東通りで唄あしび

2007年10月31日 | Live

■東通りで唄あしび
2007年10月21日(日)
大阪梅田 OSビル前特設ステージ

晴れ。
友人に誘われて阪急東通商店街連合会が主催するフリー・コンサート「東通りで唄あしび」を聴きに行った。

出演者
昼 時(13時~): 長井ゆみ、加那、野村麻紀
茶 時(15時~): 良元優作、てぃんさぐトリオ、山下卓也、宮里ひろし
黄昏時(18時~): 三井ぱんと大村はん、木村充揮

今回のフリー・コンサートの出演者で知ってるのは元憂歌団の木村充揮さんのみ。三井ぱんと大村はんはライヴハウスを中心にした活動をしている中年デュオといった程度の情報しか持ってなかった。友人によると三井ぱんこと三井雅弘さんは元TOPSのメンバーで、解散後は爆風スランプのマネージャーをしていたという。

TOPSというと20年くらい前、テレビに出ているのを見たことがある。三井さんの名前までは覚えてなかったが、黒のセル・フレームのメガネをかけたヴォーカリストがいたことは記憶に残っている。あのヴォーカリストが三井さんだったようだ。容姿の変貌ぶりに時間の残酷さを感じたものの(苦笑)、芸人顔負けのトークには驚かされた。あのトークがなければ退屈なイベントとなったことだろう。

昼時の出演者は女性ばかり。一番手で出演した長井ゆみさんは独特な世界を持っていた。念願だったパリ旅行に行って、その記憶がまだ抜けないとのことで、パリにまつわる曲を披露した。のんびりとした雰囲気で、力が抜けてて、かなりゆるかった。彼女は個性的というか天然系なので、なんか妙におかしかった(笑)。「テネシー・ワルツ」の日本語カヴァーをやってたみたいだが、日本語詞を聴いてると全く「テネシー・ワルツ」に聞こえなかった。しかし、このキャラは捨てがたいと思った。



加那さんはバナナホールで三線教室を開いてたらしい。沖縄出身なのかと思っていたが、兵庫県伊丹市出身だという。「てぃんさぐの花」とか「安里屋ユンタ」といった沖縄民謡、「十九の春」、「涙そうそう」といった曲を披露していた。背筋をシャンと伸ばして歌う姿が印象的だった。



野村麻紀さんは昔でいうと平山みき、今で言うと、ちょっと小島麻由美っぽい声質。



500mlの缶ビールをグビグビ飲みながらのステージだった。



昼時は大体ひとり30分ずつのステージだった。午後2時半頃終わって、しばらくOSビル内のナムコで休憩した。OSビルはかつて、映画館だった。大スクリーンのシネラマ方式で上映するOS劇場、隣にはレコード屋のOSレコードがあった。阪急梅田の名所だったのに、ブレーブスを身売りした直後、閉鎖してしまった。現在はゲームセンターと餃子の店が軒を連ねるレジャー・ビルとなっている。娯楽は娯楽、文化は文化。いろいろあると思うが、映画産業、音楽産業が廃れてゆくのを目の当たりにしているようで、なんだか寂しい気持ちになる。休憩の間、ステージに設置されたスピーカーからはボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」がながれていた。
"どんな気分だい/ひとりぼっちで/帰る家がなく/ぜんぜん知られなくて/転がる石みたいなことは"

さて、午後3時からは茶時のステージがはじまった。良元優作さんははじめてみたが、表情豊かにギターをかき鳴らしながらブルースを歌う姿に釘付けとなった。お客さんからもらった焼酎を飲みながらの演奏だったが、1曲毎に調子をあげていき、与えられた30分の時間をさらに延長して歌いまくった。楽しいステージだった。



茶時のステージが始まる前だったか、山下卓也さんがエレクトリック・ヴァイオリンを従えリハーサルしていた。それが滅茶苦茶かっこよかった。名前の知らないミュージシャンでもなめてはいけない。

てぃんさぐトリオのメンバーのひとり杉本"Q"仁美さんがそのエレクトリック・ヴァイオリンの奏者だった。ヴォーカルの珊瑚ちゃんがかわいらしい。このトリオも沖縄民謡を演奏していた。



このイベントの出演者は、東通りの「HeavenHiLL」というライヴハウスの常連ミュージシャンが多いようなのだが、そこではこういった沖縄の音楽をやってる人の溜まり場みたいになってるのだろうか。興味津々だ。



山下卓也さんは奄美大島出身。現在は富山在住だとか。レゲエの曲「加計呂麻(かけろま)レゲエ」が渋かった。奄美大島の島唄なんかも披露していた。しばらく聴いていたが、足が痛くなってきたので集中できなくなり、途中退場した。ナムコでしばし休憩。30分くらい休んだ後、ステージを見るため戻ると、宮里ひろしさんが歌っていた。ムーミンパパのような風貌でやさしい感じのフォークソングを歌っていた。



宮里ひろしさんは堂山町のバー「HeavenHiLL」のマスターだそうだ。約30年前に「関西フォーク最後の大物」というふれこみでURCレコードからデビュー。URCレコードは東通り周縁で花開いたとされている。

茶時のステージは4時半過ぎぐらいに終わった。黄昏時のステージまで時間があったので阪急村といわれる一帯をなんとなく散策。陽が落ちてくるとやや肌寒く感じてきて、自動販売機で今シーズン初の缶コーヒー(HOT)を買って飲んだ。



黄昏時のステージは午後6時に開演した。昼からずっと司会進行を続けていた三井雅弘さんが、ジャケットを着て、「三井ぱんと大村はん」として登場。相棒はギタリストのザビエル大村さん。三井さんは神戸生まれだが、学生時代からこの東通りによく来ていたので、思い出が多い場所なのだと話していた。お客さんからのリクエストに応えて、下ネタの「加古川の男」を演奏。ちょっとここでは書けない内容(苦笑)。歌が終った後タイミングよく、パトカーがサイレンを鳴らして後ろの道を通った。思わず「すいません」と謝る三井さんに会場は大爆笑。



大トリは元憂歌団の木村充揮さん。さすがに地元大阪では人気があり、セット・チェンジの間に会場は満員となった。木村さんは赤ワインを飲みつつのステージ。「胸が痛い」、「おそうじオバチャン」などの代表曲を次から次へと歌った。常連客の「早よ、歌え! あほ!」という激しい野次に「まぁまぁ、まぁまぁ。あほ言うもんがあほじゃ!(笑)」と余裕の返し。独特のフェイクを交えた「ゲゲゲの鬼太郎」、高齢化社会に対応した歌詞で「野風僧」などを披露。約1時間、たったひとりでギター弾き語り。最後は集まった観衆から大きな拍手が送られた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする