教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

研究をよりよく進めるには(3)―文献史料の読み方

2010年06月06日 23時55分55秒 | 研究をよりよく進めるには

 うーん…いいことがおこれば、嫌なこともおこる。そういう風に世の中はできているのだな。


文献史料の読み方

1.史料の文章そのものを理解する。
(1) 史料の著者は、何を問題としているかを明確にする。
(2) 史料の著者は、その問題に対する自分の意見を、読者に対して、どのように説得しようとしているか、を明確にする。
(3) 史料の著者の意見を、自分の知識・経験と対照させて、共通点や相違点を明確にする。
    ※ (3)はとばしてもよい。

2.史料の文章の意味を理解する。
(1) 概念史のレベルで意味を理解する。
・ その史料上における重要な概念を、史料上において実際に用いられている意味を明確にする。
・ その史料上における重要な概念がいくつかある場合は、史料上においてどのような関係にあるかを明確にする。
・ その史料上における重要な概念の、当時の意味と当時の意味に至るまでの意味の変化を明確にする。
・ その史料上における重要な概念の、現在の意味と現在の意味に至るまでの意味の変化を明確にする。
・ 史料上に用いられている意味と、当時の意味・現在の意味の違いを明確にする。
 ※ 外国の史料ならば、日本における意味(同時代および現在)との違いも、可能ならば明確にしたい。
(2) 研究史のレベルで意味を理解する。
 ※ 誰がその史料を書いたのか、ということが直接の執筆背景を明確にするポイント!
・ その史料が書かれた同時代の思想的背景(思想・学説等)を明確にする。
  → その史料の内容と、思想的背景を対照させて、問題関心・方法・内容などにおける関係性を明確にする。
・ その史料が書かれた同時代の社会的背景(制度・経済・文化等)を明確にする。
  → その史料の内容と、社会的背景を対照させて、問題関心・方法・内容などにおける関係性を明確にする。

3.史料そのものの意味を理解する。
(1) 史料の筆者は、その史料を書くことによって何を考えようとしたのか明確にする(思想として)。
(2) 史料の筆者は、その史料を書くことによって何をしようとしたのか明確にする(行動として)。

    (2006年4月13日稿)
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