四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その82)

2023年05月03日 05時46分45秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その82)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。


     「薔薇 マーガレットメリル

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】先日訪れた奈良春日大社の藤園を訪れたときの歌です。 
 註)「黒龍」:藤の花の名前
☆春日野の原始の森を通りぬけ三年ぶりの「黒龍」に会う
☆薄桃の藤の花房短くて舞妓の挿頭とそっと手を添う
☆藤棚の下にたたずむあの女のため息漏れくる遠きまなざし
                         夕庵さん
【解説】
 春日大社境内の萬葉植物園には、『藤の園』があり、20品種、約200本の藤が植栽されて
 いるとのこと。今の季節、それらが見事に開花し見物される方を楽しませてくれている
 ことと思います。
 一首目に詠まれた「黒龍藤」も藍色が鮮やかで、一目見たい花でもありますね。
 コロナで閉ざされて三年ぶりに出会う花は見事に匂い立ち、作者を出迎えてくれたことと
 思います。そんな出会いのときめきが滲む、写生の利いた分かりやすい歌と考えます。
 三首目の「ため息漏れくる遠きまなざし」の下句も、女性の方の秘めた物語を「ため息」
 で暗示して素敵な歌に仕上がっていると考えます。
 この歌から、山本丘人作「地上風韻」の、藤棚の下に描かれている女性を思い
 浮かべました。儚げでありながら、優雅な趣をもった女性でもありました。

【詞書】拙者ブログ「世界文化紀行」で世界の美しい公園を特集しています。
 註)モロッコ・アラケシュ「マジョレル庭園」
☆庭園の青の色彩個性的 マジョレル・ブルーはポップなアクセント
 註)オランダ・リッセ「キューケン公園」
☆オランダの世界に冠たる公園は 感動の景色見る人虜
 註)アイルランド・エニスケリー「パワーズコート」
☆庭園は異なるエリア見ごたえも 貴族の館往時を偲ぶ
                         浅間山明鏡止水さん
【解説】
 「世界文化紀行」の庭園特集は、すっかりメジャーになりましたね。楽しみにしています。
 三首とも、それぞれの公園の特徴をとらえて、手堅く詠んでいると考えます。
 一首目の「マジョレル庭園」は取り壊しの危機に見舞われながら「イヴ・サンローラン庭園」
 として甦った経緯をもつ歴史的な公園でもありますね。その名称の遷移、経緯にも触れると、
 歌の奥行きが出るのではないかと考えまして、ご参考として詠んでみましたが・・・。
 【詞書】「マジョレル庭園」はイヴ・サンローランの購入により、取り壊しを免れ今日に
    至っています。
 ★数奇なる歴史潜るや庭園は マジョレル・ブルーの耀やきとどめ

☆路地にそと小花の青のさやけさよ 踏まれてもなほ青として生く
                         みっちっちさん
【解説】
 路地の片すみに咲く小さな青い花は、時にはハッとするほど清く澄んで見えることが
 ありますね。そんな花の存在に目を留めて「踏まれてもなほ青として生く」と、小花の
 生命力の強さまで詠み込む描写力は、流石と思います。
 「小さき花のテレジア」ではありませんが、路傍に咲く小花に仮託した
 「はかなき者たち」への力強いエールの歌と感じました。

【詞書】苦痛春風洗流
☆嫌な事
 洗濯シャワーヘアカット
 洗い流して風ここち好い
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 いつも拝見している「シャアの猫動画とカラオケとグルメ🐱」様のblogに、
  「辛いこと
   悲しいこと
   不安なこと
   死にたいと思うこと
   洗濯やヘアーカットやお風呂
   シャワーを浴びる事で
   見事に洗い流せます‼️」
 と言う格言が有り、それに短歌を作りました。
 悩みは人それぞれ。その対処方法もそれぞれ。万年五月病の小生は、古典を読んで
 考える
事で過ごしております。許可を得たので、リンクを下記に貼付します。😃
 https://blog.goo.ne.jp/syaanelo123/e/627e2fff4b34360cde9912655d1a24e8
【解説】
 辛いこと、哀しいことを含めた悩みは「洗濯 シャワー ヘアカット」で洗い流せる、
 との歌は、「新しい格言」となりますね。事実、詠われている通りとも感じます。
 「風ここち好い」の結句は春愁を拭い去り、さらに歌の締めとして秀逸です。
 なお、「万年五月病」には、かなりの謙遜も入っていることと思います…、その予防の
 ためには、ストレスや疲労を溜めないことが大切と言われていますが、「古典を読む」
 静謐なひと時も作者らしい、良い対処策になるかと思っています。
 実践経験にもとづく新たな格言を歌に詠むという、「短歌」の新たな分野に取り
 組むのも面白い試みですね。新分野開拓も期待したいと思います。


     「ジャーマンアイリス」

【詞書】4/26朝にニュースで、月面着陸を目指した"HAKUTO"は失敗に終わったようだと
   いうのを知りました。「月に降りる初の民間船」になるはずだったろうに、関係者の
   落胆はいかばかりかと…。でも、まだ夢は続いていますね。もう「次」を見ている
   ようです。HAKUTOが月の兎になる日もきっと…。
☆fly to the Moonと伸ばした手
      降ろさず夢はまだ終わらない
【詞書】4/26夜、ニュースで16年前の2007年9月に、ミャンマーの民主化運動を取材中に、
   銃弾に撃たれて亡くなった、ジャーナリストの長井健司さんが撮影し、最後まで
   握りしめていたという“事件後に行方不明になっていたビデオカメラ”が親族の手に
   届けられた、という事を知り「(ビデオカメラが)見つかったんや…!」と驚きました。
   それと、ちゃんと親族の方の手に渡された事は色んな事情があって、保管していた
   人の名が伏せられていたり、ミャンマーの独立系メディアのジャーナリストから
   長井氏の妹さんに渡された場所も、ミャンマーでなくタイだったりと、まだまだ
   かの国は大変なんだなと思います。…志半ばで命を落とした全てのジャーナリスト
   さん達のご冥福を心から祈りたいです。……そして明日は「34年目の5月3日」です。
☆遠き地に倒れた人のその姿 16年の時間(とき)経て還りぬ
【詞書】1994年5月1日にイタリアのイモラサーキット(レースの名称はサンマリノ
   グランプリ)の事故により亡くなった、「音速の貴公子」(命名は古舘伊知郎さん
   だったかと)と呼ばれたアイルトン・セナさん…。今でも彼を悼み、偲ぶ人は多い
   かと
思います。私は普段は忘れていても、5月1日にはふと、F1中継が始まった冒頭の
   フジテレビの三宅アナウンサーの強張った表情と重い声を思い出します。94年
   より以前は余り好きではなかった(日本人のドライバーとか、セナ氏のチームメイト
   だった事もあったゲルハルト・ベルガー選手とかを応援してました。F1好きな友人は
   アラン・プロストさんが好きで、アンチ・セナみたいなところもあったし…、多少
   その影響もあったのかも知れません)しかし、94年頃には何となく応援し始めていた
   矢先でした。来年はもう30年にもなるんですよね…。F1が地上波でしなくなってからは、
   見てないんですが、フジテレビは深夜帯でもいいから特集番組してほしいな…。
   できたら勿論地上波で。
☆音速の彼方へ去ったレーサーを
      ふと思い出す5月1日
                         ちがやねこさん
【解説】
 「HAKUTO」「遠き地に倒れた人」「アイルトン・セナ」を詠んだ三首は、何れも作者の
 得意分野でしたね。
 一首目は、おっしゃるように「月に降りる初の民間船」になる予定でしたが、残念な結果に
 終わりましたね。夢を繋げ「Next One」に期待したいです。
 二首目の歌に込められた「志半ばで命を落とした全てのジャーナリストさん達のご冥福を
 心から祈りたいです」との想い。この想いは私たちも共有したいと思います。
 三首目の「音速の貴公子」は私も、息子たちもフアンでしたが、F1のスピード感は他の
 レースでは味わえない華麗さがありましたね。
 アイルトン・セナは「タンブレロ」と呼ばれる左コーナーでコンクリートバリアに高速で
 衝突する事故を起こし死亡しましたが、30年の歳月を経ても昨日のように思い出されます。
 なお、ブログの文字制限により片山右京さんとの握手のコメントは割愛せざるを得なく
 なりました。ご容赦頂ければ幸いです。

     「山吹」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆薄桃の藤の花房短くて舞妓の挿頭とそっと手をそう
                         夕庵さん
★ 一途なる少女の夢は藤色のかんざし美(は)しき舞妓への夢
                         みっちっちさん

☆藤棚の下にたたずむあの女のため息漏れくる遠きまなざし
                         夕庵さん
★藤棚にゐるその人は花の精 羽衣まとふ天女なるやも
                         みっちっちさん
★儚げに藤を見つめる横顔を 濡らすひとすじ訳は問わずに
                         ポエット・M

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆花水木 うつむきがちな人の世に 上を向けよと空向き咲くや
                         ポエット・M
【解説】
 春の第三楽章を楚々として奏でてくれた花水木も、若葉と共に終焉を迎えています。
 この花はいずれも空を向き、木の成長と共になかなか花の表面を見れなくなります。
 とかくうつむきがちな世情の中で、「お前も空を見上げろよ!」と、そんな花の
 メッセージを聞く想いがして、詠ってみました。

     「空向き咲く 花水木」


「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (25)
  
7.折々の歌(4)
 
   尊さは貧しき歌に出で来たり
          花の香りを風に蒔く人   嵯峨吹雪

   神のごと
     富士を崇めし
         北斎の
       画狂の極み
          富士越龍図

       花花花
         花で始まり
            花で死ぬ
              モネよ哀しき
                我も花なり

               ああ君の
                 化身かニャンコ
                     すくすくと
                       生きた人形の
                          ごとくに育つ
         乳飲み子の
            母を見つめる
               眼差しか
                 我を見つめる
                    良の眼差し  ※

      目の前に
        たとえ何億
          積まれても
             良は売らない  ※
                貧乏詩人

       良:愛猫の名前     


     「ジャーマンアイリス」

【短歌入門・質問・提案コーナー】先週に引き続き掲載致します。
 【チョウキチさんからの質問】
   海ならずたたへる水の底までに淸きこころは月ぞ照らさむ  菅原道真

  初歩的質問ですが、この「海ならず」はどう解釈すべきでしょうか。月と
  どういう関係性を持たせているのでしょうか。
 【ポエット・M】第一次回答をさせて頂きます。
  先ず、「海ならず」は 「海よりもさらに深い水」、
     「月ぞ照らさむ」は 「水が清ければ水底まで月の光がとどく」と解釈
  しました。これらを前提に、この歌の意訳をさせて頂きますと、
   「海よりもさらに深い水を湛える水底にも、水が清ければ月が照らすように、
     いつか無実の罪が晴れ、私の澄んだ心を光が照らしてくれるだろう」
  となります。
  故なき罪で大宰府へ流される菅原道真公が、大宰府へ赴く前に詠ったと言われる
  詠歌です。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(コード30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

コメント (25)
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