四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その3)

2021年09月29日 08時06分02秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その3) 【短歌入門・質問コーナー】を設けました!!

「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うコーナーです。

短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」目指したいと思っています。
皆様の投稿を歓迎します。


【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。



「ブログ友の投稿短歌」

☆秋晴れの 浅間の噴火 次々と 形を変えて 飽きなき眺め
☆銀杏を 落としてつつき 割るカラス 賢き本能 我は驚く
☆景色見て 楽しいと言う 人生に 悟るあなたと 歩む幸せ
                       浅間山明鏡止水(kencyan)さん

【解説】
 カフェで休憩中に浅間山の噴煙を眺めながら、その噴煙の変化を詠んだ短歌との
 事です。奥様とのカフェでの語らいの模様が思い浮かぶ、和やかな短歌です。
 「悟るあなたと歩む幸せ」は、作者の奥様への感謝の想いが滲み、ほのぼのとした
 幸せ感が表出されています。
【ご参考】
 ★何気ない日々の歩みも幸せと 悟るあなたに 我もつつまれ

(詞書)中秋の満月の翌朝没する前に詠める三首
☆満月の沈めるさまを見るごとし眞子内親王降嫁のニュース
☆皇室も異国イギリス王室も次世代つなぎてゆくは難しか
☆ただ一人生まれましにし親王の天に昇られます日を待たむ
                        びこさん

【解説】
 詠まれた当日は、満月と中秋の名月が8年ぶりに重なった、特別な日となりましたが、
 この日に詠まれた短歌として、歴史的な詠歌となりましたね。満月が沈む様子に、
 内親王降嫁を結び付けた、味わい深い短歌となっています。
 なお、「詞書」は初心者の方にも「学び」となりますので、必要により記述願います。

☆ウクレレの 音(ね)に誘われて ゆらゆらと 対のトンボに 秋の気配が
                            Yokiさん

【解説】
 ペアのトンボもYokiさんの奏でるウクレレの音の良さが、分かるのかも知れませんね。
 「ペアのトンボ」はあまり早く飛ぶことは出来ませんので、揺ら揺らと舞うように
 部屋に入ってきたことと思います。そんな、ほほえましい短歌です。「ゆらゆら」を
 省略して整理してみました。いかがでしょうか。 
【ご参考】
 ★ウクレレの 音(ね)に誘われて 訪ね来る 対のトンボに 秋の気配も          
       
☆母抱え 重なる手と手 いつまでも 続けば良いと 願ったあの日
                            アンリさん

【解説】
 お母様の介護をとおして、改めて通い合ったお互いの想い。その瞬間が永久に
 続けばと願う娘の、母に寄せた深い想いが表現された素敵な短歌です。
 「重なる手と手」の表現が効いていますが「重ねる手と手」で、作者の能動性が
 より表現できると感じます。
 Yokiさんも書かれていましたが、その思いは深い共感を呼びます。短歌の心を
 しっかりと把握されている、アンリさんの益々の精進を期待しています。                        

☆ドア開けて迎える母の (#^.^#)((+_+))顔みたら 瞬時に分かる 勝ちか負け
                          すずさん

【解説】
 作者は「一人だけ素人が紛れ込んで」なんて謙遜されますが、とんでもありませんよ。
 骨格のしっかりした短歌になっていると思います。少し硬くなりますが、31文字に
 整えてみました。いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★ドア開けて迎える母の (#^.^#)((+_+))顔みたら すぐに分かるわ 試合の結果

☆草刈りを終えた途端に雨が降る何かいいことありそうな日だ
☆ミッションをそつなくこなすトムクルーズこんな政治家いたらいいのに
☆楽しみは週に一度の手巻き寿司鮪烏賊鯛手酌の焼酎
                          Oraiさん

【解説】
 じっくり味わうほどに、良さが分かる短歌と思います。
 三首目は、すべての仕事を終えた後、手巻き寿司を肴に晩酌を楽しむoraiさんが
 目に浮かびます。「手酌の焼酎」が締めていますね。また、ハリウッド映画
 「ラスト・サムライ」でのトム・クルーズ。人としての情と誇り、部下への想いに、
 自らの地位、そして命をもかけてミッションをやり遂げる姿が目に浮かびます。

☆朝霧に かすむ鉄塔 雲海の 眼下の景色 一人眺むる
                オライ&kencyanさん

【解説】
 「オライ & kencyan」のお二人で連歌を投稿して頂きました。オライさんが上の句、
 下の句がkencyanの作です。このサロンは短歌も、連歌も、皆様からの投稿歌は
 幅広く受け入れていきたいと思っています。積極的に挑戦して頂ければと思います。
 なお、細かいことですが…、「眺むる」は文語連体形で、「眺むる時」など、
 次に体言が続く場合に用います。従って今回のように終止形で用いる時は「眺む」と
 なります。この場合は「一人眺める」の口語でよろしいかとおもいます。

☆花と葉の互いを想う相思花の 時たがえるは人の世に似て
                      ポエット・M

【解説】
 前回のブログでも触れましたが「相思花」は、曼殊沙華の別名です。花が咲き
 終わってから葉が出て、花と葉が相まみえることがないことから、花は葉を思い、
 葉は花を思うことがこの花の名前の由来との事です。
 互いに思いながら、時や場所の壁によって、相まみえることが中々出来ない事は、
 私たちも多く経験することですが・・。花の摂理の不思議さを、人の世に重ねると
 感慨深いものがあります。そんな想いをこの歌に籠めてみました。


五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (4)
2.出会い (1)
  ほほえみて
   女の幸を
    春の日に
   光をこぼす
    乙女振り袖

     振り袖に
      女の幸の
       きらめきて
      げに春の日の
       光はまぶし

    振り袖に
     生きよこの日を
      一生と
     明日は夢なき
      大人の荒野

    泣くがよい
     あわれ振り袖
      乙女子よ
     夕べ鏡に
      紅を落として

   春風の
    光の中に
     振り袖の
    君はほほえむ
     女神のごとく



【短歌入門・質問コーナー】

「水曜サロン」の企画・営業責任者を担って頂いている、浅間山明鏡止水(kencyan)
さんからの提案もあり、諸々検討した結果、本コーナーを立ち上げることと致しました。
短歌の投稿者、あるいはお立ちより頂いています皆様から賛同が得られましたら、
本コーナーを継続して行きたいと思っています。

なお、私は短歌について学術的に極めたわけでもなく、短歌会・結社等に同人として
所属し、業務の傍らで30年余にわたって、細々学んできたに過ぎません。従って、
皆様の質問にどこまで答えられるかは、心もとない限りです。ただ、皆様と共に学び
ながら、短歌の在り方等を共に見出して行けたら幸いと思っています。宜しく
お願い致します。

今回は、最初の試みとして、皆様の直近のコメント等に記された中から3点について、
簡単にお答えしたいと思います。皆様から素朴な疑問も含めて、コメント欄に
お寄せいただければ幸いです。なお、私の回答は、あくまでも一つの「解」で
ありますので、他の回答、反論、意見等もありましたら、このコーナーで大いに
議論して参りましょう。それが学びになれば嬉しいです。


『短歌に決まりはありますか』
 短歌は記紀万葉以来、千数百年余の歴史と、伝統をもつ詩形ですが、
 5・7・5・7・7の、5句31音の韻律で詠(よ)むということ以外、とくに
 決まりはありません。
 なお、韻律とは短歌の生命でもあります「調べ・響き」を言います。思いや訴えを
 包み込んだ調べ(律)や、響き(韻)によって表現される感動や、味わいが短歌の
 魅力の一つと言えます。

『短歌に季語はありますか』

 短歌には「季語」はありません。俳句は「歳時記」により、かなり厳格に「季語」が
 規定され、季語が中心的な役割を果たしています。短歌にはこのような規定は
 存在しません。

『詞書とは』
 単に「詞(ことば)」とも言い、主に、歌の前に置かれ、歌の題や歌を詠んだ
 事情などを述べたものを言います。短詩形のために表現不足となりやすく、詞書を
 借りることが効果的な場合がありますので、上手く使っていくことも「あり」かと
 思います。


                      了

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見据える明日を

2021年09月26日 09時49分08秒 | 短歌
かつてから幾たびか訪れた京急油壺マリンパークが、この9月末をもって
閉館されるとのことで、一昨日細君共々行って参りました。



現在私が住む三浦半島は、半島の東端に位置する観音崎を起点に、北側は
東京湾に面し、南側は相模湾に面しています。
南側の岬の突端に位置する、京急油壺マリンパークは、西に相模湾が広がり、
江ノ島、富士山、伊豆半島そして伊豆大島まで一望できる風光明媚な場所でも
あります。



1968(昭和43)年の京急電鉄創立70周年記念事業として開業され、開業当時、
東洋一といわれた大回遊水槽をはじめ、 魚の生態をいろいろな角度から示し、
魚や自然への理解を深め、科学教育の一助とするという、世界でも例を見ない
水族館として運営されてきました。



園内ではエリアごとにいろんな生き物や珍しい展示をみることができます。
大型のサメを常設する「魚の国」、全天候対応型 屋内大海洋劇場ファンタジアム 、
三浦半島の自然がつまった「みうら自然館」、三崎マグロを味わえる
「三崎マグロのレストラン Log Terrace」、さらにあしか島、ペンギンたちが
暮らすペンギン島などもあり、子供たちも大人も楽しめる施設になっています。



しかしながら、建物や設備の老朽化が著しく、これ以上の維持管理は困難との
ことで、2021年9月30日(木)をもって、閉館されることになりした。
なお、京急油壺マリンパーク側は、動物類については、他の施設と受け入れに
ついて協議を進める一方で、閉館後も、飼育・施設管理に必要な要員・体制を維持し、
すべての動物類の移譲を完了するまで、責任をもって対応する旨を表明しています。



当日は諸々の用事もあり、午後3時30分のイルカ・アシカのショーに間に合うようにと
2時過ぎに車で出かけました。シルバーウィーク後半の最中とあって、油壷までの
道路は夏休み並みの混雑でしたが、何とか3時前には到着することが出来ました。

しかし、正規の駐車場は満車とのことで、第2第3の駐車場の隅にやっと入れました。
閉園するとの報に触れ、かつてのフアン達も含めて、名残を惜しむ観客が押し寄せて
連日の「満員御礼」のようです。



お目当ての、大海洋劇場ファンタジアムでの「イルカとアシカショー」は既に満席との
ことで、入場は叶いませんでした。この見学がメインの目的でしたが、あきらめざるを
得ませんでした。しかし、カワウソの森、ペンギン島、大型のサメが回遊する「魚の国」、
さらに、相模湾に面する園内の散歩や、眺望を楽しみながら一時間ほどでマリンパークを
後にしました。

なお、このようなお出かけはまれで、外出自粛の日々、散歩等で体力維持を図って
います。その道すがら秋の訪れを鮮やかに告げる曼殊沙華が少し遅れて咲き初めて
いました。この曼殊沙華は「相思花」と呼ぶ事を友人にかつて教えて 頂きました。
花が咲き終わってから葉が出て、共に相まみえることがないことから、花は葉を思い、
葉は花を思うことが、この花の名前の由来との事です。
 秋の柔らかな木洩れ日をまとい、静かに揺れる相思花。この花を眺めていると、
深い思いをこの命名に託した、先人の心のありようが切なさと共に浮かんで参ります。

こんな思いも込めて、日々の徒然に即興で詠んだ短歌を掲載いたします。

 ☆夕映えに冴え冴え燃ゆる曼珠沙華 蕊の先にも闇は迫りて
 ☆花と葉の互いを想う相思華の 時たがえるは人の世に似て
 ☆精密な曲線描く曼殊沙華 さやかな秋を招きいるかに
 ☆長月の闇に響ける虫の音に あゆみおぼろな来し方思おゆ
 ☆夕映えにひぐらしの声溶けゆくや 寂しさ誘い懐かしさして
 ☆立秋を過ぎてなお啼く蝉しぐれ 命の絶唱 こよみも超えて
 ☆何もなく暮れゆく日々の夕映えを 留め染まるや酔芙蓉の花

 ☆石碑は何をかたるや 災害の重き歴史を 今にとどめて
 ☆サルビアは休耕田に燃えいるも 営農止める人の無念も
 ☆ささやかな賑わい戻るも遊歩道 なじみになるも その顔知らず
 ☆虫の音は闇の底から響きくる 見えぬコロナに想い沈むも
 ☆この夏もコロナ戦争終わらずに コップの嵐に籠る政権
 ☆カカ・ムラド 見据える明日を民継ぐや タリバン超えて大地とよもす
              カカ・ムラド:故 中村哲氏
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口語短歌・水曜サロンの会 (その2)

2021年09月22日 08時30分03秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その2)   ― 皆様の投稿を歓迎します ―

「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うコーナーです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」目指したいと
 思っています。皆様の投稿を歓迎します。

  「白花曼殊沙華」

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。


  「酔芙蓉 一重」

「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

☆哀しみはわれのブログの記事読みて娘の寄越す「書くな」のメール
☆哀しみは家族がわれの若嫁のころの哀しみ理解せぬとき
☆哀しみは月に一度の結社誌の校正コロナで行けなくなるとき

                          びこさん

【解説】
 大手の短歌結社に所属され「文語旧仮名遣い」の短歌を、専門に詠まれる
 びこさんの「口語新仮名遣い」への挑戦の短歌です。幕末の歌人が始めたと
 言われる「独樂吟」の様式にのっとり詠まれた短歌です。
 びこさんは「哀しみは」で始まる短歌を、「独哀吟」とも命名しています。

☆浅間山 たなびく雲が 綿景色 晴れ渡る空 秋の羊雲
☆脇役の ジャックネッタ 美人顔 シェイクスピアは 薔薇をも作る

                    浅間山明鏡止水(kencyan)さん

【解説】
 秋空の下、浅間山・山頂たなびく噴煙と、羊雲を「ロマンティックに」
 詠んだと作者は語っています。その雰囲気はよく表現されていると思います。
 シェイクスピアの「恋の骨折り損」の脇役の娘さんに、ちなんで命名された
 薔薇「ジャックネッタ」。その花に寄せて詠まれた短歌でもあります。
 「シェイクスピアは 薔薇をも作る」が、この短歌の面白さを支えています。

☆ゆらゆらと 風に吹かれて 百日紅 育てて見入る 母の横顔
                        yokiさん

【解説】
 百日紅の木を育てながら、お母様はいつも嬉しそうに、その木を
 眺めていたとのこと。お母様に寄せたYokiさんの思慕が滲む歌でもあります。

☆ありがとう しあわせと言った 母の手を 握り落涙 最後のダンス
                        あんりさん

【解説】
 先月逝去されたお母様の大好きだった、越路吹雪の「ラストダンスは私に」の曲。
 お母様に届けたいとの思いから、生まれて初めて詠まれた短歌とのことです。
 葬送の際に流された曲によせて詠まれた、深い思いが滲む短歌です。
 詠まれた短歌を少し整理してみました。ご参考になれば嬉しいです。
【ご参考】 ★母の手を握り締めつつ涙する 「ラストダンス」は葬送の曲

☆今年また中止になった秋祭り打ち上げもなく一人酒飲む
☆温泉の只今閉鎖の看板にあきらめ顔で帰る侘しさ

                       Oraiさん

【解説】
 写真と俳句を専門とされ、かつ堪能なOraiさんの短歌への挑戦、
 第二弾です。「一人酒飲む」に寂しさと無念さがにじみます。
 「一人酒酌む」等の表現もありかと思います。

☆哀しみは 詠む術(すべ)知らず才がない!皆の投稿 楽しみですよ
☆ウクレレの 言い訳空し秋の夜 それでも我は 前を向くのみ

                       すずさん

【解説】
 ウクレレ演奏の説明の過程で、つぶやきから生まれた短歌。
 この「つぶやきが歌となる」ことは、短歌の千年を超える歴史の中でも、
 和泉式部の「なお夕暮れはものぞ悲しき」をはじめ、多くの歌人に
 よって詠まれてきた経緯があります。
 「それでも我は 前を向くのみ」に、前向きな決意も覗き素敵な短歌に
 なっていると思います。

☆ネットから口語短歌の波に乗り心の丈を素直に詠う
                       リコさん

【解説】
 リコさんは伝統ある短歌結社に所属され、通常は「文語旧仮名遣い」で短歌を
 詠まれておりますが、このサロンに参加して頂きました。
 私も歌人の方が「口語新仮名遣い」に挑戦することは意義のある試みと思います。
 記紀万葉の時代から、大和言葉も多くの変遷を重ねてきましたが、挑戦なくして
 進化は無いと思いますので…、リコさんの挑戦を歓迎します。
 「心の丈を素直に詠う」は、私たちの目指す短歌の最終形と思っています。

☆カサカサと 風に追われて 晩夏行く ハラリと舞った 落ち葉食む吾子(クロ)
☆燃える空 赤く映りし 今朝の峰 やがて晴れるか そよぐコスモス

                        クロママさん

【解説】
 読む方に、いずれも良く分かる短歌と思います。なお、短歌は主題を一つに
 絞ることで「主張」を、より明確に伝えることが出来ると考えます。二首目を
 「朝焼けの峰」を主題に、少し整理してみました。ご参考になれば幸いです。
【ご参考】 ★朝焼けを 映して燃える 今朝の峰 晴れる予感に 心華やぐ

☆星を抱く 銀河の胸は果てしなく 晩夏の夜空 さらに広げて
                       ポエット・M

【解説】
 晩夏と共に、星空が澄み渡って見える夜。銀河にいだかれる広大な星々の
 煌めきの共演を詠んでみました。

  「ハイビスカス」

嵯峨哀花 著 「五行詩」「痛みの変奏曲」より転載
1.哀しみよ今日は(3)
  哀しみは
   雪降る道の
    彼方へと
   去り行く君の
    長き黒髪

     哀しみは
      夕べ鏡に
       頬紅を
      落とす乙女の
       心のかげり

    哀しみは
     麓にて鳴く
      山の鳩の
     声さえかすか
      嵯峨に咲く花

    哀しみは
     かの日かの時
      かの君の
     手より賜いし
      貝殻(かい)の潮騒

   哀しみは
    この人生を
     ただ影の
    夢まぼろしと
     知りたる心


  「小紫式部」
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「痛みの変奏曲」鑑賞(2)

2021年09月15日 09時13分55秒 | 短歌

嵯峨哀花著「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞(2)

前回のブログで、嵯峨哀花著「五行詩」「痛みの変奏曲」の五行詩の一部、五首を
紹介をさせて頂きました。その際、投稿短歌を鑑賞する「サロン」的なコーナーを
作れないかとの提案を、ブログ友Kenさんをはじめ、少なからぬ方から頂き、ここに
発足させて頂きました。

「水曜サロン」の発足
このブログにお立ちより頂いている皆様の短歌の投稿と、その作品の鑑賞を行う
「水曜サロン」を、以下の通り発足させたいと思います。皆様の投稿を歓迎します。

 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載し皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 初心者の方からベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を
   投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思います。
 (6) 投稿して頂いた作品に、拙いながら「解説」「ご参考詠」等をしたためさせて
   頂きます。的外れの解説になりました場合は、ご意見等をコメント欄に
   お寄せ頂ければ幸いです。



「水曜サロン」(その1)

  この一週間に投稿頂いた皆様の短歌と、私の拙い「ご参考」の短歌と、解説等を
  合わせて掲載させて頂きますが、皆様から感想等を、コメント欄にお寄せ頂ければ
  幸いです。

  ☆薔薇の花 レイクガーデン 返り咲き 睡蓮水面に モネの色彩
                           Kenさん

   「ご参考」 詠う対象を「薔薇」に絞って表現してみました。
     ★薔薇さえも秋に先駆け帰り咲く モネにささげる命の極み
   
  ☆楽しみは写真撮ること載せることいいねコメント眺めるひととき
                            Oraiさん

   「解説」幕末の歌人、橘曙覧が始めたと言われる「楽しみは~とき」の
       「独楽吟」の短歌は、私も学んでみたいと思っていました。
       写真で詩を謳い、俳句とのコラボを図る作者の「独楽吟」を、
       じっくりと味わいたいと思います。

  ☆窓際で外が気になるクロ目線 ベランダ叩く雨音止まれ
                            クロママさん 

   「解説」愛犬家の「クロママ」さんの、眼差しが伺える優しさに
       溢れた短歌です。「クロ」が愛犬である旨の表現が入ると
       作者の眼差しが、さらに生きてくると感じます。

  ☆母の声 重ねて唄う ふたり歌 想い出の歌 今も心に
                           yokiさん

   「ご参考」「歌」の重なりが気になるとの作者の感想がありましたので…。
     ★声重ね 母と二人の ハーモニー 思い出の曲 今も心に

  ☆おいしいとひと言へば妻われが喜ぶことを知らぬか君は
                          びこさん

   「解説」妻の立場からは常に抱く思いを、素直に詠まれた味わい深い
       短歌でもあります。
       お互いに確固たる信頼と、愛情があるゆえに詠める短歌とも思います。
 
  ☆秋雨に濡れつつ開く酔芙蓉 逝く夏惜しむ寂しさもまた
                          ポエット・M(Shou)



嵯峨哀花 著 「五行詩」「痛みの変奏曲」より転載
1.哀しみよ今日は(2)

  哀しみは
   母を亡くした 
    少年の
   絵本をめくる 
    右手の汚れ
 
    哀しみは
     窓に書を読む
      乙女子の
     涙でひかる
      胸の十字架

     哀しみは
      ライムライトの
       幕が引け
      雨に濡れつつ
       帰るバレリーナ

    哀しみは
     当て無き人を
      待ち侘びて
     夕陽に影を
      落とす絵日傘

   哀しみは
    忘れな草を
     接吻に
    託してこぼす
     瞳の真珠
                次号に続く


 
                      了  

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新人世は何を拓くや

2021年09月12日 18時21分44秒 | 短歌
政府は、発令中の緊急事態宣言について、本日12日の期限をもって宮城県と岡山県を
「まん延防止等重点措置」に移行し、東京都、神奈川県等19都道府県の期限を、
今月30日まで延長することに致しました。

  「薄紅に染まり始めた八重の酔芙蓉」

 なお、自民党の総裁選挙は構図がほぼ固まり、各候補の活動が本格化していますが、
10日に総裁選への出馬を正式に表明した河野行政改革担当大臣は「少しずつ手を伸ばして
いけば、いずれは星にだって手が届くかもしれない。みんながそう思ってくれるような
リーダーになりたい」とコメントをされています。これにより、岸田前政調会長、
高市前総務大臣に続く3人目の出馬表明となりました。

  「宮城野萩」

 一方、野党第一党である立憲民主党は、緊急事態宣言延長を受けて、追加の給付金や
医療体制の強化などを求めた緊急提言を発表しました。枝野代表は「(河野大臣には)
まずは総裁選挙の前にワクチン担当大臣として、こうした状況に答えを出していただきたい。
総裁選挙よりもコロナ対策だ」と要求しました。枝野内閣で実行する7つの項目に、
コロナ対策の司令塔設置や森友・加計学園・桜を見る会の真相究明などを掲げ、政権交代を
目指しています。

  「宗旦むくげ」

ともすると、テレビ等マスコミは総裁選一色に、塗りつぶされる様相を呈していますが、
依然として新型コロナ感染症の新規感染者数は昨日、11日でも、8,809人と高水準にあります。
また、自宅療養という名の「自宅放置」に象徴される、医療危機は依然として改善されて
いない状況です。

  「うす紅のノウゼンカズラ 」

私たちもワクチンの二回目の接種は済んだとはいえ、新型コロナ感染症の基本的対応を
従来通り進めていかねばと思っています。なお、経済の中枢を担う30代から50代の
ワクチンの遅れ、さらに罹患者の重症化が気になります。

  「二度目に咲いた月下美人(1)」

こんな日々のなか、我が家の月下美人が7月に続いて二輪ほど開花しました。
また、散歩で行く遊歩道では、いつしか蝉時雨も収まり、すだく虫の音も聞こえ、
季節の確かな移ろいを感じます。
また、酔芙蓉、ムクゲ、凌霄花の夏の花に交じり、コスモス、宮城野萩等の秋の花も
咲きはじめています。

  「二度目に咲いた月下美人(2)」


  「オレンジ色のノウゼンカズラ」


  「白色八重の酔芙蓉」


日々の徒然に詠んだ短歌を掲載したいと思います。

 ☆匂い立つ月下美人の花に酔う 一夜限りの命思えば
 ☆星月夜 かの日交わした言葉など 妻と語らい思い出しいる
 ☆カナカナに 死にたくないとつぶやける 友の横顔 苦悩思いし
 ☆遠い日の友のつぶやき吐息をも 思い出させてカナカナは啼く
 ☆秋雨に濡れつつ開く酔芙蓉 逝く夏惜しむ寂しさもまた
 ☆蝉時雨止みて響くや虫の音に さやかな秋の おとのいを聞く
 ☆蝉の穴 いく歳月の旅路とも 苦闘の果てか命の絶唱
 ☆トンネルとトンネルつなぐ京急線 海の蒼さに「赤き疾走」
 ☆八ヶ岳 浅間アルプス囲みたる 我がふる里もコロナ禍のなか

  「小紫式部」

 ☆水中のさらなる闇を切り裂きて ワンツー決める木村と富田
 ☆極めゆく最高齢のメダリスト 挑む高みを 笑みて宣言
 ☆五輪終え 熱き感動その余韻 残すもコロナ荒びは止まず
 ☆折り鶴は飛ばずも連なり長崎の 空をおおいて祈りの形に
 ☆入院も叶わぬままに自宅死と 憤怒の想い誰が汲みとるや
 ☆壊れゆく世にささやかな抗いを 荒れ野の隅にコスモスを植え
 ☆コロナ禍と熱波と豪雨うち続き 新人世の説きし世思う
 ☆手詰まりと限界示す資本主義 新人世は何を拓くや

  「芙蓉」
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「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞(1)

2021年09月08日 09時31分05秒 | 短歌

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞(1)
     皆さまからの短歌の投稿も歓迎します。
       毎週水曜日の定期掲載を目指します。



 前回のブログで、嵯峨哀花氏 著 「痛みの変奏曲」の解説にかえて、拙文を載せさせて頂きました。その際、ブログ友Kenさんより、「痛みの変奏曲」の「五行詩」の中から順番に5首位ずつ掲載して鑑賞できる「コーナー」を作っては、とのご提案を頂きました。

 このブログにお立ちより頂く皆さんの中には、短歌にあまり興味を持たない方もいらっしゃるとは思いますが、ブログ友からの積極的なご提案を頂きましたので、お応えしたいと思います。極力、解説や私見を交えず、自由に鑑賞して頂くことを前提に、著書からの転載を中心に掲載して参りたいと思います。

 なお、今後このコーナーで皆さんから投稿頂いた口語短歌を、お互いに批評し合う場も、用意して参りたいと思っています。
 短歌を初めて作る方も含めて、遠慮なくコメント欄に投稿頂ければ、皆さんで合評できるようにして参りたいと思います。



嵯峨哀花 著 「五行詩」「痛みの変奏曲」より転載

1.哀しみよ今日は(1)

  哀しみは
   青く切ない 
    大空に
   浮いてただよう
    赤い風船
 
    哀しみは
     荒れてさみしい
      公園に
     忘れさられた
      詩人の帽子

     哀しみは
      詩人が夜の
       夢に見る
      月がこいでる
       白いブランコ

    哀しみは
     独りぽつんと
      父母の
     留守に砂場で
      遊ぶ少年

   哀しみは
    赤い服着て
     お人形を
    抱いて寝ている
     少女の白夢

                次号に続く

コメント (24)
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深き淵より

2021年09月03日 15時00分00秒 | 短歌
 かつて、歌友でもあります嵯峨哀花氏の歌集出版に当たって、その「解説文」を彼の依頼により
書かせて頂きました。
この稿は、その著書よりの転載として、このブログへ掲載させて頂きます。

****************************
「五行詩」深き淵より
     嵯峨哀花 著 「痛みの変奏曲」の解説にかえて

 記紀万葉から連綿と続く歌の系譜に、新たに「五行詩集-痛みの変奏曲」と題する歌集が追加された。
短歌は、あたかも産業の米と言われたLSIが、数万個におよぶ素子をわずか数ミリ四方のチップの
上に蒸着技術により凝縮させていくように、その時代の思いや哀しみを31韻律の空間に閉じ込め、
韻律と、たおやかな調べを響かせてきた。このささやかではあるが濃密な詩形は、時代を記す確かな
足跡を刻んできた。

 短歌は幾たびかの歴史の過酷な波に洗われながら、その度に深く磨かれ、より広く裾野を広げ、
民族の詩精神をも育み、その礎を支えてきた。 短歌を生活の潤いとして、糧として、またその表現を
つらぬく志に、命をも賭けて詠ってきた多くの市井の歌人達。これら歌人の貴重な営為によって
築かれてきた広大な短歌の裾野の上に、「痛みの変奏曲」は一つの山として聳えるのではないだろうか。

 口語短歌の一つの到達点として、また拓き得る詩歌への可能性を秘めたこの「五行詩」は、
まぎれもない瑞々しい短歌である。 短歌も、俳句も、詩もそれぞれのボーダー(境界)が無くなり、
詩という大河に統一されていくであろうと言う「一つの論」がある。この「五行詩集」は、この論に
対する短歌世界からの、とりわけその明日を担う世代からの一つの回答集とも言える。

 青春の入り口における出会い、別れ、再開、そして死別という愛と死が織りなすドラマを背景に、
恋歌と挽歌が同一地平の上で詠われた「五行詩集」。これは憧れを宿す青春そのものの象徴であつた
恋人「笙子」さんへの、著者「嵯峨哀花」さんの挽歌集でもある。

 短歌はつきつめれば相聞と挽歌から成ると言える。 詩歌の流転に重なる人々の長い歴史の中で、
愛し合う男と女が、とりわけ恋の闇路に踏み入った二人が背負わなければならなかった過酷とも
言えるしがらみ。それが取り払われたかに見える現代の自由な風潮の中で、純粋に己の感情をみつめ、
その一瞬の燃焼に生命をも賭ける恋が、そして慟哭を噛み殺し闇に涙する愛の伝説が生まれ得るのか。

 この問いに対する一つの回答とも言いうる相聞の証が、この「五行詩集」の行間に溢れている。
ときには甘く、ときには哀しく、しかも感傷に堕さない調べをぬってピュアな響きが伝わってくる。
文語のもつ緊張感とは趣を異にする、しなやかな活き活きとした言葉が、その響きと艶を支えている。

 男と女の間に横たわる深い溝。その淵を共有しあった者どうしが感じあう喜び、哀しみ、妬み、
憎しみ、悔い、さらには絶望と、隣り合わせの一縷の希望。この思いはどんなに時代が変わろうとも、
変わることなく男と女の胸奥に揺らぎ続けてきた。

 一人でいるときより、二人でいるときに味わう哀しみや淋しさ。さらにより深い孤独感。
この思いを互いの傷を舐め合うようにして知った人間同士が求め合う、本能的とも言える連帯への志向。
これらは三十一韻律の短歌という器を満たしてきた。そしてこれからも満たし続けるだろう。
そんな危うさと痛みとがこの「五行詩集」の歌群には漂っている。


  ☆哀しみは
    我が人生を
      わが影の
   夢まぼろしと
      知りたる心

 以下、紙面の関係から著者の了解を得て、一行書きにして抄出する。

 ○  振袖に生きよこの日を一生と 明日は夢なき大人の荒野
 ○  黒髪もおどろに乱し火のごとき口づけかえす春の夜の君
 ○  夕霧の白きベェイルに包まれて二人はしばし愛の彫刻
 ○  ああ君を抱く砂上の夢さめて浜の夕べに潮騒ばかり
 ○  夕月の淡き明かりに峰ゆけば寄り添いきたる影ぞ愛しき
 ○  長城の風にこぼるる涙かな君ははるけき無情の万里
 ○  世に背き神に背ける君と我れ恋の闇路に緋の舞扇
 ○  黒髪も白き乳房も燃え上がれ我こそ愛の愛の放火魔

 ○  遠き日の晩夏(なつ)の夕暮れカナカナと共に泣きしは何の哀しみ
 ○  遠き日の母の御胸(みむね)に泣きし日を運びきたるや夜の海鳴り
 ○  我れが名をかすかに呼びて逝く君の掌よりこぼるる薔薇の十字架
 ○  満月の夜の湖に羽化したる蜻蛉(かげろう)のごとき君が命よ
 ○  「帰らざる河よ」と独りつぶやけば涙とまらず祖谷のかずら橋
 ○  哀しみは勿忘草の花と咲け流す涙も瑠璃色をして
 ○  今ぞ知る君が墓標と我が涙 神の痛みのオブジェなりとは
 ○  この僕を星の王子さまと呼びし君 君こそ永遠の星に咲く薔薇
 ○  はるかなる星の薔薇への鎮魂歌 あわれ「痛みの変奏曲」集


 哀しみを主題とする痛みの「変奏曲」。男と女の出会い、別れ、再会、そして永久の別れ。
それぞれの場面を彩る余情に満ちた五行詩を抄出してみた。
 この「変奏曲」は、人間の生きる意味を痛みと共に逆照射する青春へのレクイエムであり、
生命への深き淵よりの憧憬であり、賛歌でもある。
 また、この「変奏曲」にはチェロを基調音としたバッファの荘重な調べではなく、バイオリンの
軽やかで哀しげな調べが満ちている。かすかな残響音の響きとともに、あたかも新たな五行詩人の
出発を、静かに告げるかのように。    了

 嵯峨哀花著 五行詩集「痛みの変奏曲」より転載(文責:ポエット・M)
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