四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

溢れる命の象徴

2023年05月14日 13時51分13秒 | お出かけ

 横須賀駅の脇に広がるヴェルニー公園では、5月3日(水)~5月28日(日)を
ローズフェスタと銘打ち、園内芝生広場が開放され咲き誇る薔薇を愛でつつ様々な
イベントが行われています。そんな中、過日細君と共にヴェルニー公園を訪ねてみました。

     「青薔薇 わたらせ」

 前にもブログで紹介させて頂きましたが・・・、この公園は、幾何学的なフランス式
庭園の形式に沿ってつくられており、フランス式花壇を中心として美しく管理された
約1,300株の薔薇が楽しめます。
 薔薇苑と、米軍、自衛隊の艦船が海を挟んで同居する不思議な空間でもありますが、
ピースと命名された薔薇も咲き誇り「日本の縮図」的な場所との印象があります。
訪ねた日は散り際の薔薇も多数見られましたが、それでも咲き盛る花も多数見られ
デジイチスケッチをして参りました。

     「薔薇と艦船」

 「五月の薔薇」と言えば、ウイリアム・シェークスピアの四大悲劇のひとつとされる
戯曲「ハムレット」のあの有名なせりふが浮かびます。
  「ああ五月の薔薇よ!かわいい乙女、やさしい妹、うるわしいオフィーリア!
   神様、うら若い乙女の心が・・・、こうもはかなくても良いのだろうか」
これは妹オフィーリアの自死を悼む、兄レイアティーズの言葉ですが、ここでの
薔薇は、はかない命の象徴として登場しています。
 シェークスピアがバラに特別な思いを寄せていたのは確かなようです。ある
英文学者の研究では、詩を含めたシェークスピアの全作品に登場する植物
約百五十種のうち、バラは約百回で最多。二位のユリの二十六回、それに続く
スミレなどを大きく引き離しているとのことです。

     「薔薇 プリンセスアイコ」

 そんな想いを抱きながら、咲き誇る薔薇を見つめていると「はかない命の象徴」と
言うよりは、五月の陽光の下で、溢れる命の象徴としての薔薇を感じてしまいました。
散り際の美を示す桜とは異なり、咲き満ちる美しさをことさらに示す薔薇の力強さを
改めて感じました。

     「薔薇 つるゴールドバニー」

 細君と共に薔薇園を散策しながら、薔薇のデジイチスケッチを重ねましたが、この
公園には、先に紹介した施設や、オブジェの外に、多くの施設があり、そのうちの
幾つかを
紹介したいと思います。

 先ず、正岡子規の文学碑が公園の入り口近くにあります。文学碑には
 「横須賀や 只帆檣の 冬木立」
と書かれています。
明治21年(1888年)8月、正岡子規は夏季休暇を利用して、友人と汽船で浦賀に着き、
横須賀・鎌倉で過ごしたようです。碑の句は横須賀港内に連なる帆檣(帆柱のこと)の
印象を詠んだもので、句集「寒山落木」に収録されています。

     「正岡子規の文学碑

 次に、よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸、横須賀製鉄所副首長ジュール・
セザール・クロード・ティボディエの官舎で、1869(明治2)年頃に建築され、2003
(平成15)年の解体時まで本州最古級の西洋館でした。
このミュージアムでは、その小屋組みを移設した実物展示のほか、日本近代化の礎と
なった横須賀製鉄所の歩みなどを展示しています。

    あずまや横の中央の建物が「よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸」

さらに、今年、2023年1月15日に公園内にオープンした本格イタリアンレストラン
「AMALFI Marina Blu」があります。隣に立つティボディエ邸の景観と調和した
木造瓦葺2階建てで、横須賀本港を一望する絶好のロケーションを楽しめるレストランで、
休日は等は混雑を極めています。

     イタリアンレストラン「AMALFI Marina Blu」


     「薔薇 ピース」

薔薇「ピース」は終戦の1945年に作出され、世界平和を願って名付けられた、平和の
シンボルともされる品種です。また世界バラ会議において、初代の「殿堂入り」を果たした
名作としても有名で、この薔薇苑でもかなりのエリアを占めて植栽されています。

このほかにも多くの薔薇が咲き満ちていますので、折をみてお訪ね頂ければ嬉しいです。

コメント (4)
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