芝生の雪は消え残り、裏木戸への飛び石はどこなのか定かではありません。気が付きますと岩を噛むように音を立てて流れ落ちていた滝が枯れています。水音が無い静けさは冬の荎草園の紹介文の「侘び寂びの雪景色を堪能」そのものです。
湧き水が満たされているためでしょうか、お池の面には強い凍みこみにもかかわらず結氷せずに水鏡を作っています。辯天様を祀る祠へ渡る反り橋が降り積もった雪とともに写り込んでいます。錦鯉がゆっくり泳いで彩を添えています。
足裏が凍えるような冷たい畳張りに陽射しが届きました。午前10時をやや過ぎた時刻です。お庭の前の斜面につながる山越しにようやく届く光です。周辺の雪が融けてなくなっていますが、この地形が雪解けを遅くしているのです。