一般人の参加する祭りは、儺追殿に待ち受ける男たちが、気を失わんばかりにもみくちゃにされている神男を群衆の中から引っ張り上げるまでつづきます。残念ながらそのシーンを目撃することはできませんでした。
時刻は５時半を過ぎて、あたりは暗くなってきました。月が上る上空に取材のヘリコプターが旋回しています。手持ちの機材では撮影が無理になってきました。
もみ合いの中心に神男がいて、そこに撒かれた水は瞬く間に水蒸気になって立ち込めます。裸男たちの大きな声と激しく立ち上る水蒸気の位置が次第に儺追殿の方向に移動しているのがわかります。
手桶の水撒きが楼門の中を目がけるようになりました。裸男のもみあいは、人垣の最前列にいなければ目撃できません。神男目がけて殺到する姿をつぶさに見ることは至難の技です。
儺追殿の前の水汲み場へ空の手桶の行列が進みます。水を汲んで行き、楼門の外で神男に触ろうとしてもみ合っている裸男の頭上に撒くわけです。水かけ専門の人たちがいるのです。
拝殿に大きな榊の枝を掲げた禰宜様が現れることが、参道に神男が入った証と聞きました。榊の向いている方向に神男がいるのだそうです。いよいよ裸祭りのクライマックスです。
儺追笹などを奉納した裸男たちは、拝殿の宮司さんたちとハイタッチしたりしてしばし感激に浸りたいようですが、後から来る集団に押し出されるように移動してゆきます。
午後３時を過ぎる頃には、楼門の外では境内に入るのを待つ集団が多くなってきました。ようやく入れた裸男たちは一様にうれしそうな顔つきです。
天下の奇祭を報道するスタッフ。ドラゴンズファンに人気のＣＢＣの若狭キャスターが実況放送を始めました。そろそろ裸のもみ合いが始まる雰囲気になってきました。
