛」が
 溢れています。上の句を少し整理してみましたが・・・、
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★軽やかな
    クロの足音
   響く径
     彼岸花揺れる
        風の朝ン歩

     「風に揺れる 曼殊沙華」

【詞書】10月1日の午後6時40分ごろ、9月20日から入院していた父が
  亡くなりました。93歳でした。(医師による死亡宣告時刻は午後7時20分で、
  こっちが
公式の死亡時刻になるようです)
  私はこの日の2時から3時ぐらいまで様子を見に行ってましたが、
  明日まで持つかどうだか…みたいな感じだったので、夕方6時半過ぎに
  心肺停止したり動いたり、という電話があった時も「ああ、とうとうか…」
  という心情でした。
  姉にすぐ電話し、迎えに来てもらい(運転は義兄)、病院に向かい、急いで
  病室に入りましたが、父の息はもうありませんでした。私物の片付け、
  医師の死亡診断、いわゆる「エンゼルケア」(事前に用意した上下の下着、
  薄いブルーのワイシャツ、グレーのズボンと靴下は茶系…を着せて
  もらって髪を整え、髭も剃ってもらって…きれいにしてもらってました。
  看護師さんに「きれいなお顔ですね」って言われたのが、なんと言うか…
  何となく嬉しかったです)、病院への支払い…ののちに葬儀社さんたちが
  来られて、ストレッチャーに乗った父に付いて地下へ行き、葬儀社さんの
  車には私が同乗して帰路につきました。姉の車で、送迎バスやタクシーで
  10日あまり行き来した道とは違うルートで走っているのに気がついて、
  間もなく宇治川沿いに出ました。(確か府道241号線)対岸の民家の灯り、
  暗い宇治川の川面を見ていると、何となくいつの間にか口の中で呟く
  ように(運転している方に聞こえぬよう)斉藤和義さんの「歩いて帰ろう」
  を口ずさんでいました。歌い終わると父に「帰ろうなー…」…と呟いて…。
  …その前に、暗い宇治川を見ながら、「(父は三途の)川をもう渡ったん
  やろか…」なんて思ったりしてましたが、恥ずかしながら知りません
  でした。“初七日”まではまだ渡らないとされているのだそうですね。
  …初七日までとりあえず無事に終わりましたから、もう渡り終えましたか
  …。(火葬への)出棺前に棺の上に花束を置いて下さいと言われて、置く
  ときに「お疲れ様…良い旅を!」と言いました。…無事に渡りきれたと
  信じています。さあ…次は手続きの嵐です!
☆宇治川沿い 呟くように口ずさむ
       「歩いて帰ろう」 葬儀社の車中
☆葬儀社の車中の父の傍らで
    「“川”渡ったかな…」…いや“まだ”やったそう
【詞書】通夜の日の朝
  10月2日の朝、勝手口を出てフェンス越しに、咲いているのを見つけ
  ました。藪のようになった場所に逞しく咲くヒガンバナを見て、
  すっごく癒されました。変な話ですが「おっしゃ!頑張ろ!」って
  思いました。
  …今日10月8日、市役所に行こうとして、自転車を出す際にうちの
  玄関側から見える藪みたいになったとこには白いヒガンバナが
  咲いてました。こっちもちょっと嬉しかったです。
☆人の居ぬ隣家の庭の片隅に
          彼岸花見ゆ 通夜の日の朝
                         ちがやねこさん
【解説】
 お父様の大変な状況の中で「水曜サロン」へ出詠して頂きありがとう
 ございます。
 改めて、お父様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみを申し上げるとともに、
 心よりご冥福をお祈り致します。
 「水曜サロン」の皆様の想いも同様と感じます。
 一首目、二首目は作者の想いをそのまま表現した、お父様への「挽歌」と
 考えます。「三途の川」は初七日の過ぎに渡るとのことですが、六文銭は、
 故人が極楽浄土までの道のりでお金に困ることのないよう棺におさめる
 冥銭とのことですね。「呟くように口ずさむ」歌詞も、作者の想いを
 そのまま表現しているものと考えます。六文銭とともに、お父様に捧げる
 作者の心からの「ひき歌」と感じます。
 三首目の歌、彼岸花の花には詠まれているように癒しと共に、人を励ます
 不思議な力が宿っているものと考えます。名称に穏当を欠くものも一部
 ありますが、あの完璧なシンメトリーの花に「神の造形」を感じます。
 紅白の彼岸花に出会うのも嬉しいものですね。

☆暑き秋 蕊燃やすがに曼珠沙華 「相思花」の名を深く思えり
                         ポエット・M
【解説】
 曼殊沙華は、例年秋彼岸を前に咲くものと理解してきましたが、今年は
 10月になって初めて咲き始めました。二週間余の遅れと感じました。
 曼殊沙華の開花が遅れた主な原因は、秋の暑さによる休眠打破の遅れや
 生長阻害が原因とのことです。曼珠沙華は、一定期間の低温にさらされる
 ことで休眠が打破され、開花の準備が進みますが、秋の気温が高いと、
 この休眠打破が遅れてしまい、開花時期が遅れるとのことです。
 また、曼殊沙華は花が咲く時期と葉が出る時期がずれているという特徴が
 あり、花が咲いている時期には葉がなく、葉が出ている時期には花が
 ないため「葉は花を想い、花は葉を想う」ことから「相思花」と呼ばれる
 ようです。
 こんな背景を踏まえながら、遅く咲いた曼殊沙華に想いを寄せて詠ませて
 頂きました。

 
     「白花 曼殊沙華」

「山法師 短歌の章」鑑賞 紅林茂夫著(58)

 「山法師」はエコノミストでもありました著者の経済学の論文を始め小説、
 短歌等を著者により厳選され著作を集めた著者渾身の著書でもあります。
 その著書から、短歌を抄出し三首づつ紹介させて頂きます。

39.「 短歌の章」 台北・東南アジア国際会議(1)

   釈迦牟尼佛の頭(かうべ)にしやかの実を 
         月出でし夜店に購ひにけり

   異郷の空に満つるに近き月出でぬ 
         風落ちし街にわが影を踏む

   夜深きを目覚めて聞けば旅枕
          花蓮の海の遠き潮騒

【短歌入門・質問・紹介・提案コーナー】
 今回は割愛させて頂きます。

【運営にあたって】
 (1)投稿期間は、原則として毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
  なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2)おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
  なおブログの字数制限(コード30,000字)等により詞書等編集させて頂く
  場合もありますのでご容赦願います。 詞書は一首200文字以内にまとめて
  頂きたくご協力願います。
 (3)口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
  仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4)投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。 皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5)作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6)掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7)掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                             了

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